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1週間以上咳が止まらない時、どうしたらいい?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2025年12月19日
1週間 咳

風邪をひいたあと、熱や喉の痛みは治まったのに咳だけが続く場合は、気道の炎症が残っていたり、咳を引き起こす別の原因が関与している可能性も考えられます。

  ✅風邪をひいたあと、咳だけが1週間以上続いている

  ✅市販薬を飲んでも、咳がなかなか止まらない

  ✅「様子を見ていいのか」「病院に行くべきか」と迷っている

このような状態では、日常生活は送れていても、咳が続くことで体力を消耗したり、睡眠の質が下がったりするケースも少なくありません。

この記事では、咳が1週間以上止まらない場合に考えられる主な原因を整理し、医療機関を受診する目安、さらに日常生活でできる基本的な対処法について解説します。

1.咳が1週間続いたときに知っておきたい判断の基準


まずは、一般的な咳の期間の目安を踏まえながら、「1週間続く咳」をどのように判断すべきか、その考え方を整理します。

1-1.咳の持続期間で考える基本的な目安

咳は、続いている期間によっていくつかに分類され、それぞれ原因や対応の考え方が異なります。

<急性咳嗽(きゅうせいがいそう)>
発症から3週間以内の咳を指します。風邪やウイルス感染が原因となることが多く、通常は時間の経過とともに自然に治まります。

<遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)>
3〜8週間続く咳を指します。命に関わる重い病気でないこともありますが、長引く咳により、日常生活に支障が出ることがあります。

<慢性咳嗽(まんせいがいそう)>
8週間以上続く咳を指します。慢性的な疾患が背景にあることも多く、専門医による診断と継続的な治療が重要です。

【参考情報】『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/publication/jrs_guidelines/20250404085247.html

この分類を踏まえると、発症から1週間程度の咳は、健康な大人なら特に治療はしなくても、自然に治まっていくことがほとんどだと考えられます。

1-2.1週間続く咳の判断の分かれ目

咳が1週間続いているだけで、直ちに異常と判断されるわけではありません。ただし、1週間という時点は、回復途中なのか、別の要因が関与しているのかを見極め始める目安になります。

発症当初より「咳が強くなっている」「夜間や早朝に悪化する」「ちょっとした刺激で咳き込みやすい」といった変化がある場合は注意が必要です。

◆「咳が止まらないのはどうして?」>>

2. 咳が1週間程度続くときに考えられる主な病気


咳が1週間以上続く場合に、比較的よくみられる病気を紹介します。

2-1. 感染後咳嗽

風邪などの呼吸器感染症にかかり、発熱や喉の痛みが治まった後も、気道に炎症が残り刺激に敏感な状態になっていると、咳だけが長く残ることがあります。これを感染後咳嗽(かんせんごがいそう)といいます。

【参考情報】『Postinfectious Cough』ClevelandClinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/post-viral-cough

時間の経過とともに自然によくなることも多いのですが、咳が2週間以上長引いたり、咳がひどくて眠れないなど生活に支障がある場合は病院を受診しましょう。

2-2. 急性気管支炎

急性気管支炎では、発症から1週間前後たっても咳が強く続くことがあります。痰を伴う咳が出やすく、胸の奥に違和感や重苦しさを感じることもあります。

【参考情報】『Bronchitis』ClevelandClinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/3993-bronchitis

熱が下がって全身状態が落ち着いてきても、夜間や横になると咳が悪化し、眠りにくくなるケースも少なくありません。

◆「咳が止まらない。もしかして、気管支炎かもしれません」>>

2-3. 咳喘息

咳喘息は、咳だけが続くタイプの喘息です。乾いた咳が長く続くのが特徴で、喘息の症状である息苦しさや喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー・ゼイゼイという呼吸音)はほとんど見られません。

