医師が教える!血糖値を下げる5つの方法

監修: 三島 渉(医学博士、上六ツ川内科クリニック理事長)
呼吸器学会専門医/禁煙学会専門医/アレルギー学会専門医/内科学会認定医
医療法人社団ファミリーメディカル理事長

毎年の健康診断や病院での血液検査で「血糖値が高い」と言われたことはありませんか?

「今までも指摘されていたけどどうすればいいのか分からない」
「自分なりに気をつけていたけどなかなか良くならない」
「テレビや雑誌などいろいろあるけど何を信じたらいいの?」など・・・

当院でも多くの患者様からそのようなお声を聞いています。

血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度を示します。通常、体内ではこれが常に一定になるように調節されています。
しかし、なんらかのトラブルにより調節がうまくいかなくなることで「血糖値が高い」状態になってしまいます。
そして、その原因の多くは普段の生活習慣にあると考えられます。

そこで今回は、血糖値を下げる5つの方法についてご紹介していきます。

今まで自己流でコントロールしてきた方は必見です。

「血糖値を下げたい!」
と思われる方はぜひ最後までお読みください。

1.糖質コントロール

食事療法は高血糖、糖尿病を抱える方にとって基本中の基本であり、もっとも重要な方法です。
食事の際に糖質を上手にコントロールすることで、血糖値の安定化に役立ちます。

といってもあまり神経質になるとストレスが溜まってしまいますよね。
そこで、必要なエネルギーを摂取しながら血糖値を正常に保つためのポイントを6つご紹介します! 

①主食を減らして、おかずを増やしましょう
②タンパク質を積極的に摂りましょう 
③野菜を食べて、食物繊維をしっかり取り入れましょう
④炭水化物を食べる時には順番や素材に気を付けましょう
⑤フルーツは、食べる量と食べる時間に注意
⑥外食時はバランスと量に注意

①主食を減らして、おかずを増やしましょう
食事に含まれる糖質は、食後の血糖値を上昇させます。
ごはんやパン、パスタやうどんなどの麺類には糖質が多く含まれているので、糖尿病や糖尿病予備軍の方は、量を減らしましょう

「主食を減らすとエネルギーが不足するのでは?」

と心配になるかもしれませんが、主食を減らした分おかずを増やして肉や魚、野菜をたくさん食べれば、必要なエネルギーは十分に確保できます。

血糖値を下げるためには糖質量の調整が最も重要です。
忙しいとおにぎりや菓子パン、カップ麺だけ…などつい単品になってしまいがちですが、血糖値の急上昇の原因となってしまいます。

例えばおにぎりの時には焼き鳥(塩味)や卵などのおかずや野菜サラダをプラス、菓子パンよりはレタスや卵、肉など具の入ったサンドイッチを選ぶなど糖質以外の食品を一緒に食べられる選び方を工夫してみましょう。

◆糖質はこんなものに多く入っています◆

穀類
米、小麦、せんべい、パン、麺類など

芋類、豆類
○○イモなど名前に”イモ”がつくもの
緑豆(はるさめ)など

果物
バナナ、果物全般

市販のおかず
芋や根菜の煮物、甘い煮豆、佃煮、
餃子やシュウマイ、衣のついた揚げ物など

飲み物
フルーツジュース、清涼飲料水、
スポーツドリンク、ヨーグルトドリンクなど

甘味料
砂糖、はちみつ、黒糖、水あめなど

②タンパク質を積極的に摂りましょう
「肉を食べると太る」などの思い込みから、タンパク質の豊富な食べ物を控えてはいませんか? 

しかしタンパク質は、私たちのからだをつくるためには欠かせない大切な栄養素であり、最近の研究では、食後の血糖値をほとんど上げないことが明らかになっています。

タンパク質には、動物性タンパク質と植物性タンパク質がありますが、食材によって含まれるアミノ酸の種類が違うので、肉・魚・卵・大豆製品の4種類をバランスよくたっぷり摂ることが大事です。
また、加熱すると減ってしまうので、「サッと焼くだけ」「ゆでるだけ」のようなシンプルな調理法がおすすめです。

タレやドレッシングには糖質が多く含まれていることがあるので、しょうゆや塩、レモン、コショウなどナチュラルな調味料や香辛料で味付けして、素材の持ち味を生かしましょう。

