喘息治療に用いる去痰薬「ムコソルバン」の特徴と効果、副作用
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ムコソルバンは、痰を出しやすくする「去痰薬」の一つです。喘息や気管支炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などで痰が出しにくいときに処方されます。
錠剤(ムコソルバン錠)のほか、液体のシロップと、シロップを乾燥させて顆粒状にしたドライシロップがあります。
この記事では、ムコソルバン錠の使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ読んでください。
1.ムコソルバンとはどのような薬か
ムコソルバンは、喘息や気管支炎、COPDなどで痰が絡む症状の改善を目的に処方されます。
1-1. 痰を出しやすくする薬
ムコソルバン(一般名:アンブロキソール)は、痰を出しやすくする「去痰薬」です。
気道では、粘液が細菌やウイルス、ホコリなどを捕らえ、線毛(せんもう)と呼ばれる細かい毛の動きによって体外へ運び出す「粘液線毛クリアランス」という仕組みが働いています。
しかし、気道に炎症が起こると、痰が増えたり粘り気が強くなったりして、線毛の働きだけでは十分に排出できなくなることがあります。
ムコソルバンは、気道の分泌を促すとともに、肺胞で作られる「肺サーファクタント」という物質の分泌を促進します。
肺サーファクタントには、気道の粘液を排出しやすい状態に保つ働きがあると考えられています。さらに、線毛運動を活発にすることで、痰を体外へ排出しやすくします。
【参考情報】『Pulmonary surfactant in health and human lung diseases: state of the art』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10445627/
なお、ムコソルバンは喘息そのものを治療する薬ではありません。
喘息の原因である気道の炎症を抑える作用はなく、痰が絡む症状を改善する目的で、吸入ステロイド薬などの喘息治療薬と併用されることがあります。
1-2. どのような病気で使われる?
ムコソルバンは、痰が絡んで排出しにくいさまざまな呼吸器の病気で使用されます。
例えば、喘息では気道の炎症によって痰が増え、咳とともに痰が絡みやすくなることがあります。このような場合に、痰の排出を助ける目的で処方されることがあります。
また、急性・慢性気管支炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支拡張症など、痰が多く出たり排出しにくくなったりする病気でも広く使用されています。
病気によって治療の中心となる薬は異なりますが、ムコソルバンは痰の排出を助ける目的で使用され、必要に応じて原因となる病気の治療薬と併用されます。
2. ムコソルバンの飲み方
ムコソルバンには、錠剤や徐放性製剤、シロップなど複数の剤形があります。それぞれ服用方法や特徴が異なるため、正しく使用することが大切です。
2-1. ムコソルバン錠15mg
ムコソルバン錠15mgは、通常、成人では1回1錠(15mg)を1日3回、水またはぬるま湯で服用します。
食前・食後などの指定はありませんが、飲み忘れを防ぐため、毎日できるだけ決まった時間に服用するとよいでしょう。
なお、服用量は年齢や症状によって調整されることがあるため、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。
2-2. ムコソルバンL錠45mg
ムコソルバンL錠45mgは、通常、成人では1回1錠(45mg)を1日1回服用します。
「L錠」は、薬の成分が時間をかけて少しずつ放出される徐放性製剤です。そのため、1日1回の服用で効果が持続するように設計されています。
噛んだり砕いたりすると、一度に薬の成分が放出され、十分な効果が得られなくなるおそれがあります。必ずそのまま飲み込むようにしてください。
【参考情報】『徐放性製剤の粉砕投与』日本医療機能評価機構
https://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_158.pdf
2-3. シロップ・ドライシロップ
ムコソルバンには、錠剤のほかにシロップやドライシロップもあります。
シロップやドライシロップは小児にも使用される剤形で、錠剤を飲み込むことが難しい方にも処方されることがあります。
3. ムコソルバンの副作用
ムコソルバンは比較的安全性の高い薬ですが、ほかの薬と同様に副作用が現れることがあります。
多くは軽度で一時的なものですが、まれに重いアレルギー反応が起こることもあるため、あらかじめ知っておくことが大切です。
3-1. 比較的よくみられる副作用
ムコソルバンでは、消化器症状や皮膚症状などの副作用がみられることがあります。
主な副作用には、次のようなものがあります。
・胃の不快感
・腹痛
・下痢
・発疹
・かゆみ
