喘息治療薬「フルティフォーム」の特徴と効果、副作用

フルティフォームは喘息の治療に用いる薬で、吸入器に薬剤の入った小さなボンベをセットして吸入します。
この記事では、フルティフォームの使い方や効果、副作用などについて解説します。
初めて使う方も、現在使用中の方も、ぜひ読んで基本的な知識や使い方を確認してください。
目次
1.フルティフォームとはどのような薬か
フルティフォームは、吸入ステロイド薬(ICS)であるフルチカゾンプロピオン酸エステルと、長時間作用性β₂(ベータツー)刺激薬(LABA)であるホルモテロールフマル酸塩水和物が配合された喘息治療薬です。
喘息では気道に炎症が起こることで過敏な状態となり、わずかな刺激でも咳や喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)、息苦しさなどの症状が現れやすくなります。
フルチカゾンプロピオン酸エステルは、この炎症を抑えることで気道の状態を改善し、発作や症状の悪化を予防します。
【参考情報】『Fluticasone Oral Inhalation』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a601056.html
一方、ホルモテロールフマル酸塩水和物には、気管支を取り囲む筋肉をゆるめて気道を広げる作用があります。これにより空気の通り道が広がり、呼吸がしやすくなります。
【参考情報】『Formoterol Oral Inhalation』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a602023.html
喘息の治療薬には、毎日継続して使用することで症状を予防する「コントローラー(長期管理薬)」と、発作が起こったときに症状を速やかに和らげるための「リリーバー(発作治療薬)」があります。
フルティフォームはコントローラーに分類される薬です。そのため、症状がないときも医師の指示どおりに使用を続けることが重要です。
2.フルティフォームの使い方
フルティフォームは「定量噴霧式吸入器(MDI)」と呼ばれる吸入器を用い、以下のように服用します。
①残量確認
吸入器のカウンターの数字を見て、薬の残量を確認します。残量がゼロになっていたら、新しい吸入器を使います。
②吸入準備
吸入器に薬剤の入ったボンベが正しく装着されていることを確認し、マウスピース(吸入口)部分のキャップを外します。
③吸入器をよく振る
薬剤の入ったボンベが下になるように吸入器を持ち、よく振って下さい。初めて使用する時や、3日以上使っていなかった場合は、④の手順に進む前に吸入器の底を押し、人のいない場所に向けて4回空噴霧してください。
④息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。
⑤薬剤を吸い込む
マウスピースを深くくわえて、しっかりと唇で覆います。息を吸い込み始めると同時にボンベの底を1回押し込み、ミスト状になって出てきた薬を「ゆっくり」「深く」吸い込みます。
⑥息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。
⑦キャップをつける
マウスピース部分のキャップをつけます。
⑧うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流します。
フルティフォームを吸入する際、ボンベの底をしっかり押すのが難しいと感じる方は、「スペーサー」という補助器具を使うこともできます。
【参考情報】『スペーサーの種類とメンテナンス』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/feature02.html
スペーサーを使ってみたい方は、医師や薬剤師に相談し、自分に合ったものを選んでもらいましょう。
3.フルティフォームの副作用
この章では、フルティフォームの副作用を解説します。
3-1. よくみられる副作用
フルティフォームの代表的な副作用には、声がかすれる「嗄声(させい)」や、口腔内でカンジダ菌が増殖することで起こる「口腔カンジダ症」があります。
これらは、フルティフォームに含まれる吸入ステロイド薬(フルチカゾンプロピオン酸エステル)によって起こることがある副作用です。吸入した薬剤の一部が口の中や喉に付着すると、声帯や口腔内の粘膜に影響を与え、嗄声や口腔カンジダ症を引き起こすことがあります。
口腔カンジダ症では、口の中や舌に白い苔のようなものが付着するほか、口の中の違和感や痛み、味覚の変化などが現れることがあります。
【参考情報】『口腔カンジダ症』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/#c05
また、嗄声は「声が出しにくい」「高い声が出しづらい」「以前より声がかれている」といった症状として現れることがあります。症状が軽い場合でも、気になる変化がみられた際は医師や薬剤師に相談しましょう。
3-2. 副作用を予防するためのポイント
嗄声や口腔カンジダ症は、吸入ステロイド薬を使用する際によく知られている副作用ですが、吸入後にうがいを行うことで発症リスクを減らすことができます。
うがいをする際には、喉を洗う「ガラガラうがい」と、口の中を洗い流す「ブクブクうがい」の両方を行い、口や喉に残った薬剤をできるだけ洗い流しましょう。
外出先などですぐにうがいができない場合は、水を飲んだり口をすすいだりすることも役立ちます。ただし、可能であれば吸入後は毎回うがいを行う習慣をつけることが大切です。
