レスプレンは咳にどう効く?作用の特徴と注意点

レスプレンを処方されたとき、「これは咳止めなの?」「痰の薬なの?」と疑問に感じる方は少なくありません。
薬の名前だけでは、どのような作用があり、どんな咳に使われるのかが分かりにくいため、不安になる方も多いと思います。
この記事では、レスプレンの役割や使われ方、市販薬との違いや注意点などについて分かりやすく解説します。
1.レスプレンとはどのような薬か
レスプレンは、呼吸器の病気に伴う咳や痰の症状を和らげるために使われる薬です。
名前だけでは働きが分かりにくく、「咳止めなのか、痰の薬なのか」と疑問に思う方も多いかもしれません。
この章では、レスプレンの成分や分類、どのような場面で使われる薬なのかを整理します。
1-1.レスプレンの有効成分
レスプレンの有効成分はエプラジノン塩酸塩です。
この成分は、乾いた咳にも痰がからむ咳にも処方されることがあります。
鎮咳作用(咳を抑える働き)と去痰作用(痰を出しやすくする働き)の両方をあわせ持つとされており、風邪や気管支炎など、特定の呼吸器疾患に伴う咳や痰を和らげる目的で処方されることがあります。
1-2.非麻薬性鎮咳薬としての特徴
咳止め薬には「麻薬性」と「非麻薬性」がありますが、レスプレンは非麻薬性鎮咳薬に分類されます。
麻薬性鎮咳薬(コデイン、ジヒドロコデインなど)は、脳の咳中枢に直接作用して咳を強力に抑える効果がありますが、長期使用により依存性や耐性が生じる可能性があります。
これに対して非麻薬性鎮咳薬は、麻薬性鎮咳薬に比べると咳を鎮める作用は穏やかですが、依存性や耐性などの心配が少ないことが大きな特徴です。
そのため、非麻薬性鎮咳薬は小児や高齢者、長期の服用が必要な慢性疾患の患者さんにも使いやすく、日常診療で幅広く処方されています。
レスプレンのような非麻薬性鎮咳薬は、咳を完全に止めるのではなく、過度な咳を和らげながら体の自然な防御機能を保つことを目指しています。
【参考情報】『Codeine Information』U.S. Food and Drug Administration
https://www.fda.gov/drugs/postmarket-drug-safety-information-patients-and-providers/codeine-information
1-3.レスプレンが処方される主な病気
レスプレンは、気管支炎、肺炎、喘息、気管支拡張症、感冒(風邪)など、さまざまな呼吸器疾患に伴う咳や痰に使われます。
急性の気管支炎や感冒では、炎症による咳と痰を和らげる目的で処方されることが多く、通常は数日から1〜2週間程度の短期間使用されます。
一方、慢性気管支炎や気管支拡張症のように長期的に咳や痰の症状が続く場合には、症状のコントロールを目的として継続的に使用されることもあります。
また、喘息の患者さんでは、喘息治療の主体である気管支拡張薬や吸入ステロイド薬などと併用して、咳症状を軽減するために用いられることがあります。
このように、レスプレンは病名だけで決まる薬ではなく、咳の性質や経過を見ながら医師が判断します。
【参考情報】『Expectorant』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/drugs/22078-expectorant
1-4.咳と痰の両方に使われる理由
レスプレンは、咳を無理に止めるのではなく、咳の出過ぎを抑えながら痰を切れやすくする方向に働くと考えられています。
咳には、気道に入った異物や痰を排出するという重要な役割があります。
咳を完全に止めてしまうと、痰が気道に溜まって呼吸が苦しくなったり、細菌感染のリスクが高まったりする可能性がありますが、レスプレンは、咳中枢への作用で過度な咳を抑えつつ、気道分泌を調整して痰を出しやすい状態にするという作用を持っているとされています。
そのため、「咳が激しくて眠れない」「痰が絡んで息苦しい」といった、咳も痰もつらいと感じる場合に選ばれることがあります。
咳だけを強力に止める薬では痰の排出が妨げられることがありますが、レスプレンはこうした心配が比較的少なく、咳と痰の両方の症状に対応できる点が特徴です。
ただし、痰の量や粘度が非常に高い場合には、去痰薬を別途併用することもあります。
