喘息の専門医が教える、喘息(ぜんそく)や咳喘息(せきぜんそく)にベストな治療法と病院選び

著者: 三島 渉(医学博士、上六ツ川内科クリニック理事長)
呼吸器学会専門医/禁煙学会専門医/アレルギー学会専門医/内科学会認定医
医療法人社団ファミリーメディカル理事長

喘息は良く聞く身近な病気ではありますが、一歩間違えば命を落とすこともある、ということをご存知でしたか?

現在、日本国民の3人に1人はなんらかのアレルギー疾患を持っており、その中でも喘息の患者数は子どもから大人まで含めて400万人を超えると言われています。
 
横浜市南区で呼吸器内科を専門にしている当院にも、毎月1,000人を超える喘息患者さんが多方面から来院されます。

もしも、「たかが喘息でしょ?」とか、喘息になっていると気付かずに「どうせただの風邪だろう・・・」と思って病院にも行かず放っておいている方がいたとしたら。。
 
それは、とてもキケンです!
 
今でも喘息の発作が原因で命を落としてしまう方が、毎年1,600人ほどいます。

そのうち約3割の方が発作が起きてからわずか1~3時間で亡くなっているということですから、喘息の発作がいかに怖いものかがおわかりいただけると思います。

残念ながら、喘息は一度発症してしまうと今の医学では完治することが難しい病気です。

でも、定期的な通院と適切な治療を続けていけば、健康な人と変わらない生活を送ることができるんです!

喘息だからといって落ち込んだり、やりたいことをあきらめる必要はありません。

もしもあなたや身近な人が喘息になってしまった時、いったいどうすればいいの?自分にできることはあるの?

などの不安や疑問を解決する具体的な方法についてお話していきますので、どうぞ最後まで読んでみてくださいね。

1.もしかして喘息?と思ったら~自覚症状と病院選び編~

(1)喘息・咳喘息の可能性がある症状の最重要チェックポイント:
咳が何日間くらい続いていますか?

咳以外の風邪のような症状(喉が痛い・鼻水が出る・発熱など)は治った。

それなのに、咳だけが2週間以上続いている。

そういう場合には、喘息(正式名称は気管支喘息)・咳喘息の可能性があります。

咳の原因で一番多いのが、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染。

肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌感染。

そしてマイコプラズマなどの細菌、ウイルス以外の微生物の感染によっておこる咳です。

これらを感染症によって起こる咳。

総称して、医学用語では感染性咳嗽(かんせんせいがいそう)といいます。

感染症が原因で咳が出る場合には、発熱や喉の痛みなど咳以外の症状が伴っていたり、咳の期間は1週間~2週間以内に治まることがほとんどです。

しかし、2週間以上咳が続いている。とくに3週間を超えてくる場合には、感染症による咳であれば改善している可能性が高いため、喘息・咳喘息やその他の呼吸器系の病気である確率が高くなります。

それ以外にも、次の症状にあてはまるものがないかチェックしてみてください。

こんな症状があったら要注意!
・粘り気のある痰が多くて、なかなかとれない
・寝た状態よりも起きているときのほうが呼吸しやすい
・軽めの運動でもすぐに息苦しくなる
・夜中に息苦しくて目が覚めることがある
・息をするたびにヒューヒュー・ゼイゼイという音がする

このうち1つでもあてはまったら、喘息・咳喘息をはじめとした呼吸器系の病気にかかっているかもしれません。

2週間以上咳が続いている方は、正確に咳の原因を調べる必要があります。

咳の原因は喘息・咳喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺炎、肺がん、結核などいろいろな病気があります。
→咳についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

■「私は喘息ですか?それとも咳喘息ですか?」

私がクリニックで喘息専門外来をしていると、患者さんからよくされる質問があります。

結論から言うと、「喘息」と「咳喘息」は、同じ病気です。処方される治療薬も同じです。

もともと、気道が細くなったり広がったりする状態を繰り返し、ゼイゼイして息が苦しくなる病気を喘ぐ息と書いて『喘息』と呼んでいました。

ひゅーひゅー、ゼイゼイするのは細くなった気道を空気が通るときに音がするからです。

喘息の患者さんがゼイゼイして息苦しくなったときに我慢していると、我慢しているうちに気道が広がり空気の通りがよくなるため、自然に楽になることがあります。

これは、我慢しているうちに気道が広がり、空気の通りがよくなったからです。

ところが、初期の喘息患者さんの場合にはひゅーひゅー、ゼイゼイすることはありません。

ひゅーひゅー、ゼイゼイするのは、喘息という病気がかなり進行し悪化してから起きる症状なのです。

実は喘息の初めての症状は、多くの場合、かぜをひいた後に咳がなかなか収まらないということです。

この、ひゅーひゅー、ゼイゼイはしていないけれども、咳がなかなか止まらない状態の患者さんを「咳喘息」といいます。つまり、「咳喘息」とは軽症の喘息なのです。

喘息は現在でも年間約1500人が死亡する危険な病気です。

そのため、早期診断・早期治療が大切です。

ただし、現在の喘息診療における大きな課題のひとつは「咳喘息」の診断が非常に難しいことです。

「咳喘息」だと正確に見分けることができるのは、咳の診断についてかなり専門的知識のある医師に限られます。

咳が2週間以上続いたらただの風邪と考えず、早めに呼吸器内科専門医のいるクリニックを受診することをお勧めします。

それでは、次に咳の原因を調べたい!私って喘息・咳喘息かも?…と思ったら、実際にどのクリニックを受診したほうがいいのか?そのことについてお話します。

(2)もしかして喘息・咳喘息?上手な病院の選び方

2週間以上咳が続いている方、風邪をひいたあとに他の症状は治ったのに咳だけが残っている方、近所のかかりつけの内科や耳鼻科を受診したけど咳が全然治らない。もしかして喘息・咳喘息かも?

このような方は、いったいどの医療機関を受診すればいいのでしょうか?

喘息・咳喘息に対する診療を適切に受けたいなら、呼吸器内科専門クリニック(咳外来・喘息外来をかかげているクリニック)で、咳に対する診察経験の豊富な医師に初期の段階で診察を受けること!

呼吸器内科だったらどの病院・クリニックでも同じわけではありません。

呼吸器内科と看板に標榜している病院でも、それぞれ得意としている病気があります。

とくに、大学病院をはじめとする大きな病院の場合には、肺がんをはじめとする入院して行うような検査や治療が必要な病気を中心に診療していることがほとんどです。

レントゲンやCTなどの検査をひととおりした結果、入院が必要な病気ではないと判断された場合には、「すぐに命に関わるような大きな病気ではないです(がまんしてください)。」と言われてしまうことがほとんどです。

病院を選ぶ際はホームページなどで次の広告をチェックすることをお勧めします。

  • 咳に対する診療経験豊富な医師の診察を受けること。
  • 咳の原因を調べる検査設備がそろっているクリニックを選ぶこと。
  • 最初から大学病院のような大きな病院に紹介状を持たずにいきなり受診しないこと。
  • 「喘息・咳」専門に診察を行なっている医療機関なのか?
  • 喘息や咳の患者さんの診療実績(治療実績)がどれくらいなのか?

咳の原因となるいろいろな病気の中でも、喘息・咳喘息は経験豊富な医師の診察を受けられて、さらに必要な検査ができる医療機関が非常に限られています。

なんとなくこの病院でいいかなと選んでしまうと、咳の原因がわからずに、結局いくつも病院を変えなければならないかもしれません。

「喘息・咳の診療を専門にしているクリニック」をみつけたら、そちらを受診するのがお勧めです。

「近くの一般医よりも、遠くの専門医」

喘息・咳喘息で大切なのは、早めに正しい診断を受け、治療を開始すること。

距離がちょっと遠くても、専門医を受診するのが咳を治す第一歩ということです。

ちょっと遠くてもいくつか行けそうな病院があった場合は

・「喘息・咳」を専門に診察を行なっている医療機関なのか?
・喘息や咳の患者さんの診療実績(治療実績)がどれくらいなのか?