生鮮食品だけでなく、長期保存が可能な食品も活用することでいざという時にも安心です。

<例>
調理済みで真空パック済のもの(鶏肉の燻製、焼いた肉など)
缶詰(魚やうずら卵など水煮缶、大豆缶など)

③野菜を食べて、食物繊維をしっかり取り入れましょう
野菜は一般に低エネルギーなので、ごはんの代わりにたくさん食べておなかをいっぱいにすることができます。
野菜は食物繊維が豊富なものが多く、食品中の糖が吸収されるのを遅らせ、食後の血糖値の急上昇を防いでくれます

糖尿病をはじめとする生活習慣病や成人病の予防には、1日350g以上の野菜を食べると良いといわれています。
ただし、ポテトサラダやマカロニサラダなど、材料にいも類やパスタが使用されているものは糖質が多く、血糖値が上がってしまうので避けましょう

食物繊維・5つのはたらき

●噛みごたえがアップ
咀嚼回数が増え、体内で膨張するので、満腹感が得られる

●便秘の予防・改善
繊維の多いものを食べれば便の量が増え、便が柔らかくなる

●有害物質の排泄を促進
発ガン性物質などの有害物質を吸着して体外に排出する

●腸内環境を整える
腸内の善玉菌を増殖させ、悪玉菌を減少させる

●グルコーススパイクを防ぐ
ブドウ糖の消化吸収をゆるやかにし、食後血糖値の上昇を防ぐ

また、サラダに市販のドレッシングやマヨネーズをたっぷりかけるのも禁物です。
どうしてもドレッシングをかけたい時は、からだに良い油と注目されているオリーブオイルに、塩・酢(またはレモン汁)、さらにお好みでコショウ・すりおろしにんにくを加えてよく混ぜるだけでヘルシーで美味しいドレッシングができるので、ぜひ試してみてくださいね。

ただし、腎臓に問題がある方の場合、生野菜に含まれるカリウムを制限する必要があります。
そんな時は、一度お湯で茹でこぼしたり水にさらしたりして、カリウムを減らしてから食べましょう。

<野菜を毎日食べるコツ>
野菜をたくさん食べた方が良いのは分かるけど、手間がかかるし、毎日は大変・・・。
そんなあなたにちょっと一工夫で野菜を手軽に摂る方法をご紹介します。

・コンビニやスーパーのお弁当にする時は、野菜サラダも一緒に買う
調理が難しい場合、まずは1品追加することから始めてみましょう。 
コンビニやスーパー以外にも、外食でレストランを利用したり社員食堂で食事をする際は、サラダやお浸しなど野菜の小鉢を付けることで野菜を積極的に取り入れましょう。

では、最近たくさんの種類が出回っている野菜ジュースはどうでしょうか?
「野菜ジュース1本で1日分の野菜が摂取できる」と謳っているものがあり、健康に気を遣っている方は飲まれている方も多いのではないでしょうか。
ですが、それだけに頼ってしまうのはおすすめできません。
市販されている野菜ジュースは加工の段階で糖や塩が添加されていたり、熱に弱いビタミンが失われていることがあります。

また、食物繊維には水分に溶けるもの(水溶性)と溶けないもの(不溶性)があり、野菜ジュースに入っているのは水溶性食物繊維だけです。不溶性食物繊維は飲んだ時の口当たりをよくするために取り除いており、ほとんど残っていません。
食物繊維は水溶性と不溶性の両方を摂ることが大切ですので、野菜そのものからの摂取が基本です。

その他、ご自宅などで野菜の摂取量を増やすためには以下のような方法もオススメです。
・みそ汁に野菜をたっぷり使い、具だくさんにする。
・シンプルな野菜スープをたくさん作り置きしておく。
・ミニトマトやキュウリ、ニンジン、セロリなど、手間なく食べられる野菜を買っておく。

さらに、野菜を無駄なく使うために、休日など時間のある時に下ごしらえをして冷凍保存しておくことも普段の生活の中で時短しながら野菜を上手に取り入れるコツのひとつです。
ご自身のライフスタイルに合わせてぜひ積極的に野菜を食べましょう。

