血糖値が高いと言われたら?糖尿病の症状・対策・検査数値の見方をやさしく解説

健康診断で、血糖値やHbA1cが基準値より高めと指摘されると、不安になるかもしれません。
あるいは、
✅ のどがやけに渇く
✅ トイレが近い
✅ 体重が急に落ちた
✅ ずっと体がだるい
といった症状が続き、「もしかして糖尿病?」と心配になっている方もいるかもしれません。
この記事では、糖尿病とは何か、どんな症状に注意すべきか、病院で行われる検査や治療などを、わかりやすくまとめました。
既に糖尿病と診断されている人やそのご家族も、糖尿病のリスクや対策を理解するために、ぜひ読み進めてみてください。
目次
1.糖尿病とはどんな病気か?
糖尿病とはひとことで言うと、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。
この病気には、自己免疫が原因の1型と、生活習慣などが関与する2型がありますが、患者の多くは2型です。
このほか、妊娠をきっかけに糖代謝の異常が現れる妊娠糖尿病があります。
1-1.なぜ血糖値が高くなるのか
血糖値は、食事で摂った糖質が体内で吸収され、血液中にブドウ糖として流れることで上がります。
この時通常は、食後に血糖値が上がっても、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンが働き、血糖値を適切な範囲に保っています。
ところが、糖尿病の場合は、
・インスリンが十分に働かない(効きにくい)
・インスリンの分泌量が不足する
といった理由で、血糖がうまく細胞に取り込まれず、血液中に多く残ってしまいます。
この状態が長く続くと、体のさまざまな部分に負担がかかることがあります。
【参考情報】『Insulin』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/body/22601-insulin
1-2.糖尿病が進むしくみ
糖尿病の進行は、大まかには次のような流れで起こります。
<インスリンが効きにくくなる>
生活習慣の影響などで、インスリンがうまく働かなくなります。
↓
<すい臓の負担が増える>
血糖値を下げるために、すい臓が通常より多くのインスリンを分泌しようとします。
↓
<インスリンの分泌が追いつかなくなる>
すい臓の負担が長期間続くと、すい臓が十分な量のインスリンを出せなくなることがあります。
↓
<血糖値が慢性的に高くなる>
上記はあくまで一般的な流れであり、すべての人が同じ経過をたどるわけではありませんが、早い段階で自分の状態に気づき、生活習慣の見直しや医療機関での相談を行うことが大切です。
1-3.糖尿病が進行すると
糖尿病が進行すると、高血糖が血管を傷つけ、以下のような合併症を引き起こす恐れがあります。
<糖尿病性神経障害>
末梢神経や自律神経がダメージを受け、手足のしびれや痛み、下痢や便秘、汗の異常などが生じます。
<糖尿病性網膜症>
目の網膜の血管が障害を受けることで、視力の低下や失明が引き起こされます。
<糖尿病性腎症>
腎臓の血管が傷ついて、腎臓の機能が低下すると、タンパク尿やむくみなどの症状が現れます。
【参考情報】『糖尿病性腎症』全国腎臓病協議会
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/about/class/diabetic-nephropathy/
<壊疽(えそ)>
血流が悪くなったり神経障害で感覚が鈍くなったりすることで、手足の組織が死んでしまうことがあります。
【参考情報】『Gangrene』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/gangrene/symptoms-causes/syc-20352567
<脳梗塞>
脳の血管が傷ついてもろくなると、脳出血や脳梗塞が引き起こされる恐れがあります。
【参考情報】『脳梗塞』日本生活習慣病予防協会
https://seikatsusyukanbyo.com/guide/cerebral-infarction.php
<虚血性心疾患>
心臓に血液を送る冠動脈が傷ついて狭くなったり詰まったりすることで、心臓の筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなる病気です。
【参考情報】『虚血性心疾患』国立循環器研究センター
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/ischemic-heart-disease/
これらの思い合併症を防ぐには、適切な治療と生活習慣の見直しが大変重要です。
2.こんな症状に注意
糖尿病は、初期の段階ではほとんど症状が現れないことが多く、自分では気づきにくい病気です。
しかし、血糖値が高い状態がしばらく続くと、体にいくつかの変化が現れることがあります。
<のどの渇き>
血糖が高い状態にあると、余分な糖を尿として排出しようとするため、無意識のうちに体が水を欲するようになることがあります。
<頻尿>
血糖を排出しようとする体の欲求に従って水をたくさん飲むと、尿の量や回数が増えることがあります。
<体重の減少>
食欲はあるのに体重が減る場合は、糖をうまくエネルギーとして使えず、体が脂肪や筋肉を分解しているサインかもしれません。