に注目して、ホームページをみてください。

少々遠くても、喘息・咳喘息に詳しい医師であれば、改善への早道となります。

そして、通常、喘息・咳喘息の患者さんが受診することの多い一般内科・耳鼻科のクリニックでは、浅く広い知識で幅広い分野をカバーしているので、喘息・咳喘息に関する的確な診断が難しくなりがちです。

また、かりに喘息として正しく診断が受けられたとしても、喘息の治療にはさまざまな薬があり、患者さんの症状にあった治療薬の選択にはかなりの経験を要します。

そのため、ご自身の状態にあった適切な治療が受けられない場合があります。

最初に自宅近くのクリニックを受診した時には、まだ症状が軽い状態であったとしても、適切な対応をとらなければ長い時間をかけて徐々に病気は進行していきます。

結果として、かなり進行してから病院の専門医を受診するということは、決して珍しいことではありません。

最初に少し遠い専門医を受診したとしても、症状が良くなれば様子を見ながら通院間隔を伸ばすことも可能です。

この病院でいいのかなと悩む前に、まずは喘息・咳喘息の専門医を受診することをおすすめします。

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2.喘息治療の第一歩は専門的な検査から~検査と診断編~

喘息かそうでないかを判断するためには、複数の検査を行う場合があります。

「こんなにたくさんの検査をしないといけないの?」と思われるかもしれませんが、正しい診断のために必要な検査ですから、必ず受けるようにしましょう。

当クリニックでは、必要に応じて以下のような検査を行っていきます。

①血液検査
②画像検査(レントゲン・胸部CT)
③呼吸機能検査(モストグラフ・スパイロメトリー・FENO)
④気道過敏性テスト
⑤好酸球検査
⑥血液ガス分析

それでは、それぞれについて簡単に説明しましょう。

①血液検査
喘息などの呼吸器疾患やアレルギー疾患を含め、症状の原因を正確に診断するためにはまず血液の検査をします。

例えば、アレルギーを起こしやすい体質かどうかを調べるためにはIgE抗体という免疫グロブリンを測定します。

アレルギー以外にも血液検査からわかることは多く、感染症が関係していないか、肺炎を起こしていないかなど様々な内容を調べることができます。

②画像検査(レントゲン・胸部CT)

肺の病気を正確に診断するために行う検査に、レントゲン検査と胸部CT検査があります。

当院では最新型のCTを備えた専門医療機関と提携しており、当院から直接予約して検査が受けられます

~レントゲン検査~
X線を身体の指定部位にあて、通過した情報から疾患の有無を調べる検査です。

肺炎や結核などの感染症、その他の肺の病気について鑑別するために行います。


~胸部CT検査※~
身体の周囲からX線をあて、通過した情報をコンピューターで解析し、断層写真をつくります。

この検査ではレントゲン検査よりもたくさんの情報得ることができ、多方向から肺の状況を確認することができるため、肺がんや肺炎などの呼吸器疾患や胸部の腫瘍などを診断するのに用いられます。

※CT検査は横浜市内の提携病院で実施します。

③呼吸機能検査(モストグラフ・スパイロメトリー・FENO)

~モストグラフ(呼吸抵抗)~
喘息やアレルギー疾患などによって気管が狭くなっていないかどうかを判断することができる検査です。

特定の周波数を用いて呼吸する時の空気の通り具合の変化をみるもので、楽に呼吸するだけで簡単に測定できます。


~スパイロメトリー~
呼吸機能をみる基本的な検査です。
スパイロメーターという機械を使って息を大きく吸ったり、大きく吐いたり、勢いよく吐き出したりすることによって、肺活量1秒率など呼吸機能の評価に必要不可欠な値がわかります。


肺活量とは、息を思いっきり吸い込んでから最後まで吐いたときの空気の量のことで、どれだけたくさん息を吸うことができるか、つまりは肺の大きさをみています。

喘息の方の場合、肺活量が低くなることがあります。

1秒率とは、大きく息を吸ってから1秒間にどれだけ勢いよく息を吐くことができるかをみる検査です。

~呼気一酸化窒素濃度測定(FeNO)~
喘息やアレルギー疾患で気道に炎症があると、吐いた息に含まれる一酸化窒素濃度の値が上がります。

この値を測ることで喘息かどうかを判断します。

④気道過敏性テスト
気道を収縮させる作用のあるアセチルコリンやヒスタミンなどを、濃度を変えながら吸入してもらい、反応を調べます。

低い濃度で収縮するほど気道の過敏性が高く、ごくわずかな刺激でも喘息発作を起こす可能性があるということになります。

⑤好酸球検査
好酸球は炎症が起こっているときに増加します。

血液検査などで好酸球の量が増えていたら、喘息やアレルギー疾患などの可能性が高いと考えられます。

⑥血液ガス分析
呼吸不全や意識障害などの重いぜんそく発作の時、身体の中に酸素がどれくらい取り込まれているかなどを調べるために、動脈から採血してすぐに計測を行います。

発作で過呼吸状態になると、酸素が多く取り込まれる一方で二酸化炭素が多く吐き出されるため、結果として動脈血中の酸素と二酸化炭素の量を調べることで肺の機能が正常に機能しているかどうかがわかります。


3.喘息発作を起こさないために~自己コントロール編~

大切なことなので何度も言いますが、喘息の人にとって最も重要なのは、「発作を起こさないように日々コントロールすること」です。

喘息の症状をコントロールするためには、定期的な通院と、患者さん自身の自己管理が欠かせません。

自分の病気や治療法をしっかりと理解し、「自分の健康は自分で守る!」という積極的な気持ちを持ち続けることが大切です。

(1)定期的に通院しましょう

発作はいつもいつも起こるわけでないので、症状が落ち着いた状態が続くと「もう喘息は治ったんだな」と思って自分の勝手な判断で通院や薬をやめてしまう方がいます。

しかし、発作が起きないからと言って気管支の炎症が治ったわけではないのです。

そのため、定期的な治療をおろそかにしてしまうと気道の過敏性が増し、わずかな刺激でも発作がおこりやすくなってしまいます。

このような発作をくり返すと、ますます炎症がひどくなり、気道が狭くかたまったまま正常な状態に戻らなくなる「気道のリモデリング」がおこります。

(引用:アステラス製薬(株)・アストラゼネカ(株)HP

この状態になってしまうと、吸入薬をしようしても気管を十分拡張させることが出来なくなり、さらに発作をおこしやすくなるという悪循環に陥ります。

発作を繰り返さないで済む状態を長い間維持して、健康な人と同じような生活を送るためには、定期的な通院を続けていただく必要があります。

長期間に及ぶ治療を続けていくためには、不安や疑問点は医師によく相談し、納得して治療に取り組んでいくことが大切なポイントです。

(2)喘息日記を記録しましょう

喘息の治療は長期間に渡りますので、「喘息日記」を使って管理していくと便利です。

当院では、喘息と診断された患者さんに、治療を始める段階でお渡ししています。

喘息日記には、

・喘息の症状
・その他の症状
・ピークフロー値
・薬の使用状況

などを記入していきます。

あらかじめ印刷された表に数値を書き込んだり〇をつけたりするだけの簡単なものなので、毎日続けてみましょう。

※ピークフロー値とは?

喘息の今の状態を知るための、指針となる検査です。

患者さんが自宅で“ピークフローメーター”という器具を使って測定を行います。


使い方はとってもカンタン。

ピークフローメーターを口にくわえ、「フーーッ!」とできるだけ速く息を吐き出しましょう。

これで測定は終わりです。

年齢・性別・身長から割り出した基準値がありますので、朝と夜の1日2回、毎日同じ時間帯に測定して、基準値と比べてみましょう。

もしも気道の炎症が悪くなって気道が狭くなっていると、測定値が低く出ますので、呼吸機能が悪くなっていることが分かります。

ピークフローの値が下がることで、自覚症状よりも先に自分の気道の状態を知ることができ、喘息の悪化にいち早く対応することができます。

ピークフロー値の測定は喘息患者さんにとっては体温を測るようなものですので、毎日の日課にしてしまいましょう。

喘息日記を毎日つけると、いつどんな時に・何がきっかけで発作を起こしたのかなど、喘息の状態を客観的に見ることができますし薬の飲み忘れや飲み過ぎを防ぐことができるという利点があります。

また、医師にとっても喘息日記は大事な情報源になります。

診察の時に毎回医師が確認し、薬が合っているか、症状や発作をコントロール出来ているかをチェックし、今後の治療方針を決める参考にします。

もしも旅先などで急に症状が悪化したときでも、喘息日記が手元にあればスピーディーに治療を受けることができるというメリットもありますので、いざという時のためにも外出の時は常に持ち歩いていると安心です。

(3)食生活に気を付けましょう

ある特定の食物がアレルゲンになって、喘息発作を招くこともあります。

特に小児喘息の場合、食物アレルゲンが関与していることが多いです。

代表的なものに、たまご、牛乳、大豆、小麦、そば、魚介類などがあります。

食物アレルギーは喘息発作と同時に皮膚症状が現れることが多いため、アレルゲンが何かを比較的簡単に特定することができます。

もしも食事中や食後すぐに発作が出たり症状が悪化したら、食物アレルギーの疑いがあるので、食べたものをメモし、病院でアレルゲンを特定する検査を受けましょう。

特に子どもの場合は重い症状が出て命に関わることがあるので、疑わしい食品がある場合は早めに検査を受けておいてください。

~他にも、こんな食べ物に要注意!~
タケノコ、ほうれんそう、さといも、やまいも、なすなどのアクの強い野菜は気管支の収縮を引きおこすヒスタミンコリンを含んでいるため、食べすぎると気管支の粘膜が刺激され、発作を誘発することがあります。

