必須アミノ酸がアレルギー改善に効果的な理由とは

「喘息の治療を続けながら、食事や生活習慣でもできることがあれば知りたい」
「アレルギーがあり、日頃の食事で気を付けるポイントを知りたい」
そんな悩みをお持ちの方に知っていただきたいのが、体内で作れない栄養素「必須アミノ酸」の役割です。
現日代の本人の約3割が喘息やアトピー、花粉症などのアレルギー疾患を持っていると言われています。
この記事では、必須アミノ酸がアレルギー改善に役立つ理由や、食品の摂取目安、サプリの選び方、当院での栄養サポートについて簡潔に解説します。
目次
1.必須アミノ酸とアレルギー疾患の関係
必須アミノ酸とアレルギーには深い関わりがあります。
以前は、子どものアレルギー体質は母親からの遺伝が原因と考えられていましたが、現在ではそれだけでは説明できないと言われています。
今では、皮膚や粘膜の「守る力」が弱まることで外からのアレルゲンが体に入りやすくなり、それがアレルギー発症につながると考えられています。
【参考情報】”Epithelial barrier repair and prevention of allergy” by Journal of Clinical Investigation
https://www.jci.org/articles/view/124608
1-1.皮膚・粘膜のバリア機能が低下する主な原因
皮膚や気管の粘膜は、外からの刺激やアレルゲンの侵入を防ぐバリア(防護壁)として働いています。
このバリア機能は、栄養・睡眠・環境・生活習慣の影響を大きく受け、弱まるとアレルギー症状が起こりやすい状態になります。
ここでは、研究で指摘されている代表的な要因をまとめて解説します。
● 栄養不足(特にタンパク質・必須アミノ酸)
皮膚や気管の粘膜はタンパク質からつくられており、その材料となる必須アミノ酸は体内で合成できません。
タンパク質摂取が不足すると、皮膚の角層や粘膜の再生に必要な材料が足りず、乾燥や刺激に弱くなると報告されています。
食事量が少ない・偏りがある人では特に影響が出やすくなります。
【参考情報】”Skin Health” by Oregon State University
https://lpi.oregonstate.edu/mic/health-disease/skin-health
● 睡眠不足・ストレス
睡眠は皮膚の修復や免疫調整に深く関わっており、睡眠不足だと肌が乾きやすくなり、バリア機能が低下しやすいとされています。
また、強いストレスは自律神経やホルモンバランスに影響し、皮膚の炎症や乾燥につながり、アレルゲンの刺激を受けやすい状態になります。
【参考情報】”Does poor sleep quality affect skin ageing?” by National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25266053/
● 乾燥した環境
湿度が低い環境では皮膚の水分が失われやすく、肌の表面が荒れたり、のどや鼻などが乾きやすくなります。
冬場やエアコン使用時にアレルギー症状や咳が悪化しやすいのは、バリアが弱くなった粘膜が外からの刺激を受けやすいためです。加湿や保湿を意識するだけでも、バリア機能を守る助けになります。
【参考情報】”Dry Air Can Negatively Impact Your Health — Here’s What To Do About It “ by Cleveland Clinic
https://health.clevelandclinic.org/can-best-combat-effects-dry-winter-air
● 過度な清潔志向と常在菌の減少
清潔にすること自体は必要ですが、強い洗浄剤の使用や洗いすぎは皮膚の常在菌(肌に最初から住んでいる、体を守る菌)を減らしてしまい、皮膚表面のバランスを乱すことがあります。
常在菌は皮膚バリアの形成を助ける役割もあるため、過剰すぎる除菌や皮膚のこすりすぎは逆効果になることがあります。適度な清潔と保湿の両立が重要です。
1-2.必須アミノ酸がバリア機能を高める理由
アレルギー疾患を改善するカギは、皮膚や粘膜のバリア機能を高めることです。
そのためには、食事で必要な栄養素を摂ることが重要です。
皮膚や粘膜の材料となるのはおもにタンパク質ですが、その構成に必要なのが必須アミノ酸なのです。
【参考資料】『子どものアレルギー』(大矢幸弘/文藝春秋)
