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外来

喘息・COPD治療薬「テリルジー」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2023年01月19日

テリルジーは、喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に用いる薬で、専用のデバイス(吸入用器具)にセットされています。

この記事では、テリルジーの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ読んでください。

1.テリルジーとはどのような薬か

テリルジーは、吸入ステロイド薬(ICS)であるフルチカゾンフランカルボン酸エステル、長時間作用性β2刺激薬(LABA)であるビランテロールトリフェニル酢酸塩、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)であるウメクリジニウム臭化物を配合した吸入薬です。

【参考情報】
・『医療用医薬品 : テリルジー』KEGG MEDICUS
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00069049

・『フルチカゾンフランカルボン酸エステル』KEGG MEDICUS
https://www.genome.jp/entry/dr_ja:D06315

・『ビランテロールトリフェニル酢酸塩』KEGG MEDICUS
https://www.kegg.jp/entry/dr_ja:D09697

・『ウメクリジニウム臭化物』KEGG MEDICUS
https://www.kegg.jp/entry/dr_ja:D10181

吸入ステロイド薬は気道の炎症を抑えて発作を予防する成分、β2刺激薬は気管支を拡げて息苦しさを和らげる成分、抗コリン薬は気管支を収縮させる副交感神経の働きを高める神経伝達物質・アセチルコリンを抑えることで、気管支を拡張させる成分です。

テリルジーに含まれる3つの成分は、「エリプタ」というデバイスの中に収められています。

デバイスには、「テリルジー100エリプタ」または「テリルジー200エリプタ」と記載されていますが、この「100」「200」という数字は薬剤の中に含まれるステロイドの量を表しています。

喘息の治療では「200」を使用することがありますが、COPDの治療には「100」のみが使用可能です。

また、「14吸入用」あるいは「30吸入用」とも記載されていますが、この数字はエリプタからテリルジーが吸入できる回数を意味します。

喘息の治療薬には、毎日服用することで発作を予防する「コントローラー(長期管理薬)」と、発作が起こった時に鎮めるための「リリーバー(発作治療薬)」があります。

テリルジーは、コントローラーにあたる薬です。コントローラーは、吸入してすぐに効果は現れませんが、使い続けることで発作を予防することができます。

◆「喘息やCOPD治療に使う「吸入薬」とは?」>>

2.テリルジーの使い方

テリルジーは、以下の手順で1日1回、毎日吸入してください。朝・昼・夜、いつ吸入しても構いませんが、飲み忘れを防ぐためにも、時間を決めて吸入した方がいいです。

①吸入器を持つ
カバーが上に、カウンター(残り残量)が手前に来るように、吸入器を両手で持ちます。

②カバーを開ける
カチッと音がするまで、カバーを開けます。

③息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。

④薬剤を吸い込む
マウスピース(吸入口)をしっかりくわえて、「強く」「早く」「一気に」スーッと息を吸い込んでください。うどんをすするようなイメージで行うといいです。
※吸入時に甘みや苦みを感じる場合があります。

⑤息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。

⑥カバーをしめる
吸入後は吸入器のカバーを閉じてください。

⑦うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流します。

【参考情報】『吸入器(エリプタ)をご使用になる方へ』GSK
https://www.kusurigsk.jp/howto/ellipta.pdf?i=ar

3.テリルジーの副作用

テリルジーは3成分が配合された薬剤であるため、副作用も大きく3つのタイプに分けられます。

吸入ステロイド薬の副作用としては、口腔カンジダ症や声のかすれが出ることがあります。

【参考情報】『口腔カンジダ症』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/#c05

長時間作用性β2刺激薬の副作用としては、頻脈や動悸などが出現する可能性があります。

抗コリン薬の副作用としては、口の中が乾燥することがあります。

副作用を予防するため、吸入後は必ずうがいを行うようにしましょう。

◆「喘息治療に使う吸入ステロイド薬の副作用は?」>>

4.使用上の注意点

テリルジーは、喘息の発作を抑える薬ではありません。発作が起こり、咳や息苦しさが強くなってきたときは、医師から処方された発作治療薬(リリーバー)を服用してください。

◆「喘息で息苦しい時の応急処置」>>

妊娠中やその可能性のある方、授乳中の方は医師に相談してください。

◆「喘息の女性が気になる妊娠中の不安や疑問に答えます」>>

持病やアレルギーのある方、ほかの薬を使用している方も、医師に相談してください。

【参考情報】
・『テリルジー患者向医薬品ガイド 』GSK
https://jp.gsk.com/media/7482/trelegy-guide_202110.pdf

・『テリルジー100エリプタ14吸入用』くすりのしおり
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=46086

・『テリルジーエリプタ添付文書』
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/340278_2290804G1022_1_01G.pdf

5.テリルジーの薬価

テリルジーの薬価は、以下となります。

・テリルジー100エリプタ14吸入用 4160.8円
・テリルジー100エリプタ30吸入用 8805.1円
・テリルジー200エリプタ14吸入用 4738.5円
・テリルジー200エリプタ30吸入用 10043.3円

テリルジーの代わりとなるジェネリック医薬品や市販薬はありません。

6.おわりに

テリルジーは、吸入ステロイド、抗コリン薬、長時間作用型β2刺激薬の3成分が、一度の吸入でまとめて吸入できるというメリットがあります。

一方、使用方法を誤ると、3成分の副作用が複雑に出現してしまう可能性もあるため、用法用量を守って正しく使用する必要があります。

体調がよくなっても、自己判断で吸入回数を変更したり、使用を中止することは絶対にしないでください。吸入量は、医師と相談しながら減らしていきましょう。

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