ブログカテゴリ
外来

呼吸器内科を受診すべき喉の痛みとは?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年04月22日

喉には、ウイルスや細菌、ホコリなどの異物が体内に侵入するのを防ぐ機能が備わっています。しかし、何らかの原因でこの機能が低下すると痛みが生じることがあります。

この記事では、喉が痛くなる原因と、呼吸器内科で診療できる病気について解説します。喉の痛みがなかなか良くならない人や、たびたび喉が痛くなる人、喉が弱いと感じている人は、ぜひ読んでください。

1.喉が痛くなる原因

喉の痛みの原因の多くは、風邪をはじめとした呼吸器の感染症によるものですが、感染症以外の原因で喉が痛くなることもあります。

1-1.ウイルス・細菌感染

喉の痛みのもっとも一般的な原因は、ウイルスや細菌による感染です。

風邪のウイルスが上気道に感染すると炎症が起こり、ヒリヒリとした痛みや違和感が生じます。こうした炎症は、体がウイルスを排除しようとする免疫反応の一環でもあります。

風邪以外にも、以下のような感染症で喉の痛みがみられます。

 インフルエンザ

 新型コロナウイルス感染症

 ・溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌

 ・扁桃炎

また、肺炎球菌などの細菌は主に肺炎の原因となりますが、上気道に炎症を伴うことで喉の痛みを感じることもあります。

◆「肺炎球菌」についてくわしく>>

発熱や強い倦怠感、飲み込みづらさなどを伴う場合は、感染症の可能性が高いため注意が必要です。

1-2.感染症以外の病気

感染症以外にも、さまざまな病気が喉の痛みの原因となることがあります。


<アレルギー(花粉症・アレルギー性鼻炎など)>
鼻づまりによって口呼吸が増えると、喉の粘膜が乾燥しやすくなり、痛みやイガイガ感の原因になります。

◆「アレルギー」についてくわしく>>


<胃食道逆流症>
胃酸が食道や喉まで逆流することで、粘膜が刺激され、ヒリヒリとした痛みや違和感が生じます。慢性的な咳や声のかすれを伴うこともあります。

◆「胃食道逆流症(GERD)」とは?>>


<心疾患(狭心症・心筋梗塞など)>
胸の痛みが首や喉、背中に広がる「関連痛」として、喉の違和感や痛みを感じることがあります。ただし、喉の痛み単独で現れることはまれで、強い胸部症状を伴うケースが一般的です。

【参考情報】『Referred Pain』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/symptoms/25238-referred-pain



<がん(咽頭がん・喉頭がん・食道がんなど)>
飲み込むときの痛みや違和感、声のかすれ、長引く症状が特徴です。特に症状が数週間以上続く場合は注意が必要です。

【参考情報】『Cigarette smoking and inflammation: cellular and molecular mechanisms』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/throat-cancer/symptoms-causes/syc-20366462

1-3.病気以外の原因

病気ではなく、日常生活の中の刺激によって喉が痛くなることもあります。


<声の出しすぎ>
歌唱や大声での応援、長時間の会話などにより、喉の粘膜に負担がかかり炎症が起こります。

◆「カラオケで咳が出るのはなぜ?」>>


<喫煙>
タバコの煙に含まれる有害物質が喉の粘膜を直接刺激し、慢性的な炎症や乾燥を引き起こします。

【参考情報】『Cigarette smoking and inflammation: cellular and molecular mechanisms』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21876032/