◆「咳喘息」についてくわしく>>

咳喘息を未治療のまま放っておくと、本格的な喘息に移行するリスクがあるので、早めの治療が重要です。

◆「喘息」の情報をチェック>>

2-4. アレルギー

アレルギーが原因の場合、特定の環境で悪化する傾向が見られます。ホコリやカビ、ダニが多い場所、あるいは花粉が飛散する時期に咳が強くなることがあります。

アレルギーが原因の場合、咳だけでなく、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった鼻の症状を伴うこともありますが、主な症状が咳だと、原因の判断がつきにくいケースもあります。

◆「咳が止まらない?アレルギーが原因となる咳について」>>

2-5. 副鼻腔炎

副鼻腔炎では、鼻水が喉へ流れ落ちる「後鼻漏(こうびろう)」によって咳が出ることがあります。喉に痰が張り付くような感覚や、何度も咳払いをしたくなる感じがあります。

【参考情報】『Postnasal Drip』ClevelandClinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/23082-postnasal-drip

横になると鼻水が喉に流れやすくなるため、就寝時や夜間に咳が出やすくなる傾向があります。

◆「副鼻腔炎とはどんな病気?咳・アレルギー・いびきとの関係」>>

2-8.胃食道逆流症

胃の中の内容物や胃酸が食道へ逆流することで、胸やけや酸っぱいものが上がってくる感じがします。その刺激で喉や気道が刺激され、咳が続くことがあります。

◆「胃食道逆流症」についてくわしく>>

2-7. その他の病気

その他、マイコプラズマ肺炎や百日咳などの呼吸器感染症では、咳が3週間以上続くことがあります。

◆「呼吸器感染症の主な種類と予防法」>>

また、肺がんや肺結核、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のような呼吸器の病気でも、咳が長引くことがあります。

◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>

3.受診のサイン


咳が1週間以上続いている場合でも、だんだんよくなってきているようなら、しばらく様子を見ていても構いません。

しかし、以下のような場合は放置せず、受診を検討してください。

3-1.全身症状や呼吸の異常がある場合

咳が続く中で、発熱が数日以上おさまらない、あるいはいったん解熱したあとに再び熱が出てくる場合は注意が必要です。感染が完全に治りきっていない、もしくは別の感染症や炎症が関与している可能性があります。

また、「息苦しさが強くなった」「少し動いただけで呼吸がつらくなる」「呼吸時にゼーゼー・ヒューヒューといった音が聞こえる」場合は、気道が狭くなっているサインと考えられます。

◆「息苦しいのは病気?――原因の見分け方と受診の目安」>>

3-2.危険なサインを伴う咳

「痰に血が混じる」「咳をすると胸が強く痛む」といった症状がある場合は、気管支や肺に強い炎症が起きていたり、肺炎や肺がんなどの病気が関係している可能性があります。

◆「血痰」についてくわしく>>

特に、深く息を吸ったときや咳をしたときに胸の痛みが強くなる場合や、痛みが何日も続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

3-3.日常生活に支障が出ている場合

咳が続いて夜に何度も目が覚めたり、横になると咳が出て眠れない状態が続いている場合は、体が十分に休めていないサインです。

睡眠不足が続くと、疲れが取れにくくなり、日中の集中力や体調にも影響します。また、激しい咳が続くと肋骨が折れる危険もあります。

◆「咳が続いて肋骨が痛い…放置は危険?」>>

このように、日常生活や睡眠に支障が出ている咳は、「そのうち治るだろう」と様子を見る段階を過ぎていると考えられます。原因をはっきりさせ、適切な治療につなげるためにも、医療機関の受診を検討することが大切です。

4. 受診するなら何科?


