カラオケで咳が出るのはなぜ?咳の予防法と注意したい病気について解説

カラオケ中や歌った後に咳が出ることは珍しくありません。その多くは、歌いすぎや大声によるのどの疲れ、乾燥などが原因で一時的に起こる症状です。
しかし、毎回カラオケで咳き込んだり、歌い終わった後も咳が長引いたりする場合は、咳喘息や喘息などの呼吸器の病気が隠れていることもあります。
この記事では、カラオケで咳が出る原因や予防法を解説するとともに、咳が続くときに注意したい病気や、受診を検討したほうがよい症状について詳しく紹介します。
1.カラオケで咳がでる理由
カラオケで咳が出る原因は一つではありません。歌い方や室内環境、飲酒や喫煙などが重なることで、のどや気道が刺激され、咳が出やすくなることがあります。
1-1. のどや声帯に負担がかかる
長時間歌い続けたり、大声を出したり、無理に高い声を出したりすると、声帯やのどの粘膜に大きな負担がかかります。
特に、普段より高いキーで歌ったり、力任せに声を張り上げたりすると炎症やイガイガ感が生じ、咳払いを繰り返したり、咳が出たりすることがあります。
1-2. 深い呼吸によって気道が刺激される
歌っているときは、普段の会話よりも深く息を吸い、強く息を吐く動作を繰り返します。
このような呼吸によって気道が刺激されると、咳が出やすくなります。特に、もともと気道が敏感な人や、咳喘息・喘息がある人では、カラオケをきっかけに咳が出ることがあります。
1-3. 部屋の乾燥でのどや気道が乾く
カラオケルームは冷暖房が効いていることが多く、空気が乾燥しやすい環境です。
のどや気道の粘膜が乾燥すると、外からの刺激に敏感になり、少しの刺激でも咳が出やすくなります。
さらに、歌い続けることで口呼吸が増えると、粘膜が乾燥しやすくなり、症状が悪化することがあります。
1-4. 飲酒や喫煙が咳を誘発する
カラオケでは、お酒を飲んだり、休憩中にタバコを吸ったりすることも少なくありません。
アルコールには利尿作用があり、飲み過ぎると体内の水分が失われやすくなるため、のどの粘膜が乾燥しやすくなります。
【参考情報】『Alcohol and airways function in health and disease』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17764883/
さらに、一部の人ではアルコールやその代謝産物、飲酒に伴う気道への刺激によって咳が出たり、喘息などの症状が誘発されることがあります。
また、タバコの煙には気道やのどの粘膜を刺激する多くの有害物質が含まれています。
歌い過ぎてのどに負担がかかっている状態で喫煙すると、粘膜への刺激が加わり、のどの違和感や咳などの症状が現れたり、悪化したりすることがあります。
2.カラオケ中の咳を予防する方法
カラオケによる咳は、歌い方や過ごし方を少し工夫することで予防できる場合があります。
2-1. のどに負担をかけない歌い方をする
歌うときは、のどに力を入れすぎず、リラックスして発声することを心がけましょう。お腹を使った腹式呼吸を意識すると、のどへの負担を抑えながら声を出しやすくなります。
【参考情報】『腹式呼吸のやり方』日本医師会
https://www.med.or.jp/komichi/holiday/sports_02_pop.html
また、原曲のキーにこだわって無理に高音を出すと、声帯やのどの粘膜を傷める原因になります。自分が歌いやすいキーに調整したり、最初から高音の続く曲を選ばないようにしたりすることも、咳の予防につながります。
2-2. のどの乾燥を防ぐ
のどや気道の乾燥は、咳を引き起こす大きな原因の一つです。
歌っている間はこまめに水やぬるめのお茶などで水分補給を行い、のどの潤いを保ちましょう。歌っていない時間にマスクを着用すると、吐いた息の水分によってのどの乾燥を和らげる効果が期待できます。
また、のど飴をなめることで、一時的にのどの乾燥感やイガイガ感が和らぐこともあります。
2-3. アルコールや刺激物を控える
飲酒をしながら歌うと、アルコールによる脱水や気道への刺激によって、咳が出やすくなることがあります。
また、炭酸飲料や辛い食べ物などは、のどや気道が敏感になっているときには刺激となり、咳を誘発することがあります。
また、人によっては冷たい飲み物でのどに刺激を感じ、咳が出やすくなることもあります。
2-4. 適度に休憩を取る
長時間続けて歌い続けると、のどや声帯に負担が蓄積し、咳が出やすくなります。
一人カラオケや少人数でのカラオケでは歌う時間が長くなりがちですが、適度に休憩を取り、のどを休ませる時間をつくることが大切です。飲み物を飲みながら休憩を挟むことで、乾燥対策にもなります。
2-5. のどの調子が悪い日は無理をしない
風邪をひいた後や、のどの痛み、咳などの症状があるときは、無理に歌わないようにしましょう。
体調が十分に回復していない状態で歌うと、のどや気道への負担がさらに大きくなり、症状が長引くことがあります。
「少し調子が悪いだけだから」と無理をせず、のどの違和感がなくなってからカラオケを楽しむことが、咳の予防につながります。
3. 毎回カラオケで咳が出るなら病気が隠れていることも
カラオケで一時的に咳が出るだけであれば、のどの酷使や乾燥が原因であることが多いでしょう。
しかし、カラオケに行くたびに咳が出る、歌い終わった後も咳が何日も続くという場合は、呼吸器や消化器の病気が隠れている可能性があります。
3-1. 喘息
喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こり、狭くなる病気です。
【参考情報】『Asthma』National Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma/symptoms-causes/syc-20369653