また、アイスクリームやかき氷などの冷たい食べ物、ラーメンなどの熱い食べ物、唐辛子やカレー粉などの香辛料は気道を刺激するので、あまり食べすぎないようにしましょう。

(4)アルコールを控えましょう

アルコールによって誘発される喘息は「アルコール誘発喘息」と言い、特に日本人は欧米人に比べてかかりやすいといわれています。


アルコールは体内に入ると肝臓で分解され、“アセトアルデヒド”という有害物質になります。

アセトアルデヒドは酵素によってさらに分解され、尿や汗などと一緒に体の外に排出されますが、日本人の約半数はアセトアルデヒドを分解する酵素が活発に働かないため、アセトアルデヒドの害を受けやすいのです。

アセトアルデヒドは顔面紅潮や吐き気、頭痛の症状をもたらすだけでなく、ヒスタミンも放出されるため気道粘膜が収縮して発作が起こりやすくなります

また、冷たいビールの一気飲みが気道粘膜を刺激したり、飲んだ後に冷たい夜風にあたることや、酔っぱらって薬を飲み忘れることなども発作の原因に繋がります。

このように、喘息の方は原則として飲酒は控えるべきでしょう。

飲める人でも、飲みすぎには十分注意してください。

(5)タバコは絶対にダメ!

タバコには、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、ニコチン、アクロレイン、多還炭化水素など200種類以上の有害物質が含まれます。

これらを吸い込むことによって気道の粘膜が炎症を起こし、煙による刺激やにおいで発作が誘発されるのです。

また、喫煙を続けると吸入薬の効き目が悪くなってしまうこともあります。

このように、喘息の方にとってタバコは何一つ良いことはないのです!

タバコを吸う人はもちろん、吸わない人も注意が必要です。

タバコは、吸う人が吸い込む煙よりも、タバコから流れ出る煙のほうが有害物質が多く含まれるのです。

このタバコから流れ出る煙を吸うことを受動喫煙といいます。

ですから、職場や公共の場などへ行った場合は、なるべくタバコの煙が流れて来るところは避けるようにしましょう。

もしも家族の中に喫煙者がいる場合は、禁煙してもらったり、遠くに離れた場所で吸うようにお願いしましょう。

4.もしも発作が起こったら?~緊急時の対処編~

自宅や外出先などで突然喘息発作が起きてしまった場合、いったいどう対処したら良いのでしょうか。

喘息発作は症状の大きさによって、

①咳や軽い喘鳴があって苦しいけれど、横にはなれる・・・「小発作」
②咳や喘鳴がひどくなり、苦しくて横になれない・・・「中発作」
③苦しくて動けない、会話がよくできない、意識がはっきりしない・・・「大発作」

の3段階に分類することができます。

(1)小発作の対処法

小発作が起きた場合、すぐに気管支拡張薬を使用して発作がおさまるのを待つのが基本です。

ピークフロー値が基準値の70%以上に回復した状態で、それが3~4時間続けばひとまずは安心でしょう。

発作がおさまっても喉や胸に違和感がある時は、仕事や家事を中断し、休養するようにしてください。

薬を用いても2時間以内に発作がおさまらない場合や、悪化していく場合には、まよわず病院を受診してください。

(2)中発作の対処法

中発作の場合も、小発作の時と同じくまずは安静にし、薬を使いながら様子をみます。

気管支拡張薬を吸入して30分以内に発作が良くなってくるようなら、そのまま吸入を続けます。

20分おきに3回吸入しても症状が改善しなかったり、悪化していく場合には、まよわず病院を受診してください。

薬の効果が出ないからといって、決められた回数以上吸入したり、放っておいたりすると、やがて大発作になることがあります。

薬の使用から1時間を目安に、病院へ行きましょう。

(3)大発作の対処法

大発作が起きたときは、一刻も早く病院で治療を受けることが必要です。
直ちに救急車を呼ぶなどして、救急外来を受診してください。

救急車を呼ぶ場合でも、20分おきに気管支拡張薬を吸入することを忘れないでください。

病院はかかりつけ医が一番安心ですが、夜間や休診日の場合は救急外来を利用しましょう。

いざというときに慌てないためにも、事前に夜間・休日に対応してくれる病院をいくつか調べておき、住所や電話番号をすぐ見れる場所に控えておくと安心です。

また、いつどんな時に発作が起きるかわかりませんので、発作時に必要な薬は常に持ち歩くようにしましょう。

薬は実際に使わなくとも、持っているだけで安心できる「お守り」代わりになります。

5.喘息治療を正しく理解しましょう~治療編~

(1)喘息治療の目的ってなに?

厚生労働省の「喘息治療のガイドライン」によると、喘息治療の目標は

・健常人と変わらない日常生活が送れること
・正常に近い肺機能を維持すること
・夜間や早朝の咳や呼吸困難がなく十分な睡眠が可能なこと
・喘息発作が起こらないこと
・喘息死を回避すること
・治療薬による副作用がないこと
・気道のリモデリングへの進展を防ぐこと

が挙げられています。

喘息の治療とは、発作が起きたときに吸入薬を使用するだけでなく発作がないときにも治療を続けて、長期にわたって症状のコントロールをすることです。

「発作を改善させる」ことはもちろんですが、「発作を起こさないように日々コントロールすること」こそが、ぜんそく治療の本来の目的なのです。


(2)喘息の治療はいつまで続ければいいの?

喘息の治療を始めると徐々に症状が改善してきます。

でも、症状が改善したからもうお薬をやめてもいいかというと、答えは「NO!」です。

喘息の治療の目的は「発作を起こさないように日々コントロールすること」でしたね。

発作がない・症状がないからといって治療をやめてしまうと、再度発作が起こったときにお薬を使用しても症状が治まるまでに時間がかかってしまいますし、症状がどんどん悪化してしまいます。

残念ながら今の医学を持ってしても、ぜんそくを完治させることは困難です。

ですから、みなさんに継続的な通院・治療を行っていくことがとても大切だということを、ぜひ知っておいていただきたいのです。

(3)喘息のおもな4つの治療法

①薬物治療法
喘息の主な治療法は「吸入ステロイド薬」による薬物治療です。

“ステロイド”というと、「副作用がこわい」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?

しかし、喘息の治療に用いられる吸入ステロイド薬は飲むステロイド薬と比べて使用する量が1/1000程度ととても少なく、気道に直接作用するように工夫されています。

全身に起こるような副作用はほとんどありませんので、長期にわたって使用することができます。

吸入ステロイド薬の普及によって喘息死が急減していることからも、その効果が証明されているのです。

勝手に吸入をやめてしまうと炎症は治らず、喘息死のリスクが高まりますから、吸入ステロイド薬は危険なものではないと理解し、医師の管理のもとで正しく使用することが喘息治療の重要なポイントと言えるでしょう。

<吸入薬の種類と使い方>
吸入薬にはいろいろな種類があります。薬によって吸入の仕方が異なり、吸入方法としてはドライパウダー式とエアゾール式が主流となっています。

●ドライパウダー式
専用の器具にセットされた粉末状の薬を自分で吸い込んで吸入します。

吸い込むタイミングを合わせたり、スペーサーをつける必要はなく、小型軽量で持ち運びにも便利です。

●エアゾール式
息を吸い込むタイミングに合わせてボンベの底を押して霧状の薬剤を噴射させて吸入します。

こちらも小型なので持ち運びに便利です。

<吸入薬の副作用>
先ほどもお伝えしたように、喘息治療に用いられる吸入ステロイド薬には副作用がほとんどありません。

しかし、

・声がかすれる
・口の中の違和感
・口腔カンジダ症

など、いくつかの軽い副作用が認められることがあります。

これらの副作用は、吸入後にうがいを徹底することや吸入薬をゆっくりと深く吸入すること、食事の前に吸入することなどの工夫で予防することができます。

②ツボ療法
喘息治療の補助として、東洋医学を応用したツボ療法もあります。

人間の身体は五臓六腑から成り、そこを循環するエネルギーの調和によって健康が保たれていると考えられています。

ツボを刺激することによってエネルギーの流れに沿って刺激が伝わり、体内の不調を改善させる方向に導いてくれます。

ツボを刺激するにはさまざまな方法がありますが、手軽にできるのは指圧やマッサージでしょう。

喘息に効果のある代表的なツボは「大椎」、「天突」、「中府」、「天柱」、「尺沢」、「孔最」です。


ただし、ツボを押すときは力を入れすぎないように注意しましょう。

③運動療法
薬のコントロールがうまくできていて症状が安定している方は、運動をすることで心肺機能が高まり発作予防につながります。

からだを動かすことでストレスも解消できますので、ぜひ取り入れてください。

喘息の患者さんに適した運動は、短距離走のような激しい運動よりもウォーキングやジョギングのような有酸素運動が効果的です。

決して無理はせず、自分のペースで行いましょう。

~運動がきっかけになって起こる「運動誘発性喘息(うんどうゆうはつせいぜんそく)」に注意!~
急に激しい運動をしたときや、寒い屋外で運動して冷たい空気を吸い込んだときなどによく起こります。

