肺炎は呼吸器内科で診てもらうといい?症状・検査・治療・受診の目安を解説

肺炎になると、発熱や咳、痰、息苦しさなどが現れることがあります。
しかし、これらの症状は風邪やインフルエンザのような呼吸器感染症でも出るので、症状だけでは肺炎かどうか判断するのは難しいかもしれません。
この記事では、肺炎で現れる主な症状から、呼吸器内科で行う検査や治療、受診を検討する目安まで詳しく解説します。
咳や発熱などの症状が続いていて「肺炎かもしれない」と心配な方は、受診の参考にしてください。
1.肺炎かも?と思ったら呼吸器内科へ
肺炎は、呼吸器内科で診断・治療を受けることができます。
発熱や咳など、比較的軽い風邪のような症状であれば、まずは一般内科を受診しても問題ありません。
しかし、咳や痰が長く続く、息苦しさが強い、高熱が下がらないといった症状があり、普段の風邪とは違うと感じたら、呼吸器内科の受診を検討してください。
呼吸器内科は肺や気管支を専門としているため、より詳しい検査や、肺炎と似た症状を起こす他の呼吸器疾患との見分けもスムーズに行えます。
「風邪だと思ったけれど症状が強い」「もしかして肺炎かもしれない」と心配なときは、呼吸器内科を選ぶと安心です。
【参考情報】『Pulmonologist』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/22210-pulmonologist
◆「呼吸器内科とはどんなところ?何をするのかを解説します」>>
2.肺炎ではどのような症状が現れる?
肺炎になると、発熱や咳、痰、息苦しさなどの症状が現れることがあります。
症状の程度は、肺炎の原因や重症度、年齢、持病などによって異なります。
2-1. 発熱・悪寒
肺炎では、発熱がみられることがあります。特に肺炎球菌などによる典型的な細菌性肺炎では、急に高熱が出たり、寒気や悪寒を伴ったりすることがあります。
発熱とともに、強い倦怠感や食欲の低下、頭痛、筋肉痛など、全身の症状が現れることもあります。
一方で、肺炎の発熱には個人差があり、必ずしも高い熱が出るとは限りません。肺炎の原因となる病原体の種類や炎症の程度、年齢、体力、持病などによって、発熱の程度は異なります。
また、肺炎の経過によって発熱の現れ方が変わることもあります。発症後に熱が続く場合だけでなく、いったん熱が下がった後に再び発熱することもあります。
2-2. 咳・痰
肺炎では、咳や痰が出ることがあります。咳は、肺や気道の炎症によって生じるもので、乾いた咳が出ることもあれば、痰を伴う湿った咳が続くこともあります。
痰が増えたり、黄色や緑色など色のついた痰が出たりすることもあります。これは、気道や肺の炎症に伴って、白血球や免疫細胞などが集まり、痰の性状が変化することによるものです。
【参考情報】『Sputum colour for diagnosis of a bacterial infection in patients with acute cough』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19242860/
また、肺炎の種類や原因によっては、痰に血が混じることもあります。
ただし、痰の色だけで肺炎かどうかを判断することはできません。黄色や緑色の痰は肺炎だけでなく、気管支炎などほかの呼吸器感染症でもみられます。
反対に、肺炎であっても必ず色のついた痰が出るとは限らず、透明または白っぽい痰の場合もあります。
2-3. 息苦しさ・呼吸が速くなる
肺炎になると、肺胞と呼ばれる酸素と二酸化炭素の交換を行う部分に炎症が起こったり、肺胞に炎症による液体がたまったりすることがあります。
その結果、肺でのガス交換がうまく行われにくくなり、息苦しさや呼吸のしづらさにつながることがあります。
【参考情報】『Physiology, Pulmonary Ventilation and Perfusion』National Library of Medicine
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK539907/
軽い肺炎では、普段どおりに動いているときにはあまり気にならなくても、階段を上る、歩くなど体を動かしたときに息切れを感じることがあります。
一方、炎症が強い場合には、安静にしていても息苦しさを感じることがあります。
