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咳が止まらない時に耳が痛いのはなぜ?考えられる原因と受診の目安

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年10月22日

咳が続いているうちに耳まで痛くなってくると、「咳のせいで耳が痛くなったのか?」「それとも、何か別の病気があるのか?」と心配になるかもしれません。

鼻や喉、耳はつながっているため、どこか一箇所で炎症が起こるとそれが広がって、複数の症状として現れることも珍しくありません。

この記事では、咳と耳の痛みが同時に起こる主な原因や、それぞれの症状の特徴、自宅でできる対処法、病院を受診すべき目安についてわかりやすく解説していきます。

1.咳が止まらないときに耳が痛くなる原因


咳と耳の痛みが同時に現れている原因を大きく分けると、次のようなケースが考えられます。

1-1.風邪などの呼吸器感染症がきっかけ

風邪やインフルエンザ、コロナなどの呼吸器感染症にかかると、咳や鼻水、喉の痛み、発熱などの症状が出ることがあります。

こうした感染症によって鼻や喉に炎症や腫れが起こると、鼻の奥と中耳をつなぐ「耳管(じかん)」の働きに影響することがあります。

耳管には、中耳の圧力を調整したり、中耳にたまった液体を排出したりする役割があります。

そのため、耳管が腫れてうまく働かなくなると、耳の中の圧力を調整しにくくなったり、中耳に液体がたまったりして、耳が詰まったような感じや圧迫感、耳の痛みなどが生じることがあります。

また、風邪やインフルエンザなどをきっかけに、中耳炎を発症することもあります。中耳炎では耳の痛みのほか、耳が詰まった感じや聞こえにくさなどが現れる場合があります。

【参考情報】『中耳炎』慶應義塾大学病院 聴覚センター
https://koac.hosp.keio.ac.jp/general/search_symptom/otitis-media

1-2.鼻の病気が関係している

副鼻腔炎など鼻の病気では、鼻や副鼻腔に炎症が起こり、鼻水が増えることがあります。

このとき、喉の奥へ流れ落ちる「後鼻漏(こうびろう)」になると、鼻水によって喉が刺激され、咳が出ることがあります。

【参考情報】『Postnasal Drip』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/23082-postnasal-drip

また、副鼻腔炎で鼻の粘膜が腫れると、鼻と中耳をつなぐ耳管の働きに影響し、耳の詰まり感や痛み、聞こえにくさが生じることがあります。

◆「副鼻腔炎」についてくわしく>>

1-3.咳と耳の痛みが、それぞれ別の原因で起こっている

咳と耳の痛みが同時にあっても、この2つの症状が必ずしも同じ原因で起こっているとは限りません。

例えば、喘息によって咳が続いている一方で、耳の痛みは中耳炎や外耳炎など、耳そのものの病気によって別に起こっているケースもあります。

このように、咳と耳の痛みが同時に現れていても、片方の症状がもう片方を引き起こしているとは限らず、それぞれに異なる原因がある可能性もあります。

2.咳と耳の痛みがある場合に病院を受診する目安


軽い風邪に伴って咳や耳の違和感が出ていても、強い痛みや聞こえにくさなどがなく、症状が少しずつ改善している場合は、しばらく様子をみてもよいでしょう。

一方で、耳の痛みが続いている、痛みが強くなっている、咳が悪化しているなど、症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。

2-1.耳鼻科を受診する目安

以下のようなサインがあるときは、耳鼻科の受診を検討しましょう。

<耳の痛みが強い、または悪化していく>

我慢できないほどの強い耳の痛みや、時間とともに痛みが増していく場合は、中耳炎や外耳炎など、耳の病気が関係している可能性があります。

【参考情報】『Swimmer’s Ear (Otitis Externa)』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/8381-swimmers-ear-otitis-externa

<耳だれや耳からの出血がある>

耳から液体や膿のようなものが出てくる、あるいは出血がみられる場合は、中耳炎や外耳炎のほか、耳かきなどで耳が傷ついている可能性があります。

<聞こえにくさや耳鳴り、めまいを伴う>

耳の詰まった感じだけでなく、明らかに聞こえづらい、耳鳴りがする、めまいでふらつくといった症状を伴う場合は、突発性難聴やメニエール病などの病気などが関係している可能性があります。

【参考情報】『メニエール病』順天堂大学医学部附属順天堂医院 耳鼻咽喉科・頭頸科
https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/jibi/disease/target_ear/target_ear02.html

子どもは大人に比べて耳管が短く、水平に近い構造をしているため、鼻や喉の感染症などをきっかけに中耳炎を起こしやすい傾向があります。

乳幼児が耳を気にして触る、機嫌が悪い、夜眠れないといった様子がみられ、発熱や耳だれ、強い耳の痛みなどを伴う場合は、早めに受診しましょう。

2-2.呼吸器内科を受診する目安

咳の症状の程度や経過によっては、早めに呼吸器内科を受診したほうがよい場合があります。

以下のようなサインがあるときは、受診を検討しましょう。

<咳が長く続いている、または悪化していく>

風邪などの感染症では、熱や鼻水などの症状が治まった後もしばらく咳が続くことがあります。

一方で、咳が2週間以上続いている、または時間とともに咳が強くなっている場合は、喘息や咳喘息など、風邪以外の病気が関係している可能性もあります。

◆「長引く咳」についてくわしく>>

<息苦しさやゼーゼー、ヒューヒューする呼吸を伴う>

咳に加えて、息苦しさがある、ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸音がする、階段や運動をすると息苦しくなるといった症状がある場合は、喘息など呼吸器の病気が関係している可能性があります。