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163907734
また、アレルギー疾患の改善には、腸内環境が整っていることや血糖値を安定させることも重要です。
必須アミノ酸の摂取は、腸のバリア機能の向上や、血糖値の安定にもかかわってきます。
ですから、必須アミノ酸が不足しないよう、意識して摂ることが大切です。
【参考情報】『腸内細菌叢由来代謝物質がもたらす生体恒常性と疾患』日本生化学会
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2019.910065/data/index.html
◆「アレルギー体質の人が知っておきたい、食事と腸の関係」>>
2.アレルギー改善に特に重要な必須アミノ酸
必須アミノ酸はアレルギー対策においても欠かせない栄養素と言えますが、多く摂取すれば良いというものではありません。
大切なのは、必須アミノ酸を含むタンパク質を全体としてバランスよく取り入れることです。
そのうえで、アレルギーや炎症反応との関わりから、臨床的に注目されることの多い必須アミノ酸として、
・メチオニン
・リジン
・トリプトファン
などが挙げられます。
いずれも薬の代わりにするものではなく、からだの土台づくりを支える栄養素として理解していただくのがいいでしょう。
2-1.メチオニンの特徴と役割
メチオニンは、さまざまな代謝にも関係している、大切な必須アミノ酸です。
メチオニンには、肝臓の働きを助けたり、体の中の不要なものを処理するサポートをしたり、さまざまな役割があります。
また、髪や肌、爪などをつくるタンパク質にも関わっており、健康的な代謝や細胞の維持に欠かせません。
不足すると、疲れやすくなったり、肌や髪のトラブルが出やすくなったり、免疫のバランスが崩れやすくなることがあります。
メチオニンは、肉類、魚、卵、大豆製品など、いわゆる「タンパク質」に広く含まれています。
偏った食事や食が細くてタンパク質が不足している場合には、メチオニンも不足しやすくなるため注意が必要です。
【参考情報】”Methionine” by University of Rochester
https://www.urmc.rochester.edu/encyclopedia/content?contentid=Methionine&contenttypeid=19
2-2.リジンの特徴と役割
リジンにはコラーゲンなどの構造タンパク質の合成に関わり、皮膚や粘膜の状態を整えるはたらきがあります。
免疫細胞の働きや抗体の生産を支える材料となる、土台づくりに関わる栄養素と言ってもいいでしょう。
穀類中心で動物性タンパク質が少ない食事では、リジンが不足しやすいことが知られています。
一方で、肉・魚・卵・乳製品や大豆製品など、身近なタンパク源にはしっかり含まれているため、主食だけに偏らず、毎食何かしらのタンパク源を組み合わせることが大切です。
【参考情報】”L-lysine dietary supplementation for childhood and adolescent growth” by National Institutes of Health
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11976420/?utm
2-3.トリプトファンの特徴と役割
トリプトファンは、神経伝達物質セロトニンの材料となり、心の安定やリラックスに関係しています。
また、セロトニンからつくられるメラトニンは睡眠ホルモンとして知られ、睡眠の質を整える働きをします。
良質な睡眠とストレスの軽減は、免疫のバランスを保ち、アレルギー症状の悪化を防ぐうえでも重要です。
トリプトファンそのものが直接アレルギーを改善するわけではありませんが、トリプトファンを含む食事と良好な睡眠は、結果として「症状がぶり返しにくい状態」をつくるための助けになります。
トリプトファンも、肉・魚・卵・乳製品、大豆製品、ナッツ類など、ふだんのタンパク源となる食品に広く含まれています。
※食物アレルギーがある方は、必ず主治医に相談の上で食品を選び、自己判断での摂取増減は避けてください。
【参考情報】”Tryptophan” by National Institutes of Health
https://medlineplus.gov/ency/article/002332.htm?utm
3.必須アミノ酸を効率よく摂るには?
