寝ている間にむせるのはなぜ?むせの原因や睡眠時無呼吸症候群との関係

夜中にむせて目が覚めたり、激しく咳き込んでしまい、熟睡できなかった経験はありませんか?
原因はいくつか考えられますが、むせとともに呼吸が一時的に止まったり、毎晩のようにいびきをかいている場合には、睡眠時無呼吸症候群になっている可能性があります。
この記事では、睡眠中にむせてしまう原因や、睡眠時無呼吸症候群との関連について解説します。思い当たる方は、ぜひ読んでください。
1.睡眠中にむせてしまう原因
「むせる」とは、食べ物や飲み物、唾液などが誤って気道側に入りそうになったり、入り込んだりして、その刺激で咳が出ることを言います。
1-1.唾液でむせる
睡眠中に唾液が気道側へ流れ込み、むせて目が覚めることがあります。
加齢や強い疲労などで飲み込む機能(嚥下機能)が低下すると、眠っている間に唾液をうまく飲み込めず、気道へ入りやすくなるためです。
特に高齢者では、喉の筋力や咳反射が弱くなることで、むせが起こりやすくなることがあります。
【参考情報】『Effect of aging on cough and swallowing reflexes: implications for preventing aspiration pneumonia』
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22033612/
1-2.息苦しさや咳き込みで目が覚める
睡眠中に気道が狭くなって呼吸が止まると、その後にあえぐような強い呼吸が起こり、息苦しさや咳き込み、むせるような感覚で目が覚めることがあります。
特に肥満があると、首まわりや喉に脂肪がつき、睡眠中に気道が塞がりやすくなるため、睡眠中の呼吸に影響が及ぶリスクが高まります。
1-3.鼻水や胃酸の刺激でむせる
風邪や鼻炎などで出た鼻水が喉へ流れ込むと、睡眠中に喉が刺激され、むせたり咳き込んだりすることがあります。
また、胃酸が食道や喉まで逆流する胃食道逆流症でも、喉への刺激によって夜中に咳やむせが起こり、睡眠が妨げられることがあります。
2.睡眠中にむせてしまう場合に考えられる病気
睡眠中のむせが何度も続く場合は、病気や体の機能低下が関係している可能性があります。
2-1.睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に何度も呼吸が止まったり、弱くなったりする病気です。代表的な症状として、大きないびきや日中の強い眠気が知られています。
この病気では、睡眠中に空気の通り道である気道が狭くなったり、塞がれたりします。
そのため、無呼吸のあとにあえぐような呼吸が起こり、息苦しさや咳き込み、むせるような感覚で目が覚めることがあります。
2-2.胃食道逆流症
胃食道逆流症(GERD)は、胃酸や胃の内容物が食道へ逆流する病気です。
横になると胃酸が逆流しやすくなるため、睡眠中に喉や気道が刺激され、むせたり咳き込んだりすることがあります。
2-3.喘息
喘息は、気道に慢性的な炎症が起こる病気です。
夜間から早朝にかけて症状が悪化しやすく、睡眠中に咳き込んだり、息苦しさで目が覚めたりすることがあります。
2-4.後鼻漏
後鼻漏(こうびろう)とは、鼻水が喉の奥へ流れ落ちる状態のことです。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)などで起こりやすく、睡眠中に鼻水が喉へ流れ込むことで、むせたり咳き込んだりすることがあります。
2-5.嚥下機能低下
加齢のほか、脳梗塞やパーキンソン病などの脳神経疾患によって飲み込む力が低下すると、唾液や飲み込んだものが気道へ入り込みやすくなります。
【参考情報】『パーキンソン病』難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/169
特に睡眠中は唾液を飲み込む回数が減るため、唾液が喉にたまりやすくなり、むせたり咳き込んだりすることがあります。
高齢者では、誤嚥を繰り返すことで誤嚥性肺炎につながる場合もあるため注意が必要です。
◆「誤嚥性肺炎とは? 食事でむせる・咳き込む人は要注意」>>
3.子ども特有の原因
子どもの睡眠中のむせでは、大人とは異なり、気道や飲み込み機能がまだ発達途中であることが関係している場合があります。
3-1.扁桃肥大
扁桃は、喉の奥にあるリンパ組織です。
子どもでは扁桃が大きいことが多く、睡眠中に空気の通り道を狭くしてしまう場合があります。
その結果、大きないびきや口呼吸が起こりやすくなり、咳き込みやむせにつながることがあります。
3-2.アデノイド肥大
アデノイドは、鼻の奥にあるリンパ組織です。
子どもの時期に大きくなりやすく、肥大すると鼻呼吸がしづらくなります。
すると口呼吸が増え、喉が乾燥しやすくなるため、睡眠中の咳やむせの原因になることがあります。
【参考情報】『扁桃炎・扁桃肥大・アデノイド肥大』大阪医療センター