④炭水化物を食べる時には順番や素材に気を付けましょう
ごはん、麺類、パンなどの炭水化物には糖質が多く含まれているため、食べた直後から血糖値が急上昇します。

「分かっているけど食べたい・・・」

そんなときには、血糖値が急上昇しないような工夫をしましょう。
その方法として、食べる順番を変えるだけでも血糖値の急上昇を防ぐことができます。

まず最初に食物繊維の多い野菜をゆっくりとよく噛んで食べます。
次に、水分の多い汁物を食べ、その後に肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質を食べ、一番最後にごはんや麺類などの主食を食べましょう。
そうすることで糖質の全体量を減らすことができますし、糖の吸収も抑え血糖値の急上昇を防ぐことができます。

次に、ごはんやパンの選び方にもポイントがあります。

ごはんが食べたい時には白米に雑穀や玄米をブレンドすることで噛みごたえが出て少量でも満足感を得ることができますし、血糖コントロールに有効な食物繊維やミネラルも摂取することができます。

また、パンの場合も食物繊維の豊富な全粒粉やライ麦のものを選ぶと良いでしょう。
麺類の場合は、消化の良いうどんよりも十割蕎麦の方が血糖値の上昇が緩やかで、食物繊維やミネラルが豊富なのでおすすめです。

⑤フルーツは、食べる量と食べる時間に注意
「フルーツは甘いけど大丈夫なの?」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、フルーツに含まれる糖質は血糖値を上昇させにくいので、適量であれば食後高血糖にはなりにくいのです。 
ビタミンCは水に溶けやすいため、ゆで野菜ではゆで汁に流れ出てしまいますが、フルーツを生でいただけばしっかりとビタミンCを取り込むことが出来ます。

ただし、フルーツに含まれる果糖は食べ過ぎると中性脂肪に変わってしまいますから、毎日食べるのはあまりおすすめできませんが、食べる場合には80kcal以内くらいの適量を守りましょう。

<80kcalの目安 ※いずれか1種類>
・キウイフルーツ1個
・グレープフルーツ半分
・いちご5,6粒
・りんご半分
・みかん2個
 
フルーツは食べる時間にも注意が必要です。
夕方から夜間にかけて食べると、眠った頃に血糖値を上げてしまうことになります。
睡眠時に血糖値が高くても、運動するわけではないので消費されません。
一番良いのは基礎代謝が高い朝ですが、3時のおやつタイムくらいまでならば食べても大丈夫でしょう。

ただし、加工の段階で糖がたっぷりと添加されているジュースやドライフルーツ、缶詰などの加工品には注意が必要です。

⑥外食時はバランスと量に注意
外食メニューは栄養素が偏っていることが多いので、メニュー選びには十分気を付けなくてはいけません。

糖質のかたまりとも言える丼ものやラーメン、パスタ、ファーストフードなどを選ぶより、小鉢のついた定食やサラダバーがあるなど、野菜やタンパク質が摂れるメニューが置いてあるお店選びをすることがポイントです。

アルコールは、血糖値の激しい変動がなく糖尿病が進行していない場合に限り、少量であれば飲んでもかまいません。
ただし、お酒の種類によってエネルギーに差があるので、気を付けましょう。

ビールや日本酒は糖質が多く含まれるためあまりおすすめしません。
血液をサラサラにするポリフェノールが含まれている赤ワインや、糖質が少なくアルコール度数が低めの焼酎やウイスキーがおすすめですが、いずれもほどほどが原則です。

また、おつまみの食べすぎにも注意が必要です。
野菜や肉・魚などを中心にシンプルな味付けのものを選ぶようにしましょう。


★食べ物の誘惑に負けないために・・・
糖尿病の予防や治療では、とにかく「食べ過ぎない」ということが大事です。
でも、大好物が目の前にあると“つい”手が出てしまったり、食べ物を残すのがもったいなくて“つい”全部食べてしまったり・・・。
そもそも、このように食べ物の誘惑に弱い人が高血糖に陥りやすいことは確かです。
目の前にあるものをガマンするのはとてもストレスが溜まることだと思いますので、
「余計な食べ物は買わない」
「いつでも手が届くところに置かない」
「食事を作りすぎない」
「食べ放題の店には行かない」
「グルメ特集の番組や雑誌は見ない」

など、おいしいものになるべく関心が向かないように、自分に合った誘惑対策を立ててみましょう。

2.グルコース(血糖値)スパイクを防ぐ

「グルコース(血糖値)スパイク」という言葉を聞いたことはありますか?
2016年10月にNHKではじめて「グルコース(血糖値)スパイク」が取り上げられてからは、いくつかのTV番組でも特集が組まれるなど世間でも注目を集めはじめている言葉なのです。

