肺がんが心配なときに呼吸器内科を受診する目安と検査

咳や息切れ、胸の痛みといった症状が続くと、「もしかして肺がんではないか」と不安になる方も少なくありません。
呼吸器内科は、肺や気管支をはじめとする呼吸器全般の病気を専門的に診療する診療科であり、肺がんの早期発見・診断・治療において中心的な役割を担っています。
この記事では、呼吸器内科で行われるがんに関する検査や診断の流れ、症状のサインなどについてわかりやすく解説していきます。
1.肺がんが心配なときは呼吸器内科に相談できる?
肺がんが心配なときや、健康診断で肺に「影」や「結節」などの異常があると指摘された場合は、呼吸器内科への相談がひとつの選択肢になります。
呼吸器内科は肺や気管支など呼吸器の病気を診る診療科で、長引く咳や痰、息苦しさなど、肺の病気が疑われる症状について相談することができます。
呼吸器内科では、症状や検査結果をもとに、必要に応じて胸部X線(レントゲン)検査やCT検査などを行います。
こうした検査では、肺がんだけでなく、気管支に発生するがん、胸膜に発生する悪性腫瘍(中皮腫など)、縦隔(じゅうかく:胸の真ん中で左右の肺にはさまれた空間)に発生する腫瘍など、胸部にあるさまざまな病気が見つかることもあります。
【参考情報】『中皮腫について』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/asbestos/mesothelioma/what/what_about.html
また、肺がんなどの悪性腫瘍が疑われ、さらに詳しい検査や専門的な治療が必要と判断された場合には、対応できる医療機関を紹介してもらうこともできます。
つまり、呼吸器内科は肺や気管支などに生じる病気の可能性を調べ、必要に応じて専門的な医療へとつなぐ窓口としての役割も持っています。
◆「呼吸器内科とはどんなところ?何をするのかを解説します」>>
2.こんな症状があるときは呼吸器内科へ
肺がんは、初期には目立った症状がないこともあります。
一方で、咳や息苦しさなどの症状が長く続いたり、なかなか改善しなかったりする場合には、肺がんを含めた呼吸器の病気が隠れていないか調べるため、呼吸器内科への受診を検討しましょう。
2-1. 咳が長く続いている
風邪をひいた後に、ほかの症状は治ったのに咳だけが長く続いている場合は、呼吸器内科に相談してみましょう。
また、咳が徐々に悪化している、これまでとは違う咳が続いているといった場合も、原因を調べることが大切です。
長引く咳は肺がんだけにみられる症状ではありません。喘息や咳喘息、肺炎などの感染症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など、さまざまな病気によって起こることがあります。
◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>
症状だけで肺がんと判断することは難しいため、必要に応じて検査を受けましょう。
2-2. 血痰が出る
痰に血が混じる「血痰」は、肺がんのほか、気管支炎や肺炎などの感染症、気管支拡張症などでも起こることがあります。
痰に少量の血が混じったからといって、必ずしも肺がんとは限りません。ただし、血痰を繰り返す場合や、原因が分からないまま続いている場合は、呼吸器内科を受診して原因を調べましょう。
◆「血痰が気になりますか?呼吸器内科で原因を調べましょう」>>
2-3. 息苦しさや息切れが続いている
息苦しさや息切れが長く続いている場合も、呼吸器内科に相談しましょう。
これらの症状は肺がんだけでなく、呼吸器の病気や心臓の病気など、さまざまな原因で起こります。
「咳や息苦しさが続いているから肺がん」とは限らないため、症状の程度や経過などを確認しながら、必要な検査を行います。
2-4. 胸の痛みが続いている
胸の痛みが続いている場合も、呼吸器内科で相談することができます。
胸の痛みには、肺や胸膜の病気だけでなく、肋間筋などの筋肉や神経、消化器など、さまざまな原因があります。そのため、「胸が痛い=肺がん」と考える必要はありません。
ただし、痛みが長く続いている、徐々に強くなっている、咳や息苦しさなどほかの症状を伴っている場合は、原因を調べるために呼吸器内科で検査をしましょう。
◆「息を吸うと胸が痛いときに考えられる原因と受診の目安」>>
3.健診や胸部X線で「影」「結節」を指摘されたら
健康診断や胸部X線検査で「影」「結節」「要再検査」「要精密検査」などと指摘されると、肺がんではないかと心配になるかもしれません。
しかし、胸部X線で影や結節が見つかったからといって、肺がんと決まったわけではありません。
3-1. 胸部X線の「影」がすべて肺がんとは限らない
胸部X線で「影」や「結節」が見える原因はさまざまです。
例えば、肺炎などの感染症による炎症、過去の病気によって残った痕跡、良性の結節などがあります。また、血管や肋骨などの構造が重なって、影のように見えることもあります。
【参考情報】『Should I Be Worried About the Spot in My Lung on My Chest X-Ray?』Mayo Clinic
https://newsnetwork.mayoclinic.org/discussion/spot-in-lung-on-chest-x-ray-common-and-typically-noncancerous/
そのため、胸部X線で異常を指摘されても、それだけで肺がんと判断することはできません。必要に応じて追加の検査を行い、原因を確認します。
3-2. 「要再検査」「要精密検査」と言われたら
健診結果に「要再検査」や「要精密検査」と書かれていた場合は、たとえ自覚症状がなくても、そのまま放置せずに結果に記載された指示を確認し、早めに呼吸器内科を受診しましょう。
肺の異常は自覚症状が出にくいことも多く、健診で指摘された時点ではすでに何らかの変化が生じている可能性があります。
「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、指示された期間内に受診することが大切です。
◆「呼吸器内科の再検査とは?健康診断で肺の異常を指摘されたときの受診目安」>>
4.呼吸器内科ではどんな検査をする?