咳が続くときは、「どの診療科を受診すればよいか」で迷う人も少なくありません。症状の出方によって、適した診療科は異なります。

4-1.内科

発熱、だるさ、のどの痛み、咳など、いわゆる風邪症状が全体的に出ている場合は、まず内科で問題ありません。全身の状態を見ながら、必要に応じて検査や治療を行い、専門科への紹介につなげてもらうこともできます。受診先に迷ったときの入口として適しています。

4-2.呼吸器内科

咳が主な症状で、2~3週間以上続いている場合や、息苦しさ、ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸音を伴う場合は、呼吸器内科が適しています。気管支や肺の病気を専門的に診る診療科のため、喘息、気管支炎、肺炎などが疑われる場合に適しています。

◆「その咳の原因、呼吸器内科で検査しましょう」>>

4-3.耳鼻咽喉科

鼻水、鼻づまり、後鼻漏(鼻水が喉に流れる感じ)が強く、咳がそれに伴って出ている場合は、耳鼻咽喉科が向いています。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など、鼻の病気が原因の咳を詳しく調べてもらえます。

【参考情報】『アレルギー性鼻炎/Q&A』日本アレルギー学会
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=5

5. 自宅でできる対処と注意点


咳が1週間ほど続いている場合でも、症状が軽く安定していれば、自宅でできる対処によって楽になることがあります。

5-1.室内の加湿と水分補給

空気が乾燥すると、喉や気道の粘膜が刺激され、咳が出やすくなります。加湿器を使う、濡れタオルを室内に干すなどして、部屋の湿度を適度に保つと、咳がやわらぐことがあります。特に寝ている間は乾燥しやすいため、寝室の環境には注意が必要です。

◆「加湿器を選ぶポイントと注意点」>>

あわせて、水分をこまめにとることも大切です。喉や気道の乾燥予防にもつながるほか、水分補給によって痰がやわらかくなり、咳で出しやすくなります。冷たい飲み物より、常温や温かい飲み物のほうが、喉への刺激は少なめです。

◆「喉の乾燥対策完全ガイド」>>

5-2.喉・気道への刺激を避ける

喉や気道への刺激をできるだけ避けることが、咳を悪化させないための基本です。煙やホコリなどは咳を誘発しやすいため、外出時はマスクを着用する、急に冷たい空気を吸い込まないようにするなどの工夫が有効です。

◆「マスクの付け方と選び方」>>

また、大きな声で話したり長時間話し続けたりすると喉に負担がかかるため、会話は控えめにして喉を休ませましょう。たばこの煙やお香・線香の煙なども咳を悪化させる原因になるため、室内はできるだけ刺激の少ない環境に保つことが大切です。

5-3.体を冷やさず、寝る姿勢を工夫する

体が冷えると咳が出やすくなるため、首元や胸元を冷やさないように注意しましょう。就寝時も、薄手の羽織やタオルを使って体温を調整すると安心です。

また、横になると咳が強く出る場合は、上半身を少し起こした姿勢で休むと咳が和らぐことがあります。枕を高めにしたり、クッションを使ったりして、楽に呼吸できる姿勢を保つ工夫が役立ちます。

5-4.市販薬の注意点

市販の咳止めや総合感冒薬は、症状に合っていないと十分な効果が得られないことがあります。例えば、痰が多い場合に強い咳止めを使うと、痰が出にくくなり、かえって咳が長引くこともあります。薬の成分や目的を確認し、漫然と使い続けないよう注意が必要です。

咳は体にとって、気道の異物や分泌物を外に出す役割も担っています。咳止めを長期間使い続けると、本来出るべき痰がたまり、症状が改善しにくくなることがあります。数日使っても咳が改善しない場合は、自己判断で続けず、医療機関に相談することが重要です。

6.おわりに

咳が1週間以上続いている場合は、咳が出ている期間だけに注目するのではなく、咳の出方や時間帯、痰の有無、ほかの症状を振り返ることで、受診の必要性が見えてきます。

心配しながら様子を見続けるより、早めに医療機関で相談したほうが適切な治療につながり、結果として咳を長引かせずに済むことも少なくありません。

「いつもと違う」「なんだか様子がおかしい」と感じたら、風邪とは決めつけず、病院で専門家の判断を仰ぎましょう。

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