また、肺炎では呼吸が普段より速くなることがあります。体内の酸素が不足すると、体はより多くの酸素を取り込もうとして呼吸の回数を増やすためです。
2-4. 胸の痛み
肺炎では、胸の痛みが現れることもあります。特に、肺を覆っている胸膜に炎症が及ぶと、深く息を吸ったり、咳をしたりしたときに胸が痛むことがあります。
胸膜は、肺の表面を覆う「臓側胸膜」と、胸壁の内側を覆う「壁側胸膜」からなる薄い膜です。
通常は、この2つの胸膜が滑らかに動くことで、呼吸に伴って肺がスムーズに膨らんだり縮んだりしますが、肺炎の炎症が胸膜にまで広がると、この動きによって刺激され、痛みが生じることがあります。
【参考情報】『Anatomy, Thorax, Pleurae』National Library of Medicine
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK541079/
胸膜の痛みは、胸の片側など限られた場所に感じることが多く、深呼吸や咳、くしゃみなどで痛みが強くなるのが特徴です。
痛みがあると、呼吸が浅くなったり、痛みを避けるために深く息を吸わなくなったりすることもあります。
2-5. 高齢者では症状が目立たないことも
高齢者では、肺炎になっても典型的な症状がはっきり現れないことがあります。
高熱や強い咳がみられない一方で、食欲がない、元気がない、倦怠感が強い、普段よりぼんやりしているなど、全身の変化をきっかけに肺炎が見つかることもあります。
そのため、高齢者の場合は「熱がないから肺炎ではない」とは限りません。普段と比べて明らかに体調が悪い、呼吸が苦しそう、食事や水分がとれないなどの変化がある場合は、受診を検討しましょう。
【参考情報】『Characteristics and Management of Community-Acquired Pneumonia in the Era of Global Aging』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29710871/
3.呼吸器内科では肺炎をどのように検査する?
肺炎が疑われる場合は、まず症状やこれまでの経過を確認し、診察を行います。
そのうえで、必要に応じて検査を組み合わせて診断します。
3-1. 問診・聴診
まず、いつからどのような症状が現れたのかを確認します。
発熱、咳、痰、息苦しさ、胸痛などの症状に加え、症状がどのように変化してきたのか、持病や服用している薬などについても確認します。
その後、聴診器を使って胸の音を確認することがあります。肺炎では、肺の炎症などによって、通常とは異なる呼吸音が聞こえることがあります。
また、指先にセンサーをつけて血液中の酸素の状態を測定する「パルスオキシメータ」が使われることもあります。
肺炎によって酸素を十分に取り込めているかを確認し、重症度を判断するための参考にします。
◆「血中酸素飽和度(SpO2)正常値とパルスオキシメータの使い方」>>
3-2. 胸部X線検査
胸部X線(レントゲン)検査は、肺炎の診断でよく用いられる画像検査です。
肺炎がある場合、肺の一部が白く見える「浸潤影(しんじゅんえい)」などの異常が確認されることがあります。
また、胸部X線検査によって肺炎の可能性を確認するとともに、肺炎以外の肺の病気がないかを調べることもできます。
◆「呼吸器内科のレントゲン検査~検査でわかる病気と注意点~」>>
3-3. 血液検査
血液検査では、体内で炎症が起きているか、その程度などを確認します。
白血球数やCRPなど、炎症に関係する項目を調べることで、炎症の状態を判断するための参考になります。
3-4. CT検査
胸部X線検査では判断しにくい小さな病変や、肺炎が疑われる部位の状態を詳しく調べる必要がある場合などに行われます。
また、肺炎以外の病気が隠れていないか、合併症がないかなどを確認するためにCT検査を行うこともあります。
3-5. 痰などを調べる検査
痰が出ている場合は、痰を採取して細菌などを調べる検査を行うことがあります。
痰の中にどのような病原体がいるのかを調べることで、肺炎の原因を特定する手がかりになります。
細菌が原因と考えられる場合には、細菌にどの抗菌薬が効くのかを調べる「薬剤感受性検査」が行われることもあります。
4.呼吸器内科では肺炎をどのように検査する?
