子どもの喉の痛みはニンバス株?見守り方と受診のタイミングを解説
子どもが「喉が痛い」と訴えているのに熱が出ない…。
最近流行している「コロナ・ニンバス株」では、こうした症状が見られることがあります。
保護者として「これって大丈夫?」と心配になりますよね。本記事では、子どもにおけるニンバス株の特徴や家庭でのケア、受診の目安をわかりやすく解説します。
目次
1. ニンバス株(NB.1.8.1)とは?子どもへの感染リスクと最新情報
ニンバス株は、いま注目されている新型コロナの仲間です。
これまでのタイプと少しちがい、高い熱は出にくいのに喉の痛みが強いと感じる人が多いのが特徴です。
1-1. ニンバス株の正式名称と分類
世界保健機関(WHO)は、問題になりそうな新しいタイプを早めに見つけて見守る仕組みを作っています。
ニンバス株(正式名称:NB.1.8.1)は、その「見張りリスト(VUM)」に入っているタイプです。
これは「すぐに危険」という意味ではなく、「これからの動きを注意して見ていきます」という合図です。
【参考情報】『COVID-19: Variants Under Monitoring』WHO
https://www.who.int/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants
【参考情報】『SARS-CoV-2変異株について』国立感染症研究所
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/covid-19/180/flu2-1-1.html
1-2. 流行状況と感染力の特徴
国内では、長期休み明けや学期の始まりなど人が集まりやすい時期に報告が増える傾向があります。
最初は「ちょっと喉がイガイガする」程度で始まることが多く、気づかないうちに家族やクラスに広がる場合があります。
症状が軽くても、喉の強い痛みが続くなら注意して過ごしましょう。むずかしく考えすぎず、「喉がとても痛いけれど熱はそれほどでもない風邪に似た病気」とイメージすると理解しやすいです。
【参考情報】『新型コロナウイルス感染症(COVID19)-世界情勢』FORTH/厚生労働省検疫所
https://www.forth.go.jp/topics/2025/20250729_00001.html
1-3. 子どもが感染した場合に見られる症状の特徴
子どもがニンバス株にかかった場合、出る症状にはいくつか特徴があります。
大人と似ている部分もありますが、子ども特有の現れ方もあるため注意して観察しましょう。
・喉の症状:飲み込むのもつらいほどの強い痛み
・呼吸器の症状:乾いた咳、鼻水
・全身の症状:だるさ、頭痛、筋肉痛
・発熱:高くない場合が多く、「元気はあるが喉だけがとても痛い」というパターンになりやすい
・消化器の症状:吐き気や下痢は少なめだが、出ることもある
これらの症状は軽症で済むことが多い一方、強い痛みや食欲不振につながる場合があります。子どもの体調の変化を見逃さず、必要に応じて早めに受診を検討しましょう。
1-4. 重症化リスクと年齢別の注意点
〈年齢別の重症化リスク〉
・乳幼児(0-2歳): 免疫機能が未発達のため中等度のリスク
・幼児・学童(3-12歳): 軽症で済むことが多いが脱水に注意
・中高生(13-18歳): 大人と同様の症状パターン、軽症が多い
子どもの多くは軽症で回復します。とくに乳幼児は水分不足になりやすいので、こまめな水分補給が大切です。
学童〜思春期では、痛みで話すのを嫌がったり食事量が減ったりすることがあるため、柔らかい食べ物にするなど家庭での工夫が役立ちます。
喘息や心臓の病気、免疫の病気がある子は、早めの受診が安心です。
【参考情報】『新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html
2. ニンバス株による喉の痛みと他の病気との違い
ニンバス株では「熱はそれほど高くないのに喉がとても痛い」という症状が目立ちます。
ニンバス株の症状の特徴を他の病気とも比較してみましょう。
2-1. 熱がないのに喉が強く痛む理由
