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喘息治療薬「フルタイド」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2023年10月27日

フルタイドは、喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に用いる薬で、「ディスカス」または「エアゾール」と呼ばれるデバイス(吸入用器具)を使って吸入します。

この記事では、フルタイドの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、現在使用中の方も、ぜひ読んで基本的な知識や使い方を確認してください。

1.フルタイドとはどのような薬か

フルタイドは、吸入ステロイド薬であるフルチカゾンプロピオン酸エステルが配合された薬剤です。吸入ステロイド薬は、気道の炎症を抑えて発作を予防する成分です。

【参考情報】『Fluticasone Oral Inhalation』MedlinePlus.gov
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a601056.html

喘息の薬には、毎日服用することで発作を未然に予防する「コントローラー(長期管理薬)」と、発作時に症状を抑えるために使用する「リリーバー(発作治療薬)」があり、両方を組み合わせて治療していきます。

フルタイドは、コントローラーにあたる薬です。コントローラーは、吸入してすぐに効果は現れませんが、使い続けることで発作を予防することができます。

◆「吸入薬」について>>

2.フルタイドの使い方

フルタイドの吸入器には、丸い「ディスカス」と、縦長の「エアゾール」の2種類があります。

以前は「ロタディスク」もありましたが、2021年12月に販売中止となっています。

ディスカスは、吸い込む力が十分にある人に向いています。エアゾールは、小児や高齢者など、吸う力が弱い患者さんでも薬剤が吸入しやすいという利点があります。

フルタイドは、通常、成人は1回1吸入(100μg)を1日2回、小児は1回1吸入(50μg)を1日2回吸入します。1日の最大吸入量は、成人が8吸入(800μg)、小児が2吸入(200μg)です。

以下、ディスカスとエアゾールに分けて、フルタイドの吸入方法を説明します。

2−1.フルタイドディスカスの使用方法

①カバーを開ける
左手でカバーを持ち、右手の親指をグリップにあて、グリップがとまるところ(カチッと音がする)まで回してカバーを開けます。
※吸入前に容器のカウンターの数字を見て、薬の残量を確認しましょう

②レバーを押す
レバーをグリップのところへカチッと音がするまで押し込み、吸入口を手前にして平らに持ちましょう。この動作で薬剤のセットが完了します。

③息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。

④薬剤を吸い込む
マウスピース(吸入口)を深くくわえて口をすぼめ、「強く」「早く」「一気に」スーッと息を吸い込んでください。

⑤息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。

⑥ふたを閉じる
グリップに親指をあて、カチリと音がするまで回し戻して、カバーを閉じます。(レバーも一緒に元の位置に戻ります)

⑦うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流します。

2−2.フルタイドエアゾールの使用方法

①ボンベの確認
容器にボンベが正しく装着されていることを確認してください。
※吸入前に容器のカウンターの数字を見て、薬の残量を確認しましょう

②吸入器をよく振る
ボンベの中の薬剤を混ぜ合わせます。

③息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。

④薬剤を吸い込む
吸入口を軽く歯でくわえます。息を吸い込み始めると同時にボンベの底を1 回しっかり押して、薬を「ゆっくり」「深く」吸い込みます。
※オープンマウス法という、口に咥えない方法もありますので、医師・薬剤師の指示に従って下さい。

⑤息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。

⑥うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流します。
※吸入器のキャップをはめて保管してください。

フルタイドエアゾールの吸入には、「同調(噴霧と吸入のタイミングをあわせる)」という動作が重要です。正しく吸入できるように、使い方を確認しておきましょう。

【参考情報】『<吸入器別>正しい吸入方法ディスカス/アドエア、フルタイド、セレベント』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/method04.html

3.フルタイドの副作用

フルタイドの主な副作用として、口の中および喉の不快感や違和感、むせ、嗄声(声のかすれ)などが報告されています。

これらは、吸入ステロイド薬に共通して見られる副作用であり、吸入後のうがいによって予防することができます。

フルタイドの吸入後には、毎回ブクブクうがい(リンシング)とガラガラうがい(ガーグリング)の両方を2~3回ずつ行いましょう。

4.使用上の注意点

フルタイドは、喘息の発作を抑える薬ではありません。発作が起こり、咳や息苦しさが強くなってきたときは、医師から処方された発作治療薬(リリーバー)を服用してください。

◆「もしも喘息発作が起こったら~緊急時の対処法~」>>

吸入ステロイド薬は、症状がなくなっても毎日正しく使用することが大切です。体調が良くなったからといって、自己判断で吸入回数を変更したり、使用を中止することは絶対にしないでください。

妊娠中やその可能性のある方、授乳中の方は医師に相談してください。

◆「喘息の女性が気になる妊娠中の不安や疑問に答えます」>>

【参考情報】『Pregnancy and Asthma』American College of Allergy Asthma and Immunology
https://acaai.org/asthma/asthma-101/who-gets-asthma/pregnancy-and-asthma/

5.フルタイドの薬価

フルタイドの薬価は、以下となります。

 ・フルタイド50ディスカス50μg60ブリスター 1013.9円

 ・フルタイド100ディスカス100μg60ブリスター 1424.1円

 ・フルタイド200ディスカス200μg60ブリスター 1848.7円

 ・フルタイド50μgエアゾール120吸入用8.83mg10.6g 1384.5円

 ・フルタイド100μgエアゾール60吸入用11.67mg7.0g 1445円

フルタイドの代わりとなるジェネリック医薬品や市販薬はありません。

6.おわりに

フルタイドと同じような、喘息治療用の吸入ステロイド薬には、以下のようなものがあります。

 ・パルミコート

 ・オルベスコ

 ・アニュイティ

フルタイドを使っても症状が良くならない人や吸入が難しいと感じる人は、ほかの薬が使えるかどうか医師に相談してみましょう。

◆「横浜市で呼吸器内科をお探しなら」>>

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