新型コロナウイルスに感染しない・させない予防法

新型コロナは5類に移行し、行動制限やマスクのルールが緩和されました。しかし、感染がなくなったわけではありません。
流行は波を繰り返し、季節や変異株によって感染者数が増減します。特に、基礎疾患がある人や高齢者には、いまも重症化リスクが残っています。
また、後遺症は年齢や重症度に関係なく生じることがあり、「とにかく感染しない・させないこと」が重要な状況は今もなお続いています。
この記事では、日常で取り入れやすい対策、家庭・職場での具体的な行動を整理し、「コロナにならないために何をすべきか」をわかりやすくまとめています。
大げさな対策を続ける必要はありませんが、最新の知見を踏まえた、無理なく続けられる予防を実践することがポイントです。
目次
1.感染リスクを下げるための基本戦略
感染を防ぐためには、複雑な対策より「どこでウイルスが入り、どう広がるのか」を押さえて行動を最適化することが重要です。
1-1. ウイルスの入り口を防ぐ
ウイルスが体に入る主な経路は、鼻・口・目の粘膜です。ここへの侵入を減らすことが、最も基本的で効果的な予防になります。対策の中心は「吸い込まない」「付けない」「運ばない」の3点です。
まず、飛沫やエアロゾルを吸い込まないよう、人との距離が近い場面や換気の悪い空間ではマスクを活用します。
次に、手指から粘膜へウイルスを運ばないことが重要です。外出先で手すり、ドアノブ、エレベーターボタンなど多くの人が触れる場所に触れた後は、手洗いや手指消毒を行い、顔を触らないようにします。目をこすったり、無意識に口元に手を当てる癖がある人は、意識して控えるだけでも予防効果が高まります。
こうした習慣を身につけることで、ウイルスが体内に入る機会を大きく減らすことができます。
1-2. 体内で増やさない
ウイルスの侵入を完全に防ぐことは難しいのですが、体内に入ったウイルスが増えにくい状態を保つことが重要です。鍵になるのは、粘膜バリアと免疫機能の維持です。
まず、鼻や喉の粘膜が乾燥すると防御力が低下します。室内の湿度を適度に保ち、乾燥する時期は加湿やこまめな水分摂取で粘膜を潤すことが有効です。
睡眠不足、偏った食事、過度な飲酒は免疫機能を下げる要因になるため、基本的な生活習慣を整えることが予防につながります。
◆「腸内環境を整えて免疫力をアップさせる食事の基礎知識」>>
また、ウイルスに触れてから増殖するまでには時間があることを意識し、帰宅後の手洗い・うがい、必要に応じた鼻うがいなどを行うと、体内で増え始める前に減らす効果が期待できます。
これらを継続することで、侵入したウイルスの増殖を抑え、感染や発症のリスクを下げられます。
1-3. 家庭・職場で広げない
一人が感染すると、家庭や職場で連鎖的に広がりやすくなります。自分が症状に気付いた段階、または身近に体調不良者が出た段階で、早めに行動を切り替えることが重要です。
まず、発熱や喉の痛み、咳などの症状がある場合は、無理に出勤・登校せず、自宅で様子を見ます。
家庭では、可能なら部屋を分け、共用部分(トイレ・洗面所・ドアノブなど)はこまめに清掃し、換気を行います。
食事は同じテーブルで向かい合わず、時間をずらすと接触機会を減らせます。
職場では、症状が軽くてもマスク着用と距離の確保を徹底し、会話や飲食を伴う密な状況を避けます。
体調が優れない人を責めず、休みやすい雰囲気を作ることも感染拡大を防ぐ一因です。
2.新型コロナウイルス感染を予防するには
みなさん、手洗いやマスク着用が大事であることは既に知っていると思いますが、正しい方法を知らずに自己流で済ませている人もまだまだ多いのではないでしょうか。
2-1.正しい方法でこまめに手洗い
ドアノブや電車のつり革、階段の手すりなど、不特定多数の人が触れるものにはウイルスが付着している可能性があります。帰宅時やトイレの後、調理の前後、食事前などに、こまめに手を洗いましょう。
自分ではきちんと洗っているつもりでも、細かい部分に意外と洗い残しがあるものです。指と指の間や手首も忘れずに、30秒ほどかけて手を洗ってください。手洗い後は、ペーパータオルなどでしっかり水分を拭き取りましょう。
アルコール消毒液を使って手指を消毒する時は、1プッシュ分を乾くまで両手にしっかりすり込んでください。
2-2.マスク着用についての考え方