<飲酒>
アルコールには脱水作用があり、喉の粘膜を乾燥させやすくなります。また、刺激そのものによって違和感や痛みが生じることもあります。


<空気の乾燥>
特に冬場やエアコン使用時は空気が乾燥しやすく、喉の粘膜の防御機能が低下して痛みを感じやすくなります。

◆「エアコンの上手な使い方」をチェック>>

2.喉の痛みで呼吸器内科を受診する目安


喉が痛いとき、発熱や鼻水など風邪のような症状が中心であれば、一般の内科を受診してもいいでしょう。

しかし、咳や痰、息苦しさといった呼吸器の症状が目立つ場合は、呼吸器内科の受診が適しています。

2-1.咳が続いていて、喉が痛い

咳が何度も続くと、その刺激によって喉の粘膜が傷つき、ヒリヒリとした痛みが出てきます。

風邪だけでなく、気管支炎や肺炎、喘息などでも同様の症状がみられます。


<受診の目安>

 ・咳が数日〜数週間続いている

 ・咳をするたびにのどが痛む

 ・乾いた咳、または痰を伴う咳が出る


このような場合は、咳の原因となっている気道の炎症を確認することが重要です。

◆「咳が止まらなくて喉が痛い!考えられる理由と対処法」>>

2-2.咳払いのし過ぎで喉が痛い

痰がからみやすい状態では、無意識に咳払いや咳を繰り返すことが多くなります。

その結果、喉の粘膜に負担がかかり、痛みが生じることがあります。


<受診の目安>

 ・痰が切れにくい

 ・頻繁に咳払いや軽い咳が出る

 ・のどの違和感が長く続いている


こうした症状は、慢性的な気道の炎症でみられることがあります。

◆「痰が絡む原因」をチェック>>

2-3.発熱や全身症状を伴う

喉の痛みに加えて、発熱や倦怠感がある場合は、呼吸器感染症が疑われます。


<受診の目安>

 ・発熱がある

 ・体がだるい

 ・頭痛や関節痛を伴う


ウイルス感染だけでなく、細菌感染による気管支炎や肺炎に進展している可能性もあるため、症状が強い場合は注意が必要です。

◆「呼吸器感染症の主な種類と予防法」>>

2-4.痰が多い・色がついている



<受診の目安>

痰の状態は、気道や肺の炎症の程度を反映します。

 ・黄色や緑色の痰が出る 

 ・痰の量が増えている

 ・咳と一緒に痰が絡む


このような場合は、細菌感染や慢性的な呼吸器疾患が関与していることがあります。

2-5.息苦しさや胸の違和感がある

喉の痛みに加えて呼吸のしづらさがある場合は、気道や肺の異常が疑われます。

 ・息をすると苦しい

 ・動くと息切れする

 ・胸に重さや違和感がある

単なる喉のトラブルではなく、呼吸器全体の問題として考える必要があります。

◆「息苦しいのは病気?――原因の見分け方と受診の目安」>>

2-6.長年タバコを吸っていて、喉の痛みがある

喫煙習慣がある人では、タバコの煙による慢性的な刺激で気道の炎症が続き、喉の痛みにつながることがあります。

 ・長期間喫煙している

 ・咳や痰が慢性的に続いている

 ・のどの違和感や痛みが改善しない

このような場合は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患が背景にある可能性も考えられます。

◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>

3.喉の痛みがある場合に呼吸器内科で行う検査

喉の痛みで呼吸器内科を受診した場合は、気道や肺に異常がないかを確認するためなど、必要に応じてさまざまな検査が行われます。

3-1.胸部画像検査

胸部X線(レントゲン)検査では、主に以下のような所見を確認します。

 ・肺炎の有無

 ・気管支周囲の炎症

 ・腫瘍や結節などの異常

レントゲンで明らかな異常がない場合でも、症状が長引く場合や重症化が疑われる場合には、より詳細に呼吸器の状態を調べることができる胸部CT検査が追加されることがあります。

◆「レントゲン写真から、呼吸器内科でわかること」>>

3-2.呼吸機能検査

呼吸機能検査は、呼吸の状態を数値で評価する検査です。

 ・スパイロメトリー(肺年齢や呼吸機能の測定)

 ・呼気一酸化窒素濃度測定(FeNO)

 ・モストグラフ(気道の抵抗や状態の評価)

これらの検査は、喉の痛みそのものを調べるためのものではありませんが、咳を伴う場合に行われることがあります。

特に、咳が長引いていたり、息苦しさやゼーゼーとした呼吸(喘鳴)があるといった場合には、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など、気道が狭くなる病気が関係している可能性があります。

