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喘息を改善するには?症状を悪化させない生活習慣と治療の基本

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年04月23日

喘息は、薬を使えばそれで終わりという病気ではありません。

症状が落ち着いているときでも、気道の炎症が残っていることがあり、生活習慣や環境の影響で再び悪化することがあります。

では、どのようにすれば喘息は改善していくのでしょうか。

日常生活で意識したいポイントと治療の基本をわかりやすく解説します。

1.喘息の改善とはどのような状態か


喘息の改善は症状が一時的に楽になることではなく、「長期的に安定した状態を維持すること」を意味します。

1-1.喘息の改善は完治ではなく「良好なコントロール」を目指すこと

「喘息を改善したい」と考えたとき、多くの方は「もう症状が出ないようにしたい」「薬を使わなくても平気な状態になりたい」と思うかもしれません。

ただ、特に大人の喘息における治療の目的は、気道の炎症をコントロールし、生活の質(QOL)を向上させることです。

◆「大人の喘息の特徴と治療」について>>

完全に治るというよりも、発作を起こさず、夜間や早朝の咳や息苦しさが少なく、仕事・家事・学校・運動などの日常生活を問題なく送れる状態を維持することが重要な治療目標になります。

症状が落ち着いている時期でも、気道の炎症がぶり返さないようにコントロールを続け、悪化しにくい状態を保つことが大切です。

1-2.小児喘息と大人の違い

小児喘息と大人の喘息では、治療の目標が異なってきます。

小児喘息の場合、思春期までに約60~80%の患者さんが、「寛解」または「治癒」に近い状態を目指せるケースがあります。

一方で、大人の喘息は、原因がはっきりしないことも多く、完全な治癒が難しい場合も少なくありません。

寛解:薬を使用しなくても症状が出なくなった状態

治癒:治療をしなくても5年以上症状が現れない状態

しかし、すべての小児喘息が治るわけではありません。治療が不十分で気道の炎症を抑えられなかった場合、成人喘息へ移行することもあります。

寛解や治癒を目指すためには、適切な治療と環境管理を行い、気道の炎症をしっかりコントロールすることが重要です。

また、一度寛解しても、大人になってから再発するケースもあります。再発を防ぐには、タバコやアレルゲンを避けたり、風邪などの呼吸器感染症を予防することが大切です。

◆「小児喘息」についてもっとくわしく>>

2.喘息を改善するために大切な7つのこと


喘息の発作を予防し、症状をコントロールするには、日常生活の中で注意してほしいポイントがいくつかあります。

この章では、喘息の症状を改善するための基本的な対策について説明します。

2-1.タバコをやめ、受動喫煙も避ける

喫煙は、喘息の改善を妨げる大きな要因のひとつです。

タバコの煙は気道を刺激し、炎症を悪化させるだけでなく、喘息治療の中心となる吸入ステロイド薬の効きを悪くすることも知られています。

また、自分が吸わなくても、家族や職場など周囲の煙を吸い込む受動喫煙でも症状は悪化しやすくなります。
喘息を改善したい場合は、まず禁煙に取り組みましょう。

ご自身だけでなく、同居家族にも協力をお願いし、室内や車内での喫煙を避けることが大切です。禁煙が難しい場合は、禁煙外来を活用すると成功率が上がります。

◆「喘息の人がタバコを吸うと、なぜ症状が悪化するのか」>>

2-2.風邪やインフルエンザなどの感染症を予防する

喘息の方では、風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症がきっかけとなって、咳や息苦しさが強くなることがあります。特に疲労がたまっているときや、乾燥しやすい季節には注意が必要です。

呼吸器感染症が流行している時期は、人混みを避け、不要不急の外出を控えるようにしましょう。
また、感染予防として 手洗い・うがい・マスクの着用を習慣づけることも大切です。

必要に応じて、主治医と相談しながらワクチン接種を検討することも、喘息悪化の予防につながります。

2-3.十分な睡眠をとり、ストレスをためすぎない

睡眠不足や過労、精神的なストレスは、喘息を悪化させるきっかけになります。睡眠が足りないと風邪をひきやすくなり、体調が崩れることで気道の状態も不安定になります。

また、ストレスは自律神経のバランスに影響し、発作の引き金になることがあります。

夜更かしが続いている方は就寝時間を見直し、寝室の温度や湿度を整えることから始めましょう。

趣味や軽い運動、入浴、リラックスできる時間を意識して確保することも、喘息コントロールの一助になります。

【参考情報】『Asthma Triggers: What Really Matters?』PubMed Central
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7152189/?utm

