呼吸器内科を受診すべき症状とは?

風邪は治ったのに咳が止まらない、階段を上るのが苦しい、呼吸をすると胸が痛むなど、こんな症状で「何科を受診すればいいの?」と悩んだ経験はありませんか?
このような症状がある時は、呼吸器内科の受診をおすすめします。
小さな症状でも、その背景には重大な病気が隠れている可能性があります。
早期発見・早期治療が病気を治すカギになります。
今回は、呼吸器内科で診る病気や受診すべき症状について、わかりやすく解説していきますので、受診を迷ったときの参考にしてください。
1.呼吸器内科について
呼吸器内科は、肺や気管支など呼吸に関わる臓器の病気を専門的に診る診療科です。
まずは、呼吸器内科がどのような診療科なのか、一般内科との違いや専門性について詳しく見ていきましょう。
1-1. 呼吸器内科とは
呼吸器内科とはその名の通り「呼吸器」を専門に扱う診療科です。
具体的には、呼吸の異変や肺の病気、気管支の病気などが呼吸器系の病気として扱われます。
この呼吸に関わるすべての器官に生じる病気を診断・治療するのが呼吸器内科です。
ちなみに当院は呼吸器内科ですが、例えば検査や診察をして、症状の原因が心臓にありそうだと判断した場合には、循環器科のある病院へ紹介をしています。
【参考情報】”Lung Health & Diseases” by American Lung Association
https://www.lung.org/lung-health-diseases
1-2. 呼吸器内科とほかの診療科との違い
一般内科でも風邪や軽い咳の診察は可能ですが、呼吸器内科では専門的な検査機器を使った詳しい診断ができます。
特に、咳や長引く痰・息切れなどの症状が続き、日常生活に支障が出ている場合は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの病気が隠れている場合がありますので、呼吸器内科の受診をおすすめします。
【参考情報】『COPD (慢性閉塞性肺疾患)』とうきょう健康ステーション
https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/copd/?utm_source=chatgpt.com
【参考情報】”COPD Overview” by Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/copd/
1-3. 呼吸器内科で診る症状の範囲
「呼吸器内科は喘息や肺がんを診るところ」と思われる方も多いのですが、一般的な感染症も診療していますので、深く考えすぎず「胸が苦しい」「喉に違和感がある」「全身の倦怠感」のような症状でも呼吸器内科を選択していただいて大丈夫です。
風邪のような一時的な症状から、喘息やCOPDのような慢性的な病気、さらには肺がんなどの重大な病気まで、幅広く対応しています。
長引く咳や痰、息切れ、胸の痛みなど、呼吸器に関連する症状全般を扱います。
【参考情報】『専門医検索』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/search/specialist/index.php
2.呼吸器内科で診ることができる症状、病気
1章でも紹介させて頂いた通り、呼吸器内科では、喘息やCOPDなどの慢性的な病気から、肺炎、肺がん、睡眠時無呼吸症候群まで、さまざまな呼吸器の病気を診療します。
ここでは、代表的な病気や症状について詳しくご説明します。
【参考情報】”Respiratory System” by Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/body/21205-respiratory-system
2-1. 主な呼吸器疾患
気管支が炎症を起こして狭くなり、ゼーゼー、ヒューヒューという音を伴う呼吸困難(喘鳴)や咳が出る喘息・咳喘息があります。
咳喘息は、喘鳴がなく咳だけが続くタイプの喘息で、放置すると本格的な喘息に進行することがあります。
主に喫煙が原因で、気管支や肺に炎症が起こり、呼吸がしにくくなるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は、早期発見・早期治療が重要です。
【参考情報】”Asthma Basics” by Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/asthma/
2-2. 専門的な治療と薬物療法
呼吸器疾患の症状を改善するためには、適切な薬物治療や酸素療法が必要となります。
喘息やCOPDなどの治療に欠かせない気管支拡張剤や吸入ステロイドなどはとても専門的な薬剤であり、専門的知識のある医師の適切な用法・用量の管理がとても重要になります。
【参考情報】『治療 喘息の薬』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/medicine.html
2-3. 重大な呼吸器疾患と睡眠障害
肺にできる悪性腫瘍である肺がんは、早期発見が非常に重要です。
健康診断の胸部X線検査で異常を指摘された場合は、必ず呼吸器内科を受診してください。
また睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。
放置すると高血圧や心臓病、脳卒中のリスクが高まるため、早めの治療が必要です。
【参考情報】”Sleep Apnea” by National Heart, Lung, and Blood Institute
https://www.nhlbi.nih.gov/health-topics/sleep-apnea
3.呼吸器内科を受診すべき理由
「症状が軽いから」「忙しいから」と受診を先延ばしにしていませんか?