3-3. その他の副作用
フルティフォームに含まれる長時間作用性β₂刺激薬(LABA)であるホルモテロールの影響により、動悸や頻脈、手の震えなどが現れることがあります。
これらは気管支を広げる作用が全身にも一部及ぶことで起こると考えられており、多くは軽度で一時的なものです。特に治療開始直後や吸入量が増えた際に症状を感じることがありますが、使用を続けるうちに気にならなくなる場合もあります。
そのほか、発疹やかゆみなどのアレルギー症状が現れることもあります。症状が強い場合や長く続く場合は、医師や薬剤師に相談してください。
また、まれではありますが、呼吸困難や顔面の腫れ、じんましん、強い発疹などの症状が現れた場合は、重いアレルギー反応の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診しましょう。
【参考情報】『フルティフォームを使用する患者さんへ』Kyorin(杏林製薬)
https://www.kyorin-medicalbridge.jp/product/ff/guidance/files/ICFF0003.pdf
4.使用上の注意点
この章では、フルティフォームを使用する際の注意点を解説します。
4-1.用法・用量の基本
フルティフォームは、通常1日2回使用する薬剤ですが、1回あたりの吸入回数は患者さんの年齢や症状、治療状況によって異なります。
自分が「1日何回使用するのか」「1回に何吸入するのか」を確認し、医師から指示された用法・用量を守って使用しましょう。
治療経過や症状の変化に応じて、吸入回数や用量が見直されることがあります。自己判断で使用回数を変更したり中止したりせず、医師や薬剤師の指示に従うことが大切です。
4-2.吸入器の使い方と注意点
フルティフォームは加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)を採用しており、ドライパウダー吸入器のように強い吸引力を必要としないため、小児や高齢者など吸う力が弱い患者さんでも使用しやすい特徴があります。
ただし、薬剤が噴霧されるタイミングと吸入するタイミングを合わせる必要があるため、正しい吸入方法を身につけることが重要です。特に小児が使用する場合は、保護者が吸入手技を確認しながらサポートするとよいでしょう。
4-3.その他の注意点
フルティフォームには添加物として無水エタノールが含まれています。通常は問題となる量ではありませんが、アルコールに対して過敏症がある方は、事前に医師や薬剤師へ相談してください。
また、妊娠中または妊娠している可能性がある方、授乳中の方は、使用前に医師へ相談しましょう。自己判断で治療を中断すると喘息のコントロールが悪化することがあるため、医師の指示に従って適切に使用することが大切です。
【参考情報】『Pregnancy and Asthma』American College of Allergy Asthma and Immunology
https://acaai.org/asthma/asthma-101/who-gets-asthma/pregnancy-and-asthma/
5.フルティフォームの薬価
フルティフォームの薬価(2026年4月時点)は、以下のとおりです。
・フルティフォーム50エアゾール56吸入用 1,934.9円/瓶
・フルティフォーム50エアゾール120吸入用 3,998.7円/瓶
・フルティフォーム125エアゾール56吸入用 2,095.2円/瓶
・フルティフォーム125エアゾール120吸入用 4,175.6円/瓶
フルティフォームの代わりとなるジェネリック医薬品は現在販売されていません。また、同等の有効成分を含む市販薬もありません。
6.フルティフォームに関するよくある質問
Q. フルティフォームはどのくらいで効果が現れますか?
個人差はありますが、ホルモテロールの作用によって比較的早い段階で呼吸が楽になったと感じることがあります。
ただし、フルティフォームの主な目的は喘息の原因となる気道の炎症を抑え、症状や発作を予防することです。そのため、十分な効果を得るためには継続して使用することが重要です。
症状が改善したからといって自己判断で中止せず、医師の指示に従って使用しましょう。
Q. フルティフォームを使用中に風邪をひいた場合は中止した方がよいですか?
風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などにかかった場合でも、多くの場合はフルティフォームを継続します。
感染症によって気道の炎症が悪化すると、喘息発作が起こりやすくなることがあります。そのため、自己判断で吸入を中止しないことが大切です。
ただし、高熱が続く場合や呼吸状態が急激に悪化した場合は、早めに医療機関へ相談してください。
Q. フルティフォームは子どもでも使用できますか?
フルティフォームは小児喘息の治療にも使用されています。
ただし、年齢や症状によって適した吸入薬は異なります。また、小児では正しい吸入手技の習得が難しいこともあるため、保護者が吸入方法を確認しながらサポートすることが大切です。
詳しい使用方法については医師や薬剤師の指示に従いましょう。
7.おわりに
フルティフォームと同じように、吸入ステロイド薬とβ2刺激薬を配合した治療薬には、以下のようなものがあります。
・レルベア
・アドエア
フルティフォームを使い続けても症状がよくならない時は、まずは正しく吸入できているかどうかを確認し、それでも効果を感じられないときは、ほかの薬が使えるかどうか医師に相談してみましょう。













