子どもの咳は何科へ?呼吸器内科の役割と受診すべきサイン

「風邪と言われたのに、子どもの咳だけがなかなか治らない」
「夜になると咳き込んで苦しそうで心配」
「小児科と呼吸器内科、どちらに行けばいいの?」
そんなお悩みから、子どもの咳は呼吸器内科で診てもらうべきか迷う保護者の方も多いと思います。
この記事では、子どもの咳と呼吸器内科の役割、受診の目安をていねいに解説します。
目次
1. 子どもの咳で呼吸器内科の受診を迷いやすい理由
まずは、「なぜ子どもの咳で受診先を迷いやすいのか」を整理していきましょう。
1-1. 日常でよくある「こんな咳、大丈夫?」という不安
子どもの咳で、次のような心配をしたことはないでしょうか。
・昼間は元気なのに、夜になるとコンコン咳き込んで眠れない
・風邪と言われてから2週間以上たっても咳だけ続いている
・走ったあとや運動会の練習のあとにゼーゼー・ヒューヒューした咳が出る
・小児科では「様子を見ましょう」と言われたが、本当に大丈夫か不安
乳幼児は気道(空気の通り道)が細く、感染症にかかりやすい時期でもあるため、咳の回数や強さが目立ちがちです。
特に、生後数か月〜2歳頃までは、RSウイルスなどの呼吸器感染症で重くなることもあり、保護者が不安を感じやすい時期です。
◆「赤ちゃんから小児期まで、心配な子どもの咳について」について>>
1-2. 咳は原因が多く、症状だけでは判断しにくい
咳は、気道についたウイルス・細菌・ホコリなどを追い出すための防御反応です。そのため、「咳=悪いもの」とは限らず、むしろ必要な反応でもあります。
一方で、子どもの咳には次のように多くの原因があり、見た目の症状だけで原因を言い切ることは難しいという特徴があります。
【子どもの咳に多い主な原因】
・風邪やRSウイルスなどの呼吸器感染症
・副鼻腔炎(蓄膿)、アレルギー性鼻炎など、鼻からくる咳
・胃食道逆流症(胃酸が逆流してせき込む)
・心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)など、心の状態が影響する咳
また、小児のガイドラインでは、咳が4週間以上続く場合を「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」として、詳しい原因検索を行うことが推奨されています。
つまり「咳が続いている=全部同じ病気」ではなく、期間・タイミング・音・他の症状から総合的に判断する必要があります。
【参考情報】『小児気管支喘息 治療・管理ガイドライン2023』日本小児アレルギー学会
https://www.jspaci.jp/assets/documents/jpgl2023_web.pdf
2. 子どもの咳は何科へ?小児科と呼吸器内科の役割の違い
ここでは、「小児科」と「呼吸器内科」の違いを、受診の目安という観点から整理します。
2-1. 小児科が得意とする症状・年齢層
小児科は、「子どもの総合内科」のような存在です。
発熱や嘔吐、下痢、発疹といった全身の急な症状に幅広く対応しながら、ワクチン接種や健診などを通して成長の様子を継続的にフォローしていきます。
さらに、食物アレルギーやアトピーなど、子ども特有の体質についての相談にも乗ってくれます。
特に乳児(0〜1歳頃)は、呼吸器だけでなく全身状態の変化が早く、脱水や急な悪化を見逃さないことが大切なため、まずは小児科で全身をしっかり診てもらうのが基本になります。
2-2. 呼吸器内科が得意とする咳・呼吸の専門診療
呼吸器内科は、その名の通り「気道(気管支・のど)や肺など”呼吸に関わる臓器”を専門に診る診療科」です。
次のような症状は、呼吸器内科が特に得意とする領域です。
・咳が2〜3週間以上続いている
・「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と喘鳴(ぜんめい)が聞こえる
・風邪のたびに咳が悪化し、治りかけた頃にまたぶり返す
・夜〜明け方にかけて咳が強く、眠れない
・運動すると咳き込みやすい、息切れしやすい
これらは、小児喘息や咳喘息、慢性的な気道炎症などが隠れているサインであることが多く、呼吸器内科が得意とする領域であり、専門的な検査や治療が必要になる場合があります。
【参考情報】『Asthma in Children』National Heart, Lung, and Blood Institute(NIH)
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma/children
2-3. どんな症状ならどちらが向いている?