実は、最近では糖尿病ではない人の中に、「空腹時の血糖値は正常でも “食後の短時間だけ”血糖値が急上昇する」という現象が起きていることがわかってきました。

食事の後は誰でも、食べ物に含まれる糖質の影響で血糖値はゆるやかに上がりますが、インスリンの働きに何らかの問題がある人は、食後の血糖値が急上昇し、その後急降下することがあります。

このように血糖値の急上昇・急降下を繰り返す現象を「グルコース(血糖値)スパイク」と言います。

グルコーススパイクが起こると活性酸素が大量に発生し、血管がダメージを受けます。すると傷ついた血管を修復しようと免疫細胞が集まり、血管の壁が厚くなります。 その結果、血液の通り道が狭くなり血流が悪くなるため、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まるのです。

さらに、心筋梗塞や脳卒中などの大病だけでなく、日々のイライラや不安、疲れ、頭痛などの引き金になっている可能性もあります。

・グルコーススパイクはどうやってわかる?
一般的な健康診断は空腹の状態で行うことが多く、空腹時の血糖値が高いと糖尿病が疑われますが、グルコーススパイクのある人は空腹時の血糖値は正常です。

さらに糖尿病の可能性を判断するヘモグロビンA1c(HbA1c)の数値も正常であることが多いので、健診では問題が見落とされがちですが、検査を行えば食後の血糖値を調べることができます。また、血糖値を自分で測定できる機械も販売されているので、そちらを利用してもいいでしょう。

自覚症状としては、食後の血糖値が急激に上がると、頭痛や眠気からだのほてりなどが現れることがあります。

以下、チェックポイントを紹介しますので、いくつかあてはまる方は一度検査することをおすすめします。

●食後2時間以内(早い人では1時間くらいから出る)
□頭痛
□ほてり
□動悸
□発汗、急な空腹感

●食後2時間以降(3、4時間後)
□手のふるえ
□冷え
□強い空腹感
□眠気
□うつ感、集中力の低下

●睡眠時(夜間のグルコーススパイク)
□夜間のからだのこわばり
□中途覚醒
□疲れがとれない
□発汗(寝汗)

※出典 『「血糖値スパイク」が心の不調を引き起こす』(溝口徹/青春出版社)

・インスリンスパイクについて
グルコーススパイクが起こると同時にインスリン(血糖値を下げるホルモン)が大量に分泌される「インスリンスパイク」も起こると考えられています。

通常、血糖値はホルモンによって調整されて一定の範囲内に収まっています。
ところが糖質の摂りすぎや腸のトラブル、体質などにより血糖値が急激に上がると、その調節のためにインスリンが大量に分泌され、血糖値を下げようとします。

すると今度は下がりすぎた血糖値を上げるためにアドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなど興奮系のホルモンが分泌されます。

インスリンスパイクによって血糖が乱れると自律神経が乱れるので、イライラやうつ症状など心の不調を引き起こします。また、脂肪の合成が促進されるので太りやすくもなります。
さらにグルコーススパイクのある人は、がんや認知症のリスクが上がると指摘されています。

血糖値は血液中のブドウ糖の濃度を示しており、食べ物に含まれる糖質の影響を受けています。
糖尿病ではなくても、パンやごはん、パスタなど糖質の多い食事が好きな人は、グルコーススパイクを起こしている可能性があります。

グルコーススパイクのある人は糖尿病予備軍と考えられます。
糖尿病へ進行させないためにも糖質をコントロールして、血糖値が上がりにくい食べ方を心がけましょう。

3.腸内環境を整える

次に、腸内環境についてお話したいと思います。
「血糖値の話なのに、なぜ腸内環境?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、血糖値について触れる上で腸内環境は無視できない存在なのです。

わたしたちの腸は、3万種類以上、1000兆個以上の腸内細菌が棲んでおり、食べ物の消化・吸収だけでなく、免疫力の維持、ビタミンやホルモンをつくったりとたくさんの役割を担っています。

善玉菌、悪玉菌、日和見菌などたくさん存在する腸内細菌がバランスよく働いている場合には心や体に不調をきたしにくいですが、いったんバランスが崩れ腸内環境が悪くなると、血糖値の調節にも悪影響を及ぼしてしまいます。