呼吸器内科では、まず症状やこれまでの病気などを確認し、そのうえで必要な検査を行います。
すべての人が同じ検査を受けるわけではなく、症状や健診結果などに応じて検査内容が決まります。
4-1. 問診・診察
まず、咳や息苦しさなどの症状について確認します。
例えば、以下のような内容をお聞きします。
・咳がいつから続いているか
・痰や血痰があるか
・息苦しさや息切れがあるか
・喫煙歴があるか
・健診や胸部X線検査で何を指摘されたか
・これまでにかかった病気や治療中の病気があるか
症状の経過や健診結果などを確認したうえで、必要な検査を判断します。
4-2. 胸部X線検査・CT検査
胸部X線(レントゲン)検査は、肺や胸部の状態を確認するための基本的な検査です。肺炎などの病気や、肺に異常な影がないかを調べる目的で行われます。
健診などですでに胸部X線検査を受けている場合は、その結果や画像をもとに、追加の検査が必要かどうかを判断することもあります。
◆「呼吸器内科のレントゲン検査~検査でわかる病気と注意点~」>>
胸部X線検査だけでは肺の状態を十分に把握できないと判断された場合には、CT検査を行うことがあります。
CTはX線を使って肺をより詳細に撮影する検査で、影や結節の大きさ・位置・形などを確認することができます。
なお、CT検査が必要かどうかは、症状や胸部X線の所見などをふまえて医師が判断します。
CT設備のない医療機関を受診した場合は、必要に応じて検査が可能な医療機関を紹介してもらえます。
【参考情報】『CT検査とは』がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/ct.html
4-4. 血液検査など
血液検査では、白血球数やCRPといった炎症の指標のほか、貧血や肝機能・腎機能なども合わせて確認することが一般的です。
【参考情報】『Blood Tests』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diagnostics/24508-blood-tests
症状や検査結果によっては、呼吸機能検査や痰の検査など、ほかの検査を行うこともあります。
呼吸機能検査では、息を吸ったり吐いたりする力や肺活量を調べることで、肺や気道の働きに問題がないかを確認します。
痰の検査では、痰の中に細菌や結核菌などの病原体が含まれていないか、また異常な細胞がないかを調べることがあります。
4-5. 呼吸器内科を受診するときに持っていくもの
呼吸器内科を受診するときは、症状やこれまでの検査結果が分かるものを持参すると、診察の参考になります。
持参するとよいものには、以下があります。
・健診結果
・胸部X線検査の結果や画像
・過去に受けた胸部X線やCTなどの画像・検査結果
・お薬手帳
【参考情報】『eお薬手帳3.0 | スマホで安心!おくすり管理』
https://www.nichiyaku.or.jp/e-okusuri3/
すべてを用意できなくても問題ありません。手元にある健診結果や検査資料などを持参し、分かる範囲で症状の経過を伝えましょう。
5.肺がんと診断されたらどうなる?
肺がんの可能性が高い場合や、肺がんかどうかを詳しく調べる必要がある場合は、専門医療機関で追加の検査を行います。
肺がんと診断するためには、画像検査だけでなく、必要に応じて組織や細胞を採取して調べる検査などを行います。
また、肺がんの種類や広がり、進行度などを確認し、その結果をもとに治療方針を検討します。
治療が必要になった場合は、検査結果や病状に応じて、手術、薬物療法、放射線治療などを組み合わせた治療が行われます。
こうした専門的な検査や治療に対応できる医療機関を、呼吸器内科から紹介してもらうこともできます。
6. おわりに
肺がんが心配な場合でも、必ずしも最初から大きな病院を受診しなければならないわけではありません。
まず身近な呼吸器内科に相談して、症状や健診結果などを確認してもらいましょう。
呼吸器内科では、症状や健診結果などをもとに必要な検査を行います。その結果、肺がんではなく、ほかの病気が原因だと分かることも少なくありません。
咳が長引いている、血痰が出る、健診で胸部X線検査の異常を指摘されたなど、気になる症状や結果がある場合は、放置せずに早めに呼吸器内科に相談することが大切です。
以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします
- 咳が2週間以上続いている
- 息切れや息苦しさを感じることがある
- 痰がからんで気になる
- 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
- 市販薬を飲んでも症状が改善しない
当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?












