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1週間以上咳が止まらない時、どうしたらいい?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2025年04月23日
1週間 咳

1週間ほど咳が続いても、大きな病気である可能性は低いです。

その原因のほとんどが風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症であって、自然にやわらいでいくからです。

しかし、1・2週間ほど続いている咳にも、少なからず、大きな病気が関係しているケースがあります。

また、3週間以上咳が続くと、更に他の病気が原因となっている可能性も生じてきます。

この記事では、1週間続く咳の原因とそこから考えられる病気について解説しています。

1.1週間以上止まらない咳で考えられる病気

胸がくるしい
3週間以内で自然にやわらいでいく咳は、専門用語で「急性咳嗽:きゅうせいがいそう」といいます。

その原因のほとんどは、風邪やインフルエンザといったウイルス感染症や、ウイルスを原因とする急性気管支炎です。

自己免疫機能が正常に働いてる人であれば、これらの症状は2週間程度で良くなるでしょう。

【参考情報】『急性気管支炎』MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home

しかし、1週間以上続く咳のなかにも、重大な病気が隠れていることがあります。

ここからは、病気が隠れていないかのチェックリストと、隠れている可能性のある重大な病気について解説しています。

◆「風邪の症状と対処法」について詳しく>>
◆「咳の症状と対処法」について詳しく>>

1−1.長引く咳のチェックリスト

チェックリスト
1週間程度の咳でも、大きな病気が隠れているかもしれませんので、まずは以下のチェックリストでセルフチェックしてみましょう

□天候によって、咳がひどくなる時がある
□夜間(深夜・寝入りばな)に咳が出る
□明け方に咳が出る(咳で目が覚める)
□冷たい空気に触れると咳が出る
□会話中に咳が出る
□エアコンの風に反応して咳が出る
□湯気に反応して咳が出る
□咳が出始めるとなかなか止まらない
□階段の上り下りや少しの運動ですぐ息切れがする
□同世代の人と同じペースで歩くのが辛い
□呼吸をする時、ゼイゼイ、ヒューヒューと音が出る

以上の項目にひとつでも思い当たるものがあれば、その咳は風邪以外の病気である可能性があります。
※チェックが付かなくても、何の問題もないと断定することはできません。

◆「長引く咳の原因」について詳しく>>

1−2.原因として考えられる病気

しつこい咳
1週間ほどの咳でも、その要因としては重大な疾患も考えられます。

特に、先ほどのチェックリストに1つでもチェックが入った方はご確認ください

<1週間ほどの咳から考えられる病気>
・気管支炎
・肺炎
・喘息
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>
◆「喘息性気管支炎」について詳しく>>

<1週間ほどの咳でも考えられる重大な病気>

・急性間質性肺炎
・心不全
・肺がん
・肺結核

◆「急性間質性肺炎」について詳しく>>

【参考情報】『MSDマニュアル』MSD
https://www.msdmanuals.com/ja-jp

迅速に必要な検査を行い、早期に病気を発見することができれば、たとえ肺がんなどの大きな病気であっても根治治療ができる可能性がありますので、早期発見と早期治療がなによりも重要となります。

【参考情報】『MSDマニュアル』MSD
https://www.msdmanuals.com/ja-jp

◆「咳が止まらない時に心配な病気の症状・検査・治療」>>

1週間以上咳が止まらないときのQ&A

まる ばつ
1週間以上咳が止まらないのは、日常生活にも支障が出るほどつらいこと。すぐにでも何とかしたいですよね。

しかし、「市販の咳止めは飲んでも大丈夫なのか」「何科に受診すればいいのか」とわからないことが多く、困ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでここからは、咳が止まらないときに皆さんが感じる疑問に答えていきます。

ぜひ、参考にしてください。

2−1.市販の咳止め薬は飲んでも大丈夫?


一時的に咳を和らげたいときは、市販の咳止め薬を服用してもかまいません。

ただし、市販の咳止めはあくまで一時的に症状を緩和させるためのものであるため、咳の根本治療にはつながりません。

その結果として、重大な病気に気付くのが遅れ、治療が長引いたり、悪化させてしまう可能性もあるので注意しましょう。

また、咳止め薬には、内臓のはたらきを止める副作用があり、便秘になったり、尿が出にくくなったり、唾液の分泌がへり口が渇いてしまいます。

使用頻度や使用量が増えるにつれて、副作用も強まっていくので注意が必要です。

長引く咳は、咳止めに頼りすぎずに、早めの受診をおすすめします。

◆「市販のせき止めは効くのか?」について詳しく>>

【参考情報】『その咳止め、本当に必要ですか?』奈良県医師会
https://nara.med.or.jp/for_residents/16320/

2−2.何科を受診すればいいの?


1週間以上咳が続く場合は、呼吸器内科を受診しましょう。

よく、咳がひどいときに一般の内科を受診される方が多いのですが、咳だけの症状で病気を鑑別することは、たとえベテランの内科医であっても、とても難しく、適切な治療を受けられないこともあるのです。

「もう3ヶ月以上通院しているのに、一向に咳が改善している気配がない」という人の場合、大抵が一般内科や耳鼻科に通院していたりします。

咳が発生する呼吸器系の病気を診断し治療するためには、呼吸器の専門知識をもつ呼吸器内科専門医に相談するのが一番の近道であり、確実な方法です。

◆「呼吸器内科の専門医とは」>>

3.長引く咳を感じたら早めに呼吸器内科を受診しましょう

呼吸器内科
咳が1週間ほど続いても、多くの人が「たかが咳」「よくあること」と考えがちです。しかし、長引く咳の背後には、風邪とは違う呼吸器系の病気が潜んでいる可能性があります。

長引く咳に悩んでいる人は、早めに呼吸器内科を受診して専門医に相談してください。

【参考情報】『専門医検索』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/search/specialist/index.php

◆「呼吸器内科を受診すべき症状とは?」>>

4.おわりに

咳の原因は、風邪のような呼吸器感染症のほか、アレルギー、肺がんなどさまざまです。

1週間以内に治まる場合はあまり心配ないのですが、それ以上続いているときは、できるだけ早く咳の原因を突き止めて、適切な治療を開始することが大切です。

◆「咳が止まらない時に起きている炎症とは?」>>

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