喘息治療に用いるステロイド薬「メドロール」の特徴と効果、副作用

メドロールはステロイド薬の一種で、喘息治療に用いることがあります。
強い炎症を抑える効果があり、発作が重い場合や他の治療で改善が見られないときに使用されます。
この記事では、メドロール錠の使い方や効果、考えられる副作用や使用時の注意点について解説します。
初めて使う方も、使っている最中の方も、ぜひ最後までお読み下さい。
1.メドロールとはどのような薬か
まずは、メドロールがどのような薬なのか、その特徴や使用される場面について見ていきましょう。
1-1. メドロールの基本的な作用
メドロール錠は内服(飲み薬)のステロイド薬であり、炎症を強力に取り除く作用があります。
この薬の主成分は「メチルプレドニゾロン」といい、体内で作られる副腎皮質ホルモンと似た働きをします。
炎症やアレルギー反応を抑える効果が高く、さまざまな疾患の治療に使用されます。
【参考情報】”Methylprednisolone” by Medline Plus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a682795.html
喘息のほか、関節リウマチなどの自己免疫系疾患やアレルギー疾患、血液疾患など、幅広い疾患に適応を持ちます。
【参考情報】”Medrol (methylprednisolone) Tablets Label” by U.S. Food and Drug Administration
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2014/011757s103lbl.pdf
1-2. 喘息治療での使用場面
喘息の治療では、まずはステロイドの作用が気道に直接作用するように作られている吸入ステロイド薬をベースに治療を開始します。
しかし、症状が改善しない場合には、ロイコトリエン拮抗薬(喘息の原因物質の働きを抑える飲み薬)やテオフィリン製剤(気道を広げて呼吸を楽にする飲み薬)を追加します。
それでも効果が感じられない時に、メドロール錠のような経口ステロイド薬を用いて、気道の炎症をコントロールすることがあります。
メドロールのような経口ステロイドは、吸入薬や他の治療薬で十分な効果が得られない場合に限り、短期間・最小限で使用されます。
医師の判断のもとで慎重に処方される薬です。
1-3. 吸入ステロイド薬との違い
吸入ステロイド薬は、使用した部位にのみ作用するよう設計された薬です。
また、使用量もごくわずかであるため、副作用は非常に少ないのが特徴です。
【参考情報】『副腎皮質ステロイド』 日本薬学会
https://www.pharm.or.jp/words/word00940.html
◆「喘息の吸入ステロイド、副作用は?」について>>
経口ステロイド薬は、全身にさまざまな副作用が現れるリスクがあります。
これは、薬の成分が全身をめぐるため、気道以外の組織にも影響を与える可能性があるためです。
1-4. 副作用への不安と医師の判断
気道の炎症が治まらず、症状が改善しないと、治療はますます難しくなっていきます。
ステロイド薬には副作用のリスクがありますが、それ以上に症状の悪化が危険です。
医師は、そのリスクと効果を天秤にかけて必要と判断したときにのみ、適切な量と期間で処方します。
【参考情報】『ステロイド剤はこわい?』全日本民医連
https://www.min-iren.gr.jp/?p=26742
2.メドロールの使い方
ここでは、メドロール錠の基本的な使い方や、年齢や体調に応じた注意点について解説します。
2-1. 基本的な用法と用量
メドロール錠は、成人の場合、1日に4~48mgを1〜4回に分けて、水かぬるま湯と一緒に飲みます。
一般的には朝に服用することが推奨されることが多く、これは体内の自然な副腎皮質ホルモンの分泌リズムに合わせているためです。
医師から1日複数回の指示がある場合は、できるだけ決まった時間に分けて服用しましょう。
2-2. 小児や高齢者への使用
小児に使用することも可能ですが、さまざまな副作用が出現する可能性もあるため、専門医の指導の下で十分に注意して使用する必要があります。
また、高齢者は筋力や骨密度の低下、糖尿病・高血圧などの基礎疾患を抱えていることが多く、副作用の影響が強く出る場合があります。
服用の際は必ず医師と相談し、定期的な検査を受けることが望まれます。
2-3. 使用時の注意点と自己判断での中止リスク
メドロールは症状が良くなったからといって、自己判断で急に中止することは絶対に避けましょう。
長期間使用していた場合、副腎の機能が一時的に低下していることがあり、急にやめると「副腎不全」などの離脱症状が出る可能性があります。
医師の指示のもと、少しずつ減量していく「漸減(ぜんげん)」が必要です。
【参考情報】『喘息を知る/治療』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/medicine.html
3.メドロールの副作用
メドロールにはさまざまな副作用があり、使用にあたっては医師の指導のもとで十分な注意が必要です。
ここでは代表的な副作用と、見た目や精神面への影響について解説します。
3-1. 主な副作用とその種類
メドロール錠の副作用には、以下のようなものがあります。
・感染症にかかりやすくなる
・続発性副腎皮質機能不全
・糖尿病
・骨粗しょう症
・消化性潰瘍
これらはステロイドの免疫抑制作用や代謝への影響により生じるもので、特に長期間の服用や高用量での投与時に注意が必要です。
また、血圧上昇や体重増加、眼圧上昇(緑内障のリスク)なども報告されています。
【参考情報】『副腎皮質ステロイド』日本薬学会
https://www.pharm.or.jp/words/word00940.html
【参考情報】”Corticosteroid Adverse Effects” by Muhammad Yasir, Amandeep Goyal, Sidharth Sonthalia