呼吸器内科を受診することで得られるメリットは、想像以上に大きいものです。
ここでは、受診すべき理由について詳しくご説明します。
3-1. 呼吸器内科が扱う病気の重要性
あたりまえのことですが、人間が生きるためには酸素を体に取り入れること、すなわち“呼吸”が必要不可欠です。
そのため、呼吸器の疾患は、発見が遅れることで命に関わることも多く、専門医による適切な診断や治療がとても重要です。
特に、喘息やCOPDなどの慢性的な病気は、適切な治療を継続することで症状をコントロールし、生活の質を大きく改善できます。
当院では、禁煙のためのサポートなども行い、患者さまに寄り添った治療を行っています。
【参考情報】”COPD: Importance of Early Diagnosis” by National Institutes of Health
https://www.nhlbi.nih.gov/health/copd
3-2. 早期受診の重要性
咳や痰・発熱など、日常よくある症状が多いのも呼吸器系疾患の特徴で、「このくらいなら大したことないだろう」「病院に行かなくても治るだろう」と自己判断で受診の足が遠のいてしまうという問題点もあります。
しかし、呼吸器系の症状(長引く咳や息切れ)の裏には、肺がんや間質性肺炎など命に関わる重大な病気が潜んでいることもあります。
「ただの咳だから」と放置せず、2週間以上の咳や痰、発熱などが続く場合は、自分で判断をせず、ぜひ呼吸器内科専門医の診察を受けてください。
特に肺がんは、早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、治癒の可能性も高まります。
症状が軽いうちに受診することが、何よりも重要です。
◆『咳が止まらない時、何科の病院に行けば良いか』について>>
【参考情報】”Warning Signs of Lung Disease” by American Lung Association
https://www.lung.org/lung-health-diseases/warning-signs-of-lung-disease
3-3. 生活の質(QOL)を向上できる
呼吸器内科のサポートによって、生活の質(QOL)を著しく向上させることができる可能性が大いにあります。
・息切れや咳で日常生活に支障が出ている場合、適切な治療により症状を改善できます。
・睡眠時無呼吸症候群の治療では、質の良い睡眠が取れるようになり、日中の眠気や集中力の低 下の改善が期待できるでしょう。
・ご高齢の方の場合「年だから仕方ない」とあきらめていた長引く咳や症状も、治療により大きく改善することがあります。
3-4. 予防と再発防止につながる
呼吸器内科を受診するメリットは、単に「今ある症状を治す」ことだけではありません。
専門医の診察を受けることで、症状が再び悪化したり、重症化したりするのを未然に防ぐことができます。
たとえば、喘息や咳喘息は、症状が落ち着いているように見えても、気道の炎症が続いていることがあります。
呼吸器内科では、吸入薬の使い方や生活習慣の見直しを通して、炎症を抑え、発作を繰り返さないための予防的なケアを行います。
また、肺炎や気管支炎を何度も繰り返す方の場合、基礎疾患や体質、環境要因など「再発の原因」を丁寧に探り、対策を立てることが可能です。
・季節ごとの予防策
・職場や家庭環境に合わせた対処
・ワクチン接種のタイミング
など、患者さん一人ひとりに合った方法をご提案できるのも呼吸器専門医ならではです。
「症状が出てから受診する」のではなく、「悪くならないように備える」ことが、長い目で見ると体の負担も、生活の不自由さも大きく減らすことにつながります。
4. 呼吸器内科を受診すべき症状とタイミング
「咳が続いているけど、病院に行くほどではないかも」と迷っていませんか?
