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睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係について

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年11月22日

睡眠時無呼吸症候群と糖尿病には、深い関連性があるといわれています。

睡眠時無呼吸症候群患者の糖尿病合併率は、軽症患者は2.8%、重症患者は14.7%との報告があり、重症になるほど合併率が高まることがわかります。

【参考資料】Am J Respir Crit Med 2005;172:1590-1595
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16192452/

また、別の研究では、糖尿病患者のうち72%が睡眠時無呼吸症候群を合併していたとの報告がありました。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係性について解説します。

1.睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の基礎知識

1−1.糖尿病とは

糖尿病とは、インスリンというホルモンが不足したり、はたらきが悪くなることにより高血糖状態が続く病気です。
高血糖状態が続くと、血液がドロドロになり、血管に負担がかかります。
血管が傷つくことで、次のような合併症を引き起こします。

・糖尿病性網膜症…目の血管が傷つくことで、失明の危険があります。
・糖尿病性腎症…糖尿病が進行することで腎不全になり、人工透析が必要になります。
・糖尿病性神経障害…手足のしびれや顔面麻痺、壊疽の危険があります。

初期症状としては「のどの渇き」が代表的ですが、自覚症状がない場合も多いです。

◆「放っておくと怖い糖尿病の症状・検査・原因・治療の基本情報」>>

1−2.睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ているときに無呼吸状態を繰り返す病気です。
無呼吸状態では酸素を取り入れることができないため、身体が低酸素状態に陥ります。
低酸素状態が繰り返し起こることで、血管や心臓、自律神経やホルモン分泌などに悪影響を与えます。
その結果、高血圧や脂質異常症、糖尿病など様々な病気の合併につながり、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる病気を引き起こす原因となります。

◆「睡眠時無呼吸症候群の症状・検査・治療の基本情報」>>

2.睡眠時無呼吸症候群を放置すると糖尿病になりやすい

睡眠時無呼吸症候群と糖尿病は合併しやすいと報告されています。

代謝に関わるホルモンは睡眠中にもっとも分泌されます。
ホルモンの一種であるインスリンは、血糖値を下げるはたらきを持つホルモンですが、睡眠不足が原因で低酸素状態が続くと、インスリンのはたらきが悪くなり、血糖値が下がりにくくなるという研究結果が報告されています。

アメリカのシカゴ大学によれば、4時間睡眠を1週間続けると、糖尿病の初期と同じ程度の高血糖になったという研究も報告されています。

【参考資料】「図解 睡眠時無呼吸症候群を治す!最新治療と正しい知識」白濱龍太郎 日東書院
https://tg-net.co.jp/tatsumi_book/8439/

インスリンがうまくはたらかずに血糖値が高いままの状態が続くことで、インスリンがますます過剰に分泌されてしまいます。
その結果、糖の代謝異常が起こり、糖尿病の発症につながります。

実際に、糖尿病患者が睡眠時無呼吸症候群の治療を始めたらインスリンの反応が改善し、血糖コントロールがよくなったとの報告もあります。

【参考資料】「こんなに怖い 図解 睡眠時無呼吸症候群」白濱龍太郎 日東書院
https://tg-net.co.jp/tatsumi_book/8045/

◆「睡眠時無呼吸症候群の危険度チェック」>>

◆「睡眠時無呼吸症候群の検査について」>>

3.糖尿病の治療について

糖尿病治療の基本は食事療法です。
血糖値をコントロールするためには、ご飯や甘いものなどの糖質を控え、肉や魚などのたんぱく質を積極的に摂ることが大切です。
食べる順番によっても血糖値の上がり具合が変わるので、野菜やおかずから先に食べ、ご飯は後半に食べましょう。

また、食後にウォーキングなど軽い運動をすると血糖値が下がりやすくなります。
筋肉量が多いとインスリンのはたらきも高まるので、エスカレーターではなく階段を使うなど、普段から身体を動かすようにしましょう。

糖尿病の程度によって、飲み薬やインスリン注射を使用します。
軽度のⅡ型糖尿病の場合は食事療法のみで血糖値をコントロールできる方もいますが、難しい場合は薬を服用します。
薬を服用しても治療の基本は食事療法なので、普段の食事をコントロールすることが大切です。

◆「放っておくと怖い糖尿病の症状・検査・原因・治療の基本情報」>>

4.おわりに

睡眠時無呼吸症候群と糖尿病は合併しやすい病気です。
治療せずに放置すると、病気の進行につながるので、きちんと治療を受けることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群は自覚症状がない場合もあるので、気になる場合は早めに呼吸器内科を受診して検査を受けることをおすすめします。

◆「当院の睡眠時無呼吸症候群治療について」>>

◆「当院の糖尿病治療について」>>

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