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外来

呼吸器内科と呼吸器外科の違いは?それぞれの特徴や診療対象となる病気について

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年11月15日

咳や痰、息切れなどの症状が気になる場合、呼吸器を専門に扱う医師に診てもらうことができます。

呼吸器を扱う診療科には、「呼吸器内科」と「呼吸器外科」があります。この2つには、どのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、呼吸器内科と呼吸器外科の違いを説明し、それぞれの診療対象となる病気を紹介します。

1.呼吸器内科とは

呼吸器内科とは、のどや肺、気管など、呼吸にかかわる臓器や部位の病気を扱う診療科です。

一般内科では、呼吸器以外の病気も総合的に扱っていますが、呼吸器内科では、呼吸器に特化した診療を行っています。

例えば、風邪のような症状が現れたときは、一般内科を受診しても呼吸器内科を受診しても、どちらでも構いません。

風邪は呼吸器の病気なので、呼吸器内科でも扱っていますが、ありふれた病気やよくある症状なら、一般内科でも診ることができます。

「咳が2週間以上続いている」など症状が長引いている時や、明らかに異常な症状が出たときは、呼吸器内科を受診して専門医に診てもらう方がいいでしょう。

◆「呼吸器内科の専門医とは」>>

2.呼吸器外科とは

呼吸器外科とは、呼吸器系の疾患や外傷に対して、外科的な治療を行う診療科です。

呼吸器外科で主に扱うのは肺がんの手術ですが、肺がんでは化学療法をはじめとした内科的な治療も行うため、外科と内科が連携して治療にあたることもよくあります。

【参考情報】『Lung surgery』MedlinePlus.gov
https://medlineplus.gov/ency/article/002956.htm

3.呼吸器内科で診る病気

呼吸器内科で診察する病気には、主に以下のようなものがあります。

3−1.慢性疾患

呼吸器系の慢性疾患には、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)があります。

喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こって気道が狭くなり、咳や呼吸困難が生じる病気です。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

COPDは、長年の喫煙によって肺が炎症を起こし、咳や痰、息切れといった症状を引き起こす病気です。

◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>

3−2.感染症

呼吸器系の感染症には、以下のようなものがあります。

・風邪
・気管支炎
・インフルエンザ
・肺炎
・肺結核

風邪のような症状が長引いていたり、咳などの症状がいつもより激しい時は、呼吸器内科を受診して専門医の診察を受けてみましょう。

◆「その咳の原因、呼吸器内科で検査しましょう」>>

3−3.肺がん

肺がんは、5年生存率が20%程度と、がんのなかでは亡くなる人が多い病気です。

肺がんの症状には、咳や痰、胸痛、倦怠感などがあります。血痰が続く場合は肺がんの可能性が高いため、早めに呼吸器内科を受診して相談してください。

◆「40歳以上と喫煙者は知っておきたい!肺がんの症状・検査・治療の基礎知識」>>

3−4.睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返す病気です。

激しいいびきや昼間の眠気などの症状があり、治療をせずに放っておくと、心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる合併症を引き起こす恐れがあります。

◆「睡眠時無呼吸症候群の症状・検査・治療の基本情報」>>

3−5.禁煙治療

呼吸器内科では、肺がんやCOPDなどタバコとの関連が深い病気を扱うこともあり、禁煙治療に力を入れています。

禁煙治療を受けた場合の成功率は7〜8割程度であり、条件を満たせば健康保険を使用した治療を受けられます。

◆「当院の禁煙外来について」>>

4.呼吸器外科で診る病気

呼吸器外科で扱う病気には、以下のようなものがあります。

4−1.肺がん

肺がんの治療法には、「手術」「放射線治療」「薬物療法」があり、呼吸器外科では手術を担当します。

【参考情報】『肺がんの手術とはどういうものですか。どのように手術をするのですか』日本肺癌学会
https://www.haigan.gr.jp/guidebook2019/2020/Q32.html

4−2.気胸

気胸とは、肺の表面に穴があいて空気が漏れる病気です。やせ型の若い男性に発症することが多く、咳や呼吸困難、胸痛などの症状が現れます。

重症度によっては、「胸腔ドレナージ」という空気を抜くためのチューブを挿入する処置や、穴をふさぐための手術を行う必要があります。

【参考情報】『呼吸器の病気 G.胸膜疾患 気胸』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/g/g-04.html

4−3.縦隔疾患

縦隔とは、左右の肺の間に挟まれた部分のことで、心臓や気管、食道などの臓器がある場所です。縦隔内に発生した腫瘍を縦隔腫瘍といい、胸腺腫や胸腺がん、甲状腺腫などがあります。

縦隔腫瘍には、良性のものと悪性のものがありますが、どちらも手術で治療することが多いです。

【参考情報】『呼吸器の病気 E.腫瘍性肺疾患 縦隔腫瘍』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/e/e-04.html

4−4.胸壁・胸膜疾患

心臓や気管、肺などの胸部にある臓器は、胸膜という膜に覆われています。皮膚と胸膜の間には肋骨や筋膜などがあり、この部分を胸壁といいます。

胸膜や胸壁には腫瘍ができることがあり、肺がんや乳がんなどが転移することもあります。このような場合、手術を行うことがあります。

【参考情報】『呼吸器の病気 G.胸膜疾患 胸膜腫瘍』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/g/g-03.html

4−5.胸部外傷

事故などによって、肺や心臓、食道などが損傷した状態を胸部外傷といいます。

胸部外傷には、胸腔内に血液が溜まる血胸や、肺組織の損傷である肺挫傷などがあります。

胸部外傷は命にかかわることが多いため、速やかな外科的治療が必要です。

5.おわりに

咳や痰、息苦しさが長引いているときや症状が強いときは、まずは呼吸器内科を受診して専門医に相談してください。

そこで、外科的治療が必要だと判断されたら、呼吸器外科を紹介してもらいましょう。当院でも、手術が必要な患者さんには、適切な病院や診療科を紹介しています。

◆「呼吸器内科を横浜市でお探しなら」>>

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