食事から摂取した糖質は小腸で吸収され、血液中を流れ、インスリンの働きにより体内の様々な組織で貯蔵・利用されることで血糖値はある一定の範囲に収まります。

しかし、腸内環境が悪くなることで網目のような構造をした腸の粘膜が荒れ、網目が荒くなり、穴が開いたような状態になってしまいます。

すると、GLP-1という物質の分泌が低下することが分かっています。
GLP-1とは、腸などの消化管に入った糖質を認識すると血糖値を下げるためにインスリン分泌を促進する物質です。

つまり、腸の粘膜が荒れることが、直接、血糖値を上昇させてしまう原因になるということなのです。

≪1.糖質コントロール≫でお伝えしたように血糖値を下げるためには、タンパク質・食物繊維をたくさん食べ、糖質の摂取量を少なくすることが大切です。

また、糖質の過剰摂取は血糖値を上昇させるだけでなく、腸内環境を悪化させる原因でもあります。
その原因のひとつとしてグルテンが知られています。
グルテンはパンやケーキのふわふわもちもちとした食感のもとになる成分ですので、パン好き、小麦を使ったスイーツ好き、パスタ好きの方は、もしかすると腸内環境があまり良くないかもしれません。
グルテン摂取の多い食事の方だけでなく、下痢や便秘など腸が弱い自覚がある方は特に注意が必要です。

では、腸内環境をよくするためにはどうすればよいのでしょうか?

効率よく重要なのは、善玉菌のエサとなる食物繊維をとることです。
食物繊維は野菜や海藻、きのこ類に多く含まれます。
ぜひ「食物繊維が豊富な食品を使った料理がまったく食卓にのっていない状況」をつくらないよう意識してみてください。

その他に、“善玉菌を増やす乳酸菌の代表格”としてしてヨーグルトを思い浮かべる方も多いかと思います。

乳酸菌には種類により人それぞれ相性があり、その相性があわなければ腸に対する効果をうまく引き出すことができません

ヨーグルトを食べ続けることによって糖分の摂りすぎになったり、乳タンパクによるアレルギーを起こす心配もありますので、デザート程度に考えておくのが良いでしょう。

日本独特の発酵食品である味噌やしょうゆ、納豆などには多種多様な菌が含まれており、ヨーグルトのような乳タンパクによる弊害も考えにくいため腸内環境を整える効果が期待できます。

さらに最近では、腸を元気にする乳酸菌生産物質が注目されつつあります。

「乳酸菌」という言葉が入っていますが、実は乳酸菌とは異なる物質です。

私たちが食べた物は胃で消化された後、善玉菌が腸内で働いてオリゴ糖を生み出します。
そしてそのオリゴ糖をエサにしてさらに善玉菌が増えていきます。増えた善玉菌は酵素・核酸・アミノ酸・ビタミン・ミネラルなど身体の健康維持に不可欠な有効成分を生み出します。
これが乳酸菌パワーと言われているものの正体です。

この乳酸菌から生まれる有効成分を天然素材を用いて培養・発酵させたものが乳酸菌生産物質です。

乳酸菌生産物質は、腸内に直接届いて善玉菌が増える手助けをしてくれます。
乳酸菌のような「生物」ではないので胃酸や胆汁などの影響で死滅する心配がなく、免疫力アップにチカラを発揮してくれる優れた物質なのです。

食物繊維やタンパク質中心のバランスのとれたお食事とともに、乳酸菌生産物質のサプリメントをぜひとも生活に取り入れていただくことをおすすめします。

4.運動

運動療法は血糖値コントロールにおいて食事療法と並ぶとても大切な要素です。
適度な運動は食事で摂った過剰なエネルギーを消費して肥満を防ぎ、血流を促して合併症の予防にもなります。


①運動にはどんな効果があるの?
家でゴロゴロすることが多かったり座って過ごすことが多い人は、そうでない人に比べて糖尿病のリスクが約2倍になるといわれています。

運動が効果的な理由は、次の3つです。
・運動するとすぐにブドウ糖が消費され、血糖値が下がる
・インスリン分泌に頼らずに血糖値が下がる
・運動習慣をつけるとインスリンが効きやすい体質になり、血糖値が長期的に下がる

このほかにも、
「血圧を下げる」
「中性脂肪を減らす」
「足腰が強くなる」
「骨粗しょう症が予防できる」
「持久力が向上する」
など、運動にはたくさんの利点があります。