肺炎の治療は、原因となっている病原体や症状の程度、患者さんの年齢、基礎疾患などによって異なります。
4-1. 肺炎の原因や症状に応じて治療方法が異なる
肺炎には、細菌やウイルス、マイコプラズマなど、さまざまな原因があります。原因によって有効な治療方法が異なるため、検査結果や症状、診察所見などをもとに治療方針を決めます。
また、肺炎の重症度によっても必要な治療は変わります。発熱や咳などの症状に対して薬を使用するほか、血液中の酸素が不足している場合には酸素投与などを行うことがあります。
高齢者や基礎疾患がある人では、肺炎が重症化するリスクが高くなる場合があります。そのため、年齢や持病、全身状態なども考慮して治療方法が選択されます。
4-2. 細菌性肺炎では抗菌薬を使用する
細菌が原因となっている肺炎では、原因となる細菌に効果のある抗菌薬を使用して治療します。
抗菌薬にはさまざまな種類があり、原因として疑われる細菌や患者さんの年齢、基礎疾患、肺炎の重症度などを考慮して薬剤を選択します。
痰などの検査によって原因となる細菌が特定できた場合には、検査結果をもとに抗菌薬を変更したり、より適した薬剤に調整したりすることもあります。
一方、ウイルスなどが原因の肺炎には、一般的な細菌に対する抗菌薬は効果がありません。
4-3. 外来治療と入院治療
肺炎のすべてが入院治療になるわけではありません。症状が比較的軽く、全身状態が安定している場合には、薬を処方して自宅で治療することもあります。
一方で、呼吸状態が悪い場合や全身状態が悪化している場合、重症化するリスクが高い場合などには、入院して治療を行うことがあります。
入院すると、抗菌薬などの薬による治療に加え、必要に応じて酸素投与や呼吸管理などを行いながら、症状や全身状態を確認します。
肺炎の重症度や治療への反応などによって、治療内容は調整されます。
4-4. 肺炎はどのくらいで治る?
肺炎が治るまでの期間は、原因や重症度、年齢、基礎疾患などによって異なります。
適切な治療によって発熱などの症状が比較的早く改善することもありますが、咳や痰、息苦しさ、倦怠感などがその後もしばらく残る場合があります。
また、症状が改善しても、肺の画像上の異常が症状より長く残ることがあります。
そのため、「薬を使い始めて熱が下がったから、すぐに肺炎が治った」とは限りません。
処方された薬は自己判断で中止したり、量を変更したりせず、医師から指示された方法に従って使用しましょう。
症状が改善しない場合や、いったん良くなった後に再び発熱や咳、息苦しさなどが悪化した場合は、再度病院を受診してください。
5.肺炎で救急受診が必要な症状
肺炎は、入院治療が必要になる場合があります。
特に、以下のような症状がある場合は、通常の外来受診を待たず、救急で病院を受診してください。
<強い息苦しさ>
安静にしていても呼吸が苦しい、息が十分に吸えない、息苦しくて会話を続けることが難しいなど、強い息苦しさがある場合は注意が必要です。
肺炎によって酸素を十分に取り込めなくなっているなど、呼吸状態が悪化している可能性があります。
<意識がもうろうとする>
呼びかけても反応が鈍い、意識がもうろうとしている、普段より明らかに意識状態がおかしいなどの場合は、低酸素や感染症による全身状態の悪化などが起きている可能性があります。
特に高齢者では、肺炎によって意識状態が変化することがあります。発熱や咳などの症状が目立たなくても、このような変化がみられる場合は注意が必要です。
<唇や顔などが青色・灰色・青紫色になる>
唇や舌、顔などが青色や灰色、青紫色になる場合は、血液中の酸素が不足している可能性があります。
特に、こうした色の変化に強い息苦しさを伴っている場合は、緊急性が高い可能性があります。
<強い胸痛>
肺炎では、深く息を吸ったり咳をしたりしたときに胸が痛むことがあります。
ただし、突然現れた強い胸痛や持続する胸痛、胸が締め付けられるような痛み、息苦しさを伴う胸痛などは、肺炎だけでなく、心筋梗塞や肺塞栓症など緊急性の高い病気でも起こります。
<急激な症状の悪化>
それまで比較的安定していたにもかかわらず、急に息苦しさが強くなる、意識状態が悪くなる、急激に体調が悪化するなどの場合は、肺炎が重症化している可能性があります。
また、いったん症状が改善した後に、発熱や咳、息苦しさなどが再び悪化する場合にも注意が必要です。
6.おわりに
肺炎は、細菌やウイルスなどさまざまな原因によって起こる呼吸器の病気です。発熱、咳、痰、息苦しさなど、風邪と似た症状が現れることもありますが、症状だけで肺炎と判断することはできません。
咳、痰、発熱、息苦しさなどは、肺炎以外の病気でも起こります。気管支炎、喘息、COPD、新型コロナなどの呼吸器感染症のほか、肺がんや心不全でも似た症状が現れることがあります。
症状だけで肺炎と判断することは難しいため、症状が長引いたり悪化したりしている場合は、呼吸器の専門医に原因を調べてもらいましょう。
以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします
- 咳が2週間以上続いている
- 息切れや息苦しさを感じることがある
- 痰がからんで気になる
- 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
- 市販薬を飲んでも症状が改善しない
当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?












