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寝汗は病気のサイン?睡眠時無呼吸症候群やその他の病気との関連について解説

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年06月16日

新型コロナウイルス感染症の流行もあり、「熱がないのに寝汗をかいてしまう」「パジャマやシーツが濡れるほどの寝汗をかいている」といった症状があると、不安に感じる人も多いでしょう。

大量の寝汗は、呼吸器疾患をはじめとする、さまざまな病気のサインかもしれません。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と寝汗の関係を解説し、危険な寝汗の見分け方や、考えられる病気について紹介します。寝汗に悩んでいる人は、ぜひ読んでください。

1.睡眠時無呼吸症候群の人は寝汗をかきやすい

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。肥満の男性に多い傾向がありますが、女性ホルモンの分泌量が低下した閉経後の女性や、扁桃腺やアデノイド肥大のある子どもにも見られます。

◆「睡眠時無呼吸症候群の症状・検査・治療の基本情報」>>

睡眠時無呼吸症候群になると、いびきや寝言、日中の眠気などの症状が現れますが、症状のひとつに「寝汗」があります。

就寝中に無呼吸を繰り返していると、寝ている間に軽い窒息状態になります。そのため苦しくなって、手足を激しく動かしたり、寝汗をかくことが増えます。

また、本来就寝中は副交感神経が優位になるのですが、低酸素状態が続いていると、寝ている間も脳が覚醒してしまい、交感神経が優位になります。

すると、睡眠中の体温調整が難しくなり、寝汗を大量にかいてしまうことがあるのです。

◆「睡眠時無呼吸症候群による酸素不足」について>>

2.危険な寝汗の見分け方とは


健康な人であっても、就寝中に汗をかくことはあります。特に疲れているときや、ストレスが溜まっているときは、自律神経のバランスが乱れて寝汗をかきやすくなります。

寝室の温度や湿度が高かったり、寝具の通気性などが原因で寝汗をかくこともあるでしょう。

しかし、下記のような場合は、病気が原因の可能性もあるため注意が必要です。

 ・パジャマやシーツが寝汗でぐっしょりと濡れる
 ・室内の温度や湿度、寝具などを調整しても寝汗が良くならない
 ・起床時に体のだるさや頭痛がある

寝汗以外にも、「家族からいびきや無呼吸を指摘される」「日中の眠気が強く、日常生活に支障がある」といった場合には、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

◆「そのいびき、睡眠時無呼吸症候群のせいかもしれません」>>

3.大量の寝汗をかくときに注意したい病気


大量の寝汗をかくときや、寝汗が長期間続いているときには、睡眠時無呼吸症候群以外にも、さまざまな病気の可能性が考えられます。

3−1.結核や肺炎などの呼吸器疾患

呼吸器疾患の中でも、結核や肺炎などの呼吸器感染症では、寝汗をかくことがあります。

結核と聞くと、「昔の病気なのでは?」と感じる人もいるかもしれませんが、現在でも年間1万人以上の人が罹患している病気です。

【参考情報】『2020年 結核登録者情報調査年報集計結果について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175095_00004.html

咳や痰、微熱などの症状が長引き、体重が減ったり、寝汗をかいたりする人もいます。初期の段階では風邪と症状が似ているため、結核だと気付かない人が多いでしょう。

肺MAC症(非結核性抗酸菌症)や、慢性好酸球性肺炎などの肺の感染症でも、寝汗をかくことがあります。

◆「好酸球性肺炎」について>>

3−2.甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう状態を「甲状腺機能亢進症」といいます。代表的な原因疾患には、バセドウ病や無痛性甲状腺炎があります。

甲状腺ホルモンには、新陳代謝を活発にする作用があるため、寝汗がひどくなることがあります。

【参考情報】『バセドウ病』日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=40

3−3.自律神経失調症

生活習慣の乱れやストレスなどによって、交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態を「自律神経失調症」といい、 寝汗のほかにも、動悸や頭痛、めまい、不眠などの症状が現れます。

【参考情報】『自律神経失調症』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html

3−4.悪性リンパ腫

「血液のがん」とも呼ばれる悪性リンパ腫は、白血球の一部であるリンパ球が、がんになる病気です。

悪性リンパ腫を発症すると首や脇の下などにあるリンパ節の腫れが見られます。 また、全身症状として、ひどい寝汗や体重減少、倦怠感などが現れます。

【参考情報】『悪性リンパ腫のはなし』大分大学医学部腫瘍・血液内科
https://www.med.oita-u.ac.jp/syuyou/lymphoma.html

3−5.低血糖症

低血糖は、糖尿病の治療をしている人によく起こる症状です。血糖値がおよそ70mg/dl以下になると、発汗や動悸などの症状が現れ、意識消失を起こすなど危険な状態に陥ることがあります。

普段からよく低血糖を起こしている人は、夜間にも低血糖を起こしている可能性があり、その症状として寝汗をかくことがあります。

血糖値を下げるための治療を受けていない人が、低血糖とそれに伴う意識障害を起こす「自発性低血糖症」という病気もあります。

【参考情報】『自発性低血糖症』難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/548

この他、解熱鎮痛剤や降圧剤 、抗うつ薬といった薬剤の影響や、更年期障害によっても、寝汗がひどくなることがあります。

【参考情報】『Selective Serotonin Reuptake Inhibitors and Night Sweats in a Primary Care Population』NCBI(National Center for Biotechnology Information)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4883206/

4.おわりに

大量の寝汗が続くときや、寝汗によって睡眠に影響が出ているときには、睡眠時無呼吸症候群や呼吸器疾患など、さまざまな病気が潜んでいる可能性があります。

寝具や寝室の環境を変えても寝汗がよくならない時は、一度病院を受診して、医師に相談することをおすすめします。

◆「当院の睡眠時無呼吸症候群の治療について」>>

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