糖尿病治療薬「ジャヌビア」の特徴と効果、副作用を医師が解説

ジャヌビアは、食事療法や運動療法を行なっても血糖値が下がりにくい2型糖尿病の患者さんに使用する薬です。
この薬は、血糖値が高いときに分泌される「インクレチン」というホルモンの働きを強化し、特に食後の血糖値を効果的に抑える特徴があります。
また、血糖値が高いときに効果が出やすいため、糖尿病治療薬に多い副作用である低血糖のリスクが比較的少ないというメリットがあります。
そのため、2型糖尿病の治療薬として、最初に処方されることも多い薬です。
この記事では、ジャヌビアの効果や副作用、注意事項について解説します。
目次
1.ジャヌビアとはどのような薬か
ジャヌビアは「シタグリプチン」という成分を配合した錠剤です。糖尿病治療薬の中でもDPP-4阻害薬という種類に分類され、2型糖尿病の治療で使用します。
血糖値が高くなると、「インクレチン」というホルモンが分泌され、これが血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌を促します。
【参考情報】『インクレチン』腸内細菌学会
https://bifidus-fund.jp/keyword/kw021.shtml
しかし、インクレチンは「DPP-4(ディー・ピー・ピー・フォー)」という酵素によって分解される性質があります。
DPP-4によってインクレチンの量が減ると、インスリンの分泌も減少し、結果として血糖値が下がりにくくなってしまいます。
ジャヌビアは、DPP-4の働きを抑えることでインクレチンの分解を防ぎ、血糖値を下げるインスリンの効果を高めます。
インクレチンは血糖値が高いときだけ分泌されるため、ジャヌビアはインクレチンの効果を高めつつも、低血糖の副作用が少ないのが利点です。
2.ジャヌビアの使い方
ジャヌビアは、基本的には15歳以上の成人を対象とした薬です。
通常、1日1回、シタグリプチンとして50mgを水またはぬるま湯で服用します。効果が十分に得られない場合は、副作用に注意しながら1日最大100mgまで増量することもあります。
ジャヌビアの服用量は人によって異なるため、必ず医師の指示に従って正しく服用してください。
3.ジャヌビアの副作用
ジャヌビアを服用すると、次のような副作用が起こることがあります。
・低血糖
・めまい
・便秘
・下痢
・胃の不快感
・頭痛
ジャヌビアを他の糖尿病治療薬やインスリンと併用すると、低血糖の副作用が起こりやすくなることがあります。
ふらつきなどの低血糖症状が現れた場合は、すぐにブドウ糖やラムネ、糖分を含む飲み物を摂取してください。
また、めったにありませんが、次のような重篤な副作用が起こる場合があります。
・肝機能障害
・急性腎障害
・急性膵炎
だるさや全身のむくみ、急な激しい腹痛など、ジャヌビアを服用中にいつもと違う体調の変化が現れたら、早めに医師や薬剤師に相談してください。
4.使用上の注意点
ジャヌビアは、基本的に妊娠・授乳中には使用しません。また、15歳未満の子どもにも使用しないことがほとんどです。
1型糖尿病の方、重い感染症にかかっている方、手術の前後にある方などは使用できません。また、腎機能が低下している高齢の方や透析を受けている方は、通常よりも服用量を減らす場合があります。
ジャヌビア単独で低血糖を起こすことはほとんどありませんが、他の糖尿病治療薬と併用すると低血糖のリスクが高まります。
特に、インスリン製剤やスルホニルウレア剤(SU剤:アマリールやオイグルコンなど)を併用する場合は低血糖になりやすいため、以下の行動はできるだけ避けるようにしましょう。
<低血糖になりやすい習慣>
・不規則な食事摂取
・過度な運動
・過度な飲酒
・不規則な糖尿病治療薬の服用
【参考情報】『低血糖』糖尿病情報センター|国立国際医療研究センター
https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/050/05.html
4-1.腎機能が低下している方へ
ジャヌビアは、主に腎臓から体の外に排出される薬です。
腎臓の働きが落ちていると、薬が体に残りやすくなるため、副作用が出るリスクが高まります。
そのため、腎機能の状態に応じて、以下のように服用量を調整する必要があります。
<腎機能の状態と1日の目安量>
・軽度の腎機能低下:50mg(通常量)
・中度の腎機能低下:25mg
・重度の腎機能低下:12.5mg
腎機能の検査値(クレアチニン値やeGFRなど)は血液検査でわかります。
定期的に検査を受けて、数値の変化を医師と確認するようにしましょう。
4-2. 高齢の方へ
年齢を重ねると、腎臓の機能が少しずつ低下することがあります。
見た目には元気でも、血液検査の数値が下がっていることがあるため、高齢の患者さんへのジャヌビアの使用には特に注意が必要です。
医師は血液検査の結果をもとに、必要に応じて服用量を調整しますので、定期的な受診と血液検査を欠かさないようにしましょう。
4-3. 妊娠中または妊娠を希望している方へ
ジャヌビアは、妊娠中または妊娠している可能性のある方への使用は、原則として行いません。
動物実験で胎児への影響が報告されているため、治療上の必要性が非常に高い場合にのみ、医師の判断で使用を考慮します。
妊娠中の糖尿病治療には、一般的にインスリン注射が用いられます。
妊娠を希望している方は、必ず事前に担当医に相談してください。
授乳中の方についても、動物実験で薬が母乳に移行することが報告されています。授乳を続けるかどうかは、医師と相談して決めましょう。
5.ジャヌビアの薬価
ジャヌビア1錠あたりの薬価(2026年2月調べ)は次のとおりです。
・ジャヌビア錠12.5mg 36.7円/錠
・ジャヌビア錠25mg 44円/錠
・ジャヌビア錠50mg 82.1円/錠
・ジャヌビア錠100mg 119.5円/錠
ジャヌビアのジェネリック医薬品は発売されていませんが、有効成分が同じ薬である「グラクティブ」があります。
グラクティブにはジャヌビアと同じシタグリプチンが配合されていて、使い方や効能効果、副作用もジャヌビアと同じです。
ただし、製造販売会社が異なり、錠剤の見た目やシートの色が異なります。薬価も少し異なりますが、大きな差はありません。
グラクティブの薬価(2026年2月調べ)は次のとおりです。
・グラクティブ錠12.5mg 37.7円/錠
・グラクティブ錠25mg 46.2円/錠
・グラクティブ錠50mg 85.2円/錠
・グラクティブ錠100mg 123.8円/錠
糖尿病の治療薬はドラッグストアや通販では購入できません。糖尿病の診断を受けた場合には、医師の診察を受けて治療薬を処方してもらいましょう。
6.おわりに
ジャヌビアが合わないときは、グラクティブやエクア(成分名:ビルダグリプチン)、ネシーナ(アログリプチン)、トラゼンタ(リナグリプチン)など他のDPP-4阻害薬を使用することもあります。
また、効果が不十分な場合には別の種類の糖尿病治療薬に変更したり、いくつかの治療薬を併用したりすることもあるでしょう。
糖尿病の治療は食事と運動の見直しが大切です。日頃から不規則な生活をしてしまっている方は、自分ができることを少しずつ行い、生活習慣を改善していきましょう。