風邪やインフルエンザでは発熱を伴うことが多いですが、ニンバス株では高熱が出にくい一方で喉の炎症が強く出ることがあります。
これは鼻や喉の入口あたり(上気道)にウイルスが多く集まり、粘膜に強い炎症を起こすためと考えられています。
つまり「熱がない=軽い」とは限らず、喉の痛みだけでも十分に注意が必要です。
食事や会話で痛みが悪化しやすく、早めの水分補給と喉の安静が回復の助けになります。
2-2. 風邪・インフルエンザ・アレルギー性鼻炎との違い
ニンバス株と他の病気を比べると、次のような特徴があります。
・風邪:熱が出ることが多く、鼻水やくしゃみが中心。進行はゆるやか。
・インフルエンザ:高熱と関節痛が急に出やすく、全身が強くつらくなる。
・アレルギー性鼻炎:鼻水・くしゃみ・目のかゆみが主で、強い喉の痛みはほとんどない。
・ニンバス株:熱が高くない場合でも、カミソリで切られるような強い喉の痛みが主役。
これらの違いを知っておくと、家庭での観察や医療機関を受診する判断に役立ちます。
【参考文献】”COVID-19, cold, allergies and the flu: What are the differences?” by Mayo Clinic Staff
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/coronavirus/in-depth/covid-19-cold-flu-and-allergies-differences/art-20503981
2-3. 症状の進み方と子どもが出すサイン
ニンバス株の症状は、1〜2日目に「喉の違和感」から始まり、3〜5日目に痛みがピークに達するケースが多いです。
1週間ほどで落ち着くことが一般的ですが、子どもは症状をうまく言葉にできないことがあります。
以下のような行動は、喉の痛みが強いサインかもしれません。
・水分や食事をいやがる
・話したがらず、声が小さくなる
・よだれが増える
・夜に何度も目を覚ます
こうした変化に早く気づくことが大切です。少量ずつ飲みやすいものを与えたり、静かに過ごせる環境を整えるなど、無理のないケアを続けましょう。
3. 自宅でできる子どもの症状ケア
軽い症状でも子どもにとってはつらいことがあります。家庭でできるサポートや、家族にうつさないための工夫を知っておきましょう。
3-1. 水分補給と食事の工夫
喉が痛いと飲んだり食べたりするのがつらくなります。少量ずつでも水分をこまめに与えることが大切です。
常温の水や麦茶、ゼリーやプリン、スープなど、柔らかくて飲み込みやすいものを選びましょう。酸っぱいジュースや炭酸飲料は喉を刺激するため控えたほうが安心です。
3-2. 声の使いすぎを防ぐと環境づくり
歌ったり大声で話したりすると喉に負担がかかります。読書やお絵かきなど静かにできる遊びをおすすめします。
また、部屋の湿度を50〜60%に保つと喉の痛みがやわらぐことがあります。定期的に窓を開けて換気するのも大切です。
3-3. 家族内での感染を防ぐ方法
ニンバス株はうつりやすいため、家庭内でも工夫が必要です。可能なら子どもを別の部屋で休ませ、家族もマスクを着用しましょう。
トイレや洗面所の後は手すりやドアノブを消毒し、手洗いやアルコール消毒を習慣にすることが効果的です。洗濯物は分けて洗うと安心です。
3-4. 学校や園への連絡と復帰の目安
症状が出たら、学校や園に早めに連絡しましょう。登校や登園の再開は「熱が下がって元気に過ごせるようになってから」が基本です。
無理をして早く復帰すると体調が悪化したり、周りにうつしたりする可能性があるので注意しましょう。
◆『喘息の子どもが保育園・幼稚園に入る前に知っておきたいこと』について>>
4. 受診が必要なサインと受診の目安
多くの子どもは軽い症状で回復しますが、安心のためには「受診が必要なサイン」を知っておくことが大切です。
4-1. すぐに受診したほうがよい症状
多くの子どもは自宅で回復しますが、次のような症状が出た場合は迷わず医療機関に相談してください。
・息苦しそうにしている、または呼吸がゼーゼーしている
・顔色が悪い、ぐったりして元気がない
