ブログカテゴリ
外来

1週間以上咳が止まらない時、どうしたらいい?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年04月01日
1週間 咳

・一度咳き込むと全然咳が止まらない
・熱は下がったのにいつまでたっても咳だけがおさまらない
・かれこれ1週間以上激しい咳が続いている

このようなしつこい咳に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

咳は、軽い風邪をひいただけでも出ることがありますし、数日経てば良くなる場合がほとんどです。

しかし、風邪以外の病気で咳が出ている場合には、自分の力だけで治すのは難しく、放っておくと、重篤になってしまうこともあります。
 
風邪の咳なのか、違う病気の咳なのかを見分ける目安のひとつが、咳が出ている期間(長さ)です。
 
・風邪で熱は下がったのに、咳だけが「1週間以上」続く
・「1週間前から」急に咳が出るようになった

この記事では、上記のような「1週間」咳が続いているときに考えられる病気や対応について、くわしく解説していきます。

1.1週間以上止まらない咳で考えられる病気

胸がくるしい
一般的には、他の症状(発熱や倦怠感)が落ち着いているのに、1週間から2週間以上続いている咳は、風邪が原因ではない可能性があります。

というのは、風邪によって咳症状が出ている場合であれば、特別な治療を行わなくても基本的には1週間から2週間程度(解熱してから1週間など)で治まってくるはずだからです。

たとえインフルエンザウイルスなどの感染症であっても、自己免疫機能がしっかりと機能している人であれば、2週間以上ひどい咳が続くということはあまりありません。
 
しかし、発熱など他の症状が落ち着いているにも関わらず咳だけが1週間以上続いているという場合には、風邪以外の要因を考える必要があります。

◆「咳が止まらない?アレルギーが原因となる咳について」

1−1.しつこい咳の要因

しつこい咳
長引く咳の要因としてはさまざまな疾患が考えられます。

・気管支炎
・肺炎
・喘息
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)

などの呼吸器系疾患の他、

・肺がん
・結核
・間質性肺炎

など、場合によっては非常に重篤な病気が隠れている場合があります。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

迅速に必要な検査を行い、早期に病気を発見することができれば、たとえ肺がんなどの大きな病気であっても根治治療ができる可能性がありますので、早期発見と早期治療がなによりも重要となります。

【参考情報】『MSDマニュアル』MSD
https://www.msdmanuals.com/ja-jp

◆「咳が止まらない時に心配な病気の症状・検査・治療」>>

1−2.長引く咳のチェックリスト

チェックリスト長引く咳やしつこい咳の症状があるという人は、下記の質問項目をチェックしてみてください。

□天候によって、咳がひどくなる時がある
□夜間(深夜・寝入りばな)に咳が出る
□明け方に咳が出る(咳で目が覚める)
□冷たい空気に触れると咳が出る
□会話中に咳が出る
□エアコンの風に反応して咳が出る
□湯気に反応して咳が出る
□咳が出始めるとなかなか止まらない
□階段の上り下りや少しの運動ですぐ息切れがする
□同世代の人と同じペースで歩くのが辛い
□呼吸をする時、ゼイゼイ、ヒューヒューと音が出る

以上の項目にひとつでも思い当たるものがあれば、その咳は風邪以外の病気である可能性があります。
※チェックが付かなくても、何の問題もないと断定することはできません。

【参考情報】『病気と医療の知って得する豆知識』沢井製薬
https://kenko.sawai.co.jp/prevention/201712-02.html

2.1週間以上咳が止まらない時のその行動、◯か×か

まる ばつ

2−1.市販の咳止め薬を飲む→×

咳止めだけでは咳を止めることは難しく、仮にその時だけ咳が止まったとしても、それは一時的なもので、病気を根本的に解決させることはできません。

さらに、表面的に咳を止めてきちんとした治療を受けるタイミングが遅れることで、病状を悪化させてしまう恐れもあります。

【参考情報】『くすりと健康の情報局』第一三共ヘルスケア
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/20_seki/

◆「咳が長引く・咳が止まらない時の市販薬での対処法」

2−2.近くの一般内科に通院する→×

咳だけの症状で病気を鑑別することは、実はとても難しく、たとえベテランの内科医であっても、適切な診断と治療を行うのは困難です。

「もう3ヶ月以上通院しているのに、一向に咳が改善している気配がない」という人の場合、大抵が一般内科や耳鼻科に通院していたりします。

咳が発生する呼吸器系の病気を診断し治療するためには、呼吸器の専門知識をもつ呼吸器内科専門医に相談するのが一番の近道であり、確実な方法です。

◆「呼吸器内科の専門医とは」>>

3.長引く咳を感じたら早めに呼吸器内科を受診しましょう

呼吸器内科
咳が1週間ほど続いても、多くの人が「たかが咳」「よくあること」と考えがちです。しかし、長引く咳の背後には、風邪とは違う呼吸器系の病気が潜んでいる可能性があります。

長引く咳に悩んでいる人は、早めに呼吸器内科を受診して専門医に相談してください。

【参考情報】『専門医検索』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/search/specialist/index.php

◆「呼吸器内科を受診すべき症状とは?」>>

4.おわりに

咳の原因は、風邪のような呼吸器感染症のほか、アレルギー、肺がんなどさまざまです。

1週間以内に治まる場合はあまり心配ないのですが、それ以上続いているときは、できるだけ早く咳の原因を突き止めて、適切な治療を開始することが大切です。

◆「咳が止まらない時に起きている炎症とは?」>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階