喘息・COPD治療薬「シムビコート」の特徴と効果、副作用

シムビコートは、喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に用いる薬で、「タービュヘイラー」とよばれる専用のデバイス(吸入用器具)を使って吸入します。
この記事では、シムビコートの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、現在使用中の方も、ぜひ読んで基本的な知識や使い方を確認してください。
目次
1.シムビコートの特徴とSMART療法
シムビコートは、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に使用される吸入薬です。
1-1.シムビコートとはどのような薬か
シムビコートには、吸入ステロイド薬(ICS)の「ブデソニド」と、長時間作用型β2刺激薬(LABA)の「ホルモテロールフマル酸塩水和物」の2種類の有効成分が配合されています。
ブデソニドは気道の炎症を抑え、ホルモテロールは狭くなった気管支を広げる働きがあります。異なる作用を持つ2つの成分によって、症状の改善と発作の予防を同時に目指せるのが特徴です。
【参考情報】『Budesonide And Formoterol (Inhalation Route)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/budesonide-and-formoterol-inhalation-route/description/drg-20068949
喘息治療では、発作を予防するための「コントローラー(長期管理薬)」と、発作時に症状を和らげるための「リリーバー(発作治療薬)」を使い分けるのが一般的です。
多くのコントローラーは発作時の症状改善には向いていませんが、シムビコートに含まれるホルモテロールは比較的速やかに作用するため、医師の指示がある場合には発作時の追加吸入にも使用できます。
1-2.SMART療法とは
SMART療法(Single Maintenance And Reliever Therapy)とは、シムビコートを毎日の定期吸入と発作時の追加吸入の両方に使用する治療法です。通常は別々の薬を使うコントローラーとリリーバーの役割を、シムビコート1剤で担います。
発作時にシムビコートを追加吸入すると、気管支を広げる作用だけでなく、吸入ステロイドによる抗炎症作用も同時に得られます。そのため、気道炎症の悪化を早い段階で抑え、喘息増悪や重症発作のリスクを低減する効果が期待されています。
ただし、SMART療法はすべての喘息患者に適しているわけではありません。症状の程度や治療状況によって適応が異なり、1日に吸入できる回数にも上限があります。
また、COPDの治療ではSMART療法は適応となっていません。
発作時の追加吸入を希望する場合は、自己判断で使用せず、主治医の指示に従うことが大切です。
【参考情報】『SMART Therapy for Asthma』American Academy of Allergy, Asthma & Immunology
https://www.aaaai.org/tools-for-the-public/conditions-library/asthma/smart
2.シムビコートの使い方
シムビコートは「タービュヘイラー」と呼ばれるデバイス(吸入用機器)を使い、以下のように服用します。
①タービュヘイラーのキャップを外す
②容器の下にある回転グリップを右に回す
③回転グリップをカチッと音がするまで左に回して戻す。
カチッという音は、1回分の薬が準備できたという合図です。
※②〜③の動作は「クルッカチッ」と覚えておくと良いです。
④息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。
⑤薬剤を吸い込む
マウスピース(吸入口)を深くくわえて口をすぼめ、「強く」「早く」「一気に」スーッと息を吸い込んでください。
⑥息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。
シムビコートは息止めが必須ではありませんが、しっかりと薬を行き渡らせるためにも、無理のない範囲で息止めをするとよいです。
⑦タービュヘイラーのキャップをしめる
⑧うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流すことによって、喉がガサガサするのを防ぎます。
3.シムビコートの副作用
シムビコートの代表的な副作用には、声がかすれる「嗄声(させい)」、口の中に白い苔のような付着物が現れる「口腔カンジダ症」、心臓がドキドキするように感じる「動悸」などがあります。
<嗄声・口腔カンジダ症>
どちらもシムビコートに含まれる吸入ステロイド薬(ブデソニド)が口や喉の粘膜に付着することで起こりやすくなります。
