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風邪の基本的知識、風邪と間違いやすい感染症

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年07月13日

みなさんは、咳や鼻水、くしゃみなどがなかなか治らずに困ったことはありませんか? そんな時「どうせただの風邪だから、そのうち治るだろう」と思ってしまいがちですが、風邪とよく似た症状が現れる別の病気にかかっている可能性もあります。

そこで、この記事では、風邪の基本的知識と、風邪と間違いやすい感染症についてお伝えします。

1.風邪の基本的知識

風邪は、鼻やのどに起こる急性の炎症の総称です。医学的には“風邪症候群”と呼ばれます。

1-1.風邪とはどのような病気なのか

主にウイルスが原因で起こる感染症です。季節の変わり目などで急激な温度変化がある時や、疲れがたまって体の抵抗力が落ちている時にかかることが多いです。

1-2.風邪の主な症状

症状は、炎症の起こった場所によって変わります。鼻の粘膜で炎症が起きれば、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が現れ、のどの粘膜で炎症が起きれば、咳や痰、のどの痛みなどの症状が現れます。さらに発熱や頭痛、全身のだるさなどの症状が同時に現れることもあります。

1-3.風邪の治療法

風邪自体を治す薬はないので、病院では「高熱を下げる」「咳を鎮(しず)める」「のどの炎症を和らげる」といった、今出ている症状をラクにするための薬を処方します。細菌感染が疑われる場合には、抗生物質の投与を行うこともあります。

風邪は、栄養をとって安静にしていれば、通常は10日前後で治ります。しかし、2週間以上咳が続く場合は、別の病気が隠れていることもあるので、呼吸器内科でくわしく検査することをおすすめします。

◆「呼吸器内科を受診すべき症状」について>>

2.風邪と間違いやすい感染症

咳や発熱、くしゃみなど、風邪と同じような初期症状が現れる感染症はたくさんあります。そこで、間違いやすい病気を紹介します。

2-1.インフルエンザ

いったん流行すると年齢や性別を問わず、多くの人に短期間で広がる、感染力の強い病気です。

  • 症状
    寒気、発熱、頭痛、筋肉痛、全身のだるさなどの症状が、いきなり強く現れます。同じような症状があっても、風邪の場合はもっとゆるやかに現れます。
  • 原因
    インフルエンザウイルスが原因で起こる感染症です。インフルエンザウイルスは主にA型とB型に分けられますが、A型のウイルスは変異を繰り返して形を変えていく性質があるため、同じシーズンに2回以上かかることもあります。
  • 検査と診断
    のどや鼻から採取した粘液を調べてウイルスを検出する「迅速診断キット」を使って行います。およそ15~25分程度で結果が出ます。検査で陽性と出たらインフルエンザと判断しますが、医師は周囲の流行状況なども考慮して総合的に診断します。
  • 治療
    発症後はなるべく48時間以内に抗ウイルス薬を服用し、外出せずに安静にしていることが大事です。抗ウイルス薬には内服薬のタミフル、ゾフルーザ、吸入薬のリレンザ、イナビルなどがあります。およそ4~5日で寒気・高熱が治まり、約1週間で治癒しますが、高齢者は肺炎、乳幼児はインフルエンザ脳症などの合併症に注意が必要です。特に65才以上の人や、呼吸器などに持病のある方は、インフルエンザの予防接種を受けておくと安心です。

◆「インフルエンザ」について>>

2-2.クループ症候群

あまり耳なじみのない病名ですが、2歳~6歳くらいのお子さんに多くみられる病気です。

  • 症状
    発熱やのどの痛みなどからはじまり、次第に声がかすれ、犬がほえるような「ケンケン」「ゴーゴー」という特徴のある咳が出るようになります。夜間に症状が悪化しやすく、突然呼吸困難発作を起こすことがあります。特に乳幼児は病状が急変しやすいので、そのようなときは救急で病院を受診してください。
  • 原因
    原因の大半は、上気道(声帯や喉の周辺)のウイルス感染です。クループ症候群でみられる特徴的な咳は、ウイルス感染で気道の粘膜が腫れ、空気の通り道が狭くなることによって起こるものです。

    ウイルスのほかに、細菌によるものもあります。特に注意しなければならないのは、インフルエンザ菌b型(Hibと呼ばれる細菌で、インフルエンザウイルスとは別物)によるものです。Hibが原因のクループ症候群は重症化しやすいと言われていますが、予防接種で防ぐことができます。詳しくはお住まいの自治体のホームページなどでご確認ください。

  • 検査と診断
    基本的には医師が咳の音を聞いて診断します。咳の音だけで診断できない場合は、X線検査や内視鏡検査でのどの状態を見ることがあります。
  • 治療
    症状が軽い場合は、自宅で安静にすることで1~2週間で回復します。症状が重い場合は、酸素吸入やステロイド薬の注射、内服などの治療をすることもあります。

2-3.ジフテリア

かつては年間8万人が感染し、そのうちの10%が亡くなっていましたが、現在の日本ではめったにみられない病気です。しかし、バングラディシュやイエメン、中南米諸国では、近年でも流行が見られます。

  • 症状
    発熱やのどの痛み、全身のだるさなどからはじまり、乾いた咳が出ることがあります。また、原因となるジフテリア菌の出す毒素は心筋、神経系などを侵し、重症化すると合併症として心筋炎や不整脈、末梢神経炎などを引き起こすことがあります。
  • 原因
    ジフテリア菌という細菌への感染によって起こります。感染すると粘膜に偽膜(強い炎症が起きた時にみられる膜状の形成物)が作られます。
  • 検査と診断
    病気がある部位から菌を培養し検出を行いますが、検査に時間がかかるため、ジフテリアが強く疑われる場合には、検査の結果を待たずに治療へ進むことが多くあります。
  • 治療
    毒素に対して効果のある抗毒素ワクチンの注射のほか、感染が広がるのを防ぐため、抗生剤を使用することがあります。日本では、乳幼児期と小学校高学年期に、ジフテリア・破傷風を含む混合ワクチン(DPT)の予防接種が行われているので、対象年齢になったら忘れずに受けておきましょう。

3・おわりに

風邪と間違いやすい感染症には、重症化すると命を落とすものもあります。しかし、予防接種を受けることで感染を防ぐことができるので、適切な時期に受けておきましょう。

4.まとめ

  • 風邪とは、鼻やのどにウイルスが感染して炎症が起こる、急性の感染症です。
  • 風邪そのものを治す薬はありませんが、つらい症状を和らげる薬はあります。
  • 2週間以上咳が続く場合は、呼吸器内科で検査することをおすすめします。
  • インフルエンザ、クループ症候群、ジフテリアなど、初期症状が風邪と間違いやすい感染症があります。
  • 予防接種を受けることで、感染症を防ぎましょう。

◆「咳が続くときに心配な病気」について>>

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