◆「喘息の初期症状」をチェック>>

<血痰や胸の痛みを伴う>

咳とともに血の混じった痰が出る、胸に痛みを感じるといった場合も、呼吸器の病気が関係している可能性があります。

特に、血痰が続く場合や、強い胸痛、息苦しさなどを伴う場合は、早めに医療機関を受診しましょう。強い胸痛や呼吸困難がある場合は、緊急の対応が必要になることもあります。

◆「咳をすると胸が痛いときに考えられる理由と病気」>>

3.咳と耳の痛みがあるときの検査


咳と耳の痛みが続いている場合、医療機関では症状や経過を確認したうえで、原因を調べるための検査を行います。

どのような検査をするかは、耳の症状が強いのか、咳が長引いているのかなどによって異なります。

3-1. 耳鼻科ではどんな検査をする?

耳鼻科では、まず耳の中を確認するために耳鏡などを使って、外耳道や鼓膜の状態を調べます。外耳炎や中耳炎など、耳の病気がないかを確認するための基本的な診察です。

聞こえにくさがある場合などには、必要に応じて聴力検査を行います。また、鼓膜の動きや中耳の圧力などを調べるティンパノメトリーという検査によって、中耳に液体がたまっていないか、中耳の圧力に異常がないかなどを確認することもあります。

【参考情報】『Tympanometry』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diagnostics/24222-tympanometry

さらに、鼻や喉の状態が耳の症状に関係している可能性がある場合は、鼻や喉の状態も確認します。

3-2. 呼吸器内科ではどんな検査をする?

呼吸器内科では、咳がいつから続いているのか、どのようなときに咳が出るのか、痰や息苦しさなどの症状があるかを確認します。

そのうえで、必要に応じて胸部X線(レントゲン)検査を行い、肺炎など肺に異常がないかを調べることもあります。

◆「呼吸器内科のレントゲン検査~検査でわかる病気と注意点~」>>

また、喘息や咳喘息などが疑われる場合には、息をどれくらい吐き出せるか、肺の働きなどを調べる呼吸機能検査を行うことがあります。

◆「呼吸器内科で行われる専門的な検査」をチェック>>

痰が出ている場合には、痰の性状を確認したり、必要に応じて痰の検査を行ったりすることもあります。

4.咳と耳の痛みがあるときの家庭での対処法


咳と耳の痛みがあっても症状が軽い場合は、体を休めながら症状の変化を確認しましょう。

4-1. まずは安静にして水分をとる

風邪などの感染症が原因の場合は、無理に活動せず、十分な休養をとりましょう。

咳が出ているときは、室内が乾燥しすぎないようにすることも大切です。発熱などがある場合は、水分不足にならないよう、少量ずつでもこまめに水分をとりましょう。

こまめに水分をとることで、喉の乾燥を防ぎ、痰がある場合には痰を出しやすくすることにもつながります。

4-2. 鼻水や鼻づまりがあるときの対処

鼻水や鼻づまりがある場合は、鼻を強くかまないようにしましょう。強く鼻をかむと、鼻や耳に圧力がかかり、耳の痛みや違和感が悪化することがあります。

鼻をかむときは、片方の鼻を押さえ、もう片方をゆっくりとかむようにします。鼻水が多い場合も、一度に強くかまず、少しずつ出すようにしましょう。

4-3. 耳が痛いときに避けたいこと

耳が痛いからといって、耳の中を何度も耳かきしたり、綿棒で強くこすったりするのは避けましょう。

耳の中を傷つけることで、炎症を起こしたり、症状を悪化させたりする可能性があります。

また、耳だれがある場合は、自己判断で耳の中に水や薬などを入れたり、洗ったりすることも控えましょう。

4-4. 市販薬を使う場合の注意点

咳止めや鼻炎薬、解熱鎮痛薬など、市販薬で症状を一時的に和らげられる場合もあります。

ただし、症状によって適した薬は異なり、持病やほかに服用している薬によっては注意が必要な場合もあります。

市販薬を使用する際は、添付文書を確認し、分からないことがあれば薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

薬を使っても症状が改善しない場合や、咳が長引いている場合は、市販薬だけで様子を見続けず、病院を受診してください。

◆「咳止め市販薬の選び方」について>>

5.おわりに

咳と耳の痛みが同時に現れている場合、風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症をきっかけに、鼻や喉の炎症が耳に影響していることがあります。

また、中耳炎や副鼻腔炎など、耳や鼻の病気が咳と関連している場合もあります。

一方で、咳は喘息などの呼吸器の病気、耳の痛みは中耳炎や外耳炎など、別々の原因によって起こっている可能性もあります。

受診先に迷った場合は、耳の痛みや聞こえにくさなど耳の症状が中心なら耳鼻咽喉科、咳が長引いている、息苦しさがあるなど呼吸器の症状が中心なら呼吸器内科への受診を検討するとよいでしょう。

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以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします

  • 咳が2週間以上続いている
  • 息切れや息苦しさを感じることがある
  • 痰がからんで気になる
  • 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
  • 市販薬を飲んでも症状が改善しない

当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?

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