口腔カンジダ症になると、口の中に白い苔のようなものが現れるほか、ヒリヒリした痛みや違和感、味覚の変化などが生じることがあります。
【参考情報】『口腔カンジダ症』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/#c05
嗄声では声が出しにくくなったり、声がかすれたりすることがあります。
<動悸・手の震え>
これらはβ2刺激薬にみられる副作用で、治療開始直後や吸入量が多い場合に起こりやすい傾向があります。
一時的で軽度なことが多く、使用を続けるうちに気にならなくなる場合も多いです。
しかし、症状が強い場合や長く続く場合、「息苦しさが強くなる」「胸の痛みを伴う」「脈が乱れている感じがする」といった症状がある場合は、早めに医師へ相談してください。
【参考情報】『Budesonide and formoterol (inhalation route)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/budesonide-and-formoterol-inhalation-route/description/drg-20068949
<その他>
まれに発疹やかゆみなどのアレルギー症状、気管支がかえって狭くなる奇異性気管支攣縮(れんしゅく)などが起こることがあります。
吸入後に急激な息苦しさや喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)が現れた場合は、使用を中止して速やかに医療機関を受診しましょう。
4.使用上の注意点
シムビコートの効果を十分に得るためには、正しい使い方を守ることが大切です。
4-1. 吸入後はうがいを行う
シムビコートを使用した後は、必ずうがいを行いましょう。シムビコートに含まれる吸入ステロイド薬(ブデソニド)が口や喉に残ると、嗄声(声のかすれ)や口腔カンジダ症などの副作用が起こりやすくなります。
うがいをする際は、口の中をゆすぐ「ブクブクうがい」と、喉を洗う「ガラガラうがい」の両方を行うのがおすすめです。
外出先などでうがいが難しい場合は、水やお茶を飲んで口の中に残った薬剤を洗い流すようにしましょう。
なお、うがいをしても薬の効果が弱くなることはありません。副作用予防のためにも、吸入後のうがいを習慣にすることが大切です。
4-2. 吸い忘れた場合の対応
シムビコートを吸い忘れたことに気付いた場合は、できるだけ早く1回分を吸入してください。ただし、次の吸入時間が近い場合は、忘れた分は飛ばして通常のスケジュールに戻しましょう。
吸い忘れたからといって、一度に2回分をまとめて吸入してはいけません。過剰な吸入によって、動悸や手の震えなどの副作用が現れやすくなる可能性があります。
また、症状が落ち着いているからといって自己判断で吸入を中止すると、気道の炎症が再び悪化し、喘息発作のリスクが高まることがあります。
シムビコートは症状がないときも継続して使用することが重要な薬です。処方された用法・用量を守り、毎日決まった時間に吸入するよう心がけましょう。
【参考情報】『お薬を飲み忘れた場合はどうすればいいですか?』兵庫県薬剤師会
https://www.hps.or.jp/faq/detail/?id=7
4-3. 併用に注意が必要な薬
シムビコートは多くの薬と併用できますが、一部の薬剤とは相互作用を起こす可能性があります。
例えば、高血圧や不整脈、狭心症などの治療に用いられるβ遮断薬は、シムビコートに含まれるホルモテロールの作用を弱めることがあります。
その結果、十分な気管支拡張効果が得られなくなる可能性があります。
また、抗真菌薬のイトラコナゾールやボリコナゾール、一部の抗菌薬などは、ブデソニドの血中濃度を上昇させ、副作用のリスクを高めるおそれがあります。
そのほか、利尿薬や一部の心疾患治療薬との併用では、低カリウム血症や不整脈のリスクが高まることがあるため注意が必要です。
現在服用中の薬がある場合や、新たに薬を処方された場合は、医師や薬剤師にシムビコートを使用していることを伝えましょう。市販薬やサプリメントも含めて相談することで、思わぬ相互作用を防ぐことができます。
5.シムビコートの薬価
シムビコートの薬価(2026年6月調べ)は以下のとおりです。
・シムビコートタービュヘイラー30吸入 1,242.2円/キット
・シムビコートタービュヘイラー60吸入 2,042.3円/キット
なお、薬価は改定により変更されることがあります。
シムビコートのジェネリック医薬品としては「ブデホル吸入粉末剤」が販売されています。先発医薬品と同じ有効成分を含み、薬剤費の負担を抑えられる可能性があります。
6.おわりに
シムビコートと同じように、吸入ステロイド薬とβ2刺激薬を配合した治療薬には、以下のようなものがあります。
・レルベア
・アドエア
シムビコートを使い続けても症状がよくならない時は、まずは正しく吸入できているかどうかを確認し、それでも効果を感じられないときは、ほかの薬が使えるかどうか医師に相談してみましょう。