乾燥した空気や冷気を吸い込んだとき、深呼吸や会話などをきっかけに症状が現れやすく、カラオケ中に咳が出ることがあります。
咳のほかに、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音や息苦しさを伴う場合は、喘息の可能性があります。
3-2. 咳喘息
咳喘息は、喘息の一種で、咳だけが長く続くことが特徴の病気です。
喘息と同様に気道が敏感になっているため、乾燥した空気や会話、カラオケで歌うことがきっかけとなって咳が出ることがあります。
咳喘息を治療せずに放っておくと、本格的な喘息に移行することがあるので注意が必要です。
◆「咳喘息とはどのような病気か?原因・症状・治療について」>>
3-3. 胃食道逆流症(GERD)
胃食道逆流症(GERD)は、胃酸が食道へ逆流することで、胸やけや咳などの症状を引き起こす病気です。
【参考情報】『Gastroesophageal reflux disease (GERD)』National Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/gerd/symptoms-causes/syc-20361940
飲酒をしながらカラオケを楽しんだり、お腹に力を入れて歌ったりすることが、胃酸の逆流を促す場合があります。
咳のほかに、胸やけや酸っぱいものが上がってくる感じが続く場合は、胃食道逆流症が原因となっている可能性があります。
3-4. 呼吸器感染症
カラオケの後に咳だけでなく、発熱やのどの痛み、鼻水などの症状が現れた場合は、呼吸器感染症にかかっている可能性があります。
原因となる病気には、風邪(かぜ)のほか、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどがあります。
カラオケボックスは密閉された空間で多くの人が利用するため、体調が悪い人がいると飛沫感染やエアロゾル感染が起こることがあります。
咳が続く場合は無理に外出せず、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
3-5. 肺結核
咳が2週間以上続く場合は、肺結核の可能性も考える必要があります。
肺結核では、長引く咳や痰のほか、発熱、寝汗、体重減少、血痰などの症状がみられることがあります。
結核は昔の病気と思われがちですが、現在でも毎年新たな患者が報告されています。
【参考情報】『結核』神奈川県衛生研究所
https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/014_kids/14_infection_007.htm
4. カラオケ後の咳で受診を検討したい症状
カラオケの後に一時的に咳が出ても、多くはのどの疲れや乾燥によるもので、数日以内に自然と改善します。
しかし、次のような症状がある場合は、呼吸器の病気が隠れている可能性があります。
・咳が2週間以上続いている
・夜間や早朝に咳が強くなる
・息苦しさや呼吸のしづらさがある
・「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がする
・微熱・発熱が続いている
・血痰が出る
・咳のために仕事や学校、睡眠などに支障が出ている
このような症状がみられる場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診しましょう。
5.呼吸器内科で行う検査と治療
カラオケで歌うたびに咳が出る場合や、歌った後も咳が続く場合は、呼吸器内科で原因を調べることができます。
問診では、主に以下のような内容を確認します。
・いつから咳が出るようになったか
・カラオケ以外でも咳が出るか
・夜間や早朝に咳が悪化しないか
・痰や息苦しさ、発熱などはないか
その他、喫煙歴やアレルギーの有無、服用中の薬についても診断の参考になります。
その後、必要に応じて次のような検査を行います。
<胸部レントゲン検査・胸部CT検査>
肺炎や肺結核、肺がんなど、肺の病気が隠れていないかを調べます。
<呼吸機能検査(スパイロメトリー)>
息を吸ったり吐いたりする能力を測定し、喘息やCOPDなどがないかを確認します。
<呼気一酸化窒素(FeNO)検査>
気道に好酸球性の炎症があるかを調べ、咳喘息や気管支喘息の診断に役立ちます。
<血液検査や喀痰検査>
感染症やアレルギーなどが疑われる場合に行います。
検査の結果、喘息や咳喘息と診断された場合は、気道の炎症を抑える吸入薬などによる治療を行います。
胃食道逆流症やアレルギー性鼻炎などが原因であれば、それぞれの病気に応じた治療を行うことで咳が改善することもあります。
カラオケが原因で咳が出ているように感じても、実際にはカラオケが病気を引き起こしているのではなく、もともとあった病気によって気道が敏感になり、歌うことがきっかけで症状が現れている場合も少なくありません。
咳を繰り返す場合は自己判断せず、一度呼吸器内科で相談することをおすすめします。
【参考情報】『Pulmonologist』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/22210-pulmonologist
6. おわりに
カラオケで咳が出る場合は、歌いすぎや大声によるのどの酷使、乾燥などが原因で、一時的に起こることが少なくありません。歌い方を工夫したり、こまめに水分補給をしたり、のどの乾燥を防いだりすることで、症状を予防できる場合があります。
一方で、カラオケに行くたびに咳が出る、歌った後も咳が長引く、息苦しさやゼーゼー・ヒューヒューする症状を伴うといった場合は、咳喘息や気管支喘息などの病気が隠れている可能性があります。
咳が続くときは、「歌いすぎただけ」と自己判断せず、原因を明らかにすることが大切です。気になる症状がある場合は、早めに呼吸器内科を受診し、適切な検査や治療を受けましょう。












