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新型コロナウイルスが喘息患者に及ぼす影響とは?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年01月12日
喘息 コロナ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、世界中のさまざまな場面で、〝異常〟が生じています。
感染者数の増加に伴う医療提供体制のひっ迫、経済活動停止や失業者の増加など、我々世代が過去に経験したこともないような異常事態を毎日のように経験しています。

呼吸器専門医である当院では、前線に立って新型コロナウイルスに立ち向かうだけではなく、既存の呼吸器疾患を持つ患者を治療し続ける使命があります。

特に、呼吸器疾患を抱える方は、ウイルス感染時に重篤化するリスクが高く、通常行われる感染防止以上の対策が必要になります。

そこで今回は、新型コロナウイルスが喘息患者に及ぼす影響について、お伝えしていきます。

1.喘息患者は重篤化のリスクが高い

コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、呼吸器感染症の一種です。
そのため、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、呼吸器系に基礎疾患を持つ患者は重症化のリスクが高く、基礎疾患を持たない方以上に感染に注意する必要があります。

◆「新型コロナウイルス感染症が呼吸器の病気に及ぼす影響」>>

2.高リスク者こそ感染しないことが最も重要

徐々にではありますが、医療機関の専門家達は、COVID-19に対する治療方法やケアの方法を学びつつあります。

流行初期であれば重症化してしまったであろう症例も、早期に発見し適切なケアを行うことができるようになっています。

医療現場

とはいえ、COVID-19にはインフルエンザウイルス感染症のような特効薬が未だ存在しておらず、適切な対処療法と自己免疫の力に頼るほかありません。
今この瞬間も世界中で様々な研究が行われていますが、特効薬は発見されておりません。

そのため、喘息などの基礎疾患を持つ高リスク者こそ、感染しないことが最も重要なリスク回避の方法になります。

「万が一感染しても自分は重症化しないだろう」と考えるのではなく、絶対に感染しないということを意識した行動が大切です。

【参考情報】『』新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000699304.pdf

3.医療提供体制のひっ迫によるリスク

多くの報道がなされているように、新型コロナウイルス感染症によって世界中の医療機関が疲弊しています。
医療機関としては、COVID-19への対応はもちろんのこと、いかなる状況であっても、従来通りの医療を提供し続ける使命があります。

特に救急医療の体制はかなり厳しい状況に追い込まれています。
新型コロナウイルスへの対応にスタッフを含めた医療資源が割かれてしまい、一般救急を受け入れることが難しくなっているのが現状です。

3−1.喘息発作時の救急対応のリスク

救急

喘息治療においては、喘息発作時の救急対応が非常に重要です。
喘息発作を起こさないための治療と、喘息発作時の対応が両輪となることで、喘息治療は成立しています。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

しかし、COVID-19の対応で医療機関の受け入れが出来なかったり、救急隊の到着が遅れてしまったりする可能性があり、医療提供体制のひっ迫は喘息患者にとって非常に大きなリスクとなります。
 
最寄りの救急病院に搬送できないという、わずか数分単位の時間のロスが、喘息発作時には取り返しのつかない状況を招く恐れがあります。
 
このように、医療提供体制や救急隊の状況、公共交通機関(電車の運転時間短縮など)のイレギュラーな運行など、新型コロナウイルスによるさまざまな間接的な影響によって、喘息患者の健康への悪影響が懸念されます。

【参考情報】『新型コロナウイルス感染症発生下における医療提供体制及び検査体制の現状に関する各都道府県知事の御認識について 』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00022.html

3−2.薬剤欠品のリスク

吸入ステロイド薬は、喘息患者にとって発作を予防するための非常に重要な薬剤です。
吸入ステロイドこそが喘息のキードラッグと言っても過言ではありません。

吸入ステロイドのひとつであるオルベスコ(一般名シクレソニド)が新型コロナウイルスに効果があるのでは?というような記事が世に出たことにより、一時期、オルベスコに出荷停止の制限がかけられました。

オルベスコ
 
その結果、通常在庫を抱えているはずの病院や薬局にもオルベスコが流通しなくなり、一部の喘息患者はオルベスコの処方が受けられなかったり、代替薬への切替が検討されたりなどの影響を受けました。

このような薬剤の欠品はオルベスコだけではなく、イソジンガーグル(イソジンうがい液)や消毒液でも起こりました。
 
今後どのような研究報告が発表されるのかは分かりませんが、喘息患者が普段利用している薬剤や医療機器がCOVID-19にも利用できるということになれば、何らかの出荷制限がかけられても不思議ではありません。

【参考情報】『喘息治療薬のオルベスコ、現時点で新型コロナへの有効性は確認できず、投与継続の是非を主治医が判断せよ』厚生労働省
https://gemmed.ghc-j.com/?p=38148

4.おわりに

喘息患者などの呼吸器系の基礎疾患を持つ患者が、COVID-19重症化の高リスクであることはいうまでもありません。
しかし、新型コロナウイルスによる直接的な影響だけではなく、医療提供体制のひっ迫や薬剤流通制限などの間接的な影響も視野に入れておくことが重要です。 
感染を避けるのはもちろん、さまざまな状況を想定し、事前にできる準備をしておきましょう。

◆喘息の治療なら>>

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