喘息の人はコーヒーを飲むべき?控えるべき?

「コーヒーが咳や喘息に良い」という話を聞いたことはありますか?
あるいは、「喘息の人はコーヒーを飲まない方がいい」という話なら耳にした、という方もいるかもしれません。
真逆の意味を持つこれらの話、実際はどうなのでしょうか。
この記事では、喘息とコーヒーの関連性について紹介します。
目次
1.喘息とはどんな病気?
喘息とは、気道に慢性的な炎症が起こり、咳や息苦しさ、ゼーゼー・ヒューヒューといった症状を繰り返す病気です。気道の内側に炎症が続くことで、気道が敏感になり、少しの刺激でも狭くなりやすくなります。
風邪や気管支炎などでも一時的に咳が続くことがありますが、多くは感染の回復とともに改善していきます。一方、喘息では症状が良くなったように見えても、気道の炎症自体は残っていることがあり、再び悪化を繰り返すことがあります。
特に、季節の変わり目や気温差、ハウスダスト、花粉、タバコの煙、ストレス、疲労などは、喘息症状を悪化させるきっかけになることがあります。また、人によっては運動や飲酒、睡眠不足などが誘因になる場合もあります。
喘息には、発作時の症状を抑える治療だけでなく、普段から気道の炎症を抑えて発作を起こりにくくする治療が重要です。そのため、症状が落ち着いているときでも、自己判断で薬を中断せず、継続的に治療を続けることが大切とされています。
また、喘息は「発作が起きたときだけ対応する病気」ではなく、日頃の生活習慣や体調管理も重要になる慢性疾患です。症状を安定させるためには、適切な治療に加えて、睡眠や食生活、ストレス管理などを含めた日常的なセルフケアも大切になります。
2.コーヒーが喘息に効くってホント?
気道は自律神経の影響を受けており、交感神経が働くと気道は拡がりやすくなり、副交感神経が働くと気道は狭くなりやすくなります。
【参考情報】『Neural regulation of airway smooth muscle tone』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11240156/
また、喘息では夜間から早朝にかけて症状が悪化しやすいことが知られています。これは、夜間には副交感神経が優位になりやすいことに加え、気道の炎症やホルモン分泌の変化なども関係していると考えられています。
コーヒーに含まれるカフェインには中枢刺激作用があり、一時的に眠気を軽減したり、軽度の気管支拡張作用を示したりする可能性があります。そのため、人によっては「コーヒーを飲むと呼吸が楽になる」と感じることがあるかもしれません。
【参考情報】『Caffeine and the central nervous system: mechanisms of action, biochemical, metabolic and psychostimulant effects』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1356551/
ただし、その作用は一時的なものであり、喘息そのものを治療するものではありません。コーヒーは喘息治療薬の代わりにはならないため、症状がある場合は適切な治療を継続することが大切です。
【参考情報】『Coffee acutely increases sympathetic nerve activity and blood pressure independently of caffeine content: role of habitual versus nonhabitual drinking』American Heart Association
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/01.cir.0000046228.97025.3a
3.喘息の人がコーヒーを控えたほうが良い場合
喘息をお持ちの方がコーヒーを飲みすぎると、体調に影響が現れることがあります。
3-1.喘息薬との飲み合わせに注意が必要な場合がある
喘息治療薬の中でも「テオフィリン」系の薬を使用している場合は、コーヒーなどカフェインを多く含む飲み物の摂りすぎに注意が必要です。
<テオフィリン系の薬>
テオフィリン系の薬には、気管支を拡げて呼吸を楽にする作用があります。一方、コーヒーに含まれるカフェインにも、中枢神経を刺激したり、気管支拡張作用を示したりする働きがあります。
【参考情報】『Theophylline』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a681006.html
このため、カフェインを大量に摂取すると、薬の作用が強く出すぎてしまい、動悸、手の震え、不眠、頭痛、吐き気などの副作用が起こりやすくなることがあります。
カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶、緑茶、栄養ドリンク、チョコレートなどにも含まれているので注意が必要です。
なお、通常量のコーヒーを飲んだからといって、必ず問題が起こるわけではありません。しかし、テオフィリン系薬を服用している方は、カフェインの摂りすぎを避け、自分の体調変化に注意することが大切です。
3-2.カフェインの摂りすぎが睡眠や体調に及ぼす影響
カフェインを摂りすぎると、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。特に夕方以降にコーヒーを多く飲むと、睡眠の質が低下しやすくなります。
喘息は、夜から朝方にかけて症状が悪化しやすい病気です。夜は気道が狭くなりやすく、咳や息苦しさが出やすくなるためです。