・尿がほとんど出ない、唇がカサカサしている(脱水のサイン)
・高い熱(39℃前後)が何日も続いている
・呼びかけても反応が鈍い、意識がもうろうとしている
こうした症状は重症化のサインである可能性があるため、早めの受診が安心です。
4-2. 経過を見てもよい症状
一方で、微熱や軽い咳、鼻水などがあるものの、普段どおり遊んだり食事をとったりできている場合は、自宅での経過観察でも問題ないことが多いです。
ただし、注意したいのは「症状の長さ」と「子どもの様子の変化」です。
・微熱が4日以上続く
・咳や鼻水が2週間以上治らない
・夜眠れないほど咳が出ている
・食欲が落ちて水分もとりにくくなっている
こうした場合は、軽症に見えても診察を受けたほうが安心です。
特に子どもは体力の変化が早いため、「昨日までは元気だったのに急にぐったり」というケースもあります。
経過観察をするときも、体調の小さな変化を見逃さないようにしましょう。
4-3. 病院に行く前に準備しておくこと
医療機関を受診するときには、症状を正しく伝えることが診断に役立ちます。
できるだけ以下のような情報を整理しておきましょう。
・体温の記録:1日数回、時間ごとの体温をメモ
・食事や水分の量:どのくらい摂れているか、嫌がった食べ物や飲み物
・排尿・排便の様子:回数、色、便のかたさや状態
・睡眠の状態:夜眠れているか、途中で何度も起きていないか
・普段との違い:遊ぶ元気があるか、声を出す回数、泣き方の変化
・薬の使用状況:市販薬や解熱剤を使ったか、効果があったかどうか
こうした情報があると、医師は症状の進み方をイメージしやすくなり、必要な検査や治療をスムーズに判断できます。
5. 感染を防ぐためにできることと心のケア
ニンバス株は、以前に別のコロナにかかったことがある方やワクチンを打った方でも感染する可能性があります。
だからこそ、家庭や学校で基本的な予防策をしっかり続けることが大切です。
5-1. ワクチンを受けていても感染する理由
ニンバス株には「免疫逃避能」という特徴があり、これまでの感染やワクチン接種で得られた免疫をすり抜ける力を持つと考えられています。
そのため、ワクチンを受けている子どもでも感染することはあります。
ただし、重症化を防ぐ効果は十分に期待できるため、接種の意義は大きいといえるでしょう。
また、ワクチンだけに頼らず、家庭や学校での予防行動を続けることが重要です。
5-2. 家庭と学校でできる予防の工夫
ワクチンの効果を補うためには、日常生活での感染対策が欠かせません。
家庭では、手洗いやアルコール消毒、混雑した場所でのマスク着用、定期的な換気といった基本を丁寧に続けることが効果的です。さらに、十分な睡眠やバランスの取れた食事は子どもの抵抗力を高めます。
学校や園では、毎日の体調チェック、給食前後の手洗い、こまめな換気などを徹底することが求められます。
体調がすぐれない子どもは無理に登校・登園させず、早めに休ませることが感染拡大を防ぐ大切なポイントです。
このように、家庭と学校の双方で同じ方向性の対策を取ることで、子どもたちの感染リスクを大きく減らすことができます。
5-3. 子どもの心を守るケア
感染や隔離生活は、子どもに不安や孤独を感じさせることがあります。
そのため、年齢に合わせたわかりやすい説明をして安心させることが大切です。「一緒に乗り越えよう」という言葉をかけることで、子どもは安心感を得られます。
また、友達と電話やビデオ通話でつながる時間を作ると、孤独感を減らす助けになります。
読書やお絵かきなど、家で楽しめる活動を一緒に考えることも効果的です。心のケアは症状の回復にもつながるため、体だけでなく気持ちのサポートも意識しましょう。
6. おわりに
ニンバス株は発症前から感染力があり、症状が落ち着いても数日はうつす可能性があります。
登校や登園は解熱し元気に過ごせるようになってからが安心です。
子どもの多くは家庭でのケアで改善するため、水分補給や喉の安静、室内環境の工夫を続けましょう。
ただし、息苦しさや脱水、高熱が続くときは早めに医療機関へ相談してください。正しい知識と冷静な対応が、子どもを守る安心につながります。