実は、受診すべき明確な目安があります。
ここでは、呼吸器内科を受診すべき症状とタイミングについて、具体的にご説明します。
4-1. 長引く症状がある場合
風邪による咳は通常1~2週間で治まります。
咳が2週間以上続く場合は、喘息や咳喘息、COPDなどの可能性があるため、呼吸器内科の受診をおすすめします。
また、咳が3週間以上続く場合は、肺結核や肺がんなど、重大な病気が隠れている可能性があります。
4-2. 緊急性の高い症状
以下の症状がある場合は、すぐに受診しましょう。
・血痰が出たり痰に血が混じる
・激しい呼吸困難:
横になれないほど息苦しい、安静にしていても呼吸が苦しい場合は緊急性が高い状態です。
・強い胸痛:
胸が締め付けられるような痛み、深呼吸で悪化する痛みは要注意です。
・高熱が続く:
38度以上の発熱が3日以上続く場合は、肺炎などの可能性があります。
4-3. 健康診断で異常を指摘された場合
健康診断の胸部X線検査で「影がある」「異常陰影」「要精密検査」などと指摘された場合は 「様子を見よう」と先延ばしにせず、できるだけ早く呼吸器内科を受診しましょう。
早期発見により、治療の選択肢が広がり、良好な経過が期待できます。
【参考情報】『がん検診について』国立がん研究センター
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/about_scr01.html
4-4. 日常生活に支障がある場合
以下のような症状で日常生活に支障がある場合も、呼吸器内科の受診をおすすめします。
治療可能な呼吸器疾患が原因であることが多く、適切な治療により、生活の質を大きく改善することが期待できます。
・毎晩大きないびきをかく、家族から呼吸が止まっていると言われる
・階段や坂道を上ると息切れする
・夜間や早朝に咳で目が覚める
・タバコの煙や冷たい空気で激しく咳き込む
・息を吸い込むと咳が出る
・ゼーゼー、ヒューヒューという音がする
5.呼吸器内科で行う検査
呼吸器内科では、症状の原因を正確に診断するために、さまざまな専門的な検査を行います。
ここでは、代表的な検査について詳しくご説明します。
5-1. 画像検査
胸部X線検査やCT検査により、肺や気管支の状態を詳しく調べます。
肺炎、肺がん、COPD、肺結核などの診断に役立ちます。
CT検査は、X線検査よりも詳細な画像が得られるため、早期のがんや小さな病変も発見できます。
5-2. 呼吸機能検査
スパイロメトリーという検査機器を使って、肺活量や気道の状態を測定します。
喘息やCOPDの診断、重症度の評価に欠かせない検査です。
息を吸ったり吐いたりするだけの簡単な検査で、痛みもありません。
また、モストグラフという検査では、気道の抵抗や肺の弾力性を詳しく調べることができます。
5-3. 血液検査・喀痰検査・アレルギー検査
血液検査では、炎症の程度や感染症の有無を調べます。
喀痰(かくたん)検査では、痰の中に含まれる細菌やがん細胞を調べることができます。
また、アレルギー検査では、喘息やアレルギー性鼻炎の原因となるアレルゲンを特定します。
【参考情報】『喀痰の検査』日本臨床検査振興協議会
https://www.jpclt.org/introduce/pamph/pamphlet03/
5-4. 呼気NO検査
呼気に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定する検査です。
気道に炎症があると、呼気中のNO濃度が上昇します。
喘息の診断や治療効果の判定に役立ちます。
息を吹き込むだけの簡単な検査です。
6.おわりに
咳や息切れなどの症状は風邪と似ていますが、重大な病気が隠れている可能性があります。
「たかが咳くらい」と我慢せず、症状が長引く場合は早めに呼吸器内科を受診しましょう。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。









