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熱はないのに、咳が止まらないのはどんな病気か

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年02月28日
体温をはかる

風邪を引くと咳が出るというのは、誰もが経験することで、そんなに心配することはありません。

しかし、「風邪は引いていないと思うのに、咳が続いている」という状態には注意が必要です。

この記事では、「熱はないのに咳が止まらない」という症状について解説していきます。原因不明の咳に悩まされている人は、ぜひ読んでください。

1.咳症状が出現する疾患とは?

「つらい咳や熱に〇〇〇…」といった風邪薬のCMの影響もあってか、多くの人が、咳と発熱はセットであるかのようなイメージを持っているかもしれません。しかし、実際には熱がなくても咳が出る病気はたくさんあります。

 •長期間咳が続く

 •咳によって呼吸も苦しくなる

 •ゼーゼーヒューヒューという息づかいになる

◆「咳が止まらない時に心配な病気の症状・検査・治療」>>

このような咳が出る時に考えられる、「風邪ではない」「発熱がない」病気について、くわしく解説していきます。

1-1.慢性気管支炎


慢性気管支炎とは、気管や気管支が慢性的(長期的)に炎症を起こす病気です。粘り気の強い痰が絡まり、咳や痰が長く続くという特徴があります。
 
慢性気管支炎の原因は、多くが喫煙(タバコ)です。

受動喫煙も慢性気管支炎の症状を悪化させることが知られているため、十分な注意が必要です。

【参考情報】『受動喫煙 – 他人の喫煙の影響』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-02-005.html

 
禁煙は気管支炎の予防だけでなく症状を軽減する上でも有効で、最も基本的で重要な治療手段であるといえます。
 
当院では禁煙のサポートも行っており、禁煙と咳の治療を並行して行うことが可能です。

◆「禁煙治療」について>>

1-2.COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPD
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、タバコの煙などの有害物質を長期的に吸入することで生じる肺の疾患です。喫煙年数の長い中高年に多く見られます。

咳や痰が長く続くほか、歩行時や階段の上り下りなどで体を動かした時に強い息切れを感じる症状が特徴です。

◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>

タバコを吸っている人は、咳や痰が出ても「よくあること」と思いがちですが、放っておくと重症化して入院治療が必要となることもあります。

喫煙者やその家族で、熱がないのに咳や痰が続く人は、早めに呼吸器内科を受診して相談してください

【参考情報】『慢性閉塞性肺疾患(COPD)』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/b/b-01.html

◆「タバコで咳が出る理由と、咳が長引くときに疑われる3つの病気」について>>

1-3.喘息

喘息

喘息は、空気の通り道である気道が慢性的な炎症を起こして狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です。夜から朝方にかけての時間帯に咳が出やすい場合は、喘息の可能性が高いです。原因は様々あり、ウイルスや細菌による感染、アレルギー、ストレス、遺伝などが挙げられます。

喘息にかかると、熱はないのに激しい咳が出たり、ホコリや冷たい空気で気道が刺激され、咳が止まらなくなることがあります。

◆「喘息」について>>

喘息は、自然治癒が難しく、放っておくと激しい発作を起こして死に至ることもある病気ですが、早めに治療を受けて体調を管理すれば、普通の人と変わらない生活を送ることができます。

「2週間以上咳が続いている」「特定の季節や時間に咳がひどくなる」人は、呼吸器内科で詳しい検査を受けてみることをおすすめします。

【参考情報】『気管支喘息』国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/allergy/

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

1-4.肺がん

肺がん
肺がんは、肺に発生する悪性腫瘍です。症状のひとつとして、「咳」があります。

特に初期の肺がんでは、発熱や痛みなどの症状がないにも関わらず、咳が長期間続くことがあります。
 
初期はあまり症状が出ず、症状があっても風邪だと思い込んでしまう人も多いのですが、咳や痰、息苦しさが続いているときは、念のため病院で検査を受けてください。

【参考情報】『肺がん』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/e/e-01.html

◆「肺がん」についてもっと詳しく>>

2.おわりに

発熱がないと、咳があっても軽く考えがちで、病院を受診するほどではないと思うかもしれません。

しかし、症状が軽いうちに治療を開始するほど、その後の経過も良好なので、早めに原因を突き止め、適切な治療を受けることが大事です。

適切な治療を受けていても症状が一瞬にして消えるわけではありません。痰が絡む、咳が続くといった際の対処法や予防法として、腹式呼吸を心がける、呼気は口をすぼめて出す、適度な運動、部屋の湿度を保つこと、水分補給、禁酒、そして禁煙が挙げられます。

これらを行ったからといって治るということではなく、あくまで対処法、予防法です。

咳はよくある症状ですが、鑑別(判断)は意外と難しいので、専門的な検査を受けるには、呼吸器内科を受診してください。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

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