咳が止まらないときに動悸がするのはなぜ?考えられる原因と受診の目安

咳が止まらないときに、心臓がドキドキする、脈が速く感じるといった動悸を感じると、「もしかして重い病気では」と不安になるかもしれません。
これら2つの症状が同時に現れる背景には、風邪のような身近な病気から、注意したい心臓の不調、薬の影響などさまざまな可能性が隠れています。
この記事では、咳と動悸が一緒に起こる主な原因や受診の目安、日常生活でできる対処法について詳しく解説していきます。
気になる症状が続いている方は、ぜひ最後までご覧ください。
1. 咳が止まらないときに動悸がするのはなぜ?
咳が止まらないとき、心臓がドキドキしたり脈が速く感じたりする「動悸」を伴うことがあります。
その原因のひとつは、激しく咳き込むと咳による胸の中の圧力の変化などによって、一時的に心拍数が上がることがあるためです。
【参考情報】『Heart rate response to cough』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7153114/
また、咳が続いて息苦しさを感じたり、「このまま咳が止まらなかったらどうしよう」という不安や緊張から、動悸を覚えることもあります。
【参考情報】『Heart Palpitations and Anxiety』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/21677-heart-palpitations-and-anxiety
このように、咳き込んだ直後に動悸を感じ、咳が落ち着くとともに動悸もおさまる場合は、咳に伴う一時的な反応であると考えられます。
一方で、咳と動悸を繰り返す場合や、咳とは関係なく動悸が起こる場合は、咳以外の原因が関わっている可能性もあります。
2. 咳と動悸があるときに考えられる病気
咳と動悸が同時に起こる場合、必ずしも一つの病気が原因とは限りません。
また、咳とは別に動悸が起こっているケースや、使用している薬の影響によって動悸が生じているケースもあります。
2-1. 喘息・咳喘息
喘息や咳喘息で動悸を感じることがあるのには、いくつかの理由が考えられます。
<息苦しさや発作による体への負担>
喘息の発作などで息苦しさが強くなると、身体への負担が増え、交感神経の働きが高まることで心拍数が上がることがあります。
<β2刺激薬の影響>
サルタノールやメプチンなどの喘息治療薬を吸入すると、これらの薬に含まれるβ2(ベータツー)刺激薬の影響で動悸を感じることがあります。
<テオフィリン製剤の影響>
テオフィリンを服用している人は、薬の成分の血中濃度が高くなることで、動悸や頻脈、不整脈が起こることがあります。
2-2. 呼吸器感染症
風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの呼吸器感染症でも、咳と動悸が同時に起こることがあります。
発熱や強い咳などによって体への負担が大きくなると、心拍数が上がり、脈が速く感じられることがあります。
また、発熱や発汗、水分の摂取量が減ることなどによって脱水状態になると、心拍数が上がって動悸を感じることもあります。
2-3. 不整脈
不整脈とは、心臓の拍動が速くなったり遅くなったり、リズムが乱れたりする状態です。そのため、普段は意識しない心臓の拍動が動悸として自覚されることがあります。
また、不整脈によって心臓が十分に血液を送り出せなくなると、息苦しさなどが生じ、動悸を強く感じることもあります。
不整脈そのものが直接、咳を起こすことは一般的ではありません。ただし、不整脈によって心臓のポンプ機能が低下して心不全を起こすと、肺に血液や水分がうっ滞し、咳や息苦しさが生じることがあります。
不整脈は、心臓に病気がない人にも起こります。例えば、ストレスや睡眠不足、疲労、カフェインやアルコール、喫煙、脱水などがきっかけで起こることがあります。
【参考情報】『不整脈』日本心臓財団
https://www.jhf.or.jp/check/opinion/category/c1/
2-5. 心臓の病気
心不全などで、心臓に不調があるときも、咳や息苦しさ、動悸などがみられることがあります。
例えば、横になると息苦しくなる、少し体を動かしただけで息切れする、足がむくむといった症状を伴う場合には、心臓の病気が関係している可能性があります。
【参考情報】『心不全』国立循環器病研究センター
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/heart-failure/
2-6. 薬の影響
風邪薬・鼻炎薬を服用した後に動悸が起こることがあります。薬に含まれる成分が心拍数や血圧に影響することが主な原因です。
<血管収縮薬>
プソイドエフェドリンやフェニレフリンは、鼻づまりを改善するために使われる成分ですが、交感神経を刺激する作用があり、心拍数や血圧を上げて動悸を起こすことがあります。
<カフェイン>
一部の総合感冒薬にはカフェインが含まれていますが、カフェインの摂取量が多くなると、動悸を感じることがあります。
さらに、複数の風邪薬・鼻炎薬やカフェインを含む飲料を併用すると、カフェインなどの成分が重複して摂取量が増えることがあります。
その結果、動悸などの症状が起こりやすくなるため、薬を併用する際は成分を確認することが大切です。
3. 咳が止まらないときの動悸、受診したほうがいい?
