寝汗は病気のサイン?睡眠時無呼吸症候群やその他の病気との関連について解説

「熱がないのに寝汗をかいてしまう」「パジャマやシーツが濡れるほどの寝汗をかいている」といった症状があると、不安に感じる人も多いでしょう。
大量の寝汗は、呼吸器疾患をはじめとする、さまざまな病気のサインかもしれません。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群と寝汗の関係を解説し、危険な寝汗の見分け方や、考えられる病気について紹介します。寝汗に悩んでいる人は、ぜひ読んでください。
目次
1.睡眠時無呼吸症候群の人は寝汗をかきやすい
大量の寝汗が続く場合、睡眠時無呼吸症候群が関係していることがあります。
1-1. 睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。
この病気になると、睡眠中に呼吸障害と覚醒反応を繰り返すため、十分に眠っているつもりでも睡眠の質が低下し、日中の強い眠気や集中力低下などにつながることがあります。
発症にはさまざまな要因が関係しており、肥満によって首まわりに脂肪がつくことや、下あごが小さいことなどがリスクになるとされています。
また、加齢や飲酒、一部の睡眠薬の使用などによって症状が悪化することもあります。
1-2. 睡眠時無呼吸症候群で寝汗が増える理由
睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に呼吸が何度も止まるため、体内の酸素が不足しやすくなります。
この低酸素状態は体にとって大きなストレスとなり、睡眠中でも交感神経が活性化しやすくなります。
【参考情報】『Sympathetic neural mechanisms in obstructive sleep apnea.』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC185826/
さらに、呼吸が止まるたびに脳は「呼吸を再開させなければ」と反応し、本人は気づいていなくても、一晩に何度も目覚めに近い状態(覚醒反応)を繰り返していることがあります。
こうした低酸素や覚醒反応によって心拍数や血圧が変動し、自律神経のバランスも乱れやすくなります。
その結果、発汗が増え、睡眠中に大量の寝汗をかいたり、朝起きたときにパジャマや寝具が湿っていたりすることがあります。
2.危険な寝汗の見分け方とは
健康な人であっても、就寝中に汗をかくことはあります。
しかし、中には病気により大量の寝汗をかいているケースもあります。
2-1. よくある一時的な寝汗
寝汗は病気だけでなく、日常的な原因でも起こることがあります。
例えば、寝室の温度や湿度が高すぎると、体温調節のために汗をかきやすくなります。
また、厚着をしていたり、保温性の高い寝具を使用していたりすると、睡眠中に熱がこもり、寝汗につながることがあります。
飲酒も寝汗の原因のひとつです。アルコールには血管を拡張させる作用があり、体温調節や睡眠へ影響を与えるため、睡眠中の発汗が増えることがあります。
さらに、強いストレスや緊張によって交感神経が活性化すると、汗が増えることがあります。発熱時にも、体温を下げようとして大量の汗をかくことがあります。
2-2. 注意が必要な寝汗
寝汗の中には、単なる暑さや一時的な体調変化ではなく、病気が関係している可能性があるケースもあります。
特に、パジャマを替えなければならないほど大量の寝汗が続く場合は注意が必要です。
また、寝汗が数日だけではなく、数週間以上続いている場合も、何らかの病気が隠れている可能性があります。
発熱を伴う場合は、感染症や炎症性疾患などが原因となっていることがあります。
さらに、原因不明の体重減少や強いだるさを伴う場合は、全身性の病気が関係しているケースもあります。
寝汗だけで病気を判断することはできませんが、こうした症状を伴う場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
3.大量の寝汗をかくときに注意したい病気
大量の寝汗をかくときや、寝汗が長期間続いている場合、睡眠時無呼吸症候群以外にも、さまざまな病気の可能性が考えられます。
3-1.結核や肺炎などの呼吸器疾患
寝汗は、結核や肺炎などの呼吸器疾患でみられることがあります。特に感染症では、体内で炎症や発熱が起こることで、夜間に大量の汗をかくことがあります。
結核では、長引く咳や痰、微熱、体重減少、強い寝汗などが代表的な症状として知られています。進行すると血痰がみられることもあります。
肺炎でも、発熱や咳、痰、息苦しさなどに加えて、寝汗を伴うことがあります。特に高齢者では症状が典型的でないこともあるため、注意が必要です。
また、慢性的な肺感染症でも、夜間に発汗が増えることがあります。寝汗に加えて、咳や痰、血痰、発熱などが続く場合は、呼吸器内科への相談を検討しましょう。
3-2.甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症でも、寝汗や発汗増加がみられることがあります。甲状腺ホルモンが過剰になることで全身の代謝が活発になり、熱を産生しやすくなるためです。
代表的な病気としては、バセドウ病が知られています。症状は徐々に現れることが多く、「最近汗をかきやすい」「寝汗が増えた」と感じることがあります。
【参考情報】『バセドウ病』日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=40
また、発汗以外にも、動悸や脈の速さ、手の震え、体重減少、疲れやすさ、イライラ感などがみられることがあります。食欲があるのに体重が減る場合は、甲状腺機能亢進症を疑うきっかけになることもあります。
寝汗だけで判断することはできませんが、こうした症状を伴う場合は、内科や内分泌内科で相談することが大切です。
3-3.自律神経失調症