以下は、迷ったときの大まかな判断ポイントです。
・発熱・下痢・発疹など、呼吸器以外も症状がある場合 → 小児科
・授乳・食事ができない、ぐったりしている →小児救急・小児科
・咳が数週間続く・夜間や運動時に悪化する → 呼吸器内科
・小児科で治療しているが改善しにくい → 呼吸器内科で再評価
症状だけでは判断が難しいケースも多いため、後述の「受診すべきサイン」で、より具体的に確認していきます。
【参考情報】『上手な医療のかかり方』厚生労働省
https://kakarikata.mhlw.go.jp/assets/pdf/slide.pdf
3. まずは判断!呼吸器内科を受診すべきサイン
子どもの咳を「専門科に相談すべきか」を判断しやすいよう、呼吸器内科への受診を検討するサインを一覧でまとめました。
3-1.症状のチェックリスト
【長引く咳・夜間悪化・運動時に出る咳】
□ 咳が2〜3週間以上続いている
□ 夜〜明け方に強く咳き込む(毎晩続く)
□ 運動すると咳が出る/ゼーゼーする
これらの症状は、風邪だけでは説明がつかないことが多く、気道に慢性的な炎症が起こっているサインです。
小児喘息・咳喘息・運動誘発性喘息など、呼吸器内科で評価が必要な病気が隠れている可能性があります。
【風邪のたびに悪化する・家族歴がある】
□ 風邪をひくたびに咳が長引く・悪化する
□ 熱が下がっても咳だけがなかなか治らない
□ 家族に喘息・アレルギー性鼻炎・アトピーが多い
これらが当てはまる場合、気道がもともと敏感であったり、家族のアレルギー体質が影響している可能性があります。
小児喘息や咳喘息はウイルス感染をきっかけに悪化しやすく、繰り返す咳の背景にはアレルギー性の炎症が存在することも多いです。
【日常生活への支障(睡眠・学校・運動)】
□ 夜の咳で眠れない/何度も目が覚める
□ 授業中に咳が止まらず集中できない
□ 運動すると息苦しそう・咳き込みやすい
咳が続くことで睡眠や学校生活、運動に支障が出ている場合、生活の質(QOL)が低下しており、治療が必要なサインです。
3-2.呼吸器内科を受診するための判断の目安
上のチェックリストのうち、
・1項目でも当てはまる場合 → 一度相談レベル
・2項目以上当てはまる場合 → 呼吸器内科での精密な評価を推奨
がひとつの目安になります。
特に、
・咳が 2〜3週間以上続く
・夜間・早朝・運動時 に症状が悪化する
・風邪のたびに咳がぶり返す
・家族にアレルギーや喘息が多い
・咳のせいで 眠れない・学校に集中できない・運動ができない
といったケースは、風邪の範囲を超えている可能性が高く、放置すると悪化しやすい特徴があります。
子どもの咳は症状だけでは原因が分かりにくいことも多いため、上記のサインが重なるほど「専門的な検査や治療が必要な状態」である確率が上がります。
4. 子どもでもできる!呼吸器内科で行う専門的な検査と診断
呼吸器内科では、子どもの咳の原因をできるだけ正確に把握するため、いくつかの専門的な検査を組み合わせて診断します。
子どもの咳は症状だけでは判断が難しいことも多いため、検査を行うことで「何が原因か」「治療が必要か」を明確にできる点が大きなメリットです。
ここでは、呼吸器内科で行う代表的な検査をわかりやすく紹介します。
4-1. 呼気NO(FeNO)検査
呼気NO(FeNO)検査とは、吐いた息の中に含まれる「一酸化窒素(NO)」の量を測る検査です。気道のアレルギー性炎症を調べるために行います。
・マウスピースをくわえて、ゆっくり息を吐くだけ
・痛みはなく、小学生以上であれば比較的簡単にできる
・数値が高いほど、アレルギーによる気道炎症(好酸球性炎症) が強いことを示す
小児喘息や咳喘息では、この炎症が原因で咳が続くため、FeNOの数値は診断と治療評価に非常に役立ちます。
◆「咳が止まらない時に起きている気道炎症とは?」について>>
【参考情報】『呼気NO測定ハンドブック』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/06/pdf/a17112.pdf
4-2. スパイロメトリー(肺機能検査)
スパイロメトリーは、息を吸ったり吐いたりすることで「気道の狭さや呼吸の強さ」を調べる検査です。
・深く吸い込んで、一気に「フーッ」と吐き出す
・吐く力・スピード・量から、気道が狭くなっているかを判定
・喘息かどうか、治療後に改善しているかも確認できる
