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外来

呼吸器内科と呼吸器外科の違いは?それぞれの特徴や診療対象となる病気について

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年06月29日

咳や痰、息切れなどの症状が気になる場合、呼吸器を専門に扱う医師に診てもらうことができます。

呼吸器を扱う診療科には、「呼吸器内科」と「呼吸器外科」があります。この2つには、どのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、呼吸器内科と呼吸器外科の違いを説明し、それぞれの診療対象となる病気を紹介します。

1.呼吸器内科とはどんなところ?

呼吸器内科とは、のどや気管、気管支、肺など、呼吸にかかわる臓器や部位の病気を診る診療科です。

咳や痰、息切れ、胸の痛み、呼吸が苦しいといった症状の原因を調べ、適切な治療を行います。

一般内科でも呼吸器の病気を診療していますが、高血圧や糖尿病、脂質異常症、胃腸の病気など、幅広い疾患を総合的に扱っています。

一方、呼吸器内科では呼吸器疾患に特化しており、専門的な知識や検査をもとに診断・治療を行うのが特徴です。

例えば、風邪のような症状が現れた場合は、一般内科を受診しても呼吸器内科を受診しても問題ありません。風邪は気道に炎症が起こる呼吸器の病気であるため、どちらの診療科でも診療を受けられます。

しかし、症状が長引いている場合や、原因がはっきりしない場合には、呼吸器内科の受診が勧められます。

「風邪だと思っていたらなかなか治らない」「市販薬を飲んでも咳が改善しない」といった場合は、呼吸器内科を受診して専門医の診察を受けることが大切です。

【参考情報】『Pulmonologist』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/22210-pulmonologist

◆「呼吸器内科の専門医とは」>>

2.呼吸器外科とはどんなところ?

呼吸器外科とは、肺や気管、気管支、胸膜(きょうまく)、縦隔(じゅうかく)など、呼吸器に関わる病気や外傷に対して、主に手術による治療を行う診療科です。

薬による治療が中心となる呼吸器内科とは異なり、病変を切除したり、損傷した組織を修復したりする外科的な治療を担当します。

呼吸器外科で最も多く行われている手術は、肺がんに対する手術です。

また、肺がん以外にも、気胸や肺の良性腫瘍など、手術が必要となるさまざまな呼吸器疾患を扱っています。

なお、一般の患者さんが最初から呼吸器外科を受診するケースは多くありません。

咳や息切れ、健康診断で胸部X線の異常を指摘された場合などは、まず呼吸器内科で検査や診断を受け、手術が必要と判断された場合に呼吸器外科へ紹介されるのが一般的です。

【参考情報】『Lung surgery』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/ency/article/002956.htm

3. 呼吸器内科で診る病気


呼吸器内科で診る病気は、風邪や肺炎などの感染症から、喘息やCOPDなどの慢性疾患、肺がん、睡眠時無呼吸症候群まで幅広くあります。

3-1. 咳や痰、発熱などを引き起こす感染症


呼吸器内科では、細菌やウイルスなどによって起こる感染症を診療しています。

代表的な病気には、次のようなものがあります。

 風邪

 インフルエンザ

 気管支炎
 
 肺炎

 肺結核

特に、「咳が2週間以上続いている」「高熱が続く」「息苦しさがある」といった場合は、呼吸器内科で専門的な検査を受けることが勧められます。

◆「その咳の原因、呼吸器内科で検査しましょう」>>

3-2. 慢性呼吸器疾患

呼吸器内科では、継続的な治療や定期的な経過観察が必要となる慢性呼吸器疾患も多く診療しています。

代表的な病気には、次のようなものがあります。

 喘息

 COPD(慢性閉塞性肺疾患

 間質性肺炎

 気管支拡張症

これらの病気は、症状をコントロールしながら長期間付き合っていく必要があります。

呼吸器内科では、吸入薬や内服薬による治療だけでなく、呼吸機能検査などを定期的に行い、病状に合わせて治療内容を調整します。

◆「呼吸器内科で行われる専門的な検査について」>>

3-3. 肺がんなど専門的な診療が必要な病気


呼吸器内科では、肺がんや肺の良性腫瘍などの診断も行っています。

肺がんは初期には自覚症状が少ないことが多く、健康診断で胸部X線の異常を指摘されて見つかるケースも少なくありません。

呼吸器内科では、胸部画像検査などを行って診断し、病気の進行度を評価します。その結果、手術が最も適した治療法と判断された場合は、呼吸器外科へ紹介されます。

◆「40歳以上と喫煙者は知っておきたい!肺がんの症状・検査・治療の基礎知識」>>

3-4. 睡眠中に起こる呼吸の病気


呼吸器内科では、睡眠時無呼吸症候群の診断と治療も行っています。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気です。大きないびきや睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気、起床時の頭痛などが代表的な症状です。

治療を受けずに放置すると、高血圧や心筋梗塞、脳卒中、不整脈などの心血管疾患のリスクが高まることが知られています。

呼吸器内科では、簡易検査や精密検査によって診断を行い、必要に応じてCPAP療法やマウスピース治療の紹介、生活習慣の改善指導などを行います。

◆「睡眠時無呼吸症候群の症状・検査・治療の基本情報」>>

3-5. 禁煙外来

呼吸器内科では、病気の治療だけでなく、禁煙のサポートを行うこともあります。

喫煙は、COPDや肺がんをはじめ、肺炎や喘息の悪化など、多くの呼吸器疾患の発症や進行に深く関わっています。そのため、呼吸器の健康を守るためには、禁煙が非常に重要です。