自律神経のバランスが乱れることで、寝汗が増えることがあります。自律神経には、体温調節や発汗、心拍、血圧などをコントロールする働きがあるため、その働きが不安定になると発汗量にも影響が出ることがあります。
特に、ストレスや過労、睡眠不足、不規則な生活などが続くと、自律神経が乱れやすくなります。その結果、夜間に汗をかきやすくなったり、寝つきが悪くなったりすることがあります。
また、自律神経の乱れでは、寝汗以外にも、動悸、めまい、倦怠感、頭痛、胃腸の不調、気分の落ち込みなど、さまざまな症状がみられることがあります。
ただし、自律神経失調症という言葉だけで片付けてしまうと、ほかの病気を見逃す可能性もあります。寝汗が長期間続く場合や、発熱・体重減少などを伴う場合は、まず他の病気がないか確認することが大切です。
【参考情報】『自律神経失調症』こころの耳(厚生労働省)
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1591/
3-4.悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、白血球の一部であるリンパ球が、がんになる病気です。「血液のがん」とも呼ばれています。
悪性リンパ腫は、リンパ球という免疫細胞ががん化する病気で、リンパ節や全身に症状が現れることがあります。
悪性リンパ腫では、「寝汗」「発熱」「体重減少」が代表的な症状として知られており、これらはまとめて「B症状」と呼ばれています。
また、首やわきの下、足の付け根などのリンパ節が腫れることがあります。初期には痛みがないケースも多く、「しこりに気づいて受診した」という方も少なくありません。
発熱や体重減少を伴う場合や、症状が長引く場合には、早めに医療機関へ相談することが大切です。
【参考情報】『悪性リンパ腫』がん情報サービス(国立がん研究センター)
https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html
3-5.低血糖
血糖値が下がりすぎる「低血糖」でも、寝汗がみられることがあります。特に睡眠中に低血糖が起こると、自律神経が反応して発汗が増え、冷や汗のような寝汗をかくことがあります。
低血糖では、寝汗以外にも、動悸、手の震え、空腹感、めまい、強い眠気などが現れることがあります。症状が強い場合には、意識がぼんやりしたり、重症では意識障害につながったりすることもあります。
特に注意が必要なのは、糖尿病の治療中の方です。インスリン製剤や一部の糖尿病治療薬では、血糖値が下がりすぎることで低血糖を起こすことがあります。夕食量が少なかった場合や、飲酒後、運動量が多かった日などは、夜間低血糖が起こりやすくなることがあります。
朝起きたときに寝汗をかいていることが多い場合や、夜中に動悸・冷や汗で目が覚める場合は、低血糖が関係している可能性もあるため、糖尿病治療中の方は主治医へ相談しましょう。
また、血糖値を下げるための治療を受けていない人が、低血糖とそれに伴う意識障害を起こす「自発性低血糖症」という病気もあります。
【参考情報】『自発性低血糖症』難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/548
3-6. 更年期障害
更年期障害でも、寝汗や発汗の増加がみられることがあります。特に代表的なのが「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状で、突然体が熱くなったり、大量の汗をかいたりするのが特徴です。
更年期障害は、閉経前後に女性ホルモン(エストロゲン)が大きく変動することで起こると考えられています。ホルモンバランスの変化によって自律神経が乱れ、体温調節がうまくいかなくなるため、発汗が増えやすくなります。
また、寝汗以外にも、ほてり、動悸、疲れやすさ、イライラ、不眠、気分の落ち込みなど、さまざまな症状が現れることがあります。症状の強さには個人差があり、日常生活へ影響するケースも少なくありません。
ただし、更年期世代では睡眠時無呼吸症候群のリスクも高くなることがあるため、「更年期だから」と決めつけず、強いいびきや日中の眠気を伴う場合は睡眠時無呼吸症候群も疑うことが大切です。
【参考情報】『更年期障害』日本産科婦人科学会
https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
3-7.薬の副作用
寝汗は薬の副作用によって起こることもあります。特に、自律神経やホルモン、体温調節へ影響を与える薬では、発汗が増えることがあります。
代表的なのは抗うつ薬で、SSRIやSNRIなどでは発汗の副作用が比較的よくみられます。そのほかにも、ステロイド薬、甲状腺ホルモン薬、解熱鎮痛薬、一部の降圧薬などで寝汗がみられることがあります。
また、糖尿病治療薬によって夜間低血糖が起こると、冷や汗のような寝汗が出るケースもあります。
薬を飲み始めてから寝汗が増えた場合や、薬の変更後に症状が出た場合は、自己判断で中止せず、処方医や薬剤師へ相談することが大切です。
4. 睡眠時無呼吸症候群の治療で寝汗が改善する可能性
睡眠時無呼吸症候群で最も広く用いられる治療法であるCPAP(シーパップ)は、専用のマスクを通して気道に一定の圧力をかけ続けることで、睡眠中の無呼吸を防ぐ方法です。
その結果、低酸素状態によって引き起こされていた交感神経の過剰な活性化が和らぎ、心拍数や血圧の乱れも落ち着いてきます。こうした体内環境の安定が、寝汗の軽減につながると考えられています。
ただし、寝汗の原因は睡眠時無呼吸症候群以外にもさまざまあるため、治療後も症状が続く場合は他の要因の確認が必要です。
5.おわりに
大量の寝汗が続くときや、寝汗によって睡眠に影響が出ているときには、睡眠時無呼吸症候群や呼吸器疾患など、さまざまな病気が潜んでいる可能性があります。
寝具や寝室の環境を変えても寝汗がよくならない時は、一度病院を受診して、医師に相談することをおすすめします。











