咳止め薬「アストミン」の特徴と効果、副作用

アストミンは、咳を止める作用を持つ処方薬です。
上気道炎(風邪)や肺炎、急性気管支炎などの病気で咳がつらい時に処方されます。
「アストミンはどんな薬か知りたい」という方に向けて、効果や使い方、副作用について解説します。
1.アストミンとはどのような薬か
アストミンは、「ジメモルファンリン酸塩」という有効成分を含む非麻薬性中枢性鎮咳薬(咳止め薬)です。
錠剤、散剤(粉薬)、シロップがあります。
風邪や気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症にかかると、気管支の炎症により息苦しさや咳などの症状が現れます。
アストミンは脳内にある咳中枢を落ち着かせることで、咳を抑える効果があります。
咳中枢を抑える鎮咳成分には、麻薬性と非麻薬性の2種類がありますが、アストミンは非麻薬性です。
【参考情報】『The nonnarcotic antitussive drug dimemorfan: a review』NCBI
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9152562/
アストミンを含む非麻薬性中枢性鎮咳薬は、痰が絡む咳には使用できないため、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のような痰が出やすい病気の第一選択薬ではありません。
そのため、痰の少ない風邪などの病気で処方されます。
◆「痰がからみ、咳が止まらない時に考えられる呼吸器の病気」>>
2.アストミンの使い方
アストミンの基本的な服用方法を紹介します。
アストミンは 経口(飲み薬)で服用後1〜2時間ほどで血中濃度が最高になり、咳反射を抑え始めます。
実際の効果としては、咳が出始めて間もない初期の段階で使うことで効果を実感しやすいとされています。
年齢や症状により量が増減されることがあるので、くわしくは医師や薬剤師に確認してください。
<錠剤>
成人(15才以上)に使用します。
以下の量を1日3回、水かぬるま湯と一緒に飲みます。
・1回1〜2錠(ジメモルファンリン酸塩として10~20mg)
<散剤>
成人と小児に使用します。
それぞれ以下の量を1日3回、水かぬるま湯と一緒に飲みます。
・成人(15才以上):1回0.1~0.2g(ジメモルファンリン酸塩として10~20mg)
・小児(8~14才):1回0.1g(ジメモルファンリン酸塩として10mg)
<シロップ>
通常、下記の量を、1日3回に分けてそのまま服用します。
・2才未満: 3.0~4.5mL
・2~3才: 5.0~8.0mL
・4~6才: 8.0~11.0mL
・7~14才: 12.0~14.0mL
アストミンのシロップ剤は、常温で保管しても問題ありませんが、直射日光が当たる場所や高温多湿の場所には保管しないようにしてください。
アストミンは食事に影響を受けない薬なので、飲み忘れてしまった場合は、気づいた時に服用して構いません。
ただし、次回の服用時間が近い場合は飲まずに、次の服用時間に「1回分」を服用してください。
飲み忘れても、一度に2回分を飲むことはしないでください。
3.アストミンの副作用
アストミンの主な副作用は以下となります。
・眠気
・めまい
・食欲不振
・吐き気
アストミンは、副作用が比較的少ない薬です。
しかし、副作用の発現には個人差があるため、日常生活に支障が出るような副作用が出た場合は、医師や薬剤師に相談してください。
特に以下の薬と一緒に使う場合は注意が必要です。
・抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)
・睡眠薬
・ほかの咳止め
アストミンを服用すると、強い眠気が出ると感じる方もいるかもしれません。
車の運転や高所作業をする方は、服用後の体調に注意しましょう。
アストミンと同じ効果を持つ非麻薬性中枢性鎮咳薬には、アスベリンなど別の薬もあります。
また、全身に発疹や痒みが出た場合は、薬剤過敏症の疑いがあります。その場合は服用を中断して、医療機関を受診しましょう。
【参考情報】『Drug Reactions and Medication Side Effects』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/drugreactions.html
4.よくある質問(FAQ)
Q1. アストミンはどんな咳に効きますか?
アストミンは、痰のからまない「乾いた咳(空咳)」に向いている薬です。 脳にある咳の中枢に働きかけて、咳反射そのものを弱めるタイプの薬です。
一方で、痰が多い咳(湿った咳)には単独では十分でないことがあります。もし痰の絡む咳が出ている場合は、他の咳止め薬を使用するか、去痰薬(痰切り薬)を併用する必要があるため、自己判断で市販の咳止めを重ねて使うことは避け、必ず医療機関に伝えましょう。
Q2. アストミンを飲んでも咳が治らないのはなぜですか?
咳の原因が、喘息・咳喘息・逆流性食道炎・副鼻腔炎・肺炎などの場合、鎮咳薬だけでは改善しないことがあります。
特に次のような場合は、受診をおすすめします。
・咳が2~3週間以上続く
・夜間や早朝に悪化する
・息苦しさやゼーゼー音がある
・発熱や胸の痛みがある
「咳が止まらない=薬が弱い」ではなく、原因が別にある可能性を考えることが大切です。
市販の咳止めで改善しない場合も、自己判断せず医療機関で原因を確認することが大切です。
Q3. どのくらい飲み続けても大丈夫ですか?
通常は、症状が強い時期に短期間使用することが多い薬です。
1~2週間以上続けても改善しない場合は、「咳の原因が別にある」可能性を考える必要があります。
特に、
・咳が1か月以上続く
・何度も繰り返す
・季節の変わり目に悪化する
といった場合は、呼吸器内科での評価をおすすめします。
また、妊娠中または妊娠している可能性のある方、授乳中の方は、服用の可否について必ず主治医に相談してください。
自己判断での服用は避け、受診時に必ずお伝えください。
【参考情報】『Chronic Cough』American Lung Association
https://www.lung.org/lung-health-diseases/lung-disease-lookup/chronic-cough
5.アストミンの薬価
アストミンは健康保険が適用される処方薬で、薬価(保険診療上の基準価格)が定められています。
2025年時点の薬価は、以下のとおりです。
・アストミン錠10mg 約6.8円/錠
・アストミン散10% 約26円台/g
・アストミンシロップ0.25% 約6円台/mL
アストミンには、有効成分が同じ「ジメモルファンリン酸塩」を含むジェネリック医薬品があります。
代表的なものは以下です。
・ジメモルファンリン酸塩錠10mg「TCK」
・ジメモルファンリン酸塩シロップ小児用0.25%「TCK」
・ジメモルファンリン酸塩ドライシロップ小児用2.5%「タカタ」
ジェネリック医薬品は、有効成分・効き目・安全性が先発医薬品と同等であることが確認されたうえで承認されています。
「ジェネリックに変更したい」「先発品を希望したい」などの希望がある場合は、診察時に遠慮なくご相談ください。
6.おわりに
アストミンは、乾いた咳に用いられる非麻薬性の鎮咳薬で、比較的使いやすいお薬です。
しかし、咳は単なる風邪だけでなく、喘息や咳喘息、感染症などさまざまな病気のサインであることもあります。
症状が長引く場合や繰り返す場合は、原因を見極めることが大切です。
不安があるときは、自己判断せず、呼吸器内科での評価をご検討ください。