【参考情報】『Expectorant』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/drugs/22078-expectorant
2.レスプレンの使い方
レスプレンは、年齢や症状に応じて用量が決められ、医師の指示に従って服用する薬です。
この章では、基本的な飲み方と年齢別の服用量について説明します。
2-1.基本的な服用方法
通常1日3回、水またはぬるま湯で服用します。
錠剤は噛まずにそのまま飲み込んでください。
食前・食後の指定がある場合は、処方時の指示に従ってください。
2-2.成人の服用量
成人の場合、1回あたり20〜30mgを服用します。
具体的には以下のいずれかが処方されます。
・5mg錠 :1回4〜6錠(1日12~18錠)
・20mg錠:1回1錠(1日3錠)※1日4錠まで増量される場合もあります。
・30mg錠:1回1錠(1日3錠) いずれも1日3回の服用が基本です。
2-3.小児(3歳以上)の服用量
・3歳以上6歳未満:5mg錠を1回1.3~2錠(1日4~6錠)
・6歳以上10歳未満:5mg錠を1回2~3錠(1日6~9錠)
いずれも1日3回の服用が基本です。
【参考情報】『レスプレン錠 添付文書情報』医薬品医療機器総合機構(PMDA)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2249001F1030_3_03/?view=frame&style=XML&lang=ja
服用量は、症状の強さや体格、体調によって調整されることがあります。
自己判断で量を変えず、必ず医師の指示を守りましょう。
2-4. 飲み忘れた時の対処法
飲み忘れに気づいた時は、気づいた時点ですぐに1回分を服用してください。
ただし、次の服用時間が近い場合(2時間以内程度)は、飲み忘れた分は飛ばして次の時間に1回分を服用してください。
2回分を一度に服用することは絶対に避けてください。
【参考情報】『Taking Medicines Safely』Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/medicationsafety/
2-5. 保管方法
レスプレンは、直射日光や高温多湿を避け、室温(1〜30℃)で保管してください。
子どもの手の届かない場所に保管し、薬は必ず容器に入れたまま保管しましょう。
また、使用期限を過ぎた薬は使用せず、適切に廃棄することをおすすめします。
3.レスプレンの副作用と対処法
薬には効果だけでなく、副作用の可能性もあります。
この章では、主な副作用と対処法について詳しく解説します。
3-1.主な副作用
レスプレンは比較的副作用の少ない薬ですが、食欲不振や悪心(吐き気)、嘔吐、下痢などが現れることがあります。
多くは服用開始数日以内の軽度なものですが、症状に合わせた適切な対処が大切です。
ほかにも、服用中は眠気やめまいが起こる可能性があるため、車の運転や危険を伴う機械の操作を避けることが推奨されています。
また、アルコールとの併用は避けてください。
眠気やめまいなどの副作用が強く出る可能性があります。
【参考情報】『知っていますか?実は危険なお酒と薬の飲み合わせ』恩賜財団済生会
https://www.saiseikai.or.jp/feature/medicine_basic/articles/17/
3-2.副作用が現れた時の対処法
食欲不振時は無理をせず、消化の良いものを少量ずつ摂りましょう。
吐き気がある場合は、食後に服用することで改善することがあります。
下痢の際は脱水を防ぐため、こまめな水分補給を心がけてください。
3-3.受診の目安と記録のすすめ
症状が日常生活に支障をきたす場合や悪化する場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
その際、「いつ・どのような症状が・どの程度・どのくらい続いたか」を記録しておくと、医師への相談がスムーズになります。
4.市販薬よりも受診を検討したい方・注意が必要な方
レスプレンをはじめとする処方薬は、市販薬とは異なり、医師が患者さんの症状や体質、年齢などを総合的に判断して処方するものです。
薬の効果を適切に得て、安全に治療を進めるためには、決められた用法・用量を守るだけでなく、ご自身の状況に合わせた注意点を確認しておくことが大切です。
4-1.年齢や体調によって気をつけたいポイント