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK531462/
3-2. 特徴的な副作用と外見の変化
また、経口ステロイド薬に特徴的な副作用である満月様顔貌(ムーンフェイス)や消化器症状(胃のムカムカ)などが出現しやすいです。
ほかに、にきびや多毛(体毛が増える)、皮膚が薄くなるといった副作用も見られることがあります。
満月様顔貌とは、顔全体が丸く膨らんだように見える状態で、ステロイド特有の副作用のひとつです。
見た目に大きな変化が現れてしまうため、精神的なダメージが生じる可能性がありますが、ステロイド薬が減量できれば元に戻ります。
ただし、体質や投与期間によっては元に戻るまでに時間がかかることもあります。
3-3. 副作用を防ぐためにできること
副作用を最小限に抑えるには、医師の指示に従い、必要最小限の量と期間で使用することが大切です。
また、定期的な血液検査や骨密度検査、眼科受診などを通じて、体調の変化を早期に把握することが重要です。
体に違和感がある場合は自己判断せず、すぐに医師に相談しましょう。
【参考情報】”Corticosteroids Side Effects” by National Institutes of Health
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK531462/
4.使用上の注意点
メドロールを安全に使うためには、持病やアレルギーの申告、他の薬との併用、感染症や妊娠に関する注意が必要です。
また、服用中止の際のリスクにも注意しましょう。
4-1. 事前に医師へ伝えるべきこと
持病やアレルギーのある人、服薬中の人は医師に伝えておきましょう。
また、水痘(水ぼうそう)または麻疹(はしか)にかかったことがなく、これらの予防接種を受けていない人も、医師に伝えてください。
これは、ステロイド薬を高用量・長期間にわたって使用すると免疫力が一時的に低下し、生ワクチンによる感染リスクや、過去に感染したことのないウイルスに対する重症化リスクが高まる可能性があるためです。
とくに経口ステロイドや注射薬などの“全身性ステロイド”を使用している場合には、生ワクチン接種が制限されるケースがあります。
そのため、医師は治療前に患者の感染歴やワクチン歴を把握し、治療内容との兼ね合いを慎重に判断します。
4-2. 離脱症状を防ぐための注意
経口ステロイド薬の投与を急に中止すると、発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等の離脱症状があらわれる可能性があります。
これらの症状を防ぐためには、少しずつ薬を減らしていく必要があるため、医師の判断を仰ぎながら、用法容量を調節していきましょう。
ステロイドを長期間使用していると、体がホルモンを作る力を一時的に失うことがあります。
これを「副腎皮質機能抑制」と呼び、急な中止は命に関わることもあります。
自己判断で服用をやめることのないようにしましょう。
【参考情報】『ステロイド離脱症候群』日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=35
4-3. 妊娠・授乳中の注意点
妊娠中やその可能性のある方、授乳中の方は医師に相談してください。
ステロイドは妊娠中や授乳中でも、必要と判断されれば使われることがありますが、使用量や期間には慎重な配慮が必要です。
特に妊娠初期や授乳直後などは、胎児や乳児への影響を避けるため、必ず主治医に相談しながら治療を行いましょう。
【参考情報】”Asthma During Pregnancy” by Asthma and Allergy Foundation of America
https://aafa.org/asthma/living-with-asthma/asthma-during-pregnancy/
5.メドロール錠の薬価
ここでは、メドロール錠の価格とジェネリック医薬品の有無についてご紹介します。
5-1. メドロール錠の薬価(202511月時点)
メドロール錠の薬価は、以下となります。
・メドロール錠2mg 6.1円/錠
・メドロール錠4mg 9.6円/錠
この価格は医療機関で処方される場合の「薬価基準」に基づいており、実際の自己負担額は保険の割合や診療報酬体系により異なります。
実際に患者が支払う金額は、健康保険(例:3割負担)を適用した金額となるため、たとえば2mg錠を1日1錠×30日服用した場合、薬剤費のみの自己負担額は約55円程度です。
ただし、調剤技術料や薬剤服用歴管理指導料などが加わるため、実際の支払額は薬価よりもやや高くなることが一般的です。
薬価は年に一度見直されるため、最新情報は薬剤師または医療機関で確認しましょう。
5-2. ジェネリック医薬品の有無
従来、「メドロール錠の経口剤にはジェネリックがない」とされていましたが、2025年11月時点では、後発医薬品(AG:オーソライズド・ジェネリック)として流通している製剤が存在しています。
ただし、実際に処方できるかどうか、薬局で取り扱っているかどうかは医療機関や地域によって異なります。
今後も薬価改定や製品の流通状況に変動があるため、ジェネリックの有無や処方可能性については、薬剤師や医師に確認するようにしてください。
6.おわりに
ステロイドの飲み薬は、メドロール錠以外に、プレドニン錠やリンデロン錠などがあります。
経口ステロイド薬は、吸入ステロイド薬などを使用しても喘息の症状が良くならず、重症だと判断したときのみ、短期間使用します。
これは、症状が深刻な場合に限って使用される“最後の手段”とも言える治療法です。
全身に強力な抗炎症効果を発揮する一方、注意事項や副作用が多いため、使用の際には、経験や実績が豊富な専門医の判断に従いましょう。
また、服用中は定期的な検査や副作用のチェックを行い、自己判断での中止や増減は避けるようにしましょう。
この記事を通じて、メドロールに対する不安が少しでも和らぎ、治療への理解が深まることを願っています。










