その症状、本当にただの風邪? 「風邪が治らない」と思ったときに疑われる別の病気

風邪のような症状がなかなか治まらないと、「もしかして別の病気では?」と不安になるかもしれません。
この記事では、風邪という病気の基本的な知識と、よく似た症状が出る別の病気について解説します。
目次
1.風邪とはどのような病気か
風邪は、鼻やのどなど上気道の粘膜にウイルスが感染して起こる急性の炎症です。正式名称は「風邪症候群」と言います。
鼻に炎症が起きれば、鼻水・鼻づまりなどの症状が現れ、のどに炎症が起きれば、咳や痰、のどの痛みなどの症状が現れます。さらに、発熱や頭痛などが現れることもあります。
【参考情報】『Common Cold』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/12342-common-cold
風邪を根本的に治す薬はありませんが、栄養をとって安静にしていれば10日前後で治ります。咳やのどの痛みなどがつらい時は、症状を和らげる薬を使って対処してもいいでしょう。
2. 「風邪が治らない」とはどのような状態か
一般的な風邪は、数日で症状のピークを迎え、1週間前後で徐々に改善していくことが多いとされています。
しかし、以下のような場合には、単なる風邪ではない可能性も考える必要があります。
・発熱が何日も続く
・咳だけが長引く
・強い倦怠感が続く
・一度良くなった後に再び悪化する
・症状が2週間以上続く
特に咳が長期間続く場合には、気管支炎や肺炎、咳喘息、アレルギーなどが関係していることもあります。
また、高熱が続く場合や、息苦しさ、胸の痛み、食事が取れないほどの強い症状がある場合には、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、肺炎など別の病気が隠れている可能性もあります。
さらに、「最初は軽い風邪だと思っていたが、一度改善した後に再び悪化した」というケースでは、細菌感染を合併していることもあります。
風邪の症状が長引いている場合には、「単に治りが遅いだけ」と自己判断せず、症状の経過や強さに注意することが大切です。
3. 風邪をこじらせたときに起こる病気
風邪の多くは自然に改善していきますが、症状が長引いたり、体力や免疫力が低下していたりすると、別の病気を合併し、いわゆる「風邪をこじらせた」状態になることがあります。
3-1.気管支炎
風邪の炎症が気管支まで広がることで、咳や痰が長引きやすくなります。
症状が軽い場合は自然に改善することもありますが、炎症が強いと咳が数週間続くこともあります。特に、夜間や早朝に咳が悪化しやすい傾向があります。
3-2.肺炎
さらに症状が進行すると、肺炎になることもあります。
風邪との違いとしては、高熱が続く、強い倦怠感がある、息苦しい、胸が痛む、痰が増えるといった症状が現れやすい点が挙げられます。
特に、高齢者や持病のある方では重症化しやすく、入院治療が必要になる場合もあります。
また、高齢者では典型的な症状が目立たず、「食欲低下」「元気がない」「ぼんやりする」といった形で現れることもあります。
3-3.副鼻腔炎
風邪によって鼻の粘膜が腫れると、副鼻腔の中に鼻水や膿がたまりやすくなり、副鼻腔炎を起こすことがあります。
主な症状としては、黄色や緑色の粘り気のある鼻水、鼻づまり、顔の痛みや重だるさ、頭痛、においが分かりにくいといった症状があります。また、鼻水がのどへ流れる「後鼻漏(こうびろう)」によって、咳が続くこともあります。
3-4.中耳炎
風邪によって鼻やのどに炎症が起こると、耳と鼻をつなぐ「耳管(じかん)」の働きが悪くなり、鼓膜の奥にある中耳に細菌やウイルスが入り込みやすくなります。
主な症状としては、耳の痛み、耳が詰まった感じ、聞こえにくさ、発熱などがあります。
小さな子どもの場合は、自分で症状をうまく伝えられず、機嫌が悪い、頻繁に耳を触る、泣き続けるといった様子で気づかれることもあります。
【参考情報】『Ear Infection』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/8613-ear-infection-otitis-media
4.風邪とよく似た症状が出る感染症
風邪と同じように、呼吸器に症状が出る感染症は数多くあります。その中でも、よくある病気を紹介します。
4-1.インフルエンザ
インフルエンザウイルスが原因で起こる呼吸器の感染症です。高熱や体の痛みなど強い全身症状が急激に現れ、その後、のどの痛みや鼻汁、咳といった風邪のような症状が現れます。
インフルエンザウィルスにはいくつか種類がありますが、日本で流行がみられる主なものはA型、B型の2種類です。
4-2.マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ・ニューモニエという病原体によって引き起こされる感染症です。
乾いた咳が出るほか、発熱やのどの痛みなどの症状があります。解熱後も咳が3〜4週間ほど続くことが多いです。
4-3.RSウイルス感染症
乳幼児に多い感染症で、風邪のウイルスの一種であるRSウイルスが原因です。鼻水や38〜39℃の発熱があり、続いて咳が出ます。
通常は1〜2週間ほどで治りますが、6ヶ月未満の乳児などでは重症化しやすく肺炎などを引き起こす可能性があります。