気道が急激に冷えたり、激しく運動することにより気道の水分が失われてしまうことが原因と考えられます。

運動誘発性喘息では、運動開始後5〜10分くらいで発作の症状が現れて、運動をやめると30分程度でおさまります。

もしも運動誘発性喘息が心配な時は、運動する前に必ず医師に相談してください。

④心理療法
喘息は心理的な影響を受けやすい病気であると言われています。

患者さんが毎日体験する不安や怒り、恐怖などの感情的な興奮が自律神経を刺激して発作に結びつくことが多いからです。

また、喘息は治療が長期にわたるため、これがストレスとなって精神的に不安定となり、憂うつな気分になって治療する気持ちを失ってしまうことがあります。


次のような場合、ストレスが原因である可能性が高いと思われます。

・まわりの人に発作の苦しみがわかってもらえない
・決まった時間や曜日で発作が起こる
・家族や同僚など、他の人と一緒にいるときに起こりやすい
・「なぜ自分だけがこんな目に」と理不尽に感じ、ついイライラしてしまう
・薬を持っていない時に限って発作が起こる

さらに、

・発作が感情を抑えているときに起こる
・発作が激しいときにせきに続いて起こる
・息を吐くときより、吸う時の方が苦しい
・自分の将来が不安で毎日が憂うつに感じる
・1日の始まりや新しいことを行う時に起こる場合がある

これらにあてはまる場合、心理的な不安や恐怖などのストレスがかかっていると考えられますので、カウンセリングや自律訓練法などの心理療法を併用していただくことがあります。

心理療法にもいろいろありますが、誰にでも簡単にできて比較的効果の期待できる方法が自律訓練法です。

くつろいだ姿勢で自分に暗示をかけることで心身の緊張を和らげ、気持ちをリラックスさせることが目的です。

最初は効果がわかりにくいかもしれませんが、慣れてくるとだんだんリラックス効果が得られるようになります。

普段からこの訓練法を繰り返し練習しておき、喘息発作の前兆を感じた時など、発作がひどくなってしまう前にぜひ実践してみてください。

6.喘息はどうしてなるの?~原因と対処編~

(1)アトピー型喘息と非アトピー型喘息

喘息の症状は気道に起こる慢性的な炎症が原因ですが、その炎症を引き起こす根本的な原因は様々で、一人ひとり違います。

そしてその原因は1つだけとは限らず、いくつかが組み合わさっている場合もあるのです。

喘息の原因はアレルギーだけだと思われがちですが、実はそうではありません。

喘息のタイプには、大きく分けて2種類あります。

一つは、特定のアレルゲンが原因で発症する「アトピー型」、もう一つは、アレルゲンが見つからないのに発症する「非アトピー型」です。

どのタイプかは、検査をすることでわかります。

①アトピー型喘息
ハウスダストやダニなど特定のアレルゲンが原因で発症します。

喘息と診断された患者のうち、小児患者の90%、成人患者の60~70%がこのアトピー型喘息だと言われています。私たちが普段生活している場所には目に見えないさまざまな菌やウィルスが繁殖しており、それらの異物(=アレルゲン)から体を守るため、人間には「免疫」という防御システムが備わっています。

ところが、この免疫システムがなんらかの異常を来すと、体にさまざまな炎症を引き起こしはじめます。

これが、「アレルギー反応」です。

このアレルギー反応が気道で起こるとアトピー型喘息になりますし、皮膚に起こればアトピー性皮膚炎、鼻で起こるとアレルギー性鼻炎になります。

<アレルゲンの種類>
アトピー型喘息を引き起こすとされているアレルゲンは、「吸入性アレルゲン」「食物性アレルゲン」「接触性アレルゲン」に分けることができます。

アトピー型喘息の方の場合、これらのアレルゲンにほんの少しの刺激を加えただけでも危険な発作につながる恐れがありますから、できるだけアレルゲンを体内に取り込まないことが大事です。

自分が何のアレルゲンに反応するのかを知っておき、触れたり食べたりしないようにすることはもちろんのこと、毎日生活する家の中や身の回りはいつも清潔にするようにしましょう。

②非アトピー型喘息
アレルギーが原因ではない非アトピー型喘息は、特に中高年の方に多くみられます。

では、アレルギー以外の喘息の原因とは、どのようなものなのでしょうか。

その原因を特定するのは実はとても難しいのですが、おもに以下のようなものが考えられます。

この中でも、もっとも多いのがウイルス感染によるものです。

風邪やインフルエンザが引き金となって咳が止まらなくなり、本格的な喘息になってしまうこともあるので、くれぐれも注意しましょう。

基本的なことですが、予防には外出時のマスク着用や、帰宅時の手洗い・うがいが効果的です。

(自分にピッタリ合うマスクを見つけるには?→マスクのブログへ

7.喘息ってどういう病気?~基礎知識編~


(1)気管支喘息の仕組みと原因

➀気道について
私たちの体には、口から肺を通じる空気の通り道である気道が存在します。

そのうち、口から喉頭までを上気道、その下の気管から呼吸細気管支までを下気道と呼びます。

上気道には食べものが通過する咽頭や、中耳に繋がっている耳管咽頭口を含み、呼吸器以外の役割も担っています。

下気道にある気管は、成人でおよそ10cmの長さがあり、食道の前に位置しています。

喘息は、この気道に炎症が生じることによって起きる病気です。

➁アレルギーとウイルス
気道の炎症が起きる原因については、完全に解明されていません。

ただ、その多くはアレルギー反応やウイルス感染が原因と考えられています。

私たちの体には通常、ウイルスや細菌などの侵入を防ぐための免疫システムが備わっています。

アレルギー反応はこの免疫システムと深くかかわっています。

体に異物(抗原)が侵入してくると、マクロファージが異物(抗原)を発見します。

その情報をヘルパーT細胞に伝え、その情報を元に①もう一度T細胞がウイルス感染細胞を破壊したり、②B細胞が抗体を作りウイルス感染細胞に攻撃を開始します。

抗体は1度作られると、いつまでも敵を記憶していて、再度同じ抗原が侵入してくると、素早くその抗体を生産して撃退します。

ただし、病原体の抗原性が変化すると、抗体が無力になります。(例:インフルエンザ、ノロウイルス)

ところが、アレルギー反応は無害な物質(花粉やダニ、ハウスダストなど)を敵と認識し、追い出すために過剰に反応して抗体を作ってしまうのです。

そのため、これらの無害な物質が体に入るたびに、免疫システムが働く為、様々な不快な症状が出てきます。

➂アトピー型と非アトピー型
喘息にはアトピー型と非アトピー型があります。

1)アトピー型
特定のアレルゲン(抗原)がアレルギーの原因となり、気道の粘膜にアレルギー反応が引き起こされます。

アレルゲンには主に、ダニやカビ、ほこり、ペットの毛やふけなどの吸入抗原が挙げられます

その他にも天候、季節(春や秋に憎悪しやすい)、運動やいろいろな食事性アレルゲンによるものがあります。

アトピー型は、原因が明確ですので、問題のアレルゲンを回避すれば、改善を見込める可能性もあります

喘息患者のうち、成人患者の約60%、小児患者の約90%以上がアトピー型の喘息です。

2)非アトピー型
非アトピー型誘因のトップは、ウイルス感染によるものですが、アトピー型のように原因を特定することが困難です

喫煙が関与していたり、気道感染(特にウイルス性)に引き続いて発症することが多いとされています。

20~40代での発症が多く、年齢上昇と共に、割合が増加する傾向にあります。炎症が起きると痰の中から、白血球の一種である好酸球が多く検出されます。また、最近の研究により、非アトピー型は肥満とも深いかかわりがあることがわかっています。

