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喘息の咳はうつる?うつらない?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年11月25日

新型コロナウイルス感染症の流行を機に、「咳エチケット」や「感染対策」という言葉が世間一般的にも広く認知されるようになりました。
 
今やマスクをして外出することが当たり前となり、ショッピングセンターや飲食店など、どこをみても速乾性手指消毒剤(アルコール消毒剤)が常備されています。
ソーシャルディスタンスという考え方も重要視され、人混みや混雑を避けるという考え方が一般的となりました。
 
病院や医療機関、医療従事者の間では、以前からこれらの感染対策が一般的ではあったのですが、それが世間的にも認知され、感染対策が実践されるようになったのは大きな進歩でもあります。
 
しかし、その一方で問題となるのが、咳症状に対する誤解と偏見です。
ウイルスなどの呼吸器感染症でも、咳や痰という症状は一般的であるため、「咳をしている人はうつる病気を持っているのではないか?」と決めつけるような考え方も広まっています。
 
もちろん、咳などに含まれる飛沫にはウイルスや細菌が含まれている場合があり、常に咳エチケットを守る必要があることは言うまでもありません。
しかし、咳でうつる病気とうつらない病気があることもまた事実です。

そこで今回は、咳ではうつらない病気のひとつである、気管支喘息の咳症状について解説していきます。

1.喘息の咳の特徴

喘息というのは、空気の通り道である気道(気管支)に慢性的な炎症が起こり、通常であれば問題とならないようなレベルのちょっとした刺激に対しても発作が起きてしまう病気です。
 
喘息の発作が起こると、激しい咳や痰の他、場合によっては呼吸困難や胸(心臓周辺)の痛みが出ることもあります。
 
もちろん、発作が起きていない状態でも、常に気道に炎症が起きているため、咳などの症状は出やすくなっています。
 
つまり、ウイルスや細菌などの感染症にかかっていなくても、喘息を持っている人は激しい咳が出ることがあるということです。

感染症ではなくても、喘息の発作やアレルギー反応によって喘息患者さんが激しく咳き込んでしまう可能性があるということを、患者さんの周りの人は理解しておくことが大切です。

【参考情報】『喘息の特徴は?』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/case/check.html

2.感染症の咳の特徴

ウイルスや細菌、その他病原性微生物が喉や気道などに感染した場合、これを専門的には「呼吸器感染症」と呼びます。
 
感染する細菌やウイルスによって症状や重篤度は異なりますが、基本的には咳やくしゃみ、鼻水、発熱など、風邪に似た症状が出現します。ちなみに、風邪の大半はウイルス感染症です。

◆「風邪をひいた時の基礎知識・対処法・病院受診の目安」>>

その際、咳やくしゃみなどの“しぶき”には大量のウイルスや細菌が含まれます。
咳によってウイルスや細菌が飛散し、それを別の人が吸い込むことで飛沫感染が起こります。
 
このようにどんどん感染者が拡大していくというのが、感染症によって出現する咳症状の特徴です。
だからこそ、感染症の場合には徹底した咳エチケットが重要となるのです。
 
ウイルスや細菌が飛び散らないように、咳やくしゃみをする際には口と鼻を覆うことは、今では当たり前になりましたが、常にしっかりとマスクをすること、そして手洗いうがいの徹底が必要です。

◆「喘息発作やウイルス感染を予防する、マスクの付け方と選び方」>>

 特に手洗いは非常に重要であり、環境中に存在するウイルスや細菌を体内に入れないためには、定期的に正しい手洗いをすることが大切です。
アルコールによる消毒はもちろんですが、石鹸と流水による手洗いを徹底するように心がけましょう。

【参考情報】『咳エチケット』東京都感染症情報センター
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/flu/cover-cough/

3.喘息と感染症の咳は違う

3−1.喘息の咳

●熱や喉の痛みなどの症状がないのに咳や痰が続く
●「ゼーゼー・ヒューヒュー」という喘鳴と呼ばれる症状が見られる
●夜間や早朝など決まった時間になると咳が出る
●タバコの煙やハウスダストなどに反応して咳が出る

このような、明らかに喘息症状だとわかる場合や、発熱や喉の痛みなどがなく感染症ではないと診断された場合は、咳でうつるタイプの病気ではない可能性が高いです。
喘息は咳でうつるウイルス感染症とは違い、咳をしたからといって病気が広がることはありませんが、検査や診断、治療にはより専門的な経験と知識が必要になります。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

3−2.感染症の咳 

一方、発熱や喉の痛みなどが伴う場合、感染症である可能性が高くなります。その場合、咳の中には多くのウイルスが含まれているため、咳を媒介して病気がどんどん広がっていってしまいます。

その場合、ウイルスそのものを退治する治療を行うことができれば、病態を改善することができるため、まずは早い段階で検査をして、抗ウイルス薬や抗菌薬を投与するということが重要になります。
 
いずれにしても、早く咳の原因を突き止め、原因に応じた治療を進めていく必要があります。

【参考情報】『喘息の原因/ネブライザーネット』オムロン
https://store.healthcare.omron.co.jp/nebulizer-net/asthma/vol1-4.html

4.おわりに

喘息の他にも、COPDや肺がんなど、慢性的な咳症状に悩まれている患者さんはたくさんいます。
患者さん自身が咳エチケットを徹底することはもちろんですが、周囲の理解を得ることや、反対に喘息の方に対して理解を示すこともまた、大切なことなのです。

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