小学生以上であれば多くの子が実施できます。
喘息がある場合、「吐き出すスピードが遅い」「途中で息が詰まる」などの特徴がみられ、診断の手助けになります。
【参考情報】『呼吸器Q&A 肺機能検査とはどのような検査法ですか?』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q27.html
4-3. モストグラフ(呼吸抵抗測定)
モストグラフは、息を普通に吸ったり吐いたりするだけで、空気の通り道(気道)がどれくらい狭くなっているかを調べられる検査です。
・息を強く吐く必要がない
・幼児〜小学校低学年でも実施しやすい
・気道のどの部分で抵抗があるかを細かく評価できる
スパイロメトリーが難しい子でも、モストグラフを使うことで早期に喘息を疑う手がかりが得られます。
4-4. 胸部レントゲン・アレルギー検査
咳が長引く背景には、肺炎・マイコプラズマ感染症・副鼻腔炎など、喘息以外の病気が隠れていることもあります。
そのため、呼吸器内科では必要に応じて以下を行います。
胸部レントゲン:
肺の影・炎症・異常がないか確認し、肺炎や慢性の気道病変がないか をチェックします。
アレルギー検査(血液検査):
ダニ・ハウスダスト・スギ・ヒノキなど、どのアレルゲンに反応しやすいかを確認します。
これにより「咳がアレルギー体質と関係しているのか」が明確になります。
4-5. 呼吸器内科ならではの“総合的な診断力”
呼吸器内科では、検査結果だけでなく、
・咳が強い時間帯(夜・明け方・運動時など)
・家族のアレルギー歴
・風邪をひいた後どのくらい長引くか
・気管支炎などの既往歴
・季節・環境との関係
といった背景情報も組み合わせて診断します。
子どもの咳は複数の原因が重なっていることが多いため、呼吸器内科での総合的な評価は大きなメリットになります。
5. 子どもの咳と受診の判断に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 子どもの咳が続く場合、何日くらいで呼吸器内科を受診したほうがいいですか?
A.咳が 2週間以上続く場合は、風邪以外の原因(喘息・咳喘息・アレルギー性炎症など)の可能性があるため、呼吸器内科での評価をおすすめします。
夜間悪化や運動時の咳がある場合は、もっと早い段階で相談しても問題ありません。
Q2. 小児科で「様子を見ましょう」と言われた咳でも、呼吸器内科を受診して大丈夫ですか?
A.はい、問題ありません。
小児科と呼吸器内科では診る角度が異なるため、「小児科では異常なし」と言われても、気道の炎症や喘息の可能性が隠れている場合があります。
不安が続くときは専門医の再評価が役に立ちます。
Q3. 呼吸器内科は何歳から受診できますか?
A.医療機関により異なりますが、当院のように0歳から受診可能な呼吸器内科もあります。
検査の種類は年齢によって調整できますので、「小さいから無理かも…」と心配せずに相談して構いません。
Q4. 咳止めの薬を飲んでも治らないのはなぜですか?
A.咳止めは「咳そのものを抑える薬」であり、原因を治す薬ではありません。
そのため、喘息・咳喘息・アレルギー・副鼻腔炎などが原因の場合、咳止めだけではよくならず、原因に合わせた治療が必要になります。
また、小児では市販の咳止め薬の使用に注意が必要です。特にコデインという成分は12歳未満では使ってはいけない薬で、誤って飲むと呼吸が弱くなるなどの危険があります。心配なときは、自己判断で薬を使わず、医師や薬剤師に相談しましょう。
Q5. 夜だけ咳が出るのは、喘息の可能性がありますか?
A.はい、可能性があります。
喘息は夜〜明け方に悪化しやすく、「昼は元気なのに夜だけ咳き込む」というパターンが典型的です。
毎晩続く場合は、呼吸器内科での評価を検討しましょう。
6. おわりに
子どもの咳は原因が多く、家庭だけで判断するのが難しいこともあります。
特に、咳が長引く・夜に悪化する・風邪のたびに繰り返す場合は、呼吸器内科で子どもの咳を専門的に評価することが役立ちます。
早めに相談することで、原因に合った治療につながり、お子さんの負担を減らすことができます。
「少し心配だな」「受診すべきか迷う」と感じた段階でも、どうぞ気軽にご相談ください。







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