肥満の人は、脂肪が多い分、気道が狭くなり、肺の空気量が少なくなります。

また、脂肪細胞が、炎症を強くするレプチンという物質を分泌することも、原因となっています。

肥満度が高くなることにより、喘息の発症リスク、重症度が上がる傾向にあり、特に女性にその傾向が強く表れています

つまり、肥満を解消することで改善できるということでもあるのです。

アトピー型も、非アトピー型も発作の引き金となる刺激は他にも、たばこの煙や大気汚染、ストレスなど様々であるため、悪化させないために、部屋を清潔に保ち、これらを遠ざける必要があります。

●非アトピー型喘息
アレルゲンが特定できない
肥満

●アトピー型喘息
吸入アレルゲン
ダニ、カビ、ほこり、ペットの毛やフケ

●両者の発作の引き金となる刺激
大気汚染、たばこの煙、過労、温度・湿度の変化、強いにおい、ストレス、薬、風邪やインフルエンザ、食品添加物

➃成人と小児
成人がかかる喘息と小児がかかる喘息とでは、やや異なる特徴があります。

1)成人喘息
成人喘息は、最近増加傾向にあり、過去30年で3倍になったと言われています。

症状は、咳や痰が出やすくなって、ゼーゼー、ヒューヒューという音(ぜんめい)がするようになり、息が苦しくなる気管支喘息や、痰が少なく、咳が長期間続く咳喘息というような症状が見られます。

小児喘息を持ち越す、小児ぜんそくが治ったのちに再発、というケースもありますが、最も多くみられるのは大人になってから初めて発症するケースです。

小児喘息と比べて、非アトピー型が多いことが成人喘息の大きな特徴の一つです。

過労やストレスの積み重ねで体を弱らせてしまい、風邪などの感染症状を引き金に喘息を発症するというケースが多いです。

他にも女性では、月経時や月経前、妊娠中などに悪化することがあります。

また、小児喘息と比べて、成人喘息は治りにくく慢性化しやすいです。

非アトピー型が多いため原因がはっきりしないうえ、生活の忙しさから、治療がおろそかになりがちであること、喘息悪化原因となる煙草やアルコールなどとの接触が多くなることが原因と考えられます。

2)小児喘息
小児喘息は発作的に呼気性(息を吸ったとき)の喘鳴(ぜんめい)や咳を伴う呼吸困難を繰り返す疾患です。

こちらも成人喘息同様、著しく増加しています。子どもはアレルギーの目立つケースが多く、8割の子どもは3歳までに発症し、9割は就学前後に発症すると言われています。

ほかのアレルギー疾患を合併するケースが多いものの、症状は比較的軽く、約7割が寛解(長時間症状がでない)していきます

しかし一度寛解したとしても、過労やストレス、また感染症などが誘因となり、大人になってから発症してしまうといった事例も多くありますので注意が必要です。

子供の気管や気管支は、細く、柔らかく、痰などの分泌物が多い、という特徴があります。そのため、ちょっとした刺激でも気管が狭まり、喘鳴が起きやすくなっています。

1日、2日で発作は自然に寛解することが多いですが、同様で発作が1年に何回も起こります。春秋型が多く、急な冷え込み、寒さ、雨などにより頻度が高くなります。

発作の初期段階(軽い喘鳴等)を正しく察知し、早めに対応してひどくならないようにすることが大切です。

(2)喘息の症状

➀咳の種類
咳とは専門的には「咳嗽(がいそう)」といい、のどや気管支が外から入ってきたほこりや煙、ウイルスなどの異物により刺激され働く、生体防御反応です。

また、咳には気道にたまった痰を外に排出する役割も担っています。

咳は痰の有無や持続期間によって下記のように分類されます。

<痰の有無>

●乾性咳嗽
痰をほとんど伴わない、
コンコンという乾いた咳

●湿性咳嗽
咳のたびに痰を伴う、
ゴホンゴホンという湿った咳

痰とは、粘膜の一種であり、上記のような異物をからめ取って排出する働きがあります。

痰は健康な状態でも成人で1日当たり100ml程度は出ています。

何らかの疾患にかかることにより、量が増える、膿や血が混じる、などがあります。

痰の状態も併せて診断することが大切です。

<痰の有無>

●急性咳嗽
3週間未満

●蔓延性咳嗽
3週間以上8週間未満

●慢性咳嗽
8週間以上

急性咳嗽の原因として最も多く見られるのは、一般的なウイルス性の風邪であり、そのほとんどが自然に軽快します。

蔓延性咳嗽、慢性咳嗽では咳喘息、喘息、感染後咳嗽、アトピー咳嗽が多く見られます。

感染後咳嗽とは、風邪が治った後に咳だけ残ってしまうものです。

咳が長期間続いているときは、喘息を疑い必ず専門医を受診しましょう

②喘息発作のメカニズム
喘息患者の気管支は、炎症などのために上皮が傷つき、はがれてしまっています。

つまり、神経が露出してしまっている状態です。

そのため、些細な刺激を受けただけで、炎症細胞(好酸球、マスト細胞、T細胞など)と気道の構成細胞(上皮細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞など)から分泌される、種々の炎症性メディエーター※1やサイトカイン※2の作用が生じ、平滑筋が収縮し、粘膜がむくむ、粘液がたくさん分泌され、痰となって気道を塞ぐ、などして苦しくなってしまいます。


参考:一般社団法人日本アレルギー学会

気管支炎や風邪による気管の炎症は一過性であるため、回復とともに消失しますが、喘息はこのような症状がずっと続いています。

つまり、発作時に見られる喘息症状は氷山の一角にすぎず、喘息の本当の様子は水面下に常に隠れている状態だということが言えます

※1 搊傷された組織、および炎症部位に浸潤した白血球や肥満細胞、マクロファージなどから放出される生理活性物質。

※2 細胞から分泌されるタンパク質であり、細胞間相互作用に関与する生理活性物質の総称。

➂気管支喘息の種類

・咳喘息
喘息特有のヒューヒュー・ゼーゼーという喘鳴がなく、咳だけが長期間続くものです。

咳喘息の咳は、就寝時や深夜、あるいは早朝に悪化しやすいことが多いですが、昼間にのみ咳が出る方もいます。

また季節性に咳の症状が出る場合もあります。

時に痰の絡んだ湿り気のある咳が出ることもありますが、痰は通常少量で、色は透明なことが多いです。

小児では男児にやや多いですが、成人では女性に多いとも言われています。

風邪や外気(冷たい風)、運動、受動喫煙を含む喫煙、雨天や湿度の上昇、花粉や黄砂の飛散などが症状の増加因子と言われています。

・成人喘息
ストレスや過労などによるものや、アレルギーが原因のものがあり、風邪などが引き金となって発症することが多いです。

症状は、咳喘息や気管支喘息の症状です。

詳しくは「喘息の仕組みと原因」へ

・小児喘息
小児の気管支喘息は、発作的に呼気性(息を吐くとき)の喘鳴や咳を伴う呼吸困難を繰り返す疾患です。

小児の喘息の原因として、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎を併せ持っていることも多く、治療の際には考慮することも重要です。

詳しくは「喘息の仕組みと原因」へ

・職業性喘息
職業上接触しなければならない物質が原因で起こる喘息で、職場を離れることで、症状が軽くなることが多いです。

代表例として、製パン・製麺業者の小麦粉やそば粉、製材業者の米杉、ラワンなどが挙げられます。

・運動誘発性喘息
小児喘息患者に多く、約半数に見られます。

激しい運動によって誘発される喘息で、重症な喘息患者ほど症状が誘発されやすい傾向にあります。

運動しているとき、冷たく乾燥した空気、汚染のある空気を過剰に吸入したために起こります。

運動で気道から熱や水分が蒸発し、浸透圧が変化して起こりやすくなるのです。

多くは、運動開始数分で症状が発現し、中止すると30分程度で治まります。

また、運動終了後6~12時間たってから症状が憎悪する場合もあります。

ですが、運動を制限する必要はなく、適切な薬物治療と適度な運動によって、発作は起こりにくくなります

・アスピリン喘息
アスピリンや非ステロイド系解熱消炎鎮痛剤服用後、15~30分後に起こります。

中年以降に発症する(女性にやや多い)、鼻詰まりが強い、嗅覚の異常を伴う、などの特徴がみられます。

重症で治りにくく、ときに、意識障害をきたすほどの大発作になり、死に至ることもあります

➄喘息が起きやすい時間帯・気候
喘息には起きやすい時間帯や気候が存在します。

時間帯では、夜中から明け方にかけての、就寝中に起きやすくなります。

横になって寝ているときよりも、座っているときの方が、呼吸が楽であり、この状態を起坐呼吸といいます。

これには、以下のようないくつかの理由が挙げられます。

・自律神経の影響
人が寝ているときは、自律神経である交感神経と副交感神経の内、副交感神経が刺激されるのですが、それにより、気管支が収縮され、発作が起きやすくなります。

