市販の咳止め薬は効く?効かない?
咳が長引いている時は、なるべく早めに病院で診てもらうことをおすすめします。しかし、仕事や家庭の事情で時間が取れず、できれば市販の薬を服用しながら様子をみたいと思うこともあるでしょう。
特に、「咳がひどくて夜眠れない」「咳が続いて息が苦しい」「話すたびに咳込んでしまう」など、咳が日常生活に支障を及ぼす時は、一時的に市販薬でしのぎたい気持ちになるのも仕方ありません。
そこでこの記事では、長引く咳でお悩みの方に向け、ドラッグストアなどで購入できる市販薬について解説します。
1.風邪を引いて咳が止まらない時の薬
発熱やのどの痛み、鼻水など、咳以外にも風邪の症状が出ている時、「とりあえず風邪薬を飲んでみよう」という方は多いかもしれませんが、風邪薬を飲んですぐに良くなった経験がある方は少ないのではないでしょうか。
風邪という病気そのものは、風邪薬を飲んでみたところで根本的に治せるものではないので、基本的には薬を飲まずに安静にしていれば治ってしまいます。
ただ、咳や鼻づまりなどの症状がつらい場合、一時的に出ている症状を抑えて体をラクにするために薬を飲むということはあります。
風邪の時に服用する薬には、「熱を下げる」「鼻水を止める」「咳を鎮める」成分がバランスよく配合された総合感冒薬のほか、咳を鎮めて痰を出やすくする鎮咳去痰薬(咳止め薬)、熱を下げる解熱鎮痛薬などがあります。
ドラッグストアで購入の際は、薬剤師に相談するか、薬のパッケージで成分をよく確認しましょう。咳止め薬のパッケージには「せき・たんに」など、咳止め薬であることが一目でわかるようにはっきり書いてあります。
2.使ってはいけない薬・やってはいけない服用法
2-1.「コデイン」系の薬は小児には使わない
2019年12月より、12歳未満の小児に「コデイン」という成分を与えることは禁忌となりました。
コデインは、市販の咳止め薬にもよく使われている成分ですが、喘息の人が服用すると、痰が出にくくなって呼吸困難を起こすことがあります。特に乳幼児は、気管や気管支がまだ細くてやわらかいため、大人より呼吸困難が起こりやすくなります。
12歳未満の小児に咳止め薬を与える場合は、かならず医師や薬剤師に相談しましょう。
【参考情報】『コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000522038.pdf
2-2.咳止め薬と他の薬を同時に使わない
咳止め薬と総合感冒薬を一緒に飲むことは止めてください。総合感冒薬の中にも咳止め成分が入っているので、両方を一緒に飲むと、咳止め成分を摂り過ぎることとなってしまいます。
葛根湯などの漢方薬にも咳止め成分が入っていることがあるので、やはり咳止め薬と一緒に飲むことはしないでください。
咳止め薬と別の薬を一緒に服用すると、薬の成分同士が反応して思わぬ副作用が出ることがあります。また、糖尿病や前立腺肥大症の方は、風邪薬や咳止め薬を飲むと尿が出にくくなることがあります。
持病のある方や妊娠・授乳中の方は、咳止め薬を服用する前に主治医や薬剤師に相談しましょう。
【参考情報】『Pregnancy, breastfeeding and fertility while taking codeine』NHS England
https://www.nhs.uk/medicines/codeine/pregnancy-breastfeeding-and-fertility-while-taking-codeine/#:~:text=Small%20amounts%20of%20codeine%20pass,recommend%20a%20more%20suitable%20painkiller.
咳止め薬が効かないからといって、自己判断で量を増やしたり、色々な種類の市販薬を試したりすることは絶対にしないでください。
上記で述べた通り、咳の原因はさまざまなので、本来の原因と合っていない薬を飲み続けていると、効かないだけでなく病状が悪化してしまう恐れがあるからです。
【参考情報】『市販薬で副作用』国民生活センター
https://www.kokusen.go.jp/mimamori/pdf/shinsen239.pdf
3.おわりに
風邪を引いた時に咳が出るのは、体の中からウイルスなどの異物を排除しようとする自然な反応なので、数日程度であれば薬を飲まずに様子をみましょう。
咳止め薬を飲むのは、「苦しい」「つらい」「眠れない」時に、一時的に症状を抑え、体の負担を軽くするためだと認識しましょう。
風邪や気管支炎の咳は、2週間程度で治まるのが普通です。2週間以上咳が続くときは、別の病気である可能性が高いです。その場合、市販の薬では解決しないので、まずは呼吸器内科のある病院を受診しましょう。
【参考情報】
『咳事典 咳を科学する-その咳、大丈夫?危険!-』(清益功浩/医薬経済社)
『長引くセキはカゼではない』(大谷義夫/KADOKAWA)