喘息・COPD治療薬「テリルジー」の特徴と効果、副作用

テリルジーは喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に用いられ、1日1回の吸入で症状の改善や悪化の予防に役立ちます。
一方で、「どのような人に処方されるの?」「発作が起きたときにも使える?」「副作用はある?」など、疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、テリルジーの特徴や効果、使い方、副作用、使用時の注意点、他の吸入薬との違いなどについて、わかりやすく解説します。
1. テリルジーとはどのような薬か
まずは、テリルジーの特徴や処方される人、製剤ごとの違いについて解説します。
1-1. 喘息・COPDの長期管理に用いる3成分配合の吸入薬
テリルジーは、次の3つの成分を配合した吸入薬です。
・ICS(吸入ステロイド薬):フルチカゾンフランカルボン酸エステル
・LABA(長時間作用性β₂刺激薬):ビランテロールトリフェニル酢酸塩
・LAMA(長時間作用性抗コリン薬):ウメクリジニウム臭化物
ICSは気道の炎症を抑え、喘息の発作やCOPDの症状悪化を予防します。LABAは気管支を広げて呼吸をしやすくし、LAMAは気管支を収縮させる神経伝達物質(アセチルコリン)の働きを抑えることで、気管支を広げる作用があります。
【参考情報】『Fluticasone, Umeclidinium, and Vilanterol Oral Inhalation』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a618017.html
テリルジーは、毎日継続して使用することで効果を発揮するコントローラー(長期管理薬)です。
吸入してすぐに息苦しさを改善する薬ではないため、喘息発作が起きたときには、医師から処方されているリリーバー(発作治療薬)を使用してください。
1-2. テリルジーの特徴
テリルジーの最大の特徴は、3種類の有効成分を一度に吸入できることです。
従来は複数の吸入薬を組み合わせて使用していた方でも、テリルジーであれば1日1回の吸入で治療できるため、吸入回数や吸入器の管理の負担を軽減できます。
また、テリルジーには「エリプタ」という専用の吸入器が採用されています。カバーを開けるだけで1回分の薬剤がセットされるため、比較的簡単な操作で吸入できます。
1-3. テリルジーが処方される人
テリルジーは、すべての喘息やCOPDの患者さんに使用される薬ではありません。
喘息では、吸入ステロイド薬(ICS)や、レルベアのようなICS/LABA配合薬を使用しても十分なコントロールが得られない場合に、治療を強化する目的で処方されることがあります。
COPDでは、長時間作用性気管支拡張薬による治療でも息切れや症状悪化を十分に抑えられない場合に使用が検討されます。
どの吸入薬を使用するかは、症状の程度や発作・増悪の頻度、呼吸機能などを総合的に評価したうえで医師が判断します。
1-4. テリルジー100・200・14吸入・30吸入の違い
テリルジーには、「100」と「200」の2種類があります。この数字は、配合されている吸入ステロイド薬(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)の量を表しています。
喘息では、症状に応じて100または200が使用されますが、COPDで使用できるのは100のみです。
また、「14吸入用」と「30吸入用」は、1つの吸入器で使用できる回数を表しています。
14吸入用は14回、30吸入用は30回吸入できる製剤で、有効成分や1回あたりの薬剤量に違いはありません。
医師は、病状や治療方針、受診間隔などを考慮して、適切な規格を選択します。
2.テリルジーの使い方
テリルジーは、以下の手順で1日1回、毎日吸入してください。朝・昼・夜、いつ吸入しても構いませんが、飲み忘れを防ぐためにも、時間を決めて吸入した方がいいです。
①吸入器を持つ
カバーが上に、カウンター(残り残量)が手前に来るように、吸入器を両手で持ちます。
②カバーを開ける
カチッと音がするまで、カバーを開けます。
③息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。
④薬剤を吸い込む
マウスピース(吸入口)をしっかりくわえて、「強く」「早く」「一気に」スーッと息を吸い込んでください。うどんをすするようなイメージで行うといいです。
※吸入時に甘みや苦みを感じる場合があります。
⑤息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。
⑥カバーをしめる
吸入後は吸入器のカバーを閉じてください。薬剤が無駄になってしまうのを防ぐため、吸入する時以外はカバーを開けないようにしてください。
⑦うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流します。
⑧保管方法
直射日光と湿気を避けて、室温(1~30℃)で保管するようにしましょう。マウスピースが汚れてしまった場合は、乾燥した布などで拭いて水洗いは避けてください。
【参考情報】『吸入器(エリプタ)をご使用になる方へ』GSK
https://www.kusurigsk.jp/howto/ellipta.pdf?i=ar
3. テリルジーの効果
この章では、テリルジーの喘息とCOPDに対する効果や、効果が現れるまでの期間について解説します。
3-1. 喘息への効果
喘息では、気道に慢性的な炎症が起こることで、わずかな刺激でも咳や喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)、息苦しさなどの症状が現れます。
テリルジーに含まれる吸入ステロイド薬(ICS)は、この気道の炎症を抑え、喘息発作が起こりにくい状態を維持します。
また、長時間作用性β₂刺激薬(LABA)と長時間作用性抗コリン薬(LAMA)が気管支を広げることで、空気の通り道を確保し、呼吸をしやすくします。
3つの成分がそれぞれの役割を果たすことで、喘息の症状を改善するとともに、発作の予防にもつながります。
3-2. COPDへの効果
COPDでは、気道が狭くなったり肺の組織が壊れたりすることで、息切れや慢性的な咳、痰などの症状が現れます。
テリルジーは、長時間作用性β₂刺激薬(LABA)と長時間作用性抗コリン薬(LAMA)が気管支を広げることで呼吸を楽にし、日常生活での息切れの改善が期待できます。
また、吸入ステロイド薬(ICS)が気道の炎症を抑えることで、症状の悪化(増悪)のリスクを減らす効果も期待されます。
そのため、息切れなどの症状を改善するだけでなく、増悪による入院や治療の負担を減らすことも治療の目的の一つです。