・明け方の冷え込み
明け方4~5時ごろ急激に冷え込むため、これにより気管支が収縮し発作が起きやすくなります。

・分泌物がたまる
気管支からは絶えず粘液が分泌されており、日中はそれを飲み込んだり、吐き出したりできますが、就寝中は気管支の中にたまりやすくなり、それが刺激となり発作が起きやすくなります。

・血中カテコールアミン、コルチゾールの低下
気管支を広げたり、炎症を抑えるなどの働きを担っている、カテコールアミンやコルチゾールなどの体内分泌が低下します。

季節や気候では、春や秋などの季節の変わり目、移動性高気圧や台風が近づくとき、寒冷前線が通過する時期、梅雨前線が活発になる時期、秋雨が降ったり雷雨になると起こりやすいとされています。

気圧や気候の変化は、自律神経の調整を困難にするためだと考えられます。また、古い空調設備を使用すると、ダニやカビが発生するため、気温の変化により使用する冷暖房も発作の誘因となります。

(3)自覚症状チェックリスト
次の症状にあてはまるものがあるかチェックしてみてください。

こんな症状があったら要注意!

咳が2週間以上続いている
粘り気のある痰が多くて、なかなかとれない
寝た状態よりも起きているときのほうが呼吸しやすい
軽めの運動でもすぐに息苦しくなる
夜中に息苦しくて目が覚めることがある
息をするたびにヒューヒュー・ゼイゼイという音がする

このうち1つでもあてはまったら、気管支喘息をはじめとした呼吸器系の病気にかかっているかもしれません。
 
こんな時は、ふつうの内科や耳鼻科ではなく、呼吸器の専門医を受診することが大切です。

なぜならば、一般的な内科や耳鼻科では詳しい検査ができないことや、呼吸器を専門に学んだ医師ではないので正しい診断がされにくく、適切な治療が受けられない場合があるからです。

これ以上症状を悪くさせないためにも、必ず呼吸器専門のお医者さんを受診してください。

お近くの専門医をインターネットで探したい場合、例えば「呼吸器内科 横浜」というように、お住まいの地域を入れて検索してみると良いでしょう。

詳しくは「病院選び編」へ

(4)気管支喘息と間違いやすい病気

咳が出る、呼吸が苦しくなる病気は、気管支喘息の他にもたくさんあります。

今回は、典型的な気管支喘息に似た病気をいくつかご紹介します。

➀咳喘息
気管支喘息の一型で、様々な刺激によって気道が狭くなりますが、気管支喘息のようなゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴を伴いません

1ヶ月以上続くしつこい空咳が特徴です。

風邪の後に起こることが多いため、風邪が長引いていると考えてしまいやすいですが、数ヶ月から数年に渡って続くこともあります。

→詳しくは喘息の症状へ

➁COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDとは、Chronic(慢性)Obstructive(閉塞性)Pulmonary(肺の)Disease(病気)のこと。

以前は「肺気腫」や「慢性気管支炎」という病名で呼ばれていました。

さまざまな要因で肺の働きが悪くなり、呼吸がしにくくなってしまう病気ですが、COPDで通院している人の90%以上が、今現在もタバコを吸っている人、あるいは過去にタバコを吸っていたことがある人だという、タバコが大きな原因となる病気です。

治療せずにいると、最悪の場合、呼吸困難で寝たきりになったり、最悪の場合命を落としたりする可能性が高くなることも考えられます。

喘息との大きな違いは喘息が主としてアレルギー反応によって起こるのに対し、COPDは上記のようなタバコなどの有害物質を長期間吸い込むことで炎症が引き起こされます。

また、COPDに特徴的な症状が「息切れ」です。COPDだと、階段を昇るとすぐに息切れしてしまったり、通常の歩行でもスピードが遅れがちになってしまいやすいです。

身体的な所見では、筋肉萎縮、樽状胸郭(肺の過膨張の為に、胸郭の前後径が大きくなった状態の事)、口すぼめ呼吸、などが挙げられます。

(→詳しくはCOPD記事へ)

➂アトピー咳嗽
痰の絡まない咳が出ます。アレルギーが原因という点で、喘息に非常によく似ています。

気管支喘息では発作が起きるのに対し、アトピー咳嗽は慢性的に咳をしている状態で、いわゆる喘息発作は出ません

しかし、喘息に近い状態であり、喘息を合併する場合もあります

➃肺がん
咳、喀痰に加えて、血が混じった痰が出る場合があります。

悪性腫瘍の患者に一般的にみられる症状(全身倦怠感、食欲低下、体重減少)が特徴です。

食道が圧迫されることで嚥下困難、喉頭や声帯の神経を圧迫されることで嗄声(させい かすれ声)などの症状も見られます。

男性の場合、癌の部位別死亡率で肺がんが最も高く、女性も3位と死亡率が高いです。

肺がんの危険因子は、喫煙が最も大きく、COPDなどの閉塞性肺疾患、アスベストやヒ素など職業的暴露、大気汚染による原因物質の吸入、50歳以上という年齢も危険因子となります。
→詳しくは肺がんの記事へ

主な治療方法は外科治療(手術)、化学療法(抗がん剤、分子標的薬)、放射線療法です。

➄肺結核
痰の絡んだ咳が約2週間程度続き、重症になると血痰が出ます

原因はヒト型結核菌で、免疫力が低下していると血液に入ってきて、全身に回り粟粒結核を起こします。

症状は乾いた咳、痰の絡んだ咳どちらも出て、発熱や全身倦怠感、咽頭痛など風邪に似た症状が見られます。

治療方法は抗結核薬ですが、結核菌をたくさん「排菌」している場合(痰の塗抹検査で陽性の場合)は、入院になります。

➅急性細気管支炎
細気管支を中心とする下気道の急性炎症性疾患で、気道が狭くなったり閉塞したりします。

1歳以下に好発する病気で、原因はウイルスによる感染です。いわゆる風邪症状で、発熱や咳嗽、鼻汁などの症状が見られます。

急性気管支炎は喘鳴が起きるため、気管支喘息との判別が難しいです。ウイルス分離法で診断を行います。
→詳しくは急性気管支炎記事へ

➆百日咳
百日咳菌(Bordetella pertussis)による感染によるもので、名前の通り約100日間咳が続きます
乾いたコンコン、ヒーという空咳に加えて、頭痛や全身倦怠感、筋肉痛などの風邪に似た症状があります。

症状が重症化すると、激しい咳を伴い、呼吸困難になる場合もあり、全身状態が良くない場合は入院も考えられます。

➇細菌性肺炎
風邪をこじらせ、免疫力が低下して細菌性の肺炎に移行します。弱っている気管支や肺の粘膜に細菌が付着して起こり免疫力が低下しているとなかなか治りません。

肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの菌によっておこります。症状は、発熱、強い咳、胸痛、全身倦怠感、呼吸困難などです。

➈マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマという、細菌より小さくウイルスより大きい微生物によって引き起こされる肺炎です。

強い咳と痰のでる細菌性と違い、乾いた咳が強くなり痰や唾液、咳などで飛沫感染する肺炎です。
→詳しくはマイコプラズマ肺炎記事へ

➉感染後咳嗽
風邪をひいたあとに咳だけが長く続くものです。胸部X線写真で肺炎などの異常が見られなく、自然に治っていくものと定義されています。

いかがでしたか?
あくまで判断の目安となるものですので、最終的にはお近くの病院やクリニックできちんと検査をして、医師の診察を受けましょう

8.喘息Q&A

<第5章> 気管支喘息にまつわる疑問

気管支喘息は、焦らず・気長に付き合っていく病気です。

この章では、上手に長く気管支喘息と付き合っていくための日常生活のヒントやよくある質問についてご紹介します。

<もくじ>
・アルコール・たばこは絶対にダメ??
・ペットを飼っても大丈夫??
・気管支喘息と花粉症
・気管支喘息でも安心して旅行を楽しむには??

●アルコール・たばこは絶対にダメ??

アルコールとたばこ、気管支喘息には良くなさそうな感じはするけれど…
「本当にダメなの?」「どうしてダメなの?」といった疑問にお答えしていきます。

・アルコール
気管支喘息患者さんの約半数は飲酒によって喘息症状が悪化するといわれています。

実際にお酒を飲んで発作が起こった経験のある方も多いのではないでしょうか。

これは「アルコール誘発性喘息」といって、西洋人より日本人に多くみられます

なぜ、アルコールが気管支喘息の発作を誘発するのでしょうか?