②血糖値を下げるにはコレ!優秀な“ウォーキング”
「糖尿病は歩いて治す!」と、高血糖を克服した人たちが口を揃えて言っています。
有酸素運動の代表格であるウォーキングは血糖値をダイレクトに下げる効果があり、また手軽に始められるのでとてもオススメです。

1日20分以上歩く人は、ほとんど歩かないという人に比べると糖尿病の発症率は30%も低いという報告もあります。

ウォーキング時の服装は、動きやすく、気温に合ったものを着用しましょう。
汗をかきやすい時期には吸湿性がよく、寒い季節には保温性のある服装が好ましいです。

歩くときは手をなるべく大きく振り、大股で早歩きをしましょう。
20分以上歩くのが望ましいですが、まずは10分程度でもOK!

家までの道のりをちょっと遠回りしてみたり、バス停をひとつ手前で降りてみたり、いつもなら車で行くスーパーまで歩いて行ってみたりと日常生活に取り入れることから始めて、歩くことに慣れてきたら徐々に距離を延ばしていきましょう。

③運動はいつやるのがいい?
運動は、食後、血糖値が上昇している30分以内に歩くことがおすすめです。
食事のあとはお茶でも1杯飲んでゆっくりしたいところですが、食直後に歩くことで、インスリンを使わずに筋肉に糖を取り込むことができ、血糖値スパイクを防ぐことができます。

これは、動くことで筋肉が糖をほしがることを利用した方法です。

もし食後に歩くことができない場合には、その場でできるだけ高くももを高く上げて足踏みをするのでもいいでしょう。何より筋肉を動かしながらの有酸素運動であることがポイントです。

④運動を長続きさせるコツ
運動があまり好きでないという人にとっては、運動療法はちょっと負担に感じられるかもしれませんね。
「毎日これをやらなきゃ!」と思ってしまうと逆にストレスになるので、「その日の気分でやりたい運動を、やれる範囲でやる」というスタンスでいくのが長く続けるコツです。

もし外に出る気分でなければ、家の中で階段を上り下りしてみたり、いつもより念入りに部屋の掃除をしてみたりなど、少しずつで良いので毎日からだを動かすようにしましょう。

⑤運動療法で気を付けてほしいこと
<必ず準備体操をしましょう>
急に運動を始めると筋肉や関節を痛めることがあるので、運動前には軽く準備体操を行いましょう。

基本は全身のストレッチ。
反動を付けるのではなく、一か所につき10~30秒かけてゆっくり伸ばし、無理のない程度に行ってください。

<水分補給を忘れずに>
運動中や運動後にのどが渇くのは、汗をかいた証拠です。
こまめに水分補給をしないと脱水症状を引き起こす恐れがあるので、注意が必要です。
糖分が多く含まれるジュースやスポーツドリンクは避けて、水か麦茶での水分補給が基本

ただし、発汗が激しくより早く水分吸収が必要な時は、塩をほんの少量混ぜた食塩水か、糖分を含まないノンカロリーのスポーツ飲料でも良いでしょう。
のどが渇いてから一度にガブガブ飲むのではなく、少量ずつこまめに飲むようにしましょう。

<運動は体調の良い時に>
血糖コントロールが良好でなく、空腹時の血糖値が250ml/dlを超えるような時は、運動によってさらに血糖値が上がることもあるため、運動は控えてください
また、血圧が高い時や関節の痛みがある時など、体調が良くない時には無理をしないようにします。
もしも運動中に息苦しさや胸痛、吐き気などを感じたら、すぐに運動を中止して医療機関を受診してください。

5.薬物療法

食事・運動療法に加えて、薬物療法が併用されることがあります。
糖尿病の薬物療法は、血糖値を下げて合併症を予防することを目的として行われるもので、糖尿病そのものを治すためのものではありません。

本来であれば食事・運動療法で血糖値をコントロールするのが理想ですが、それだけでは難しい場合には薬による治療が必要になることがあります。

糖尿病で使われる薬には、大きく分けて①経口血糖加工薬(飲み薬)②注射薬とによる治療があり、一般的には経口血糖降下薬はⅡ型糖尿病に、インスリンはⅠ型糖尿病に用いられます。

①経口血糖加工薬(飲み薬)
飲み薬には、「インスリンの分泌を促す薬」「インスリンの働きをよくする薬」「糖の吸収や排出を調整する薬」などがあります。
糖尿病のタイプや患者さんの状態に応じて医師によって選択されます。

