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咳止め薬「フスタゾール」の効果と副作用、飲み合わせを解説

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年02月17日

フスタゾール(成分名:クロペラスチン)は、喘息気管支炎、感冒(風邪)気管支拡張症などの治療に用いられる薬です。

脳の咳中枢の興奮を鎮めて、つらい咳の症状を抑えます。

この記事では、フスタゾールがどのような薬なのか、効果や使用方法、副作用、服用時の注意点について解説します。

これから服用を始める方や、現在使用中の方はぜひ参考にしてください。

※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。症状や体質、併用薬によって適した治療は変わります。実際の服用は、医師・薬剤師の説明に従ってください。

1.フスタゾールとはどんな薬?(特徴とメカニズム)


フスタゾールは、脳にある「咳中枢(せきちゅうすう)」に作用して、咳の信号を鎮めるお薬です。

「非麻薬性」という種類に分類され、コデインなどの麻薬性鎮咳薬(ちんがいやく)と比較して依存性のリスクが極めて低く、副作用も比較的穏やかなのが特徴です。

<フスタゾールの3つの働き>
・咳を鎮める: 脳の咳中枢の興奮を抑えます。
・アレルギーを抑える: 軽微な抗ヒスタミン作用により、アレルギー性の咳を和らげます。
・気道を広げる: 気管支のけいれんを抑え、呼吸をスムーズにするサポートをします。

【参考情報】”Pharmacological and clinical overview of cloperastine in treatment of cough” by National Institutes of Health
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3061847/

咳中枢に作用する咳止め薬には、大きく分けて「麻薬性」と「非麻薬性」があります。

〔麻薬性〕(効果は強いが便秘や依存性に注意が必要)
 ・リン酸コデイン
 ・フスコデなど

〔非麻薬性〕(依存性がなく、日常的に使いやすい)
 ・フスタゾール
 ・アスベリン
 ・メジコン など

フスタゾールは、痰(たん)があまり出ない「コンコン」とした乾いた咳に適しています。

<効能・効果(添付文書ベース)>
感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、肺癌に伴う咳嗽。

※咳止めは原因そのものを治すものではありません。
咳が2週間以上長引く場合は、喘息やCOPD、胃食道逆流症など、他の疾患が隠れている可能性があるため、根本的な原因を調べる必要があります。

◆「咳が止まらないのはどうして?」>>

2.フスタゾールの飲み方と注意点


フスタゾールには、錠剤と散剤(粉薬)があります。
錠剤には小児用もあります。

通常、どのタイプも1日3回に分けて、水かぬるま湯で服用します。

<錠剤>
 ・成人:1回1~2錠(10〜20mg)を1日3回

<錠剤(小児用)>
 ・2歳未満:1回1錠(2.5mg)を1日3回
 ・2歳以上4歳未満:1回1~2錠(2.5〜5mg)を1日3回
 ・4歳以上7歳未満:1回2~4錠(5〜10mg)を1日3回

<散剤(粉薬)>
 ・成人:1回0.1〜0.2g(10〜20mg)を1日3回
 ・2歳未満:1回0.025g(2.5mg)を1日3回
 ・2歳以上4歳未満:1回0.025〜0.05g(2.5〜5mg)を1日3回
 ・4歳以上7歳未満:1回0.05〜0.1g(5〜10mg)を1日3回

<飲み忘れた場合は?>
気づいた時に1回分を服用しましょう。

ただし、次に飲む時間が近い(4時間以内など)場合は、忘れた分は飲まずに次の回から服用してください。

2回分を一度に飲むことは、副作用のリスクを高めるため絶対におやめください。

<服用時のポイント>
錠剤にはわずかな局所麻酔作用があるため、割ったり噛んだりして服用すると、口の中にしびれを感じたり、独特の苦味を感じたりすることがあります。

必ず噛まずに飲み込んでください。

また、フスタゾールは食事の有無に左右されず吸収されるため、食前・食後どちらでも服用可能です。

効果は服用後30分〜1時間ほどで現れ始めるとされています。

【参考情報】『お薬を飲み忘れてしまったら』全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/ishikawa/cat080/20180806-3/20181004003/