咳や痰の症状がある場合、ドラッグストアなどで購入できる市販薬も便利ですが、以下のような方は体調や安全性に配慮する必要があります。
症状が長引く場合や不安がある場合は、早めに原因を確認することも大切です。
<妊婦、授乳中の方>
レスプレンの妊娠中や授乳中の方に対する安全性は十分に確立されていないため、服用の可否は妊娠週数や症状の程度、ほかに使用している薬の有無などを踏まえて慎重に検討されます。
そのため、妊娠中や授乳中に咳や痰の症状がある場合は、市販薬を自己判断で服用するのではなく、医療機関に伝えたうえで、適切な治療方針を相談することが大切です。
<小児>
レスプレンは3歳から服用できますが、錠剤のみのため、お子さんによっては飲みにくさを感じる事があるかも知れません。
服用が難しいときは、シロップやドライシロップなど他の薬への変更や、症状に応じた別の咳止め薬が適している場合もあります。
市販の小児用咳止めも選択肢の一つですが、年齢や症状に合った薬を選ぶため、服用前に医師や薬剤師へ確認すると安心でしょう。
<高齢者>
高齢者の方は、肝臓や腎臓の機能が低下していることがあります。
その結果、薬が体内に長く留まり、副作用が現れやすくなる可能性があります。
このような高齢者の方がレスプレンを服用する場合は、必要に応じて服用量の調整が行われることもあります。
4-2.服薬管理の工夫
薬局で受け取る薬は、プラスチックとアルミで挟んだシート(PTP包装)に入っていることが一般的です。
飲み忘れを防ぐために薬を1錠ずつ切り離して管理していると、誤って包装ごと服用してしまう事故が報告されています。
PTP包装のまま飲み込むと、食道の粘膜を傷つける危険があるので、必ず錠剤を1錠ずつ包装から取り出して服用してください。
毎日の服薬が大変に感じるときや、飲む薬の種類が多い場合には、処方された薬を服用時間ごとにまとめる「一包化」をおすすめします。
薬を一包化したい場合は、医師か薬剤師に相談しましょう。
【参考情報】『薬の一包化とは?』石川県薬剤師会
https://www.ishikawakenyaku.com/hukuyaku/ippouka/index.html
5.レスプレンの薬価と代替薬
5-1.レスプレンの薬価
レスプレンの1錠あたりの薬価(2026年2月調べ)は、以下のとおりです。
・レスプレン錠5mg/6.8円
・レスプレン錠20mg/10.8円
・レスプレン錠30mg/9.1円
(参考:厚生労働省 薬価基準収載品目リスト)
※薬価は定期的に改定されます。実際の自己負担額は保険の種類や処方内容によって異なりますので、詳しくは医療機関でご確認ください。
なお、現在のところ、レスプレンと同一成分のジェネリック医薬品は確認されていません。
5-2.レスプレンの代替薬
レスプレンは非麻薬性の咳止めとして使用されることの多い薬ですが、飲みにくさや体質の問題等があり、レスプレンの服用が難しい場合は、咳の原因や年齢、症状の強さに応じて、以下のような同じ非麻薬性の咳止め薬を処方されることがあります。
・メジコン
咳を引き起こす中枢に作用し、咳の回数を抑える薬です。
眠気が出にくいとされ、小児から大人まで使われることがあります。
・アスベリン
気道の過敏さを和らげ、刺激による咳を抑える働きがあります。
アレルギーが関係する咳に用いられることがあります。
他にも、咳中枢に直接働きかけることで比較的穏やかに咳を抑える作用を持つ、アストミンが処方されることもあります。
この薬も非麻薬性の咳止めであり、風邪のあとの長引く咳などの症状に対して用いられる場合があります。
咳止め薬は、原因によって適した薬が異なります。
レスプレンを服用しても症状が改善しない場合や、副作用が気になる場合は、自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談することが大切です。
6.おわりに
レスプレンは、咳や痰の症状を和らげる目的で使われる非麻薬性鎮咳薬です。
乾いた咳にも痰がからむ咳にも処方されることがありますが、原因となる病気そのものを治す薬ではありません。
指示どおりに服用しても症状が改善しない場合や、咳が長引く場合は、薬が合っていない、あるいは別の病気が隠れている可能性も考えられます。
気になる症状があれば、自己判断せず医療機関に相談しましょう。










