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咳が止まらなくて息苦しい!考えられる病気と受診の目安

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2025年12月18日

咳がなかなか止まらないうえに、息苦しさまで感じていると、「このまま様子を見ていて大丈夫なのか」と判断に迷うことがあります。

咳と息苦しさが長引いているのは、風邪の延長のように見えても、実は呼吸器や心臓の病気が隠れている場合もあり、注意が必要です。

咳と息苦しさは、同じ原因で同時に起こることもあれば、別の仕組みが重なって現れることもあります。症状の出方や悪化するタイミングによって、考えられる病気は大きく異なります。

この記事では、咳と息苦しさが起こる仕組み、考えられる主な原因、見分ける際のポイント、受診の目安までを整理して解説します。

放置してよい症状か、早めに医療機関を受診すべきかを判断する手がかりにしてください。

1.咳と息苦しさが起こる仕組み

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咳が続く、息がしにくいといった症状は、単なる喉の不調だけでなく、呼吸の仕組み全体に関わる異常が背景にある可能性があります。

1-1.気道の炎症

咳と息苦しさは、空気の通り道である気道に異常が起こることで生じることがあります。

気道が本来の十分な広さを保っていれば、呼吸のたびに空気がスムーズに出入りすることができます。しかし、何らかの原因で気道が狭くなると、呼吸に余計な力が必要になり、息苦しさを感じやすくなります。

気道が狭くなる主な要因の一つが炎症です。感染やアレルギーなどによって気道の粘膜に炎症が起こると、粘膜が腫れて内腔が狭くなります。さらに、炎症に伴って痰や粘液といった分泌物が増えると、空気の通り道が部分的に塞がれ、咳が出やすくなります。

また、炎症が続くと気道は刺激に敏感な状態になり、冷たい空気や会話、軽い運動といったわずかな刺激でも気道が収縮しやすくなります。その結果、咳が誘発されるだけでなく、息を吐き出しにくい感覚や息苦しさが強まります。

◆「咳が止まらない時に起きている炎症とは?」>>

1-2.肺の働きの低下

咳と息苦しさは、肺そのものの働きが低下している場合にも現れやすくなります。

肺では、吸い込んだ空気を使って酸素と二酸化炭素の交換が行われていますが、炎症やダメージによって肺の組織が硬くなったり、十分に膨らまなくなったりすると、取り込めMedlinePlus

【参考情報】『Gas exchange』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/ency/anatomyvideos/000059.htm

このような状態では、肺の中に空気や分泌物がうまく入れ替わらず、刺激が残りやすくなります。その刺激を外に排出しようとして、咳が出やすくなります。

肺に問題があり、空気を十分に取り込めなくなると、体は酸素不足を補おうとして呼吸回数を増やすため、息苦しさを強く自覚するようになります。

2.咳と息苦しさがあるときに考えられる病気


咳と息苦しさがある場合、呼吸器の病気のほか、心臓の異常が関与していることもあります。

2-1.喘息

空気の通り道である気道が慢性的に炎症を起こして狭くなることで、咳や息苦しさ、ゼーゼーといった呼吸音が現れます。

◆「喘息」についてくわしく>>

症状は夜間や早朝に悪化しやすく、冷たい空気や会話などのちょっとした刺激で咳が止まらなくなることがあります。

2-2.COPD(慢性閉塞性肺疾患)

主に長年の喫煙によって、気管支や肺胞が障害される疾患です。慢性的な咳や痰に加えて、階段を上るなどの軽い運動でも息切れや息苦しさが現れます。

進行すると、安静時でも呼吸困難が出ることがあり、肺の換気効率低下に伴い酸素不足を補うため呼吸回数が増えます。

◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>

2-3.肺炎・気管支炎

細菌やウイルスによって肺や気管支に炎症が起こると、咳や息苦しさが出てきます。特に肺炎では、肺に水分や炎症の物質がたまるため、呼吸がしにくくなることがあります。

しかし、高齢者の肺炎では咳があまり出ず、息苦しさのみが目立つ場合もあります。

◆「肺炎」の情報をチェック>>

2-4.肺がん

肺にがんなどの腫瘍ができると、腫瘍が気道や肺の組織を圧迫することで、咳や痰、息苦しさが現れることがあります。

◆「肺がんの咳と注意すべき特徴」>>

2-5.間質性肺炎

肺の間質(肺胞と毛細血管の間の組織)が炎症や線維化で硬くなる疾患です。肺が十分に膨らまなくなるため酸素の取り込みが低下し、咳と息苦しさが同時に現れやすくなります。

◆「間質性肺炎」についてくわしく>>

2-6.心不全

心臓のポンプ機能低下により、肺に血液や水分がたまり、咳や息苦しさが同時に現れます。特に横になると症状が悪化することが多く、夜間に咳で目が覚める場合もあります。

【参考情報】『心不全で咳や痰がでるのはなぜですか?』心不全のいろは
https://heart-failure.jp/faq/answer-024/

2-7.気胸

肺の表面に穴が開き、空気が胸の中に漏れることで、突然の胸の痛み、乾いた咳、息苦しさが現れます。

【参考情報】『Pneumothorax』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/pneumothorax/symptoms-causes/syc-20350367

症状が軽い場合もありますが、悪化すると呼吸困難が強くなり、胸の中の空気を抜く処置(胸腔ドレナージ)が必要です。

◆「気胸」についてくわしく>>

2-8.肺塞栓症

肺の血管に血栓が詰まることで、酸素の取り込みが急激に低下し、咳と息苦しさが同時に現れます。胸痛や動悸、血痰を伴うこともあります。

放置すると命に関わることがあるため、早期診断・治療が非常に重要です。

【参考情報】『Pulmonary embolism』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/pulmonary-embolism/symptoms-causes/syc-20354647