2-4.アレルゲンを減らし、室内環境を整える

ダニ、ハウスダスト、カビ、花粉、ペットの毛やフケなどは、喘息症状を悪化させる代表的なアレルゲンです。

特に重要なのは、寝室の清潔を保つことです。寝室はダニのエサとなるホコリが溜まりやすく、また、カビの好きな湿気がこもりやすい場所でもあります。

こまめな掃除、寝具の洗濯、換気、エアコンフィルターの清掃を行い、カーペットや布製ソファなどホコリがたまりやすいものは必要最小限にするとよいでしょう。

◆「喘息・アレルギーを悪化させない、カビと掃除の注意点」>>

加湿器を使う場合は、タンクや内部の清掃を怠るとカビの原因になるため注意が必要です。

花粉の多い時期は、外出時のマスクや眼鏡、帰宅時の衣類の花粉除去も有効です。

2-5.体重を管理し、肥満を防ぐ


肥満は喘息を悪化させる要因のひとつです。

実際に、肥満のある方は喘息の症状が重くなりやすく、コントロールが難しくなることや、治療薬の使用量が増える傾向があることも報告されています。

【参考情報】『Asthma and Obesity』CDC
https://www.cdc.gov/asthma/asthma_stats/asthma_obesity.htm

体重が増えすぎると呼吸時の負担が大きくなり、横隔膜の動きも制限されやすくなるため、息苦しさが出やすくなります。また、肥満に関連する炎症が気道の状態にも影響することが知られています。

無理なダイエットは必要ありませんが、食べ過ぎや運動不足が続いている場合は、生活習慣を見直すことが大切です。

バランスのよい食事と無理のない運動を続けることで、喘息改善につながることがあります。

◆「喘息が肥満で発症・悪化する危険性!ダイエットの効果は?」>>

2-6.自分に合った運動を続ける

喘息があると「運動は控えたほうがよいのでは」と思う方もいますが、症状が安定していれば、適度な運動は、体力や心肺機能の維持に役立ちます。

実際に、喘息だからといって必要以上に運動を制限する必要はないとされています。自分に合った運動を選び、無理のない範囲で取り組んでみましょう。

おすすめは、ウォーキングや水泳、軽いストレッチなど、無理の少ない運動です。

一方で、寒い屋外での激しいランニングなどは、乾燥した空気を大量に吸い込むことで発作の引き金になることがあります。運動で咳や息苦しさが出やすい方は、主治医に相談しながら内容や強度を調整しましょう。

◆「喘息の方におすすめのスポーツと、運動時の発作を予防する対処法」>>

2-7.長期管理薬を自己判断でやめない

喘息の発作を抑え、症状を改善するには、長期管理薬を継続して使用することが不可欠です。

症状が落ち着いていても、気道の炎症が残っていることは珍しくありません。そこで自己判断で薬を中断すると炎症が悪化し、発作のリスクが高まります。

また、炎症が長期間続いたり、炎症の悪化を何度も繰り返していると、気道が繊維化して硬くなり、狭くなった状態から元に戻らなくなるなどの、「気道のリモデリング」が起こることがあります。

症状が落ち着いていると「もう大丈夫」と思いがちですが、悪化を防ぐためには医師の指示どおりに吸入ステロイド薬などの長期管理薬を使い続けることが、長期的な改善につながります。

【参考情報】『Asthma Treatment and Action Plan』NHLBI
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma/treatment-action-plan?utm

3.喘息を悪化させやすい要因にも注意しましょう


喘息を改善していくためには、治療を続けることに加えて、症状を悪化させやすい要因をできるだけ避けることも大切です。

まずは自分にとってどのような要因が負担になりやすいのかを知り、日常生活の中で少しずつ対策していきましょう。

3-1.アレルゲン対策

喘息の悪化因子は人によって異なりますが、では、花粉、ダニ、ハウスダスト、カビ、ペットの毛やフケなど、空気中の物質(アレルゲン)が影響して症状が悪化することがあります。

