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小児喘息の病態と薬物治療について

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年06月21日
小児喘息

小児喘息は、保護者が正しい知識を持ち、お子さんに適切なサポートをすることが重要なポイントとなります。

この記事では、小児喘息の病態から治療方法までを紹介します。日々のケアの参考にしてください。

1.小児喘息の病態

小児喘息の患者さんは、遺伝的な要因やアレルギー物質などが原因となり気道に炎症が起こります。

炎症を起こした気道は過敏になっているため、わずかな刺激にも敏感に反応し、喘鳴や咳嗽、呼吸困難感などの症状が出るようになります。

◆「喘息のタイプ~原因別・年齢別」>>

2.小児喘息の発作を起こす原因

発作の引き金となる原因には、以下のようなものがあります

 ●ハウスダスト・ダニ・カビなどのアレルゲン
 ●運動などの激しい動作
 ●気温や気圧の変化(特に夜間や明け方)
 ●呼吸器道感染症(風邪、インフルンザなど)
 ●薬の副作用(風邪薬や解熱薬)

アレルギーが原因ではない喘息(非アレルギー型)もありますが、小児喘息のほとんどはアレルギーが関与するタイプであることがわかっています。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

◆「赤ちゃんの喘息について」>>

3.小児喘息の重症度分類

喘息は、重症度に応じて以下のように分類されます。

 1.間欠型
 2.軽症持続型
 3.中等症持続型
 4.重症持続型
 5.最重症持続型

重症度に合った治療を行い、発作の発現を予防して、喘息を成人まで持ち越さないことが大切です。

4.小児喘息のコントロール方法とは

ピークフロー

発作が起きないようにうまくコントロールしていくためには、患者の気道の状態を正しく把握していることが重要です。

気道の状態を把握するためには、ピークフローメーターという器具を使用し、「どの程度の強さで息を吐けるか」を測定します。

ピークフローの値の日内変動(1日の中での数値の変化)を測り、喘息日記に記録しておきましょう。

◆「喘息発作を起こさないための5つの習慣」>>

5.小児喘息の治療について

喘息 吸入薬

喘息の薬物治療において必ず知っておくべきことは、長期管理薬(コントローラー)と発作治療薬(リリーバー)の違いです。

発作による急性増悪を未然に防ぐための治療薬がコントローラーであり、急性発作時に使用する薬剤がリリーバーです。

コントローラーによる適切な長期管理によって、リリーバーを使用しなくても通常の生活ができるような治療を行っていきます。

◆「喘息治療のゴールと治療法」>>

5−1.長期管理薬(コントローラー)

コントローラーとは、吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬など「気道の炎症を抑制する」薬剤です。

二種類以上の薬を併用して使用する場合も多く、さまざまなタイプの薬剤を使い分けながら、発作を予防します。

小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017には、小児喘息の長期管理に関する具体的な薬物療法プランが記載されており、重症度に応じて、治療ステップ1から治療ステップ4の4段階の治療が行われます。

各治療ステップにおいて良好なコントロールが3ヶ月以上維持できた場合には、医師の判断でステップダウンを検討していくケースもあります。

ただし、季節要因などの増悪因子を考慮しながら治療を行いますので、良好だからといって必ずステップダウンできるわけではありません。

【参考資料】日本小児アレルギー学会「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020」
https://www.jspaci.jp/journal/asthma2020/

・吸入ステロイド(ICS)
吸入ステロイドは、喘息治療における最も重要なコントローラーです。強力な抗炎症作用により、気道の炎症を抑制します。

治療ステップのいずれの段階においても、吸入ステロイドが治療の中心的役割を果たしいます。

副作用として、口腔内カンジダ症や嗄声(声がかれる・声がかすれる)が出ることもありますが、吸入後にうがいをして口腔内の薬剤を洗い流すことで予防できます。

5−2.発作治療薬(リリーバー)

咳や喘鳴など、発作の兆候があらわれた場合には、発作治療薬(リリーバー)を使います。

短時間作用性β2刺激薬とよばれる「気管支拡張薬」を使用することで、急速に気管支を拡張させ、発作時の急性症状を緩和します。

ただし、リリーバー使用後15分が経過しても症状が残っている場合や、症状が悪化している場合には直ちに病院を受診してください。

また、下記に示す「強い喘息発作のサイン」を確認した場合も、すぐに受診してください。

<強い喘息発作のサイン>
 ◻︎唇や爪の色が白っぽい、もしくは青~紫色
 ◻︎息を吸う時に小鼻が開く
 ◻︎息を吸う時に胸がベコベコ凹む
 ◻︎脈がとても速い
 ◻︎苦しくて話せない
 ◻︎息を吐く方が吸うよりも明らかに時間がかかる
 ◻︎歩けない
 ◻︎横になれない(眠れない)
 ◻︎ボーっとしている(意識がはっきりとしていない)
 ◻︎興奮する・暴れる

小児喘息の場合、医療機関以外(家庭や保育施設・学校など)の場所で発作が起こった時のことも考えておかなくてはいけません。

喘息発作の早期から適切な対応ができるように、本人や保護者はもちろんのこと、保育施設や学校関係者などへの事前報告や協力要請が必要不可欠となります。

◆「喘息の子どもが保育園・幼稚園に入る前に知っておきたいこと」>>
◆「もしも喘息発作が起こったら~緊急時の対処法~」>>

6.おわりに

喘息は、患者自身が病態をよく把握しなければならない病気です。しかし小児喘息の場合は、患者自身でのコントロールが難しいため、家庭や学校などの協力が必須となります。

加えて、症状を言葉でうまく表現できない乳幼児期では、ちょっとした様子の変化(興奮する・ぐずるなど)にも大人が注意することが大切です。

治療薬の進歩やガイドラインの普及によって、小児喘息のコントロールは以前より良好となり、軽症例も増えています。

しかし、依然として重症化する症例も存在しているため、子どもを喘息から守るために、保護者の病態管理を徹底しましょう。

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