<だるさ・疲れやすさ>
血糖が安定せずエネルギーが十分に供給されないため、体がだるく疲れやすく感じることがあります。
<手足のしびれや違和感>
高血糖が続くと末梢神経に影響が出て、手足にしびれや違和感を感じることがあります。
<傷の治りが遅い>
血糖値が高い状態では血流や免疫機能が低下し、切り傷や擦り傷が治りにくくなることがあります。
<皮膚のかゆみ>
高血糖により皮膚が乾燥することで、かゆみが生じやすくなることがあります。
【参考情報】『Warning Signs and Symptoms』American Diabetes Association
https://diabetes.org/about-diabetes/warning-signs-symptoms
3.血糖値・HbA1cが高いときのチェックポイント
健康診断で「血糖値が高め」「HbA1cが基準値を超えている」と指摘されると、不安に感じるかもしれません。
しかし、意識したいのは、必要以上に心配せず、状況を整理することです。
3-1.血糖値とHbA1cの違い
健康診断でよく目にする「血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」は、似ているようで内容が異なります。
<血糖値>
血糖値は、採血したその時点での血糖の高さを示す値です。食後か空腹時か、あるいは直前に何を食べたかによって変動しやすい数値です。
<HbA1c>
HbA1cは、赤血球に含まれるヘモグロビンと糖が結びついた割合を示す値で、過去1〜2か月の血糖の状態を平均的に反映します。
そのため、食事の影響を受けにくく、血糖コントロールの総合的な状況を把握するのに適しています。
3-2.まず確認したい数値の範囲
健康診断の結果表には、基準値とともに以下のような項目が記載されていることが多いです。
<空腹時血糖>
朝食前の空腹状態で測定した血糖値。糖尿病のスクリーニングでよく使われる重要な指標です。
基準値は 99mg/dL 以下が正常、100〜125mg/dL が境界型(前糖尿病、いわゆる糖尿病予備軍)、126mg/dL 以上で糖尿病が疑われるとされています。
<随時血糖>
食事の前後を問わず測った血糖値。糖尿病の診断基準値は200mg/dL以上ですが、食後であれば数値が上がっていることがあるため、解釈には注意が必要です。
<HbA1c>
過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を示す値で、日々の血糖の変動に左右されにくいのが特徴です。
基準値は 5.6%以下が正常、5.7〜6.4%が境界型(前糖尿病)、6.5%以上で糖尿病が疑われるとされています。
<前回との比較>
前回の検査結果と比べて数値がどう変化しているかを確認すると、血糖コントロールの傾向がわかります。
一般的に、基準値より高い場合は注意が必要ですが、1回の検査結果だけで判断するのは危険です。血糖は日々の生活や体調の影響を受けやすいためです。
たとえば以下のような条件で、一時的に血糖が上がることがあります。
・前日に食べすぎていた
・ストレスや睡眠不足があった
・激しい運動や体調不良の直後であった
・薬の服用状況や水分摂取量の影響
このような場合、1回だけ血糖値が高くても、すぐに糖尿病とは判断できません。大切なのは、血糖値の変化の流れや傾向を見ることです。
複数回の検査結果や過去の数値の変化、普段の生活や体調も合わせて確認し、必要に応じて医療機関で相談するようにしましょう。
3-3.再検査や医療機関の受診を考えるタイミング
以下のいずれかに当てはまる場合は、一度医療機関に相談することをおすすめします。
・血糖値やHbA1cが明らかに基準値を超えていた
・HbA1cが高く、過去の平均的な血糖値も上昇傾向にある
・のどの渇きや頻尿、体重の急な減少などの自覚症状がある
・食生活や運動習慣、睡眠など生活習慣に乱れがある
・家族に糖尿病の方がいて、体質的にリスクが心配
早めに相談することで、自分では気づきにくい生活習慣の改善点や血糖コントロールのヒントを得られます。
また、糖尿病の進行や合併症のリスクを早期に把握できるため、長期的な健康の安心につながります。
4.糖尿病の検査と治療
糖尿病が疑われる場合は、まず血糖の状態を正確に把握し、結果に応じて適切な治療を進めます。
この章では、代表的な検査と治療の基本的な流れをまとめます。
4-1.糖尿病の検査
糖尿病が疑われるときは、主に次のような検査で状態を確認します。
<血液検査(空腹時血糖・随時血糖)>
血液中のブドウ糖の量を測ります。診断の基本になる検査です。
<HbA1c>
過去1〜2か月の平均的な血糖状態を示します。
<75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)>
空腹時に採血した後、ブドウ糖75gを含む飲料を飲み、30分後、1時間後、2時間後に血糖値を測定します。妊娠糖尿病の診断にも用いられます。
<尿検査>
尿に糖が出ていないかを確認します。腎臓の状態の把握にも役立ちます。
4-2.糖尿病の治療
糖尿病の治療は、血糖を安定させ、合併症を防ぐことを目的に進めます。
<食事療法>