自分にどのような誘因があるのかを把握し、その要因に合わせて対策をとることが改善への近道です。

◆「アレルゲンっを避ける・減らす対策」>>

3-2.気温・気圧・空気環境

季節の変わり目や台風前後など、気圧や気温が急に変化する時期に症状が悪化する方もいます。

また、乾燥した空気や煙、排気ガスなどの大気汚染も気道を刺激します。

冬場や花粉シーズン、空気の悪い日は、外出時のマスク着用や室内環境の見直しが役立ちます。

3-3.花粉症・鼻炎・胃食道逆流症などの合併症

喘息は、花粉症やアレルギー性鼻炎、胃食道逆流症などと関係して悪化することがあります。

鼻づまりが強いと口呼吸になりやすく、気道への刺激が増えますし、胃酸の逆流は咳や喘息発作の誘因になることがあります。

喘息だけでなく、こうした合併症もあわせて治療することが改善につながります。

4.今つらいときにできる対処法

喘息の改善は、普段の治療や生活習慣の見直しを続けることが基本ですが、急に咳が強くなったり、息苦しさが出たりしたときに、どう対処するかを知っておくことも大切です。

症状がつらいときに慌てず対応するためには、あらかじめ基本的な対処法や、受診を考える目安を理解しておくと安心です。

4-1.呼吸しやすい状態を整える

咳や息苦しさが強くなってきたときは、まず作業や運動を中断し、無理をしないことが大切です。

椅子に座って少し前かがみになる、背もたれに身体をあずけるなど、自分が呼吸しやすいと感じる姿勢をとりましょう。

また、冷たい空気や飲み物で咳が出やすい方では、常温や温かい飲み物を少しずつとることで、喉や気道が楽になる場合があります。

呼吸が浅く速くなっているときは、慌てず、意識してゆっくり息を吐くことを心がけると、落ち着きやすくなります。

4-2.発作治療薬を適切に使用し、状態を記録する

すでに喘息と診断され、発作時の薬を処方されている場合は、医師から指示された方法で使用しましょう。

あわせて、咳の頻度や夜間症状、発作治療薬を使った回数などを記録しておくと、自分の悪化パターンが分かりやすくなります。必要に応じて、ピークフローを測定して気道の状態を数値で確認することも、悪化の早期発見に役立ちます。

【参考情報】『自分のぜん息の状態を把握する ピークフロー測定とぜん息日記』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/condition/peakflow.html

4-3.セルフチェックと受診の目安

喘息が改善しているかをセルフチェックで確認してみましょう。

次の項目に当てはまるものが増えてきたら、喘息コントロールが改善している可能性があります。

・夜間や早朝の咳・息苦しさが減ってきた
・発作治療薬を使う回数が減ってきた
・仕事や学校、家事、外出がしやすくなった
・以前より運動や階段がつらくない
・季節の変わり目でも大きく悪化しにくい
・症状がない時期でも、長期管理薬を継続できている

一方で、次のようなときは早めに受診しましょう。

・発作治療薬を使っても十分に改善しない
・会話が苦しい
・横になれない
・顔色が悪い
・息が吸いにくい・吐きにくい感じが強い

このような場合は、コントロール不良の可能性があるため早急な対応が必要です。強い呼吸困難がある場合は、ためらわず救急受診を検討してください。

【参考情報】『成人ぜん息の治療、治療の全体図』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/index.html

5.よくある質問

Q1 喘息は本当に改善しますか?

A.喘息は慢性的な病気ですが、適切な治療と生活習慣の見直しによって、発作を起こしにくい良好なコントロール状態を目指せます。
特に、禁煙、アレルゲン対策、感染症予防、長期管理薬の継続は重要です。

Q2 症状がないときは薬をやめてもいいですか?

A.自己判断で薬を中止するのはおすすめできません。

症状がなくても気道の炎症が続いていることがあり、薬をやめると再び悪化することがあります。減量や中止が可能かどうかは、主治医と相談して判断することが大切です

Q3 市販の風邪薬や痛み止めを飲んでも大丈夫ですか?

A.喘息の方の中には、一部の解熱鎮痛薬で症状が悪化することがあります。

特に、アスピリンやロキソプロフェンなどの成分で発作が誘発される「アスピリン喘息」があるため、自己判断で服用せず、喘息があることを医師や薬剤師に伝えたうえで確認してください。

◆「アスピリン喘息」について>>

6.おわりに

喘息を改善するために大切なのは、症状が出たときだけ対処するのではなく、悪化しやすい要因を知り、生活習慣を整え、治療を継続することです。

禁煙、感染症予防、睡眠、ストレス管理、アレルゲン対策、体重管理、適度な運動、そして長期管理薬の継続は、どれも喘息コントロールの土台になります。

また、花粉症や鼻炎、胃食道逆流症などの合併症、吸入薬の使い方の問題、薬の中断などが、改善を妨げていることもあります。

なかなか良くならないと感じる場合は、「体質だから仕方ない」と我慢せず、現在の治療や生活環境を見直すためにも早めに医療機関へ相談しましょう。

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