3.咳と息苦しさがあるときに行う検査


咳や息苦しさが続く場合、医療機関では症状の原因を詳しく調べるため、複数の検査や診断が行われます。

3-1.問診・聴診

医師はまず、症状の経過や悪化する時間帯、きっかけ、既往歴や生活習慣などを詳しく聞き取ります。

また、必要に応じて聴診器で胸の音を聞き、呼吸器や心臓の問題を確認します。

3-2.胸部画像検査

胸部X線(レントゲン)では、肺や心臓の形や大きさ、肺炎や間質性肺炎、気胸、腫瘍などの異常を確認できます。

◆「呼吸器内科のレントゲン検査」について>>

場合によってはCT検査を追加し、肺や心臓の構造をより詳しく観察することもあります。

3-3.血液検査

血液検査では、感染や炎症の有無を白血球数や炎症マーカーで調べたり、酸素・二酸化炭素の状態や心臓の負担(BNPなど)を評価したりできます。

3-4.呼吸機能検査

肺や気道の状態を確認する検査です。

<スパイロメトリー>
吸ったり吐いたりする空気の量や速さを測定し、気道の狭さや肺の働きを評価します。

<呼気NO検査>
気道に炎症があると、吐いた息の中に一酸化窒素(NO)が増えるため、数値を測定することで喘息や気道の炎症を確認できます。

<モストグラフ>
空気の流れの状態を確認することで、喘息やCOPDなどの診断に役立ちます。

◆「呼吸器内科で行われる専門的な検査について」>>

3-5.心臓の検査

咳や息苦しさの原因が心臓に関連すると考えられる場合は、心電図や心エコー、運動負荷心電図などの検査が行われます。

【参考情報】『Electrocardiogram (ECG or EKG)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/tests-procedures/ekg/about/pac-20384983

4.病院を受診する目安


咳や息苦しさがある場合でも、軽度なら自宅で様子を見ていても問題ないこともあります。

しかし、症状が急に強くなったり、以下のような場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります

4-1.息が吸えない感じが強い

胸が詰まったように感じたり、深く息を吸おうとしても十分に吸えない状態は、呼吸が十分にできていないことを示します。喘息発作や急性の肺疾患、心不全など重篤な疾患の可能性もあるため、早急な受診が必要です。

◆「息苦しいのは病気?――原因の見分け方と受診の目安」>>

4-2.会話が苦しい

話すだけで息切れしたり、声が出にくくなる場合は、呼吸の働きが追いついていないサインです。この状態は、酸素不足や気道閉塞が進んでいる可能性があり、緊急対応が求められます。

4-3.唇や顔色が悪い

唇や爪、顔が青白くなったり紫色に見える場合、体内の酸素が不足していることを示します。酸素不足は脳や心臓にも影響を及ぼすため、放置すると生命に関わる危険があります。

4-4.強い胸痛や高熱がある

胸に鋭い痛みを感じる、または39度以上の高熱が出ている場合は、肺炎や肺血栓塞栓症、心筋梗塞などの重篤な疾患の可能性があります。特に胸痛と息苦しさが同時に現れる場合は、救急外来での迅速な評価が必要です。

4-5.その他注意すべき症状

激しい動悸、めまい、意識の混濁、発汗や冷や汗がある場合も、緊急性が高いサインです。また、基礎疾患がある人は、軽度の症状でも急速に悪化することがあるため、早めの受診が推奨されます。

5.よくある質問と答え


Q1. 咳と息苦しさが同時に出るとき、市販薬で改善できますか?
咳と息苦しさの両方が続いている場合は、喘息、肺炎、心不全など、市販薬では治療が難しい病気の可能性があります。

市販薬で一時的に症状が和らぐこともあるかもしれませんが、市販薬に頼るのではなく、原因の確認と適切な治療のために医療機関で診察を受けることが重要です。

Q2. 運動すると咳や息苦しさが悪化する場合はどうすればいいですか?
運動で症状が悪化する場合は、喘息や心肺機能の低下が関係していることがあります。

症状が強い場合は無理をせず休止し、医師に相談して運動の可否や吸入薬などの治療計画を確認すると安全です。

◆「運動誘発性喘息」の情報をチェック>>

Q3. 咳と息苦しさが夜間や早朝に強くなるのはなぜですか?
夜や朝方は、気道が縮まりやすくなります。また、横になる姿勢や体のリズムの影響で、肺に十分な空気が入りにくくなることがあります。

そのため、このような理由から、特に喘息や心不全のある人は咳や息苦しさが出やすくなります。

6.おわりに

咳や息苦しさは、軽く見て放置してしまうと、症状が悪化したり重篤な病気の兆候を見逃すことにつながります。

特に、呼吸器や心臓、肺そのものの異常が背景にある場合は、早期に受診することで適切な診断と治療を受けられ、症状の進行を防ぐことができます。

早期受診のメリットは、病気の重症化を防ぐだけでなく、発作や呼吸困難などの急な危険な状態を未然に回避できる点にもあります。

咳や息苦しさが続く、あるいは悪化する場合は、自己判断で様子を見るのではなく、速やかに医療機関で相談・診察を受けることが、健康を守るための最も確実な方法です。

◆「呼吸器内科を横浜市でお探しなら」>>

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