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風邪の初期症状と風邪かな?と思ったときの対処法

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年09月16日

風邪は安静にしていれば治る病気ですが、「たかが風邪」と思っていつもと同じように過ごしていると、治りが遅くなったり、こじれたりすることがあります。

この記事では、風邪の初期症状と、風邪のひきはじめの頃にできる対処法を紹介します。症状が軽いうちに、早めの対策をして元気を取り戻しましょう。

1.風邪とはどのような病気か


風邪とは、鼻やのどなど上気道の粘膜にウイルスが感染して起こる急性の炎症です。正式な名称は、「感冒」「風邪症候群」「急性上気道炎」などといいます。原因となるウイルスは、ライノウイルスやRSウイルスなど200種類以上あるといわれています。

初期症状としては、以下のようなものがあります。さらに、発熱や頭痛などの症状が現れることもあります。

 ・くしゃみ
 ・鼻水
 ・鼻づまり
 ・のどの痛み
 ・咳

また、ウイルスが気管支に広がると気管支炎、肺に達すると肺炎になることがあります。子どもは風邪をきっかけに中耳炎を起こすことも多いです。

◆「風邪をひいた時の基礎知識・対処法・病院受診の目安」>>

◆「咳がなかなか治らない理由」について>>

2.風邪のひきはじめのサイン


風邪のひきはじめには、以下のようなサインが現れることがあります。

2−1.寒気がする


急にゾクゾクっとした悪寒がして体が震えたり、厚着をしたり室温を上げても寒気が治まらないことがあります。これは、体温を上げてウイルスと戦うために、体が筋肉を震わせることで起きる現象です。

【参考情報】『発熱のメカニズム』テルモ体温研究所
https://www.terumo-taion.jp/health/basic/article08.html

2−2.ボーっとする


頭がボーっとしたり、異常な眠気に襲われて、仕事や勉強に集中できなくなることがあります。これは、免疫細胞から分泌されるサイトカインという物質の作用だと考えられています。

【参考情報】『Microbial Products and Cytokines in Sleep and Fever Regulation』NCBI
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29773024/

2−3.鼻やのどに違和感がある


鼻がムズムズしたり、のどがイガイガするような不快感を覚えることがあります。

妊娠初期にも、上記のような症状が出ることがあります。妊娠の可能性がある方は、風邪だと思い込んで市販薬を使うことがないように気をつけてください。赤ちゃんに良くない影響が出る恐れがあります。

◆「市販の咳止め薬は効く?効かない?」>>

3.風邪のひきはじめにしたいこと


風邪かな?と思ったら、なるべく仕事や家事の手を止めて体を休めましょう。「これくらいは大丈夫」と無理をすると、回復に時間がかかることがあります。

3−1.十分な睡眠


まずは十分に眠り、体力の回復に努めましょう。症状が軽いと、ついテレビやゲームなどの娯楽に手が伸びてしまうかもしれませんが、なるべく余計なことはせず安静にしましょう。

3−2.体を温める

風邪のひきはじめは、体を温かくして熱を上げましょう。発熱は体がウイルスと戦うために必要な反応なので、38℃くらいまでは無理に下げずに様子を見ます。汗をかきすぎるとかえって体が冷えるので、心地よい程度に温かくしてください。

熱が下がってきたら、薄着にして首の後ろや脇の下をタオルでくるんだ保冷剤などで冷やすといいでしょう。この場合も心地よい程度にし、不快なら冷やさなくても構いません。

【参考情報】『いつ冷やすどこ冷やす』大阪小児科医会
https://www.osk-pa.or.jp/child-care/cc2/20060901142.html

3−3.水分補給

発熱による脱水症状を防ぐため、こまめに水分を補給しましょう。体が冷えないように、常温か温かい飲み物を摂るのがおすすめです。

高齢者の場合は、のどの渇きが感じづらく、脱水に気がつかないことがあるため、意識的に水分を摂るよう心掛けましょう。

栄養ドリンクやエナジードリンクは、薬との飲み合わせが悪い成分が含まれていることがあるので、風邪薬や咳止め薬などを服用しているときは避けた方が無難です。飲みたい人は、薬剤師に相談してから購入しましょう。

3−4.部屋の加湿

乾燥した空気は、風邪で炎症を起こした鼻やのどの粘膜を刺激します。また、空気が乾燥するとウイルスが蔓延しやすくなるといわれています。加湿器や濡れタオルなどで部屋を加湿して、部屋の湿度を60%程度に保つようにしましょう。

身体にウイルスなどの侵入を防ぐ目的はもちろん、鼻やのどの粘膜の保湿として、マスクを付けることも効果的です。濡れマスクは保湿の効果がさらに高くなるので、おすすめです。

◆「咳が止まらない時こそ乾燥に注意!」>>

3−5.栄養補給

うどんやおかゆ、鍋物など、栄養があり消化がしやすいメニューがおすすめです。味噌汁やスープも水分と栄養が同時に摂れ、体も温まるので効率的です。

食欲がないときは食べなくてもよいですが、水分は忘れずに補給しましょう。

4.病院を受診する目安


初期のうちに適切な対処をすれば、ほとんどの風邪は長くても10日以内に治ります。

しかし、小児や高齢者など体力が乏しい人や、過労やストレスで体力が落ちている人は、風邪で弱った体に、さらにウイルスや細菌が感染して、気管支炎や肺炎になることがあります。

特に高齢者は、肺炎になっても軽い風邪のような症状しか出ないことも多いので注意が必要です。

◆「肺炎の症状・検査・治療の基本情報」>>

◆「子どもに多いRSウイルスとは?」について>>

風邪がなかなか良くならず、以下のような症状があるときは、病院を受診しましょう。

 ・咳がひどくて眠れない
 ・咳がひどくて呼吸が苦しい
 ・咳が2週間以上続いている
 ・微熱が2週間以上続いている

◆「「風邪をこじらせた」と思う時に疑われる5つの病気」>>

新型コロナウイルス感染症も、風邪のような症状から始まることが多いです。コロナかもしれないと思ったときは、かかりつけ医に電話で相談するか、お住まいの市区町村のホームページから窓口を探して相談してください。

◆「新型コロナウイルス感染症の基本知識」>>

5.おわりに

寒気やだるさを感じ、風邪をひいたかも?と思ったときは、初期のうちに体を休めた方が早く回復に向かいます。

しかし、安静に過ごしているにもかかわらず、咳や発熱が続いているときは、風邪をきっかけに肺炎が引き起こされたり、風邪とよく似た別の病気にかかっている可能性があるので、病院を受診してください。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

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