その理由は、アルコールを速やかに分解できない体質にあります。

お酒を飲むとアルコールが身体の中で分解されて、アセトアルデヒドという有害な物質に変わります。

アセトアルデヒドは頭痛や吐き気を起こす物質で、肝臓で代謝されて尿に排泄されれば問題ありません。

しかし、日本人はこのアセトアルデヒドを分解する酵素を持っていない人や、少ない人が多い(日本人は西洋人に比べて、アルデヒド分解酵素が欠損している人が多い)ため、分解されずに体内に残ります。

これがいわゆる「二日酔い」の原因で、顔が赤くなったりするのもアセトアルデヒドによるものです。

さらにアセトアルデヒドは肥満細胞を刺激し、気道粘膜を収縮させるヒスタミンという物質を放出します。

その結果、気道が狭くなり、喘息発作が起こりやすくなります。

だからといって絶対に禁酒!!というわけではありません。

もちろん飲まないことをおすすめしますが、「お酒が大好き」という気管支喘息患者さんは、適量を守る、アルコール度数の低い酒を選ぶことをおすすめします。

・タバコ

「タバコは絶対にダメなの?」という質問への答えは
「絶対にダメです!!!」

気管支喘息患者さんにとってタバコを絶対にやめるべき理由をこれからお伝えしていきます!

タバコの煙は一酸化炭素、ニコチン、タールをはじめ、200種類以上もの有害物質が含まれており、気道の刺激になるだけでなく、気管支喘息のもとである炎症を悪化させます。

また、喫煙者が出す副流煙は、喫煙者が自分で吸い込む主流煙よりもさらに強い毒性があり、気管支を刺激する物質の濃度は数十倍にもなるといわれています。

さらに、喫煙を続けると気管支喘息の基本治療薬である吸入ステロイド薬の効きが悪くなり、治療の妨げになってしまうことも分かっています。

薬を使っていても、タバコを吸えば気管支喘息は決して良くなりません。

特に、症状の安定していない気管支喘息患者さんは、たばこの臭いや煙で気管支が刺激されると、咳込んだり、発作を起こしやすくなります。

タバコは吸う煙より、流れ出る煙の方が有害物質を多く含んでいるため、タバコの煙があるところは避けましょう。

>家族など身近な人には、近くでは吸わないようにしてもらうよう伝えておくことが大切です。

・ペットを飼っても大丈夫?

気管支喘息患者さんのご家庭で、すでに家族としてペットと一緒に生活をしている方、または新たに飼いたいと考えている方も多いのではないでしょうか?

気管支喘息とペットの関連は一般的に良く耳にすることが多いですが、やはり成人、小児に限らずペットは基本的に飼育を控えた方が良いでしょう。

気管支喘息患者さんは一般の方と比べると、いろいろなものがアレルゲンになりやすいことがわかっています。

犬・猫などの毛やふけ、フンなどは、アレルゲンとなるため、気管支喘息を発症させたり、症状を悪化させてしまう原因になります。

そのため、気管支喘息をはじめとするアレルギー体質の方は基本的にペットを飼うことはおすすめできません

しかし、ペットを飼ったからといってすべての気管支喘息患者さんに発作が起こるわけではありませんよね。

これから犬や猫を飼いたいと考えている方は、皮膚反応テストや血液検査などで、ペットに対するアレルギーがないかどうか調べましょう

犬でも猫でも、そのペットが自分にとってアレルギーでなければ、飼っても問題ありません。

もし、すでに一緒に暮らしているペットがアレルゲンだった場合、身体の為に一番良いのは飼うのをやめることです。

そうは言っても、喘息症状が出る可能性を知っていても家族同然に過ごしてきたペットを手放すことは、口で言うほど簡単ではない事ですよね。

しかし、そのまま飼い続けて症状がさらに悪化した場合には、結果的にそばに置いてあげられなくなることも考えられます。

そうならないためにも、ペットと過ごす場合には環境づくりをしっかり考えていく必要があります。

そこで、気管支喘息患者さんがペットと一緒に暮らしていくコツを3点、以下にご紹介します。

①家の中ではなく、外で飼うこと

最近は、小型の洋犬をマンションなどの密閉された室内で飼う方が増えています。

番犬として屋外で飼っていた時代と比べると、ペットを飼っている方はアレルゲンにさらされる機会が圧倒的に多くなります。

犬のフケは空中に飛散しやすいので、屋外で飼うことで毛やフケを吸い込む頻度をかなり減らすことが出来ます。

小鳥の場合は、日中はゲージをベランダに出し、夜家の中に入れる場合はゲージに布をかぶせると良いでしょう。

また、どうしても室内でしか飼育できない場合は、部屋の換気と掃除をこまめに行うことが大切です。

②こまめに洗うこと

こまめに洗って、毛やフケが飛び散るのを減らす工夫をしましょう。

週に2回のシャンプーによってアレルゲンのフケを影響のない程度まで減らすことが可能です。

③布製の家具、カーペットを避ける
布製の家具やカーペットは、アレルゲンを取り除きにくいためペットのいる生活空間には置かない方が安全です。

いかがでしたか?

ペットの癒し効果は大切ですが、気管支喘息患者さんは動物を飼うことは基本的に避けた方が良いでしょう。

もし新たにペットを飼われる場合は、水槽で金魚や熱帯魚、亀などを飼って楽しむことも考えてみてはいかがでしょうか。

●気管支喘息と花粉症

花粉症の季節になると鼻がむずむずする・・・

花粉症だけでなく、気管支喘息の症状も出てくる方も多いのではないでしょうか?

花粉症は、スギやヒノキの花粉によって起こるアレルギー性の病気です。

毎年、2~4月にかけては花粉が多く飛散し、花粉症が猛威を振るいます。

花粉症が起こる仕組みは、気管支喘息やアトピー性皮膚炎と同じです。

本来身体を守る「免疫」というシステムが異常にはたらき、花粉などの「抗原」を吸入すると、抗原が鼻の粘膜にあるマスト細胞の表面でIgEと結合し、マスト細胞からヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出されます。

これがアレルギー反応で、その結果、花粉症でくしゃみが止まらなかったり、鼻水がだらだらと流れるのです。

ここでは、花粉症と気管支喘息の関連、対策についてお伝えしていきます。

・花粉の飛ぶ時期に咳が出る。これって花粉症?気管支喘息?

メカニズムから考えると、スギやヒノキの花粉がアレルゲンとなって気管支喘息を起こしても不思議ではありませんが、花粉(特にスギ)の場合、粒子が大きいので体内に入ってきたとしても鼻やのどで止まって、気管支まで届きません。

そのため、花粉のアレルギーを持っていても、気管支喘息を起こすことは少ないとみられています。

→花粉症について詳しく知りたい方はこちら

・鼻炎と気管支喘息に関連はあるの?

それではなぜ、花粉が飛ぶ時期に気管支喘息が悪化するのでしょうか?

花粉症の主な症状である「アレルギー性鼻炎」と気管支喘息は関連しているとされています

例えば、鼻炎の治療を進めると気管支喘息が改善する場合があります。

成人の気管支喘息患者さんの6~8割がアレルギー性鼻炎を、アレルギー性鼻炎患者さんの3~4割が気管支喘息を合併しているといったデータもあります。

よって、花粉症の時期には気管支喘息の症状が悪化することがあります。

また、花粉症の症状が重い人は気管支喘息の症状も重くなったり、反対にまれではありますが、気管支喘息が悪化すると花粉症の症状も悪化することがあります。

鼻炎を併発する喘息の治療においては、喘息だけでなく鼻炎もあわせて治療することでより良い喘息コントロールが期待できます

医師と相談して、喘息と鼻炎を総合的に治療するようにしましょう。

また、花粉が飛ぶ春先は、季節の変わり目で気圧の変化もあることから、気管支喘息の悪化に影響を及ぼしている可能性もあります。

さらに、気管支喘息の方は、花粉症やダニなどによるアレルギーを持っている方が多く、花粉症のある方がその後気管支喘息になるといったケースもあります。

花粉にアレルゲンがあり、咳が気になるといった方は、花粉が飛散する時期には、できるだけ花粉を浴びないように対策する必要があります。

・花粉症対策で気管支喘息の悪化を予防しよう!

