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咳が止まらない…うつる病気とうつらない病気

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年08月20日
うつるくしゃみトップ

新型コロナウイルス感染症(COVIDコビット-19)の大流行によって、咳やくしゃみにより放出されるウイルス・細菌を、こまめな手洗いやマスクの着用、人との距離を保つことで防ぎ、感染から身を守ろうという意識が世界中に浸透しました。

その一方で、咳が出ることで〝あらぬ疑い〟をかけられ、場合によっては〝差別〟を受けるという、非常に深刻な問題も起こっています。

現在の状況で、咳に過敏に反応してしまう人々の心情を理解することはできますが、「咳から全ての病気がうつるわけではない」ということもぜひ知っておいてください。

1.咳でうつる可能性のある病気

咳でうつる可能性がある病気は、「感染症」です。
新型コロナウイルス感染症は、ウイルスによる感染症の一種であり、飛沫に含まれるウイルスが体内に侵入することで〝うつる〟恐れがあります。

ウイルス

◆「新型コロナウイルス感染症の基本知識」>>

また、一般的な風邪も、咳によって人から人へと伝染します。その他、季節性インフルエンザウイルスによる感染症も、咳によってうつる病気です。

さらに、過去に猛威を振るった「結核」も、咳でうつる病気のひとつです。
現在ではかなり患者数が減少した結核ですが、実際にはまだまだ結核の患者さんは多く、平成30年のデータでは、日本の人口10万人に対して12.3人の患者さんが存在していることが分かっています。

【参考情報】厚生労働省「平成30年 結核登録者情報調査年報集計結果について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175095_00002.html

咳やくしゃみによって飛散する唾液の飛沫の中には、たくさんのウイルスや細菌が含まれており、それらの病原性微生物が、直接あるいは間接的に(手に付着してその手で目や口を触るなど)体内に侵入することで、感染症が広がっていきます。

その一方、咳ではうつらない病気が存在することも事実であり、これらの病気について正しい知識を持ち、偏見をなくすこともまた大切なことです。

2.咳からはうつらない病気

例えば、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の主な症状も「咳」ですが、これらの病気の原因には複雑なアレルギー反応や遺伝的な要因、タバコの煙による肺の機能低下などが関与しており、基本的にはウイルス感染によって咳が出ているわけではありません。

◆「喘息」について>>
◆「COPD」について>>

煙

その他、花粉症や動物などのアレルギー反応によって咳やくしゃみが出るという人も多いですが、これらも咳ではうつらない病気です。

つまり、ウイルス感染による病気が原因ではない咳は、他人にうつすことはないのです。

とはいえ、近くで咳をしている人が、はたして喘息なのかウイルスに感染しているのかを区別することはできないですし、されて気持ちがいいものではありませんので、咳が出る人は自分自身や社会全体を守るためにもマスクを着用するのがマナーです。

3.咳エチケットについて

「咳エチケット」とは、感染症を広げないために、咳やくしゃみが出る時に、マスクやハンカチなどで口や鼻をおさえて、飛沫が飛び散らないようにする “エチケット”です。特に電車の中や職場、学校など、人が集まるところで実践することが重要です。

3−1.正しい咳エチケットの方法は?

厚生労働省からは3つの咳エチケットの方法が推奨されています。
咳エチケット
1.マスクをすること
2.ティッシュやハンカチを使って口と鼻を覆うこと
3.上着の内側や袖を使って口と鼻を覆うこと

いずれの方法も、飛沫が飛び散らないようにする必要がありますので、口から鼻までをしっかりと覆いましょう。

◆「喘息発作やウイルス感染を予防する、マスクの付け方と選び方」>>

3−2.咳エチケットの悪い例

咳エチケットの悪い例は、
咳エチケット
・口や鼻などを覆わずに咳やくしゃみをする
・咳やくしゃみを手のひらで押さえる

咳やくしゃみを手で押さえると、手に大量のウイルスが付着します。それらのウイルスが、手を介してドアノブや蛇口などさまざまな場所に付着し、他人に間接的に感染させる恐れがあります。

ドアノブ

咳エチケットの目的は、「病気を他人にうつさない」ことです。
自分に感染症の症状がなくても、ウイルスを保菌(ウイルスを持っている状態)しているかもしれないということを念頭に置いて、咳エチケットを守ることが重要です。

「自分は若くて免疫力が高いから咳エチケットをする必要はない」「自分はきっと感染していないから大丈夫」と考えることは誤りで、人にウイルスをうつさないために、ひいては世界中にウイルスを蔓延させないために、一人ひとりが咳エチケットを徹底することが大切です。

【参考情報】厚生労働省「咳エチケット」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187997.html

また、マスクは正しく着用する必要がありますので、以下の資料も参考にして、正しいマスクの着用を実践してみてください。

【参考資料】厚生労働省「新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/dl/s0922-7b.pdf

4.おわりに

咳エチケットや手洗い、ソーシャルディスタンスなど、感染対策の徹底が社会に浸透することは、人類にとって非常に有意義なことです。
しかし、社会全体が不十分な知識のまま感染対策に過剰になっていることも事実であり、咳症状のある人を差別するなどの非人道的な行動が問題になっています。
咳でうつる病気とうつらない病気が存在するという事実を学び、偏見をなくすこともまた、咳エチケットのひとつと言えるのではないでしょうか。

【参考情報】厚生労働省・咳エチケット啓蒙ポスター
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593495.pdf

◆「咳が止まらない時に心配な病気の症状・検査・治療」>>

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