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喘息・COPD治療薬「ブデホル」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2025年12月21日

ブデホルは、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に用いられる吸入薬です。

この記事では、喘息の基本的な知識から、ブデホルという薬の特徴、使う際のポイント、小児喘息における注意点、そして治療を継続するための工夫までを解説します。

患者さんご本人だけでなく、ご家族にも役立つ内容をまとめましたので、安心して日常を送るための参考にしてください。

1.喘息とは


喘息は、気道に慢性的な炎症が続くことによって、呼吸がしにくくなる病気です。

炎症によって気道が過敏になり、ちょっとした刺激で咳などの症状が出やすくなります。

<喘息の主な症状>

 ・咳

 ・息苦しさ

 ・喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)

これらの症状は一時的に落ち着くこともありますが、気道の炎症そのものは持続していることが多いため、放置すると再発や悪化を招くリスクがあります。

喘息治療の最大の目的は、症状をコントロールし、発作を予防して、健康な人と変わらない生活を送ることです。

単に「咳を止める」ことではなく、「気道の炎症を抑えて安定した呼吸を保つ」ことが重要になります。このため、吸入薬を中心とした長期的な治療が必要とされます。

◆「喘息」についてもっとくわしく>>

2. 喘息治療の基本


喘息の治療は「発作が出たときに対処する」のではなく、「日常的に気道の炎症を抑え、症状を起こさないようにする」ことが中心です。

2-1.治療の柱は吸入薬

喘息治療では、以下の吸入薬が重要な位置づけを持っています。

 ・吸入ステロイド薬(ICS):気道の炎症を抑える

 ・長時間作用型β2刺激薬(LABA):気道を広げて呼吸をしやすくする

これらを組み合わせた配合薬が処方されることも多く、ブデホルもその一つにあたります

◆「吸入薬」についてくわしく>>

2-2.非薬物療法も大切

薬物治療だけでなく、生活習慣の改善も喘息コントロールに欠かせません。

<禁煙>
たばこの煙は喘息悪化の最大要因のひとつ

<アレルゲン回避>
ダニやハウスダスト、花粉など環境要因の対策

<適度な運動と規則正しい生活>
体力を維持し、免疫バランスを整える

薬と生活習慣の両面から取り組むことで、喘息は安定しやすくなります。

2-3.治療を継続することの意味

症状が落ち着くと「もう薬はいらないのでは?」と感じる方もいますが、それは誤解です。

喘息は「症状がないときでも気道に炎症が残っている」ことが多く、薬をやめると再び悪化する危険があります。

急に治療を中断すると、発作が起きやすくなったり、夜間に咳で目が覚めたりすることがあります。

さらに重症化すれば入院が必要になることもあるため、「症状がない=治った」ではなく、「症状がなくても治療を続ける」ことが大切です。

3. ブデホルとは


喘息治療にはさまざまな吸入薬が使われていますが、その中で「ブデホル」は比較的よく知られている配合吸入薬のひとつです。

3-1.ブデホルの成分

ブデホルは、ブデソニド(Budesonide) と ホルモテロール(Formoterol) の2つの成分を組み合わせた薬です。


ブデソニド(ICS:吸入ステロイド薬)
気道の炎症を抑えるために使われる薬。喘息の基本治療薬として位置づけられ、長期的に使用することで症状の安定を目指します。

【参考情報】『Budesonide (oral route)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/budesonide-oral-route/description/drg-20073233

ホルモテロール(LABA:長時間作用型β2刺激薬)
気道の筋肉を緩めて空気の通りをよくし、呼吸をしやすくします。作用時間が長く、夜間や日常生活での息苦しさを和らげるために使われます。

【参考情報】『Formoterol (inhalation route)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/formoterol-inhalation-route/description/drg-20068933