◆「呼吸器内科で行われる専門的な検査について」>>

3-3.血液検査

血液検査は、体内でどの程度の炎症が起きているか、感染の有無、全身の状態を把握するために行われます。

のどの痛みに加えて発熱や咳、倦怠感などの症状がある場合に、以下の項目を確認することがあります。

 ・白血球数(感染の有無や種類の目安)

 ・CRP(炎症の強さを示す指標)

【参考情報】『C-Reactive Protein (CRP) Test』Medline Plus
https://medlineplus.gov/lab-tests/c-reactive-protein-crp-test/

 ・好酸球数(アレルギーや喘息の関与の参考)

 ・IgE(アレルギー体質の評価)

【参考情報】『Immunoglobulin E (IgE)』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/body/ige

これらの結果から、ウイルス感染か細菌感染かの目安をつけたり、炎症の程度を把握したりすることができます。

例えば、白血球数やCRPが高い場合は細菌感染の可能性が示唆され、抗菌薬の使用を検討する材料になります。

また、咳が長引いている場合には、好酸球やIgEの値を参考に、喘息やアレルギーの関与がないかを確認することもあります。

3-4.喀痰検査

喀痰検査は、痰が出ている場合に行われる検査で、気道や肺の感染の原因を特定するために用いられます。喉の痛みに加えて、咳や痰を伴う場合に検討されることがあります。

主に以下の目的で実施されます。

 ・細菌の種類の特定

 ・抗菌薬選択の参考(どの薬が効きやすいかの判断)

採取した痰を顕微鏡で観察したり、培養して菌を増やしたりすることで、原因となっている細菌を調べます。これにより、適切な抗菌薬を選択する根拠が得られます。

3-5.その他の検査

症状や経過によっては、さらに詳しい検査が行われることがあります。

 ・ウイルス検査(インフルエンザ・新型コロナなど)

 ・喀痰細胞診(がん細胞の有無の確認)

 ・気管支鏡検査(気道の内部を直接観察)

4.喉の痛みがあるときの自宅での対処法


喉の痛みが軽度で、発熱や強い全身症状がない場合は、以下のような自宅でのケアによって症状の改善が期待できます。


<喉を乾燥させない>

喉の粘膜は乾燥するとダメージを受けやすくなり、痛みが悪化しやすくなります。

 ・室内を加湿する(加湿器や濡れタオルの利用)

 ・マスクを着用して湿度を保つ

特に冬場やエアコン使用時は、意識して乾燥対策を行うことが重要です。

◆「加湿器を選ぶポイントと注意点」>>


<こまめに水分をとる>

水分補給は、喉の粘膜を潤し、刺激をやわらげる効果があります。

 ・水やぬるめのお茶を飲む

 ・刺激の少ない飲み物を飲む

一度に多く飲むのではなく、少量をこまめに摂るのがポイントです。


<喉への刺激を避ける>

喉に負担をかける行動は、炎症を悪化させる原因になります。

 ・大声や長時間の会話を控える

 ・喫煙を避ける

 ・刺激の強い飲食(辛いもの・熱すぎるもの)を控える

喉を休ませることが回復を早めます。


<うがいを行う>

うがいは、喉に付着したウイルスや異物を洗い流すのに役立ちます。

 ・水やぬるま湯でのうがい

 ・外出後や乾燥を感じたときに行う

うがいのしすぎはかえって喉の粘膜を傷めることがあるので、適度な回数にとどめましょう。


<室内環境を整える>

空気環境も、喉の状態に大きく影響します。

 ・ほこりやハウスダストを減らす

 ・適度な換気を行う

清潔で適度な湿度の環境を保つことが大切です。


軽い喉の痛みであれば、これらの対処を行うことで自然に改善することが多くあります。

ただし、痛みが強い場合や長引く場合、発熱や咳などの症状を伴う場合は、医療機関の受診を検討してください。

5.おわりに

喉の痛みの多くは2週間以内に治るので、市販薬で症状を和らげながら様子を見ている人も多いでしょう。

ただし、2週間以上痛みが良くならない場合は、市販薬では治療できない病気の可能性があります。

痛いというほどではないけれど違和感がある、という人も含めて、市販薬で症状が良くならない人は、早めに呼吸器内科を受診して専門医に相談してください。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階