①花粉シーズンの1ヶ月前から抗アレルギー薬を服用する

シーズン前から抗アレルギー薬を服用することで、症状を軽く抑えることができます。2018年の春こそは、事前準備をぬかりなく!
(内科である当院でも、花粉症の診察も行っておりますので、お気軽にご相談ください。)

②花粉から身を守る

・外出時にはサングラスやマスクの着用を
 ナイロン製のコートもおすすめです。

・ふとんや洗濯ものを屋外に干さない
 ふとん乾燥機を使用しましょう

・帰宅したら、まず入浴や洗髪で身体についた花粉を落とす
 とにかく花粉を屋内に持ち込まないこと!

気管支喘息と花粉症、アレルギー性鼻炎との関連や対策についておわかりいただけたでしょうか?
花粉と気管支喘息症状にお悩みの方は、2018年の春こそは花粉対策をしっかり行い、喘息症状悪化を予防しましょう!

●気管支喘息でも安心して旅行を楽しむには??

旅行は気分転換にもなりますし、家族やご友人、大切な方との思い出作りにかかせないものですよね!

しかし、気管支喘息患者さんの場合、普段と違う環境になるので、「発作が起きたらどうしよう」、「旅行がきっかけで悪化したら周りの方も気を遣わせてしまう」と不安を感じる方も多いようです。

そこで、気管支喘息患者さんが旅行に出かける際の注意点や、事前に準備すべきポイントをお伝えしていきます。

①旅行に出かける前に医師に相談する
まずは、旅行に出かける前にかかりつけの医師に相談しましょう。

携帯する薬を処方してもらうと同時に、緊急時にどうしたらよいかも確認しておきます。

海外旅行の場合は医師に相談して、英語での病名、薬剤名などを書いたメモを携帯すると良いでしょう。

②予防薬・発作薬を必ず手元に置く
症状が安定している場合でも、旅行先は普段と環境が変化するため、必ず薬は携帯しましょう。

特に気をつけたいのは、長時間飛行機を使う時です。機内は空気も淀み、乾燥し、気圧も変化するので気管支喘息患者さんにとってあまり好ましい環境ではありません。

搭乗時には発作止めの吸入薬は手荷物に預けず、必ず携帯します。

ヘアスプレーなど、エアゾールタイプのスプレーが機内に持ち込めないことから、「吸入薬も機内に持ち込めないのでは?」と思う方も多いようですが、命を守る大切な薬のため、手荷物として機内に持ち込むことが可能です
(持ち込みのルールは、事前に旅行代理店を通じて航空会社に確認してもらうと安心です。)

また、普段服用している薬は、旅行中も飲み忘れないようにしましょう!

楽しい旅行中、静かな機内で「ゴホンゴホン」と咳が続いてしまって大変だった・・・

なんてことにならないためにも、薬の準備は怠らないようにしましょう!!

③同行者や宿泊先にも急な発作時の対処法を伝えておく

同行される方が全く気管支喘息のことを知らないと、症状が出てしまった際に
慌ててしまってり、「元気そうだし大丈夫だろう」と無理のあるスケジュールで行動させてしまうかもしれません。

旅行に一緒に行かれる方には「急な体調不良があるかもしれない、その場合どうしたら良いか」を話し合い、お伝えしておきましょう

(旅行中の負担を軽くするためにも、重たい荷物は持ってもらうなど、負担が少なくなるよう協力してもらえるといいですね)

「体調によってはスケジュールの変更もあるかもしれない」ということに理解を得たうえで出発した方が、お互い気持ちのいい旅ができますよね。

小児喘息のお子様が修学旅行などに参加する場合には、教師に緊急時の対処法と保護者の連絡先を伝えておきましょう。

また、国内でも海外でも、ホテルに宿泊する際には、あらかじめ気管支喘息であることを告げ、できるだけ日当たりの良い部屋を用意してもらいます。

国内であれば、ホテルによっては寝具をアレルギー対応のものに交換してくれたり、空気清浄器の貸し出しがあるところもあるようです。

もしも宿泊先のベッドメイクや清掃が行き届いていない場合には、遠慮せずにやり直してほしい旨を伝えると対応してくれます。

④電車・レストラン等では「禁煙席」を選ぶ

交通機関やホテル、レストランなどは必ず「禁煙席(室)」を選びましょう
患者さん本人がタバコを吸わなくても、周囲に喫煙者がいると、受動喫煙で発作を起こすことがあります。

⑤規則正しい食事と睡眠を心がける

生活リズムが崩れると、体調を崩す原因になります。
食事や睡眠を規則正しくしっかり取り、風邪を引かないように注意しましょう。

ベストコンディションで出発するためにも、旅行中だけでなく出発前から体調管理をしっかり行いましょう。

また、せっかくの旅行だからとついつい予定を詰め込みがちになりますが、適度に休憩をはさみ、無理をしないことが大切です。

⑤マスクや上着を活用し、エアコンに直接あたらないよう対策を

気管支喘息患者さんのなかには、エアコンの風を受けると気管支が刺激され、発作が起きることがあります。

車内や機内では、冷暖房が効きすぎていることが多いです。エアコンの風が直接当たらない席に座るようにし、上着やカーディガンなど温度を調節できる服装にしましょう。

《 旅行を楽しむためのポイントまとめ 》
①旅行に出かける前に医師に相談する
②予防薬・発作薬を必ず手元に置く
③同行者に急な発作時の対処法を伝えておく
④電車・レストラン等では「禁煙席」を選ぶ
⑤規則正しい食事と睡眠を心がける
⑥マスクや上着を活用し、エアコンに直接あたらないよう対策を

いかがでしょうか?
喘息の発作はいつどこで起きるかわかりません。

「症状が安定しているから、しばらく通院していないなあ・・・」という気管支喘息患者さんは、旅行前に必ず受診しましょう。

しっかり通院されている方でも、特に遠方や海外にお出かけの方は、かかりつけの医師に報告をしましょう。

旅行を楽しい思い出にするために、薬などの準備は万全にしてお出かけください♪

~まとめ~

いかがでしたか?

喘息の治療の大切さについて、おわかりいただけましたでしょうか。

喘息と長く根気よく向き合っていく中で、いろいろと心配なことや不安に思うこともあると思います。

そんな時は一人で悩んだり、放り出したりせず、遠慮なく医師や看護師に相談してくださいね。

私たちと一緒に「発作ゼロ」を目指していきましょう!

●喘息は子どもだけでなく、大人になってから発症することもあります。
●「アトピー型喘息」はアレルギー、「非アトピー型喘息」はタバコやストレス等が主な原因です。
●「咳喘息」を放っておくと、「気管支喘息」になる恐れがあります。
●咳が2週間以上続いたら、風邪ではなく呼吸器系の病気の疑いがあります。
●咳が治らず息苦しく感じる時は、内科ではなく「呼吸器専門医」を受診しましょう。
●喘息治療の目的は、「発作が起きないようにコントロールすること」です。
●喘息は継続的な通院と治療が何よりも大切です。
●喘息治療の基本は、吸入ステロイド薬による薬物治療です。
●喘息の発作や症状がおさまったからといって自己判断で薬をやめてはいけません。
●「喘息日記」を毎日記入して、状態を常に把握しましょう。
●アルコールはできるだけ控え、タバコは絶対に辞めましょう。
●季節の変わり目は発作が起きやすくなるので注意が必要です。
●市販されている咳止め薬や風邪薬をむやみに服用しないようにしましょう。
●発作が起こった時どうするかを頭に入れておき、いざという時に慌てないようにしましょう。
●発作時に必要な薬は「お守り」としていつも持ち歩くようにしましょう。

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著者プロフィール

三島 渉 (医学博士、上六ツ川内科クリニック理事長)
呼吸器学会専門医/内科学会認定医/禁煙学会専門医/アレルギー学会専門医
医療法人社団ファミリーメディカル理事長

平成9年横浜市立大学医学部卒業。呼吸器内科専門医として活躍する一方、現代医学の限界を痛感。医学研究による解決を目指し、横浜市立大学大学院入学。分子細胞生物学を専門として、がん転移に関連する細胞機能の研究を行い、平成17年医学博士取得。

その後再び臨床の現場に戻るも、症状がひどくなってからでないと来院してもらえない医療の世界の構造的な問題を認識。

「症状がまだ軽いうちに気軽にかかってもらえるクリニックをつくろう」と決意し、平成19年横浜市南区に呼吸器内科専門の「上六ツ川内科クリニック」を開院。病気が進行すると改善が難しい呼吸疾患の早期発見・早期治療の重要性を伝えている。

現在、毎月500人以上の喘息患者と100名以上のCOPD患者を診療。禁煙治療にも力を注ぎ、呼吸器疾患で苦しむ人のいない社会の実現を目指している。年間約100名の禁煙指導を行い、84.6%の禁煙成功率を達成している。

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