あなたのいびきは大丈夫?睡眠時無呼吸症候群といびきの関係を解説

年齢とともに、「いびきがひどくなった」「自分のいびきの音がうるさくて起きてしまう」など、いびきに悩む人が多くなります。
いびきは誰にでも起こるものですし、その多くは一時的で心配のないものです。しかし、いびきによって睡眠が中断されたり、家族やパートナーの安眠を妨げることが続くようなら、睡眠時無呼吸症候群という病気のサインかもしれません。
この記事では、いびきが起こる理由を説明し、健康状態との関係や注意すべきポイント、睡眠時無呼吸症候群の可能性について解説します。
自分や家族のいびきは大丈夫なのか?と心配な時の判断材料として、ぜひお読みください
目次
1.いびきはなぜ起こるのか
いびきは、空気の通り道である気道が狭くなることで起こります。
狭くなった気道を空気が通る際、空気の流れに勢いがつき、その勢いで喉の奥のやわらかい部分が揺れ、いびき特有の音が生じます。
【参考情報】『Snoring』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/snoring/symptoms-causes/syc-20377694
私たちが起きている間は、脳が呼吸や姿勢を保つために、舌や喉の筋肉を常に動かしています。そのため、筋肉に適度な力が入り、気道はつぶれにくい状態に保たれています。
しかし、眠ると脳の働きが弱まり、筋肉の力も抜けるため、気道が狭くなりやすくなります。
気道が少し狭くなっている程度であれば、振動は小さく、いびきの音も比較的弱く、一定のリズムになりやすい傾向があります。
一方、気道がかなり狭くなると、空気の流れはさらに不安定になり、振動も大きくなります。その結果、音量が大きくなり、音の高さやリズムがばらついた、荒いいびきになりやすくなります。
【参考情報】『A Subject-Specific Acoustic Model of the Upper Airway for Snoring Sounds Generation』nature
https://www.nature.com/articles/srep25730
ただし、いびきがあるからといって、必ずしも病気のサインとは限りません。実際には、呼吸が止まらず、健康への影響もほとんどない「単純性いびき」の方が多く見られます。
2.単純性いびきの特徴と2つのタイプ
単純性いびきの原因は一時的なものが多く、原因を改善すればいびきもほとんど出なくなります。
一方で、慢性的に続くようになれば、将来的に睡眠時無呼吸症候群へ移行するリスクを含んでいるため、経過を注意深くみていくことが重要です。
2-1.単純性いびきの特徴
単純性いびきは、睡眠中に空気の通り道がやや狭くなることで音が出ている状態です。呼吸そのものは保たれており、無呼吸や低呼吸は起こっていません。
そのため、強いいびき音があっても、睡眠の質は大きく損なわれていないことが多いです。
しかし、強いいびき音が続くようなら、本人には問題がなくても、一緒に寝ている人は安眠を妨げられ、夜中に何度も目が覚めてしまいます。
その結果、一緒に寝ている人は寝不足になりやすく、いびきへの不満やいら立ちを抱えているかもしれません。
このような状態が続くと、睡眠の問題がストレスとなり、夫婦やパートナー、家族との関係がぎくしゃくする原因になることもあります。
【参考情報】『Impact of Obstructive Sleep Apnea and Its Treatments on Partners: A Literature Review』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28095973/
2-2.一時的な単純性いびきの原因
いびきは、その日の体調や生活習慣によって一時的に強くなることがあります。
<鼻づまり>
風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻の通りが悪くなると、口呼吸になり、いびきが出やすくなります。
<飲酒>
アルコールには筋肉をゆるめる作用があるため、喉周りの筋肉がゆるんで気道が狭くなり、いびきがが出ることがあります。
<疲労や寝不足>
深く眠りすぎて、喉の筋肉の緊張がゆるくなることで、いびきが出やすくなります。
<寝姿勢>
仰向けで寝ると、舌が喉に落ち込んで気道をふさぎ、気道が狭くなっていびきが生じることがあります。
<睡眠薬>
睡眠薬の中には、筋弛緩作用を持つものがあり、この作用で喉の筋肉がゆるんでいびきにつながることがあります。
このように、いびきが一時的で、原因がはっきりしている場合は、睡眠時無呼吸症候群ではない可能性が高いと考えられます。
2-3.慢性的な単純性いびきの原因
一時的だと思っていたいびきが、次第に増えてきた場合は、以下の原因が関与していることがあります。
<肥満>
肥満で首や喉の周囲に脂肪がつくと、脂肪で気道が圧迫されて狭くなり、いびきが出やすくなります。
<加齢>
喉や舌を支える筋力が低下して、気道が狭くなりやすくなります。
<骨格>
もともと顎が小さかったり、小顔タイプの人は、舌があごの中に収まりきらずにのどの奥に落ち込み、気道をふさぐことがあります。
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上記に当てはまる人で、いびきが長期間続いたり、眠気や体調不良を伴う場合には、睡眠時無呼吸症候群を疑う必要があります。
3.睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気か
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。多くの場合、肥満や加齢などが原因で、気道が狭くなることで起こります。
<主な症状>
・毎晩のように繰り返される大きないびき