3.フスタゾールの主な副作用と受診の目安


フスタゾールは重大な副作用が少ない薬ですが、体質や体調により以下の症状が現れることがあります。
 ・眠気、ふらつき
 ・口の渇き
 ・吐き気、食欲不振

<このような時は医師にご相談ください>
・日常生活に支障が出るほどの強い眠気やふらつきがある場合
・全身に発疹、かゆみ、じんましんが出た場合(薬剤アレルギーの可能性)
・服用を続けても咳が悪化、または改善しない場合

【参考情報】『薬剤性過敏症症候群』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1a10.pdf

4.服用中の注意点(運転・妊娠・飲み合わせ等)


フスタゾールを服用中は以下の点に注意しましょう。

・車の運転について
副作用として眠気が出ることがあります。
服用後に眠気、めまい、ふらつきを感じる場合は、車の運転や危険を伴う機械の操作を控えてください。

・痰(たん)が絡む咳の場合
フスタゾールは乾いた咳に向いています。痰が絡む「湿った咳」の場合、無理に咳を止めると痰が肺に溜まり、症状を悪化させることがあります。
その際は「ムコソルバン」などの去痰薬を併用することが一般的です。

◆去痰薬「ムコソルバン」の特徴と効果、副作用>>

・飲み合わせ(相互作用)
併用してはいけない「併用禁忌」の薬は特にありません。
ただし、アルコールや他の眠くなりやすい薬(安定剤、鼻炎薬、一部の風邪薬)と一緒に飲むと、眠気やふらつきが強く出ることがあるため、併用には注意が必要です。

・妊娠・授乳中の方
妊娠中の方は「治療上の有益性が危険性を上回る」と医師が判断した場合にのみ処方されます。
授乳中の方は、治療の必要性と母乳のメリットを考慮して継続を検討します。
いずれも自己判断せず、医師に相談してください。

・PTPシートの誤飲に注意
錠剤をシートごと飲み込むと食道を傷つける恐れがあります。
必ずシートから取り出してください。

5.フスタゾールの薬価


薬価(公定価格)は改定で変わることがあります。
以下は、2025年4月以降の薬価情報です。

・フスタゾール糖衣錠10mg:6.10円/錠
・フスタゾール錠小児用2.5mg:10.40円/錠
・フスタゾール散10%:25.10円/g

※実際の窓口負担は、保険の割合や調剤手数料によって変わります。なお、現時点でフスタゾールのジェネリック医薬品(後発品)は発売されていません。

6.フスタゾールについてよくある質問

気になる質問を以下にまとめました。

Q1. 市販薬に同じ成分のものはありますか?
フスタゾール(クロペラスチン)単体の市販薬はありません。
ただし、一部の総合風邪薬の成分として配合されている場合があります。

Q2. 咳が止まれば服用を止めてもいいですか?
症状が治まれば中止しても問題ないことが多いですが、喘息や気管支炎など原因疾患がある場合は、医師の指示通りに服用を続けることが大切です。

Q3. どのような咳なら病院へ行くべきですか?
「2週間以上咳が続く」「咳で夜眠れない」「息苦しい」「血痰が出る」「高熱を伴う」といった場合は、早めに呼吸器内科を受診してください。

◆「2週間以上続く咳」について>>

【参考情報】”Chronic Cough” by NCBI Bookshelf
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK430791/

7.おわりに

フスタゾールは、食事の影響を受けにくく、依存性の心配も少ないため、多くの医療現場で処方される咳止め薬です。

飲み合わせの制限も少ないため、解熱剤などと併用しやすいのもメリットです。

もし服用中に強い眠気を感じたり、効果が不十分だと感じたりした場合は、メジコンやアスベリンなど他の非麻薬性鎮咳薬への変更を検討することもあります。

自分の症状に合った適切な治療を受けるために、気になる症状があればお気軽に医師や薬剤師にご相談ください。

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