そのため、カフェインの摂りすぎで寝不足になったり、疲れがたまったりすると、喘息の症状が悪化することがあります。
また、人によってはカフェインによって動悸や不安感が強くなり、「息苦しい」「呼吸しにくい」と感じることがあります。
特に、不安や緊張によって症状が悪化しやすいタイプの方では注意が必要です。
さらに、コーヒーに砂糖やクリームを大量に加えて飲む習慣がある場合は、体重増加につながることもあります。
肥満は喘息悪化のリスク因子のひとつとされており、睡眠時無呼吸症候群などを合併する原因になることもあります。
コーヒーの飲み過ぎが生活習慣の乱れにつながらないよう、適量を意識することが大切です。
3-3. コーヒーで咳が悪化する人もいる
コーヒーは人によっては咳を悪化させることがあります。
特に注意したいのが、胃酸の逆流です。コーヒーに含まれるカフェインには、胃酸の分泌を増やしたり、胃と食道の境目の筋肉をゆるめたりする作用があるため、胃酸が食道へ逆流しやすくなることがあります。
【参考情報】『Gastric acid secretion and lower-esophageal-sphincter pressure in response to coffee and caffeine』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1177987/
胃酸がのどや気道を刺激すると、咳が出やすくなることがあります。実際に、喘息の方では胃食道逆流症を合併しているケースも少なくありません。
「コーヒーを飲むと咳が増える」と感じる場合は、飲む量や時間帯を見直してみるとよいでしょう。
4.喘息の方におすすめの飲み物
喘息の方にとって大切なのは、気道を刺激しにくく、睡眠や体調に悪影響を与えにくい飲み物を選ぶことです。
特別な飲み物で喘息が治るわけではありませんが、水分をしっかり摂り、体調を整えることは症状の安定にもつながります。
4-1.白湯・常温の水
もっとも基本的でおすすめなのが、白湯や常温の水です。気道への刺激が少なく、日常的に取り入れやすい飲み物です。
冷たすぎる飲み物は、人によっては気道への刺激となり、咳や息苦しさのきっかけになることがあります。
その点、白湯や常温の水は気道を刺激しにくく、のどや体を冷やしにくいというメリットがあります。
また、カフェインや糖分を含まないため、時間帯を気にせず飲みやすい点も特徴です。
4-2.麦茶
麦茶はカフェインを含まないため、喘息の方でも飲みやすい飲み物です。刺激が少なく水分補給にも適しているため、日常的に愛飲している方も多いでしょう。
就寝前にコーヒーや緑茶を飲むと眠れなくなりやすい方にとっても、麦茶なら安心して飲めるのがうれしいところです。砂糖を含まないためカロリーが低い点も魅力のひとつです。
ただし、冷えた麦茶を一気に飲むと気道が刺激されて咳き込むことがあるため、常温か温めた状態で飲むのがおすすめです。
4-3.カフェインレスコーヒー
コーヒーは好きでもカフェインが気になるという方には、カフェインレスコーヒーという選択肢があります。
夜にコーヒーを飲むと眠れなくなる方も、カフェインレスに切り替えることで体への負担を軽減できる可能性があります。
また、普段から何杯も飲む習慣がある方は、数杯をカフェインレスに置き換えるだけでも摂りすぎ対策になります。
ただし、「カフェインレス」と表示されていても完全にゼロとは限らず、商品によってカフェイン量に差があります。
カフェインに敏感な方や、テオフィリン系の薬を使用している方は、購入前に表示を確認しておくと安心です。
4-4.ハーブティー
カフェインを含まないハーブティーも睡眠を妨げにくいので、夜にカフェインを摂ると眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなったりする方でも、飲みやすい場合があります。
特に、温かいハーブティーはのどへの刺激が少なく、リラックスしやすいため、就寝前の飲み物として取り入れている方も多いでしょう。
ハーブティーにはさまざまな種類がありますが、カモミールやルイボスティー、ペパーミントティーなどを飲む方が多くみられます。ただし、体に合うかどうかには個人差があります。
注意したいのがアレルギーです。ハーブによってはアレルギー反応を起こすことがあり、キク科植物にアレルギーがある方では、カモミールなどで症状が出る場合があります。
また、香りの強い飲み物で咳が誘発される方もいます。喘息では、においや煙、香料などの刺激で咳が出やすくなることがあるため、飲んだあとに違和感がある場合は無理に続けないようにしましょう。
4-5.豆乳
豆乳は、比較的刺激が少なく、温めても飲みやすい飲み物です。カフェインを含まないため、夜でも取り入れやすいというメリットがあります。
特に、コーヒーや甘い飲み物を減らしたい方にとっては、日常的な飲み物の選択肢のひとつになるでしょう。
ただし、大豆アレルギーがある方は注意が必要です。また、人によっては豆乳が体に合わない場合もあるため、飲んだあとに咳や胃の不快感などが気になる場合は無理に続けないようにしましょう。
5.おわりに
コーヒーにはカフェインによる軽い気管支拡張作用があるため、「飲むと少し呼吸が楽になる」と感じる方もいます。
しかし、その作用は一時的なものであり、コーヒーが喘息の治療薬の代わりになるわけではありません。
適量なら問題なく飲める方もいますが、喘息の症状を根本的に改善する効果はないため、苦しい時は我慢したりコーヒーで凌ごうとしたりせず、処方薬の使用や安静を徹底してください。