摂取エネルギーや糖質の量を適切に調整します。食事のバランスと量を整えることが基本です。
<運動療法>
筋肉で糖を使いやすくするため、定期的な有酸素運動や軽い筋力トレーニングを行います。
<薬物療法>
食事と運動だけで血糖が安定しない場合、飲み薬や注射薬(インスリンやGLP-1作動薬など)を使います。
<合併症対策と定期受診>
眼、腎臓、神経などの合併症を早期に見つけるため、定期的に検査を受けます。
生活習慣の改善と薬物治療を組み合わせ、長期的に血糖管理を続けることが重要です。
5.糖尿病のリスクを高める生活習慣と対策
糖尿病は体質や年齢も関係しますが、生活習慣によってリスクが高くなることが多くあります。
思い当たる方は、無理のない範囲で少しずつ見直すことが、将来の健康を守る大きな第一歩になります。
5-1.食事
食事は血糖値に直接影響するため、次のような習慣が続くと血糖が上がりやすくなることがあります。
<主食が多い>
糖質は体に必要なエネルギー源ですが、量が多すぎると血糖値が急上昇しやすくなります。白米や精製されたパン・麺類は特に影響が大きいため、食べる量や種類を意識することが大切です。
<お菓子や甘い飲み物が多い>
ジュースや清涼飲料、お菓子などは短時間で血糖を上げやすい特徴があります。特に就寝前の間食は血糖が下がりにくくなるため注意が必要です。
<早食い・一気食い>
食事を急いで食べると血糖値が急激に上がることがあります。よく噛んでゆっくり食べるだけでも血糖値の急上昇を抑えやすくなります。
<夜遅い時間の食事>
就寝に近い時間に食事をとると、血糖が下がりにくくなることがあります。特に炭水化物や糖分の多い食事は控えるのが望ましいです。
<栄養バランスの偏り>
野菜やたんぱく質、食物繊維が不足していると、血糖値のコントロールが難しくなることがあります。主食だけでなく、副菜やたんぱく質も意識して摂ることが重要です。
食事は毎日のことなので、少しずつ整えていくだけでも血糖値に変化が現れやすい部分です。
例えば、主食の量を少し減らす、間食を果物やナッツに置き換える、食事の順番を野菜→たんぱく質→炭水化物にするなど、無理のない工夫を続けることが効果的です。
5-2.運動
在宅ワークやデスクワークの増加により、以前より体を動かす時間が減っている方が多くなっています。
<歩く時間が少ない>
通勤や外出が減ることで、日常的に歩く量が大きく減っています。
<エスカレーターや車移動が中心>
階段を使う機会や自転車・徒歩での移動が減り、活動量がさらに低下しやすくなります。
<1日の大半を座って過ごしている>
デスクワークでは座っている時間が長く、血流や筋肉の活動が少なくなります。
こうした状態が続くと、筋肉で使われるエネルギーが少なくなり、血糖が高くなりやすい傾向があります。
筋肉は血糖を消費する重要な器官のため、運動不足は血糖コントロールに直接影響します。
日常生活で少しずつ体を動かす工夫、例えば通短い散歩を取り入れる、エレベーターではなく階段を使う、座りっぱなしの時間に軽くストレッチや立ち上がる動作を増やすといった取り組みが、血糖値や体重の管理に役立ちます。
5-3.睡眠不足・ストレス
意外に思われるかもしれませんが、睡眠やストレスは血糖値に大きな影響を与えることがあります。
<睡眠不足>
睡眠が十分でないと、血糖値を下げる働きのあるインスリンの効きが悪くなったり、血糖を上げるホルモン(コルチゾールや成長ホルモン)が増えたりすることがあります。その結果、血糖が上がりやすい状態になり、長期的には糖尿病リスクの増加にもつながります。
<ストレス>
精神的なストレスは自律神経のバランスを乱し、食欲の変化や消化・代謝の効率に影響を与えることがあります。強いストレスが続くと、つい甘いものを摂りすぎたり、運動がおろそかになったりすることも血糖値に影響します。
「最近よく眠れていない」「ストレスが強い」と感じる方は、睡眠の質を上げる工夫や、日中の軽い運動、リラックス法(深呼吸、ストレッチ、趣味の時間など)を取り入れるだけでも、血糖値の安定に役立つことがあります。
5-4.飲酒・喫煙
糖尿病の人がお酒を飲むときは、血糖の変動を抑えることがポイントです。飲む量は控えめにし、空腹での飲酒は避けます。
また、飲酒は低血糖を招くこともあるため、食事と一緒にゆっくり飲むことが大切です。定期的に血糖を確認しながら、無理のない範囲で楽しむようにします。
タバコに含まれる化学物質は血管を傷つけ、血流を悪くするため、糖尿病の合併症リスクを大きく高めます。
特に心筋梗塞、脳卒中、足の血流障害などの危険性が上がることが知られています。
喫煙は血糖そのものには直接作用しませんが、血管への負担が増えるため、糖尿病の人にとっては禁煙が重要な対策になります。
できるだけ早いタイミングでの禁煙が、合併症予防につながります。
6.おわりに
糖尿病は、放っておくと重い合併症を引き起こす恐ろしい病気ですが、早期に発見して適切な治療を受け、生活を改善すれば進行を防ぐことができます。
健康診断などで「血糖値が高い」と言われたら、必ず再検査を受けて1日も早く治療を開始し、食生活を見直して生活習慣を改善しましょう。
きちんと医師の指導を受けて、血糖値をコントロールしていけば、旅行にも行けますし、妊娠、出産も可能です。健康な人と寿命も変わりません。