新型コロナウイルスは、咳やくしゃみ、会話などの際に発生する飛沫(小さな水滴)から感染します。マスクだけでは感染を防ぐには不十分ですが、飛沫を防ぐ一定の効果があると考えられています。
2023年3月13日より、マスクの着用は個人の判断で行うこととなりました。
ただし、重症化リスクの高い人(高齢者や妊婦、基礎疾患のある人)や、そのような人たちが集まる場所(病院や高齢者施設)に行くときは、感染しない・させないためにマスクの着用をおすすめします。
【参考情報】『マスクの着用について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html
マスクは、フィルター性能が優れている不織布マスクかサージカルマスクを使い捨てで使用しましょう。布マスクやウレタンマスクでは、感染を防ぐ効果はあまり期待できません。
マスクを外す際はゴムだけをつまみ、マスクの表面には触れずに外してください。使用済みのマスクは、小さい袋に入れて口をしっかりしばってからごみ箱に捨てましょう。外した後は手洗いも忘れずに。
2-3.よく触れる金属・プラスチックを中心に除菌
新型コロナウイルスは、金属やプラスチックの表面についた場合、2~3日の間は感染力を持っていることが報告されています。
【参考資料】Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2004973
ドアノブやトイレの便座、水道のレバーなど手指がよく触れる場所は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤の主成分)を希釈したもの、または消毒用アルコールで拭いて消毒しましょう。
【参考資料】新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
スマホの表面にも、ウイルスがついている可能性があります。汚れた手指で操作したり、電話で話す際につばが飛んだりすることで雑菌やウイルスに汚染されてしまうので、1日1回はアルコール除菌シートで拭いておくといいでしょう。
※注:スマホの機種によっては除菌シートを避けた方がよいものもあります。
2-4.換気をして部屋の空気を入れ換える
家庭やオフィスが、「3密」の条件の一つである「換気の悪い密閉空間」とならないためにも、換気をして部屋の空気を外の新鮮な空気と入れ換えましょう。
厚生労働省では、1時間に2回以上(30分に1回以上)、数分間、窓を全開して換気をする方法を示しています。
【参考資料】厚生労働省「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000618969.pdf
複数の窓があれば、二つの方向の壁の窓を開けると空気の流れができてより効果的です。窓が一つしかない場合は、窓と、入り口のドアを開けてください。
2-5.「顔を触らない」習慣を身につける
「鼻をこする」「頬杖をつく」「コンタクトレンズをつける」「化粧を直す」など、人は一日に何度も無意識のうちに自分の顔に触れています。そのたびに顔に手指が触れ、手指についたウイルスが目や口、鼻を通って侵入するリスクが高まります。
長年の間に身についたクセや習慣を直すのは難しいかもしれませんが、「必要ない時に顔を触らない」という意識を持つだけでも感染症の予防に役立ちます。マスクを外す時も、なるべく顔を触らないように注意してください。
2-6.流行している時期は外出を控える
2023年5月8日より、コロナはインフルエンザと同じ「5類」に移行しました。
それに伴い、感染者や濃厚接触者への外出自粛要請はなくなりましたが、今後も新たな変異株が登場し、再びコロナが流行する可能性は否定できません。
インフルエンザも同じですが、流行している時期はなるべく外出を控え、人との接触を避けることが大切です。
3.おわりに
新型コロナウイルス感染症に限らず、すべての病気の予防に大切なのは、普段からの健康管理です。
「必要な栄養が不足している」「十分な睡眠をとれていない」「体を動かす時間が少ない」など気にかかることがあれば、ぜひこの機会に見直して、よい生活習慣を身につけましょう。
もし体内にウイルスが侵入しても、体の免疫システムが十分に働けば、ウイルスを排除することができます。手洗いを始めとした予防策をしっかり行いながら、健康管理の知識を身につけ、毎日の生活の中に取りいれてください。