②注射薬
注射薬には、インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬があります。
インスリン製剤は不足したインスリンを補うもので、「食事とは関係なく一日中出ている基礎分泌を補うタイプ」「食事による血糖の上昇に即して出る追加分泌を補うタイプ」「両方の分泌を補うタイプ」があります。

薬物療法で最も注意しなければならないのが、低血糖です。

薬物療法は血糖値を下げるために行うものですが、必要以上に下がってしまうのはよくありません。
重度の低血糖になると、昏睡状態に陥り、命が危険にさらされることもあるからです。

低血糖は、薬が効きすぎたり、薬を服用するタイミングを間違えた時などに起こりやすくなります。
例えば、食事を抜いているのに薬を飲んでしまった時や、食後だいぶ時間が経ってすでに血糖値が下がった段階で薬を飲んでしまったときです。
また、激しい運動をした時やお酒を飲んだ時などには、薬を飲んでいなくても低血糖を起こすことがあるので十分注意しましょう。

低血糖の症状が起こるパターンは人それぞれ違いますが、一般的に血糖値が70 mg/dlを下回ると起こるとされています。
最初は異常な空腹感や脱力感、動悸などを感じるケースが多く、50 mg/dl以下になると中枢神経の動きが低下して、目がかすんだり眠気が起こったりします。
さらに下がって30mg/dl以下になると、昏睡状態に陥ることがあります。
こうなると生命に危険があるので、すぐに医療機関で診てもらわなければなりません。


※もしも低血糖になってしまったら・・・
「低血糖かな?」と感じたら、とにかくすぐに糖分を補給しなくてはいけません。
日ごろからブドウ糖やスティックシュガーなどを携帯し、いつでも摂取できるようにしておいましょう。

ただし、アメやチョコレートは糖が吸収されるまでに時間がかかるので、緊急時には向いていません
そして糖分が補給できたら、なるべく安静にします。
症状が15分以上続くときには、医療機関を受診しましょう。

また、低血糖の初期症状は人によって違いますが、毎回同じ症状が起こる場合が多いので、自分の初期症状を把握しておくことが大切です。

まとめ

いかがでしたか?
このように、血糖値は日々の食事管理や運動によって下げることができます。
将来、糖尿病へ進行してしまったり、人工透析、手術が必要になるような重い糖尿病に進行してしまう前に、自己管理をしっかり行って血糖コントロールしていきましょう!

●血糖値は糖質の摂取量でコントロールすることができます。
●糖質を減らす代わりにたんぱく質・野菜などのおかずをしっかり食べましょう
●フルーツは糖質が多いものなので適量を守りましょう
●ご飯やパンなど主食を食べる時は順番や種類を工夫しましょう
●空腹時血糖は正常でも食後血糖値が急上昇するグルコーススパイクが存在します
●腸内環境の悪化は血糖コントロールに悪影響を及ぼします
●バランスのとれた食事と併せて乳酸菌生産物質の摂取もおすすめです
●食後に有酸素運動をすることでインスリンを使わずに血糖値を下げることができます
●食事・運動療法で改善しない場合は薬を使って血糖値を下げる薬物療法があります

監修者プロフィール

三島 渉 (医学博士、上六ツ川内科クリニック理事長)
呼吸器学会専門医/内科学会認定医/禁煙学会専門医/アレルギー学会専門医
医療法人社団ファミリーメディカル理事長

平成9年横浜市立大学医学部卒業。呼吸器内科専門医として活躍する一方、現代医学の限界を痛感。医学研究による解決を目指し、横浜市立大学大学院入学。分子細胞生物学を専門として、がん転移に関連する細胞機能の研究を行い、平成17年医学博士取得。

その後再び臨床の現場に戻るも、症状がひどくなってからでないと来院してもらえない医療の世界の構造的な問題を認識。

「症状がまだ軽いうちに気軽にかかってもらえるクリニックをつくろう」と決意し、平成19年横浜市南区に呼吸器内科専門の「上六ツ川内科クリニック」を開院。病気が進行すると改善が難しい呼吸疾患の早期発見・早期治療の重要性を伝えている。

現在、毎月500人以上の喘息患者と100名以上のCOPD患者を診療。禁煙治療にも力を注ぎ、呼吸器疾患で苦しむ人のいない社会の実現を目指している。年間約100名の禁煙指導を行い、84.6%の禁煙成功率を達成している。

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