4-4.クループ症候群
主にウィルス感染による症状です。発熱やのどの痛みから始まり、次第に声がかすれ、犬が吠えるような「ケンケン」という咳や、オットセイの鳴き声のような特徴ある咳が出るようになります。
3歳くらいまでの子どもに多く、症状は夜になると悪化する傾向にあります。
4-5.百日咳
百日咳菌に感染することで起こる病気です。
その名の通り、激しい咳が長期間続きます。「コンコン」「ヒュー」という乾いた音のする空咳に加え、頭痛や筋肉痛など風邪に似た症状があります。
大人がかかると特徴的な咳が出ないこともあり、気づかずに感染を広げてしまうことも少なくありません。
4-6.新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルスに感染して起こる病気です。
軽症だと風邪と見分けることは難しく、ほとんどの人は1週間くらいで自然に治ってしまいます。しかし、重症だと高熱や肺炎、呼吸困難などの症状が現れ、命にかかわることがあります。
4-7.その他
その他、肺結核の初期や溶連菌感染症、アデノウイルス感染症でも、風邪のような症状が現れます。
5. 感染症以外で「風邪が治らない」と感じる病気
風邪だと思っていても、実際には感染症以外の病気が原因で咳やのどの症状が続いていることがあります。
5-1.喘息
喘息は、気道に慢性的な炎症が起こり、空気の通り道が狭くなる病気です。
咳や息苦しさ、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)がみられ、風邪と間違われることがあります。
症状は夜間から早朝に悪化しやすく、季節の変わり目や冷たい空気、ハウスダスト、運動、ストレスなどがきっかけで悪化することがあります。
通常の風邪であれば数日〜1週間程度で改善していきますが、咳が長引く場合や、繰り返しゼーゼーする場合は、喘息の可能性も考えられます。
5-2.咳喘息
咳喘息は、長引く咳を主な症状とする病気です。
通常の喘息では、咳に加えて「ゼーゼー・ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)や息苦しさを伴うことが多いですが、咳喘息ではこうした症状が目立たず、咳だけが続くのが特徴です。
風邪のあとに発症することも多く、熱や強いのどの痛みは少ないため、「風邪が治りきっていないだけ」と思われやすい傾向があります。
5-3.アレルギー
アレルギーによって起こる症状も、風邪と間違われることがあります。
花粉やハウスダスト、ダニなどに対して免疫が過剰に反応すると、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの違和感、咳など、風邪によく似た症状が現れます。
特に、熱がないのに咳や鼻の症状が長く続く場合や、季節の変わり目、掃除中、外出後など特定の状況で悪化する場合は、アレルギーが関係している可能性があります。
5-4.胃食道逆流症(GERD)
胃食道逆流症は、胃酸などが食道へ逆流することで、食道やのどに炎症が起こる病気です。
胸やけや酸っぱいものが上がってくる感覚が代表的な症状ですが、のどの違和感、慢性的な咳、声のかすれなど、風邪に似た症状が現れることもあります。
特に、横になったときや食後に症状が悪化しやすく、夜間から朝方に咳が出やすくなることも特徴です。
長引く咳やのどの違和感が続く場合には、呼吸器だけでなく胃酸の逆流が関係している可能性も考えられます。
5-5.COPD(慢性閉塞性肺疾患)
主に長年の喫煙などによって肺や気道に慢性的な炎症が起こり、呼吸機能が低下していく病気です。
咳や痰、息切れなどの症状が現れ、特に初期には「風邪が長引いている」「年齢のせい」と思われることがあります。
特に、喫煙歴がある人で、咳や痰、息切れが続いている場合には、COPDの可能性も考えられます。
◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>
5-6.肺がん
肺がんの初期は自覚症状が少ないこともありますが、咳や痰、胸の違和感など、風邪に似た症状から始まる場合があります。
しかし、風邪であれば通常は時間とともに改善していくのに対し、肺がんでは咳が長期間続いたり、徐々に悪化したりすることがあります。
また、血痰、胸痛、息切れ、体重減少などを伴うこともあります。
特に、喫煙歴がある人や高齢者で、長引く咳や血痰がみられる場合には、肺がんを含めたくわしい検査が勧められます。
6.病院を受診する目安
「ただの風邪ではないかもしれない」と思ったときは、念のため医師に診てもらうと安心です。
特に、以下のような方は病院で処方する薬が必要な可能性があります。
・咳がひどくて眠れない
・咳がひどくて呼吸が苦しい
・嘔吐が続いている
・咳が2週間以上続いている
・微熱が2週間以上続いている
何科を受診すればいいのか迷った時は、お子さんは小児科、15歳以上の方は内科か呼吸器内科を受診してください。
7.おわりに
風邪のような症状が続いていて不安な方で、特に「咳」が激しかったり、長引いているときは、咳の専門家である呼吸器内科医に一度ご相談ください。
当院では0歳から高齢者まで、幅広い年代の患者さんを診ています。


















