ブログカテゴリ
外来

睡眠時無呼吸症候群の治療で夜尿症が改善?2つの病気の関連性について解説

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年07月27日

睡眠時無呼吸症候群の患者さんのなかには、夜間の頻尿や夜尿に悩まされている人がいます。排尿に関するトラブルは周囲の人に相談しにくく、ひそかに悩んでいる人もいるでしょう。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と夜尿症の関連や、睡眠時無呼吸症候群によって夜尿症が改善する可能性について解説します。

1.睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気か

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。肥満体型の人や、あごが小さい人に多くみられます。

睡眠時無呼吸症候群になると、寝ている間に大きないびきをかいたり、寝相が悪くなって寝汗が増えることがあります。また、何度もトイレにいきたくなって目が覚めてしまう人もいます。

睡眠時無呼吸症候群を治療せずに放っておくと、高血圧や糖尿病、脳梗塞などのリスクが高まることがわかっています。

◆「睡眠時無呼吸症候群の症状・検査・治療の基本情報」>>

2.夜尿症とはどんな病気か

夜尿とは、いわゆる「おねしょ」のことで、睡眠中に無意識におしっこが出ることです。5歳以上の方で、1ヶ月に1回以上の夜尿が3ヶ月以上続くと、夜尿症と診断されます。

子どもの夜尿は成長につれ減少する傾向にありますが、7歳以上の約10%の人には夜尿症がみられ、大人になっても続いている人もいます。

【参考情報】『おねしょ(夜尿症)が治らない』日本泌尿器科学会
https://www.urol.or.jp/public/symptom/09.html#:~:text=%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%AD%E3%81%97%E3%82%87%EF%BC%88%E5%A4%9C%E5%B0%BF%E7%97%87%EF%BC%89%E3%81%AF,%E3%82%82%E3%81%AE%E3%80%8D%E3%81%A8%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

3.夜尿症の原因

夜尿症の原因には、病気や加齢、生活習慣によるものがあります。

3−1.病気とその治療に関連したもの

夜尿症の原因となる病気のひとつに、過活動膀胱があります。過活動膀胱とは、何らかの原因で膀胱に尿をためておけず、頻尿や尿失禁などを引き起こす病気です。

過活動膀胱は、脳梗塞やパーキンソン病などの脳神経系の病気や、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった脊髄の病気、末梢神経障害を起こす糖尿病などで引き起こされることがあります。

高血圧や腎臓の機能障害で、夜間の尿量が増えることも夜尿症の原因となります。また、高血圧や狭心症の治療薬であるカルシウム拮抗薬を服用していると、夜間の頻尿が起こりやすくなることがあります。

◆「放っておくと怖い糖尿病の症状・検査・原因・治療の基本情報」>>

3−2.加齢によるもの

男性は、加齢によって肥大した前立腺が膀胱や尿道を圧迫することで、夜尿症が引き起こされることがあります。

女性は、子宮を支える骨盤底筋が緩んで子宮の位置が下がり、膀胱を圧迫することが夜尿症の原因となることがあります。

3−3.生活習慣に関連したもの

「塩分の多い食事をしている」「寝る前に水分をたくさんとる」人は、これらの生活習慣が夜尿症の原因となる可能性があります。

【参考情報】『Effect of salt intake reduction on nocturia in patients with excessive salt intake』Tomohiro Matsuo, Yasuyoshi Miyata, Hideki Sakai
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2019/192051/201911081A_upload/201911081A202008201456143740029.pdf

ほかにも、緊張やストレスから必要以上に水分を摂取してしまう心因性多尿など、夜尿症の原因は多岐にわたります。

4.睡眠時無呼吸症候群と夜尿症との関連

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、なぜ夜間の頻尿や夜尿を起こしやすいのでしょうか。ここでは、2つの理由を解説します。

4−1.交感神経が優位になりやすい

人間の体は睡眠中に体を休めるため、通常は副交感神経が優位になります。しかし、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、睡眠中に低酸素状態が続くことによって、交感神経が優位となります。

交感神経が優位になると、膀胱の容量が減少するため頻尿になります。また、睡眠時無呼吸症候群では脳に十分な酸素が届かなくなるため、尿意があっても目が覚めにくくなり、夜尿につながる可能性があるのです。

◆「睡眠時無呼吸症候群による酸素不足が招く症状とは?」>>

4−2.利尿ホルモンが分泌される

睡眠時無呼吸症候群によって呼吸が止まったり浅くなったりすると、心臓や肺などの臓器が位置する胸腔内の圧が低下して、心臓に大きな負荷がかかります。これにより、心臓の働きを保つために、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)というホルモンが分泌されます。

ANPは強い利尿作用をもつホルモンであるため、本来であれば夜間減少するはずの尿量が増加してしまい、夜尿の原因となることがあります。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんのANPについて調べた研究によると、健康な人は覚醒時と睡眠時のANPの量に大きな差がないものの、睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、睡眠時のANPの量が覚醒時よりも有意に増加することがわかっています。

【参考情報】『睡眠時無呼吸症候群における心房性Na利尿ペプチド(ANP)の動態』日本胸部疾患学会雑誌
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrs1963/27/Supplement/27_Supplement_324/_pdf

5.睡眠時無呼吸症候群の治療で夜尿症が改善する可能性も

睡眠時無呼吸症候群は、自律神経の働きが乱れたりホルモンバランスが崩れたりすることによって、夜尿症を引き起こす可能性がある病気です。

夜間の頻尿や夜尿とともに、「いびきがひどいと言われたことがある」「日中の眠気や倦怠感が強い」といった症状がある場合には、一人で悩まず医師に相談してみましょう。

「睡眠時無呼吸症候群に対する経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)によって、夜間の頻尿や切迫した尿意が改善した」という研究結果があり、睡眠時無呼吸症候群の治療によって、夜尿症の改善が期待できます。

◆「睡眠時無呼吸症候群の治療で使う「CPAP」とは?」>>

【参考情報】『夜間頻尿は睡眠時無呼吸症候群の治療で改善するのか(第95回日本泌尿器科学会総会)』日本泌尿器科学会雑誌
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol/98/2/98_KJ00004613972/_pdf/-char/ja

夜間の頻尿や夜尿がある場合には、大きな病気が隠れている可能性があるため、なるべく早く医療機関を受診して、原因を明らかにすることが大切です。

◆当院で睡眠時無呼吸症候群の治療が受けられます>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階