禁煙外来では、医師がニコチン依存の程度を評価したうえで、禁煙補助薬や禁煙指導を組み合わせながら治療を進めます。

一定の条件を満たせば健康保険が適用されるため、自力で禁煙が難しかった方でも、より高い成功率が期待できます。禁煙を考えている方は、一人で悩まず、呼吸器内科へ相談してみるとよいでしょう。

◆「呼吸器内科の禁煙外来とは?治療の流れや条件を解説」>>

4. 呼吸器外科で診る病気


薬による治療だけでは改善が難しい病気や、病変を切除する必要がある病気に対しては、呼吸器外科で手術を中心とした治療を行います。

4-1. 肺がんなど肺の腫瘍

呼吸器外科で最も多く手術が行われる病気が肺がんです。

肺がんの治療には、手術、放射線治療、薬物療法などがあり、がんの種類や進行度、患者さんの全身状態によって最適な治療法が選択されます。

がんが手術によって切除できると判断された場合は、呼吸器外科が肺の一部や肺葉などを切除する手術を行います。

また、肺にできた良性腫瘍でも、大きさや症状、悪性との鑑別が必要な場合には手術が検討されることがあります。

一般的には、呼吸器内科で検査を行って診断し、手術が必要と判断された場合に呼吸器外科へ紹介されます。手術後も必要に応じて呼吸器内科と連携し、抗がん剤治療や経過観察を行います。

4-2. 気胸


気胸とは、肺に穴が開いて空気が漏れ、肺がしぼんでしまう病気です。

突然の胸の痛みや息苦しさをきっかけに発見されることが多く、やせ型の若い男性に多くみられる自然気胸のほか、COPDなどの肺疾患に伴って発症する続発性気胸もあります。

気胸は軽症であれば自然に改善することもありますが、肺の虚脱が大きい場合には、胸腔ドレナージによって胸にチューブを入れ、漏れた空気を排出する処置が必要になります。

さらに、空気漏れが改善しない場合や気胸を繰り返す場合には、肺の穴を切除・修復する手術が行われます。近年では、胸腔鏡を用いた体への負担が少ない手術が広く行われています。

◆「気胸」についてくわしく>>

4-3. 縦隔腫瘍

縦隔とは、左右の肺に挟まれた胸の中央部分のことで、心臓や気管、食道、胸腺、大きな血管などが集まっています。

この部分に発生する腫瘍を縦隔腫瘍といい、胸腺腫、胸腺がん、神経原性腫瘍、胚細胞腫瘍などさまざまな種類があります。

縦隔腫瘍には良性と悪性がありますが、画像検査だけでは正確な診断が難しいことも多く、診断と治療を兼ねて手術が行われるケースも少なくありません。

症状がなく、健康診断で偶然発見されることもあります。

【参考情報】『縦隔(じゅうかく)腫瘍とは』国立がん研究センター東病院
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/thoracic_surgery/070/010/index.html

4-4. 胸膜・胸壁の病気

呼吸器外科では、肺を包む胸膜や、肋骨・筋肉などで構成される胸壁の病気も診療しています。

代表的な病気には、胸膜腫瘍や悪性胸膜中皮腫、胸壁腫瘍などがあります。また、肺がんや乳がんなどが胸膜や胸壁へ広がった場合に、病変を切除する手術が行われることもあります。

【参考情報】『胸膜腫瘍』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/g/g-03.html

病気の種類や広がりによっては、呼吸器内科や腫瘍内科、形成外科などと連携しながら治療方針が決定されます。

4-5. その他の呼吸器外科で扱う病気


このほかにも、呼吸器外科ではさまざまな病気や外傷を診療しています。

例えば、肺や胸腔に膿がたまる膿胸、胸部の外傷による血胸や肺挫傷、気管や気管支が狭くなる気道狭窄などでは、手術が必要になることがあります。

【参考情報】『膿胸』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/g/g-02.html

また、交通事故や転落事故などによる重症の胸部外傷では、救命のために緊急手術が行われるケースもあります。

5. おわりに

呼吸器内科と呼吸器外科は、どちらも呼吸器の病気を専門とする診療科ですが、それぞれ担う役割が異なります。呼吸器内科は、咳や痰、息切れなどの症状に対する検査や薬物療法を中心に行い、呼吸器外科は、手術が必要な病気に対して外科的な治療を担当します。

実際には、多くの呼吸器疾患で、まず呼吸器内科が診療の窓口となります。呼吸器内科で検査や診断を行い、手術が必要と判断された場合に呼吸器外科へ紹介されるのが一般的です。そのため、患者さん自身が最初から呼吸器外科を受診するケースは多くありません。

咳や痰が長引いている、息苦しさが続いている、胸の痛みや血痰がある、健康診断で胸部X線の異常を指摘されたなど、呼吸器の病気が疑われる症状や所見がある場合は、まず呼吸器内科を受診しましょう。早めに専門医の診察を受けることで、病気の早期発見・早期治療につながり、必要に応じて適切な診療科で治療を受けることができます。

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以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします

  • 咳が2週間以上続いている
  • 息切れや息苦しさを感じることがある
  • 痰がからんで気になる
  • 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
  • 市販薬を飲んでも症状が改善しない

当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?

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