【参考情報】『Landmark IMPACT study published in NEJM shows significant benefits of Trelegy Ellipta for patients with COPD』GSK
https://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/landmark-impact-study-published-in-nejm-shows-significant-benefits-of-trelegy-ellipta-for-patients-with-copd/
4. テリルジーの副作用
テリルジーは、喘息やCOPDの治療に効果的な吸入薬ですが、副作用が現れることもあります。
ただし、多くは適切な方法で使用することで予防や軽減が可能です。
4-1. 起こりやすい副作用
テリルジーには、吸入ステロイド薬(ICS)、長時間作用性β₂刺激薬(LABA)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の3つの成分が含まれているため、それぞれの成分に由来する副作用が起こることがあります。
吸入ステロイド薬による副作用としては、口腔カンジダ症や声枯れ(嗄声)、のどの刺激感などが比較的よくみられます。
【参考情報】『口腔カンジダ症』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/#c05
長時間作用性β₂刺激薬(LABA)による副作用では、動悸や頻脈などが現れることがあります。
また、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の作用により、口の渇きを感じることがあります。
これらの症状が続く場合や日常生活に支障をきたす場合は、自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
4-2. まれに起こる重い副作用
めったにありませんが、注意が必要な副作用もあります。
COPDの患者さんでは、吸入ステロイド薬の使用により肺炎を発症するリスクがわずかに高まることが報告されています。
【参考情報】『Risk of acute urinary retention associated with inhaled anticholinergics in patients with chronic obstructive lung disease: systematic review』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34267661/
発熱や痰の増加、咳の悪化、息苦しさなどがみられた場合は、早めに医療機関を受診してください。
また、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の作用により、閉塞隅角緑内障のある方では症状が悪化したり、前立腺肥大症などのある方では尿閉を起こしたりすることがあります。
【参考情報】『Inhaled Corticosteroids and the Pneumonia Risk in Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25083248/
さらに、発疹やじんましん、顔や唇・舌の腫れ、呼吸困難などのアレルギー反応が現れた場合は、使用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
4-3. 副作用を予防する方法
副作用を完全に防ぐことはできませんが、正しく使用することでリスクを減らすことができます。
吸入後は、口腔カンジダ症や声枯れを予防するため、必ずうがいを行いましょう。うがいが難しい場合は、水を口に含んですすぐだけでも一定の効果が期待できます。
また、医師から指示された用法・用量を守ることも重要です。吸入回数を自己判断で増やしたり、複数回まとめて吸入したりすると、副作用が起こりやすくなる可能性があります。
5. 使用するときの注意点
テリルジーの効果を十分に得るためには、毎日正しく吸入を続けることが大切です。
5-1. 吸入を忘れたら
吸入を忘れたことに気付いた場合は、できるだけ早く1回分を吸入してください。
ただし、次の吸入時間が近い場合は忘れた分は吸入せず、次回の予定どおりに1回分を吸入します。
吸入を忘れたからといって、2回分をまとめて吸入してはいけません。副作用が現れやすくなる可能性があります。
【参考情報】『お薬を飲み忘れた場合はどうすればいいですか?』兵庫県薬剤師会
https://www.hps.or.jp/faq/detail/?id=7
5-2. 自己判断で中止しない
症状が改善したからといって、自己判断でテリルジーを中止しないようにしましょう。
喘息では、症状が落ち着いていても気道の炎症が残っていることがあります。また、COPDも継続的な治療が必要な病気です。
自己判断で吸入を中止すると、喘息発作やCOPDの増悪につながるおそれがあります。治療内容を変更したい場合は、医師と相談しながら症状に応じて調整していくことが大切です。
5-3. 妊娠・授乳中の使用と飲み合わせ
妊娠中や妊娠の可能性がある方、授乳中の方は、テリルジーを使用する前に必ず医師へ相談してください。
治療によるメリットと赤ちゃんへの影響を考慮したうえで、使用の可否が判断されます。
また、持病のある方や、ほかの吸入薬・内服薬・市販薬・サプリメントなどを使用している方も、飲み合わせによっては注意が必要な場合があります。
受診時には、現在使用している薬を医師や薬剤師に伝えるようにしましょう。
6.テリルジーの薬価
テリルジーの薬価(2026年7月調べ)は、以下となります。
・テリルジー100エリプタ14吸入用 4,020.70円
・テリルジー100エリプタ30吸入用 8,502.30円
・テリルジー200エリプタ14吸入用 4,568.80円
・テリルジー200エリプタ30吸入用 9,673.80円
テリルジーの代わりとなるジェネリック医薬品や市販薬はありません。
7.おわりに
テリルジーには、吸入ステロイド薬、抗コリン薬、長時間作用型β2刺激薬の3成分が、一度の吸入でまとめて吸入できるというメリットがあります。
一方、使用方法を誤ると、3成分の副作用が複雑に出現してしまう可能性もあるため、用法用量を守って正しく使用することが大切です。
体調がよくなっても、自己判断で吸入回数を変更したり、使用を中止することは絶対にしないでください。薬の吸入量は、医師と相談しながら減らしていきましょう。