これらの多くは軽度で、服用を続けるうちに改善することもあります。しかし、症状が強い場合や長く続く場合は、自己判断で服用を続けず、医師や薬剤師に相談しましょう。
3-2. まれだが注意が必要な副作用
非常にまれですが、ムコソルバンでは重いアレルギー反応であるショックやアナフィラキシーが起こることがあります。
服用後に次のような症状が現れた場合は、服用を中止し、すぐに病院を受診してください。
・息苦しい、呼吸がしづらい
・顔やまぶた、唇、舌、喉の腫れ
・全身に広がる発疹やじんましん
・強いめまいや意識が遠のく感じ
特に呼吸困難や意識障害を伴う場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
【参考情報】『消防救急無線・119番緊急通報』総務省消防庁
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/kyukyumusen_kinkyutuhou/119.html
4. 使用上の注意点
ムコソルバンを安全かつ効果的に使用するためには、特徴や服用方法を正しく理解しておくことが大切です。
4-1. 飲み忘れた場合
飲み忘れに気づいたら、できるだけ早く1回分を服用してください。
ただし、次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分は服用せず、次回の服用時間に1回分だけ飲みましょう。
飲み忘れたからといって、2回分をまとめて服用してはいけません。副作用が現れやすくなるおそれがあります。
飲み忘れが続く場合は、服用する時間を決めたり、お薬手帳やスマートフォンのアラームを活用したりするとよいでしょう。
【参考情報】『お薬を飲み忘れた場合はどうすればいいですか?』兵庫県薬剤師会
https://www.hps.or.jp/faq/detail/?id=7
4-2. 妊娠中・授乳中は医師に相談する
妊娠中または妊娠している可能性がある方、授乳中の方は、ムコソルバンを使用する前に医師または薬剤師に相談してください。
治療によるメリットと赤ちゃんへの影響を考慮したうえで、使用の必要性が判断されます。
自己判断で服用を始めたり中止したりせず、必ず医師の指示に従って使用することが大切です。
【参考情報】『Asthma During Pregnancy』Asthma and Allergy Foundation of America
https://www.aafa.org/asthma-during-pregnancy/
5. ムコソルバンとムコダインの違い
ムコソルバンとムコダインは、どちらも痰を出しやすくする「去痰薬」ですが、作用の仕組みは異なります。
5-1. 作用の違い
ムコソルバンとムコダインは、いずれも痰の排出を助ける薬ですが、それぞれ異なる働きを持っています。
ムコソルバンは、気道の分泌を促すほか、肺サーファクタントの産生・分泌を促進し、線毛運動を活発にすることで、痰をのどへ運びやすくして排出を促します。
一方、ムコダインは、気道粘液の成分バランスを整え、粘り気の強い痰を排出しやすい状態に改善する薬です。また、気道粘膜を修復し、線毛機能を改善する作用もあるとされています。
このように、ムコソルバンは「痰の排出を促す薬」、ムコダインは「痰の性状を整える薬」という違いがあります。
5-2. 併用されることもある
ムコソルバンとムコダインは、作用する仕組みが異なるため、症状によっては併用されることがあります。
例えば、粘り気の強い痰が多く、排出しにくい場合には、ムコダインで痰の性状を整えながら、ムコソルバンで痰の排出を促すことで、症状の改善が期待されます。
ただし、どちらの薬を使用するか、あるいは併用するかは、病気の種類や症状、患者さんの状態を総合的に判断して医師が決定します。
自己判断で市販薬を追加したり、処方薬と併用したり、家族や知人の薬を使用したりせず、処方された用法・用量を守って服用しましょう。
6. ムコソルバンの薬価
ムコソルバン錠の薬価(2026年7月調べ)は、以下のとおりです。
・ムコソルバン錠15mg:10.40円/錠
・ムコソルバンL錠45mg:31.00円/錠
ムコソルバンには、アンブロキソール塩酸塩錠をはじめとするジェネリック医薬品(後発医薬品)があります。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含み、品質や有効性、安全性が同等であることを確認したうえで承認されています。そのため、治療効果は基本的に先発医薬品と同等と考えられています。
一方で、錠剤の大きさや形、添加物、製造メーカーなどは異なる場合があります。また、薬価が先発医薬品より安く設定されているため、医療費の負担を軽減できることがあります。
7.おわりに
ムコソルバンは比較的安全性が高い薬で、風邪で痰が絡んだ時にも処方されます。
喘息の患者さんに限らず、「痰が多い」「痰が絡む」「市販薬を使っても痰がよくならない」などの悩みでお困りの方は、呼吸器内科を受診して、自分に合った薬を処方してもらいましょう。













