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喘息とアレルギーの密接な関係とは?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年02月29日
喘息アレルギートップ

喘息は、空気の通り道である気道が、慢性的な炎症を起こして敏感になることで起こる病気です。

炎症によって敏感になった気道は、冷たい空気や煙などの刺激に反応し、「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった喘鳴(ぜんめい)や激しい咳、息苦しさといった症状が現れます。

喘息の患者さんは、ダニやハウスダストなど、何らかのアレルギーを持っていることが多いです。そこでこの記事では、喘息とアレルギーの関係についてお伝えします。

◆「喘鳴とは?」について詳しく>>

1.喘息の原因とは

日本では、子どもの5~7%、大人の3~5%が喘息を持っているという報告があります。

喘息患者数グラフ

【参考情報】『統計調査』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/toukei/index.html

小児の喘息は、アレルギーが原因であることがほとんどとされています。
 
一方、成人の喘息は、過労やストレスなど、アレルギー以外の原因で発症することも多いです。

◆「喘息のタイプ~原因別・年齢別」>>

喘息の重症度は、呼吸機能検査の数値や喘息症状によって、「軽症間欠型」、「軽症持続型」、「中等症持続型」、「重症持続型」の4つに分類されます。咳、軽度の喘鳴の症状が週1回以上現れ、時に中・大発作となり日常生活や睡眠が妨げられている場合は、「中等症持続型」、また咳、軽度の喘鳴の症状が毎日持続し、週に1〜2回中・大発作となり、日常生活や睡眠が妨げられている場合は「重症持続型」と判断されます。

【参考情報】『独立行政法人 環境再生保全機構』
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/child/09_01_02.html

2.喘息はアレルギー疾患のひとつ

喘息アレルギー色々

喘息患者の気道は、炎症により敏感になっています。そのため、わずかな刺激でも発作がおこります。

アレルギー反応を引き起こすアレルゲンと呼ばれる物質が刺激となることもありますが、アレルゲンを特定できないケースもあります。

特に成人の患者さんは、アレルギーとは別の原因で発症する「非アトピー型喘息」の方が多いです。

実際には、多くの要因が複雑に絡み合って喘息発作を誘発していると考えられており、喘息発作を防ぐためには、特定のアレルゲンを避けることはもちろん、風邪やストレスなどからも身を守る必要があります。

◆「アレルギーによる病気の症状・検査・治療の基本情報」>>

3.喘息発作を引き起こすアレルギー物質

アレルギー反応を引き起こすアレルゲンとしては、ダニ、ハウスダスト、ペット、花粉、食物等が挙げられます。

予防としては、身近なところからアレルギーの原因をなくすことが重要です。布団はダニがつきやすく、その死骸や糞もアレルギーの原因となるため、マメに丸洗いして清潔に保つ必要があります。
家で丸洗いできる寝具や、コインランドリーを活用するとよいでしょう。

花粉が飛びやすい時期は窓を閉めることや、晴れている日や風が強い日は外出をなるべく控え、外出時にメガネやマスクなどで花粉を防止し、家の中の花粉を減らす為、こまめな掃除を行いましょう。

アレルゲンの主な種類

アレルゲン以外の物質としては、激しい運動、喫煙(タバコの煙)、過労、ストレス、感染症、大気汚染、天候など、多くのものが存在します。

中でもストレスは大きな要因のひとつであり、風邪などで体調を崩していたり、人間関係などで心にダメージを受けたりしているような状態のときには、喘息発作が起こりやすくなります。

【参考情報】『Common Asthma Triggers』Centers for Disease Control & Prevention
https://www.cdc.gov/asthma/triggers.html

◆「喘息発作がおこったときにパニックにならないためには?」>>

4.喘息治療について

喘息治療

喘息の治療では、気道の炎症を取り除く薬物療法を中心に行っていきます。

4−1.喘息治療の目標

喘息治療の目標は、発作のない安定した状態を維持することです。

薬物治療を続けるとともに、発作の原因物質を遠ざけるなど、患者さん自身の体調管理や生活改善も重要です。

◆「喘息治療のゴールと治療法」>>

4−2.吸入ステロイド薬について

薬物治療の主体となるのが吸入ステロイド薬です。気道の炎症を抑え込む作用があり、喘息治療にはなくてはならない存在です。

吸入ステロイド薬は、微量のパウダー(粉末)やミスト(霧)を口から吸入することで薬効を発揮します。医師や薬剤師から吸入方法を教わり、正しい方法でしっかりと吸入してください。

副作用には、嗄声(声が枯れる症状)や口腔カンジダ(口の中の真菌感染症)があります。しかし、これらの副作用は、吸入後の「うがい」で予防することができます。

吸入ステロイド薬以外の吸入薬には、長時間作動型β2刺激薬などがあります。

◆「吸入ステロイド薬について」>>

4−3.抗アレルギー薬について

吸入薬以外にも、ロイコトリエン受容体拮抗薬やヒスタミン受容体阻害薬などの抗アレルギー内服薬(飲み薬)が使用されることもあります。

【参考情報】『今日の治療薬2020』南江堂
https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524226573/

◆「呼吸器内科で処方される薬について」>>

5.おわりに

抗アレルギー薬が喘息の治療薬としても有効性を示すことからも分かるように、喘息とアレルギーには密接な関係があります。

発作が起きない状態を維持するためにも、原因となるアレルゲンをなるべく避け、処方された薬はしっかりと使用するようにしましょう。

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