人間の身体は約20種類のアミノ酸で構成されていて、そのうち9種類は体内で合成することができません。
体内で合成できないアミノ酸を必須アミノ酸と言い、食事で摂る必要があります。
【必須アミノ酸と非必須アミノ酸】
【参考資料】『改訂6版 臨床栄養ディクショナリー』(監修:伊藤孝仁/メディカ出版)
https://store.medica.co.jp/item/302242955
3-1.必須アミノ酸を多く含む食品
必須アミノ酸の含有バランスを評価する指標を「アミノ酸スコア」と言います。
このスコアが高いほど皮膚や気管の粘膜を構成するタンパク質の合成効率が高まります。
【参考資料】『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365295.htm
必須アミノ酸は肉類や魚介類、大豆製品に多く含まれるので、それらの食品を組み合わせて毎日の食事で摂りましょう。
注意点としては、同じ食品ばかり食べ続けないことです。
特定の食品に対してアレルギーを持っている方では、摂取量や回数に注意が必要です。
バランス良く栄養を摂るためにも、いろいろな食材をまんべんなく取り入れるようにしましょう。
注意※卵・乳製品・大豆・魚類は主要アレルゲンです。
食物アレルギーがある方は、代替食品で必須アミノ酸を摂取することが望ましいですが、必ず医師・管理栄養士に相談してください。
3-2.必須アミノ酸を食事で摂る方法
必須アミノ酸やタンパク質は、脂質と違って体内に蓄えておくことができません。
したがって、毎日3回の食事でしっかり摂ることが大切です。
肉や魚がメインのおかずに加え、卵や豆腐などタンパク質の副菜があると理想的です。
◆「たんぱく質をたっぷりとって美と健康を。」>>
胃腸が弱い方や、肉を食べると胃もたれをしてしまう方は、吸収しやすいアミノ酸の形で摂ることがおすすめです。
鶏ガラスープや出汁、みそ汁などは、食材から出たアミノ酸などの栄養素がたっぷり含まれています。
食欲がないときも、スープなら安心して取り入れることができます。
3-3.必須アミノ酸のサプリメントもおすすめ
高齢の方や、少食で食事をあまり摂れない方は、必須アミノ酸をサプリメントで摂るのがおすすめです。
市販のサプリメントは、製品ごとに必須アミノ酸の含有量や添加物の種類が異なりますので、成分表示を確認し、必要に応じて医師や管理栄養士に相談しながら選びましょう。
また、「GMP認定工場」など、一定の品質管理基準に沿って製造されているかどうかを確認することも参考になります。
信頼できる製品を選ぶには「GMP認定工場」で作られているものかどうかを確かめると良いでしょう。
※GMPとは「Good Manufactuiring Practice=適正製品規範」の略で、原材料の受け入れから製造、出荷に至るまで、製品が安全に作られ、一定の品質が保たれるために設けられた、医薬品レベルの厳しい製造工程管理基準です。
【参考資料】『GMPとは』日本医薬品原薬工業会
http://www.jbpma.gr.jp/bulk-pharmaceuticals/gmp
4.おわりに
アレルギー疾患を改善するためには、皮膚や粘膜のバリア機能を高めることがカギとなります。
そのためには、皮膚や粘膜の材料となるタンパク質、特に体内で合成することのできない必須アミノ酸をしっかり摂ることが大切です。
胃腸が弱い方や高齢で消化能力が低下している方は出汁などを活用し、アミノ酸の形で必須アミノ酸を積極的に摂りましょう。
自分に合った食事やサプリメントを知りたい方は、当院の管理栄養士に相談することもできます。
興味のある方は、診察時または受付で「栄養カウンセリングを受けたい」と、お気軽にお申し出ください。
◆当院の「栄養カウンセリング」について>>