咳き込んだ直後に一時的に動悸を感じても、休んでいるうちに治まり、その後も症状が改善している場合は、すぐに受診が必要とは限りません。
一方で、咳が長引いている、動悸が繰り返している、息苦しさや胸の痛みなどを伴っている場合は、咳や動悸の原因を調べるために医療機関を受診しましょう。
3-1. しばらく様子をみてもよいケース
以下のような場合は、安静にして症状の変化を確認してもよいでしょう。
・激しく咳き込んだ直後だけ一時的に動悸がする
・休むと動悸が治まる
・風邪のような症状があるが、咳や発熱などが少しずつ改善している
・息苦しさや胸の痛みなど、他に気になる症状を伴っていない
ただし、これらに当てはまる場合でも、動悸が何度も起こるようになったり、症状が強くなったりした場合は、病院を受診しましょう。
3-2. 呼吸器内科を受診する目安
動悸が治まってきても、咳が長引いている場合は、呼吸器内科の受診を検討しましょう。
以下のような症状が目安になります。
・咳が2週間以上続いている
・咳が悪化している
・夜間や早朝に咳が続く
・ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする
・息苦しさがある
・血の混じった痰(血痰)が出る
このような症状がある場合は、喘息や咳喘息、肺炎など、風邪以外の呼吸器の病気が関係している可能性があります。
3-3. 循環器内科を受診する目安
咳が治まっても動悸が続いている場合は、循環器内科への受診も検討しましょう。
特に、以下のような症状がある場合は注意が必要です。
・咳をしていないときにも動悸が起こる
・動悸が何度も繰り返す
・脈が明らかに乱れているように感じる
・動悸とともにめまいやふらつきがある
・胸の痛みや圧迫感がある
迷った場合は、まずかかりつけの内科を受診して症状を伝え、必要に応じて専門の診療科を紹介してもらう方法もあります。
4. 咳と動悸があるときに病院で行う検査
咳と動悸が続いている場合、病院では症状がいつから始まったのか、どのようなときに起こるのか、ほかにどのような症状があるのかなどを確認したうえで、必要な検査を行います。
4-1. 呼吸器内科で行う検査
咳が長引いている、息苦しさやゼーゼー・ヒューヒューする呼吸があるなど、呼吸器の病気が疑われる場合は、以下のような検査を行うことがあります。
胸部X線(レントゲン)検査では、肺炎など肺に異常がないかを確認します。
◆「呼吸器内科のレントゲン検査~検査でわかる病気と注意点~」>>
呼吸機能検査では、息をどれくらい吐き出せるかなどを調べ、喘息などの呼吸器の病気が疑われる場合に行うことがあります。
また、パルスオキシメータを指先に装着して、血液中の酸素飽和度を測定することもあります。
必要に応じて血液検査を行い、炎症の有無などを調べることもあります。痰が出ている場合には、痰の性状を確認したり、痰を採取して検査したりすることもあります。
4-2. 循環器内科で行う検査
動悸が繰り返す、脈が乱れているように感じる、胸の痛みやめまいなどを伴う場合は、心臓や血管の病気が関係していないかを調べます。
基本的な検査の一つが心電図検査です。心臓の電気的な活動を記録し、不整脈などがないかを確認します。
【参考情報】『Electrocardiogram (ECG or EKG)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/tests-procedures/ekg/about/pac-20384983
動悸が診察時には治まっているなど、通常の心電図では症状を捉えにくい場合には、ホルター心電図(24時間心電図)などを使って、一定時間心電図を記録することがあります。
また、心エコー検査では、超音波を使って心臓の大きさや動き、弁の状態などを確認します。
【参考情報】『Echocardiogram』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/tests-procedures/echocardiogram/about/pac-20393856
さらに、血液検査によって、貧血や甲状腺機能など、動悸に関係する可能性がある別の病気を調べることもあります。
5. おわりに
咳が止まらないときに動悸を感じることがありますが、激しく咳き込んだことによる一時的な反応の場合もあります。
一方で、咳が長引いている場合や、咳とは関係なく動悸が起こる場合には、喘息や不整脈などの病気が関係している可能性もあります。
症状が改善しない場合や繰り返し起こる場合は、病院を受診して原因を調べることが大切です。
特に、強い胸痛や呼吸困難、失神などを伴う場合は、早めの対応が必要です。
以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします
- 咳が2週間以上続いている
- 息切れや息苦しさを感じることがある
- 痰がからんで気になる
- 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
- 市販薬を飲んでも症状が改善しない
当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?