・昼間の眠気や集中力の低下
・起床時の頭痛や倦怠感
・睡眠中にトイレで目が覚めることが多い
いびきが毎晩のように続いたり、途中で息が止まったように静かになったあと、急に大きく息を吸うような様子がある場合は、特に注意が必要です。
また、眠っている間のことなので、本人は気づきにくいものの、睡眠が細かく中断されるため、体や脳が十分に休めません。そのため、日中に強い眠気を感じたり、集中しにくくなったり、朝起きたときに頭が重いと感じることがあります。
この状態が続くと、睡眠中に体内の酸素が不足しやすくなり、体に負担がかかります。その結果、高血圧や心臓・血管の病気、脳卒中などのリスクが高まることがわかっています。
4. 睡眠時無呼吸症候群と関係が深いいびき
睡眠時無呼吸症候群のいびきは、単に音が大きいだけでなく、いびきのリズムや途切れ方に特徴が現れることがあります。
4-1.途中で止まるいびき
最も注意が必要なのが、いびきが途中で突然止まるタイプです。しばらく大きないびきが続いたあと、数秒から十数秒、完全に音が消える状態が見られます。
この無音の時間は、気道がふさがり、空気の出入りが止まっている「無呼吸」に相当することがあります。
しかし、本人は眠っているため気づきにくく、家族やパートナーが異変に気づくケースが少なくありません。
4-2.音やリズムが不規則ないびき
「大きい音が続いたかと思うと急に小さくなる」「強弱や間隔がばらばら」といった不規則なリズムがあるいびきは、気道が完全に閉じたり、部分的に狭くなったりする状態を繰り返しているために起こります。
睡眠が安定せず、体が何度も覚醒しかけているサインとも言えます。
【参考情報】『Snoring sounds variability as a signature of obstructive sleep apnea』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22824726/
4-3.息を一気に吸い込むようないびき
無音のあとに、「ガッ」「カッ」「フッ」といった、息を一気に吸い込むような音が出るいびきも要注意です。これは、止まっていた呼吸を再開しようとして、体が反射的に大きく息を吸い込むために起こります。
本人は目覚めていなくても、脳は一時的に覚醒しており、睡眠が分断されています。この状態が一晩に何度も起こると、十分な睡眠時間を確保していても強い寝不足感につながります。
【参考情報】『Sleep fragmentation in obstructive sleep apnea』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9122574/
5. 受診や検査を考える目安
いびきが気になっていても、「もう少し様子を見てもいいのか」「病院に行くほどではないのでは」と迷う人は少なくありません。
しかし、いびきに加えて以下のような症状が重なっている場合は、睡眠の質が大きく低下している可能性があります。
・自分のいびきで目が覚める
・十分に寝ているはずなのに、強い眠気やだるさが残る
・運転中や大事な場面にもかかわらず、ウトウトしてしまう
・家族から「寝ている間に呼吸が止まっている」と指摘された
さらに、朝起きたときに頭痛がある、口や喉が強く乾くと感じる場合も、放置すべきではありません。これらは、睡眠時無呼吸症候群を疑うきっかけになります。
受診先としては、呼吸器内科や睡眠外来を設けている医療機関が候補になります。また、鼻づまりが強い場合は耳鼻咽喉科が適しています。
6.睡眠時無呼吸症候群の検査と治療
この章では、睡眠時無呼吸症候群が疑われたときに行われる検査の流れと主な治療法について解説します。
6-1.睡眠時無呼吸症候群の検査
睡眠時無呼吸症候群の検査には、簡易検査と精密検査があります。
<簡易検査>
「アプノモニター」という小型の医療機器を装着して自宅で一晩眠り、睡眠中の呼吸状態や血中酸素飽和度などを計測します。
この検査で、呼吸が止まったり浅くなったりしている回数のおおよその目安がわかります。
<精密検査>
精密検査の結果、さらに詳しく調べる必要があると判断された場合は、精密検査を受けます。
この検査では、呼吸だけでなく、脳の働きや心拍、体の動きなども同時に測り、眠りの質や無呼吸の回数を詳しく確認します。これにより、病気の重さやタイプを正確に判断します。
精密検査は、医療機関に一泊して行うことが多いのですが、当院では自宅での精密検査も可能です。
6-2.睡眠時無呼吸症候群の治療
まずは、体重を管理する、寝る前のお酒を控えるといった生活習慣の見直しが基本になります。
症状が中程度から重い場合には、寝ているあいだに鼻から空気を送り、空気の通り道がふさがらないようにするCPAP(シーパップ)という治療がよく行われます。
CPAPを続けることで、いびきや無呼吸が改善し、日中の眠気が軽くなるほか、心臓や血管の病気のリスクを下げる効果も期待できます。
このほか、下あごを前に出して気道を広げるマウスピースを使う治療や、鼻や喉の形に問題がある場合には手術が選択されることもあります。
7.おわりに
普段いびきをかかない人でも、疲れや飲みすぎが原因でいびきが出ることはあります。そのようないびきが一過性のものなら、心配ありません。
しかし、毎晩のようにいびきが出ているようなら、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする病気の疑いがあります。
睡眠時無呼吸症候群になると、寝ている間に何度も低酸素・無呼吸状態になります。しかし、そのせいで体調が悪くなっても、ただの寝不足や疲れとしか感じられず、病気の発見が遅れがちです。だからこそ、いびきが重要なサインとなります。
激しいいびきを繰り返していたり、就寝中に呼吸が止まっているのを家族から指摘されたという人は、早めに呼吸器専門医へご相談ください。







