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喘息の方がやるべき新型コロナウイルス感染症対策

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年10月02日

新型コロナウイルス感染症と喘息の関係については解明されていないことも多く、まだ明確なことは言えません。
むしろ、「こうであるに違いない」と決めつけるような情報にはよく注意をしなくてはなりません。
 
とは言え、これまでの研究や調査で明らかになっていることや、注意すべきことなど、ある程度分かっているものもあります。

今回紹介する内容は一般論として捉えていただければ幸いです。

1.喘息は基礎疾患なのか?

すでに新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種した方もいらっしゃると思いますが、「基礎疾患を有する人」は優先接種の対象とされています。
 
対象となる病気の中には、「慢性の呼吸器の病気」という項目が含まれています。
基本的に喘息は「慢性の呼吸器の病気」に該当しますので、積極的なワクチン接種を検討すべき症例であると言えます。

【参考資料】『新型コロナワクチンについて』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

◆「新型コロナウイルス感染症の基本知識」>>

2.喘息は重症化のリスク因子ではない

喘息が基礎疾患に入るとはいえ、「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き」第4版によると、新型コロナウイルス重症化のリスク因子は以下のように定められています。

●65歳以上の高齢者
●慢性閉塞性肺疾患(COPD)
●慢性腎臓病
●糖尿病
●高血圧
●心血管疾患
●肥満(BMI 30以上)

この中には「喘息」という文言は組み込まれていませんし、「要注意な基礎疾患」という項目にも該当していません。喘息があるからといって必ずしも重篤な状態になるというわけではないようです。
 
【参考情報】「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き」第4版
https://www.mhlw.go.jp/content/000702064.pdf

◆「新型コロナウイルス感染症が呼吸器の病気に及ぼす影響」>>

3.基本的な感染対策と健康管理が有効

しかし、喘息患者さんが新型コロナウイルス感染症を患うことで、肺だけではなく気管支や気道に大きなダメージを受けてしまうことは間違いありません。

喘息患者さんの気道は、慢性的な炎症によって常にストレスが与えられた状態になっています。ウイルスや細菌感染によって炎症が悪化すれば、通常以上に喘息発作が起こりやすい状態になってしまうことは言うまでもありません。
 
だからこそ、喘息患者さんはその周りの人を含めて、基本的な感染対策や健康管理、体調を崩さないような生活習慣が重要となります。

【参考情報】『Coronavirus (COVID-19): What People With Asthma Need to Know』AAFA(Asthma&Allergy Foundation of America)
https://community.aafa.org/blog/coronavirus-2019-ncov-flu-what-people-with-asthma-need-to-know

今では常識となっているマスク着用や手指消毒、ソーシャルディスタンスなどの感染対策、不特定多数の人が集まる場所に出かけないようにすることなど、ごく基本的なことを日々実践していきましょう。

◆「新型コロナウイルスに感染しない・させない予防法」>>

4.おわりに

新型コロナウイルス感染症を恐れるあまり、通院するのが怖くなったという方もいらっしゃることと思います。
しかし、通院しなくなることで、今まで問題なく継続できていた治療にも支障をきたしてしまったり、ストレスによって喘息の病態が悪化してしまう可能性もあります。

【参考情報】『新型コロナウイルスの感染拡大によって医療機関への受診を悩んでいらっしゃるぜん息患者さんへ』アストラゼネカ
https://www.539zensoku.jp/covid19/

喘息の治療は長期間に渡ってコツコツと続けていく必要がありますので、コロナが不安だからという理由で喘息の治療をやめてしまうことは避けなければなりません。
通院に対して恐怖や不安を感じられる方は、自己判断で診察をキャンセルしたり、お薬を中止したりせずに、かかりつけの医師にご相談ください。

◆「新型コロナウイルス感染症の咳の特徴」>>

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