アトピー性皮膚炎を改善するための生活習慣とは~食事や保湿、掃除の仕方について解説

監修: 三島 渉(医学博士、横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)

アトピー性皮膚炎が起きるメカニズムは、いまだに不明な点もたくさんありますが、最近10年ほどでかなり解明が進み、だいぶいろいろなことが明らかになってきました。

アトピー性皮膚炎は皮膚にアレルギー性炎症が起きる病気です。その炎症は皮膚のごく浅いところで起こっています。赤ちゃんの場合は表面から0.5mmくらい、大人でも1~4mmくらいの場所にしか炎症は起こっていません。

ときどき、「アトピー性皮膚炎は、かゆみが身体の奥から起こってくるから、内側から治さないと意味がない」という話をする方がいますが、そんなことはありません。

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因として、食物抗原、汗、乾燥、搔爬、物理化学的刺激、ダニ、ホコリ、ペット、細菌・真菌などの感染、ストレスなどが知られています。こどもでは食物、乾燥、搔爬などが主体となる一方で、青年~成人ではストレスや物理化学的刺激による悪化頻度が増加します。

この中で、とりわけ重要な要因がいくつかあります。それは、アレルゲンとしてのダニやカビ、悪化因子として皮膚にすんでいる黄色ブドウ球菌という細菌とマラセチアというカビです。

ダニ対策を行うことは同時にカビ対策にもなります。そのため、まず一番重要なダニ対策について詳しくご説明してからその他の重要なポイントについても解説します。

1. ダニ対策

ダニと言ってもいろいろな種類のダニがいますが、アトピー性皮膚炎の発症に強く関係しているのは、チリダニ(ヒョウヒダニ)というダニのDer1というタンパク質です。

ダニのフンや死骸が体の中に入ると、免疫のしくみがそれらを異物(アレルゲン)と判断して、アレルギー反応が起きます。こどものアトピー性皮膚炎では、70%以上がダニアレルゲンと関係していることが知られています。
(Friedmann PS, et al:allergy 53(suppl 48):97-100,1998)

日本では、家の中のダニの数は欧米の10倍~100倍といわれています。それは、日本の湿度がダニの繁殖に最適な湿度だからです。チリダニは室温25℃くらい、湿度75%くらいで最もよく繁殖します。例えば、アラビアなどの砂漠が多く乾燥している国では、カーペットがあってもダニは繁殖しません。

現在の日本では、残念ながらダニを家の中から完全になくすことは難しいです。昔は冬になって寒くなって乾燥してくると、ダニの数は自然に減っていましたが最近は住宅環境が良くなり、快適な温度・湿度が保たれるようになっているため、ダニの数もなかなか減りません。

しかし、ダニ対策としての掃除を行うことによって、安全域までダニの数を減らすことは可能です。それに加えて、カビや細菌、動物の毛など他のアレルゲンも除去することができます。ダニやカビは高温多湿な場所を好みます。部屋の風通しをよくし、換気をしてから掃除を始めましょう。掃除の優先順位ですが、まず寝具、次に寝室と居間のじゅうたん、ゴザ、畳の順番で行います。

1-1. 寝具

布団はダニの最大の住みかです。したがって、布団をきちんと掃除することが一番大切です。布団カバーは最低週1回以上、可能なら週2回丸洗いします。布団も週1回以上、できれば週2回天日干ししてから、表面を家庭用掃除機で吸引します。

高密度繊維製防ダニ布団カバーの使用も有効です。布団の中身は羽毛、羊毛、綿でとくに差はありません。使用しない布団は、掃除した後に密封しておくとダニがつかないですみます。枕の中身はプラスチック製が望ましいです。

1-2. 床

掃除機がけはできるだけ毎日する方が望ましいです。床はフローリングが理想的です。絨毯やゴザは使用しない方が良いですが、使用する場合は週に2回以上の掃除が必要です。畳も週2回以上の掃除をおすすめします。1平方メートルあたり20秒以上の時間をかけて吸い込むことが推奨されています。使用する掃除機は家庭用掃除機で十分です。重要なのは掃除機の吸引力ではなく、掃除をする回数です。

拭き掃除と掃除機がけの順番は、まず拭き掃除から行ってください。これは先に掃除機をかけると、ダニが舞い上がってしまい拭き取れなくなってしまうからです。

ルンバのような“お掃除ロボット”は、障害物の少ない部屋に有効です。日常的に動かし、さらに気になるところはハンディクリーナーなどで掃除しましょう。

カーテンは定期的に洗濯をする必要があります。ソファーは布製よりも革製・合成皮革の方が望ましいです。ぬいぐるみは置かないにこしたことはありません。どうしても置きたい場合は、3ヶ月に1回は洗濯しましょう。またはビニール袋に入れておきましょう。鉢植えなど観葉植物は室内に置かない方が良いです。ペットも室内では飼わないことをおすすめします。

空気清浄機は部屋全体の吸塵をするものなら有効です。エアコンはフィルターの掃除だけでなく、高圧洗浄をして内部のカビ取りを定期的に行うことが望ましいです。

これらの対策を着実に行うことで、ダニの量は激減します。

2. 食生活に注意する

お母さん達の中には、自分が妊娠中に卵や魚を食べ過ぎたせいでこどもが卵や魚アレルギーになってしまったと誤解している方がいるようです。しかし、そのようなことはありません。妊娠中・授乳中は自分だけでなく、赤ちゃんの分までしっかりとバランスのとれた食事を取る必要があります。

アレルギーとの関係が最近注目されている栄養素として脂質があります。脂質は細胞膜の大事な原料であるのと同時に、アレルギー性炎症の原因物質とも関係していることがわかってきています。また、炎症でこわれた細胞を修復するためにはタンパク質、ビタミン、ミネラルなどの各種栄養素が必要です。