https://osaka.hosp.go.jp/shinryo-navi/disease/e01.html
3-3.未熟な嚥下機能
乳幼児では、ものを飲み込む機能(嚥下機能)がまだ十分に発達していません。
そのため、唾液やミルクをうまく飲み込めず、睡眠中に気道へ入り込んでむせることがあります。
特に風邪などで鼻づまりがあると口呼吸になりやすく、さらにむせやすくなる場合があります。
3-4.未熟な消化機能
乳児は胃の入り口の働きが未熟なため、ミルクや胃の内容物が食道へ逆流しやすい傾向があります。
逆流した内容物が喉まで達すると、睡眠中の咳き込みやむせの原因になることがあります。
多くは成長とともに改善しますが、繰り返す場合や体重増加不良などを伴う場合は、小児科への相談が必要です。
4.大人特有の原因
飲酒や喫煙などの生活習慣は、睡眠中の呼吸や喉の状態に大きく影響します。
4-1.飲酒の習慣
アルコールには、喉まわりの筋肉を緩める作用があります。
そのため、飲酒後は睡眠中に気道が狭くなりやすく、いびきや睡眠時無呼吸症候群が悪化することがあります。
また、アルコールによって咳反射や飲み込みの反応が鈍くなることで、唾液などが気道へ入りやすくなり、睡眠中にむせる原因になる場合もあります。
4-2.長年の喫煙
喫煙は、喉や気道に慢性的な炎症を引き起こします。
その影響で痰や咳が増えると、睡眠中に喉が刺激され、むせや咳き込みにつながることがあります。
また、喫煙による気道の炎症や腫れ、鼻づまりなどは、睡眠時無呼吸症候群を悪化させる要因になることもあります。
5. 睡眠時無呼吸症候群だとむせやすいのはなぜ?
睡眠時無呼吸症候群の人がむせやすいのは、就寝中の特徴的な呼吸と嚥下のパターンが関係していると考えられています。
5-1.睡眠時無呼吸症候群でむせやすくなる理由
健康な大人は、寝ている間に唾液などを飲み込んでも、むせることはめったにありません。
しかし、睡眠時無呼吸症候群の人は、一時的に止まっていた呼吸を再開して息を吸うとき、口の中に溜まった唾液や分泌物を飲み込むタイミングで誤嚥が生じやすくなり、むせるようになります。
また、睡眠時無呼吸症候群の人は、空気の通り道である気道が狭くなっています。そのため、睡眠中の呼吸が苦しくなることも、むせやすくなる原因でしょう。
【参考情報】『睡眠時無呼吸症候群の睡眠中の嚥下機能』口腔・咽頭科24巻1号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stomatopharyngology/24/1/24_1_7/_pdf
5-2.睡眠中のむせが健康に及ぼす影響
睡眠時無呼吸症候群の人は、就寝中に呼吸が止まったり浅くなったりしますが、無呼吸や低呼吸の間は嚥下運動が止まってしまいます。
嚥下運動が起こらない間は、気道が清浄化されないため、口の中に細菌が溜まりやすくなります。
そして、細菌で汚染された唾液や分泌物を誤嚥すると、むせるだけではなく誤嚥性肺炎を起こす原因にもなります。
睡眠中のむせがみられる場合には、誤嚥による体への影響を抑えるためにも、早めに治療を受けることをおすすめします。
【参考情報】『睡眠中の嚥下と呼吸』音声言語医学52巻2号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp/52/2/52_2_132/_pdf/-char/ja
5-3. 受診を検討したい症状
次のような症状がある場合は、医療機関への相談をおすすめします。
<大きないびき>
毎晩のように大きないびきをかいている場合、睡眠中に気道が狭くなっている可能性があります。特に「いびきが突然止まり、その後ガッと息を吸い込む」という特徴がある場合は、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。
<呼吸が止まると言われる>
家族などから「寝ている間に呼吸が止まっている」と指摘された場合は注意が必要です。本人に自覚がなくても、睡眠時無呼吸症候群では無呼吸を繰り返していることがあります。
<日中の強い眠気>
十分に寝たはずなのに強い眠気が続く場合は、睡眠の質が低下している可能性があります。会議中や運転中に眠くなる、集中力が続かないといった症状も、睡眠障害が関係していることがあります。
<夜間に何度も目が覚める>
むせや息苦しさ、咳などで何度も目が覚める状態が続く場合も、受診を検討しましょう。睡眠が繰り返し中断されることで、慢性的な睡眠不足や体調不良につながることがあります。
6.おわりに
睡眠中に何度もむせたり、息苦しさで目が覚めたりする場合は、単なる喉の不調ではなく、睡眠時無呼吸症候群などの病気が関係している可能性があります。
特に、大きないびき、日中の強い眠気、起床時のだるさなどを伴う場合は注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、高血圧や心疾患、脳卒中などのリスクにつながることもあるため、症状が続く場合は早めに医療機関へ相談しましょう。