この2つを組み合わせることで、「炎症を抑える役割」と「気道を広げる役割」を同時にカバーできる点が特徴です。

3-2.喘息治療における位置づけ

ブデホルは、吸入ステロイド単剤(一つの成分のみ含まれた薬)では十分に症状がコントロールできない場合や、より安定した治療が必要な場合に使用されます。

つまり、基本治療をベースにしながら、症状に応じて医師が選択する薬のひとつという位置づけです。

3-3.小児での使用

ブデホルは成人だけでなく、小児喘息に処方されることもあります。ただし、小児の場合は吸入の手技が難しいため、保護者のサポートが不可欠です。

吸入がしっかりできていないと十分に薬が届かないため、医師や薬剤師から正しい使い方を学び、家庭で習慣化することが大切です。


<保護者ができるサポート>

 ・毎日の使用をチェックする

 ・吸入後のうがいを忘れないよう声をかける

 ・体調や咳の頻度を観察し、変化があれば記録する


こうしたサポートが子どもの安心につながり、治療の継続を支えます。

「ずっと薬を使い続けなければならないのか」と不安に思う親御さんもいますが、小児喘息は成長とともに改善する場合が多いです。

重要なのは「今、しっかりコントロールすること」であり、その積み重ねが健やかな発達を支えます。

ブデホルを含む治療は、子どもが元気に学校生活や遊びを楽しむための支えになると考えてください。

4. ブデホルを使う際のポイント


ブデホルは喘息治療において重要な役割を担う吸入薬ですが、正しく使うことで初めて効果を発揮します。

4-1.吸入手技を正しく身につける

吸入薬は飲み薬と違い、使い方を誤ると薬が気道に届かず、十分な作用を得られません。

吸入の仕方はデバイス(容器)ごとに異なるため、医師や薬剤師から実際に指導を受け、定期的に確認することが大切です。

4-2.決められたタイミングで継続する

ブデホルは「発作が出たときだけ使う薬」ではなく、長期的に続けることで症状を安定させる薬です。一般的には1日2回など、決められたタイミングで使用します。

症状が落ち着いているときでも継続することが、発作を予防するための基本です。

4-3.吸入後のうがいを忘れない

ブデホルにはステロイド成分が含まれているため、使用後には口をゆすぐことが推奨されます。

これは口腔内に薬が残ることで起こる副作用を防ぐ目的があります。

子どもの場合は保護者がしっかり声をかけて、習慣化させると安心です。

◆「吸入薬使用後のうがい」について>>

5. 治療を続けるための工夫


喘息治療は長期にわたるため、「続けること」が一番の課題になります。ブデホルのような吸入薬は、毎日の習慣として定着させる工夫が必要です。


<継続が難しい理由>

 ・効果をすぐに実感しにくい

 ・忙しさやうっかりで吸入を忘れてしまう

 ・「良くなったからもう不要」と思い込み中断してしまう

こうした理由で治療が途切れると、気道の炎症が再燃し、症状が悪化する可能性があります。


<習慣化の工夫>

 ・歯磨きや就寝前などの習慣と結びつける

 ・カレンダーやアプリでチェックをつけて記録する

 ・家族が声をかけ合って確認する

特に子どもや高齢者では、周囲のサポートが大きな力になります。


「薬を使う=制限」ではなく、「薬を続ける=日常を守る手段」と考えると、気持ちが楽になります。

旅行や趣味など、やりたいことを楽しむために続けていくという意識が、継続のモチベーションになります。

6.よくある質問(FAQ)


Q1. ブデホルを長く使うと副作用はありますか?
A.吸入ステロイド薬を含むため、使用後にうがいをしないと口の中にカビが生える(口腔カンジダ)などの副作用が起こることがありますが、うがいを徹底することで予防が可能です。

【参考情報】『Oral thrush』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/oral-thrush/symptoms-causes/syc-20353533

Q2. 子どもがブデホルを嫌がって吸入してくれません。どうすればいいですか?
A.吸入は習慣化が大切です。歯磨きや就寝前と結びつけたり、吸入を終えたらシールを貼るなど「達成感」が得られる工夫を取り入れると続けやすくなります。補助器具(スペーサー)の使用もおすすめです。

Q3. 他の病気や薬とブデホルには相性がありますか?
A.一部の薬や持病によっては吸入薬の影響が変わることがあります。例えば心臓の薬や糖尿病薬との関係は個人差があるため、必ず医師や薬剤師に確認してください。

7. おわりに

喘息は、症状が一時的に落ち着いていても気道の炎症が続く慢性疾患であり、発作の予防と日常生活の安定のためには長期的な治療が欠かせません。

吸入薬は、手技の確認や使用後のうがい、毎日の習慣化など、正しい使い方と生活習慣の工夫が治療効果を高めます。

薬の効果や使い方に疑問や不安がある場合は自己判断せず、医師や薬剤師に相談してください。

専門家と一緒に確認することで、症状を安定させ、安心して日常生活を送っていきましょう。

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