炭水化物を含む糖質の過剰摂取は、腸内環境が悪化してアレルギーを悪化させるのでお勧めできません。肥満のある人は皮下脂肪や内臓脂肪から炎症を悪化させる物質が放出されるため、症状がひどくなる傾向があります。糖質制限を中心としたダイエットをすることで、症状の改善が期待できます。

また最近、腸内環境がアレルギーと密接に関わることが分かってきています。私たちの身体には、アレルギーを改善させる免疫反応のしくみがあるということが知られています。
(Patriarca. Et al. Hetapogastroenterology 1998;45(19):52-8)

小腸などの腸管から微量のアレルゲンを摂取することで、IgG4という免疫をおさえる抗体が産生されることが知られています。一般的には、腸内環境を改善する目的で乳酸菌の摂取が勧められていますが、乳酸菌生産物質という乳酸菌よりさらに効果のあるものがあります。

3. 汗対策

汗は、すべての年齢層におけるアトピー性皮膚炎の主要な悪化要因です。その一方で、汗は皮膚の保湿のために重要な働きをしており、皮膚の角層バリアの機能維持にとっても重要なものです。また、汗の中には抗菌ペプチドとして知られるcathelicidin, β-defensinsなどが含まれており、感染防御に働いています。

つまり、アトピー性皮膚炎の患者さんにとって汗をかくことが問題ではなく、余分な汗をかいたまま長時間そのまま放置しておくことが問題になります。したがって、汗をかいたときには具体的には下記のことを行うことが大切です。

  • シャワーを浴びる
  • 手や足などであれば流水で洗い流す
  • おしぼりで拭き取る
  • 服を着替える

4. 衣服などの外的刺激を避ける

アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバリア機能が弱まっています。そのため、ちょっとした刺激に敏感に反応して、かゆみなどの症状があらわれ、悪化することがあります。硬い生地や飾り模様などで凹凸の多い衣服を着ると、刺激で症状が悪化します。古くなって生地が硬くなることもあります。コットン素材、綿など肌触りの良い衣服を着るよう心がけましょう。

また、汗を吸い取らない生地や温まりすぎる生地なども痒みを誘発します。たとえ柔らかい生地でも、ひらひらして皮膚に触れるようなものは、痒みの原因となるので注意が必要です。

入浴時間が長すぎるのもよくありません。37℃~38℃のお湯で、湯船には長時間つかりすぎないようにしましょう。シャワーのみでもかまいません。身体を洗うときは一般的な石けん、ボディソープでよいので手のひらで、こすらず優しく洗う必要があります。頭はシャンプーで毎日洗いましょう。髪を乾かすときはドライヤーを使わず、タオルでしっかり拭きます。薬を塗る場合は、水滴をしっかり拭き取った後に塗りましょう。

アトピー性皮膚炎は掻くことによって、さらに悪化してしまいます。かゆみの悪化を防ぐために、日頃の細かい注意が大切です。

5. 日焼けを避ける

いちばん日焼けしやすい時間帯は、春から夏の10時~14時頃です。日焼け対策でいちばん簡単なのは、布で覆って直射日光を避けることです。日差しの強い季節の投稿や屋外活動では、帽子、袖のある洋服、タオルや日傘の利用などを取り入れてみましょう。

日焼け止めは日光を浴びる直前に塗ります。軟膏を使っている場合は軟膏の上から塗ってください。

6. 睡眠をしっかり取る

睡眠不足や昼夜が逆転するような不規則な生活によっても、アトピー性皮膚炎の症状が悪化します。

私たちは、夜の寝ている間にも傷ついた身体を修復し、免疫反応に必要な細胞を作っています。しかし、睡眠が不足していたり、昼夜が逆転するような不規則な生活を送っていると、ホルモンの分泌をつかさどる内分泌系や自律神経系の機能が乱れ、免疫応答に異常をきたしやすくなるため、アトピー性皮膚炎の症状も悪化しやすくなります。

睡眠を十分に取って、規則正しい生活を心がけましょう。

7. 精神的ストレスを避ける

強いストレスを受けると、アトピー性皮膚炎をはじめとしたアレルギー症状が悪化することが知られています。

アトピー性皮膚炎とストレスには、密接な関係があります。強いストレスがあると、興奮をもたらす交感神経が活発になって、からだが緊張します。そうすると、ストレスがかかったときに分泌されるホルモンが大量に分泌され、その結果として免疫力が低下します。血管が収縮して、皮膚の水分量が少なくなり、皮膚が乾燥します。皮膚の乾燥はアトピー性皮膚炎が悪化する大きな要因です。外からの刺激やアレルゲンの侵入を防ぐバリア機能が低下します。そして、かゆみや湿疹が生じるのです。

アトピー性皮膚炎の患者さんにとって、ストレスコントロールは大切です。ストレスのたまりにくいような生活の工夫をしたり、ストレスがたまってしまったなと感じるときは、早めにストレスを発散する工夫が必要になります。

8. まとめ

  • アトピー性皮膚炎を悪化させる要因はいろいろなものがある。
  • アトピー性皮膚炎を悪化させる要因の中で、いちばん対策として重要なものがダニ対策である。
  • バランスのとれた食事をして栄養素を十分取ること、腸内環境を改善することがアトピー性皮膚炎の症状改善に役立つ。
参考文献
  • Friedmann PS, et al:allergy 53(suppl 48):97-100,1998
  • Patriarca. Et al. Hetapogastroenterology 1998;45(19):52-8
  • 大矢幸弘監修(2017)『こどものアレルギー』文藝春秋
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